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第2章
東洋艦隊の脅威
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2012年に勃発した中共内戦により今の龍国が誕生したのだが、龍国が成立した直後くらいから金盾(グレートファイアウォール:インターネット封鎖体制)が復活し、支配地域の拡大に伴い、その範囲は徐々に増えていった。
中共の頃の金盾は対象サイトのブロックや書き込みの監視などであったが、龍国になってからは国内で外部のインターネットと繋がっている地域は極々少数に限られていて、更にそのアクセス先なども厳密に管理されていた。
つまり、一部の地域から金盾外へは繋がるのだが、外(日本やアメリカなど西側諸国)から金盾内にはアクセス自体が不可能で、外には情報が一切情報が漏れないという状態になっていたのだ。
こうなると龍国内や、被占領地域(ウイグル、チベット、朝鮮半島 など)でどのようなことが実際に起こっているのかを知ることは極めて困難な状態になっていた。
具体的にどういうものなのかが想像しにくいのであれば、北朝鮮で今何が起こっているのかやウイグルやチベットなどマスコミが入れない場所の情報が全く入らないことから想像してみればよく分かると思う。
情報がほとんど入らない場所が「龍国と被占領地域のほぼ全域」だというわけだ。
もちろん、龍国には日本本土やアメリカなど西側諸国からたくさんの投資が入っているし、企業も進出しているのだが、それらの企業は龍国内で実際にどのようなことが起こっているのかを外に漏らすことを徹底的に監視されているし、仮に漏らしたとしたら個人をすぐに特定されて潰されてしまうという状況だった。
また、日本本土やアメリカなどのマスコミもほぼ100% 龍国の浸透工作にやられていて、例え龍国内部の情報をマスコミに流したとしてもそれが公開されることはなく、逆にその漏洩した人を社会的に葬り去るようなことが公然と行われるようになっていた。
テレビは連日、「龍国はこんなに素晴らしい国!」「経済的にも絶好調!(これは本当だが)」「日本企業は停滞を続ける日本を捨てて龍国に進出しよう!」「世界の中心は龍国!」というような龍国にとって都合の良い報道や特集記事を連日流し続けた。
また、龍国のドラマや映画、芸能人などが日本のものより多く取り上げられ、日本独自の文化などは本土では廃れていった。
(日本の文化についてはまた別の章で語ります)
このような状態のため、日海軍も龍国内部の情報、特に軍事情報の取得について非常に苦労していた。
日本の自衛隊や米軍などはかろうじて「反龍派(ドラゴンスレイヤー)」が多かったので、これらと日海軍は裏で提携して情報共有だとか技術開発や兵器の購入などを行なっていたのだが、
日海軍の情報部としても独自に龍国内部の情報を取る準備を行なっていた。
それらを指揮していたのはネット通販業者出身(笑)の明石大佐であったが、彼は日本国内に浸透していた龍国のスパイを拘束したのち、場合によっては買収、恐喝、拷問、その他もろもろの手を使って二重スパイに仕立て上げ、龍国内部の情報を抜いたり、龍国内部での影響力工作などにあたらせる活動を続けていた。
これはどうなのよ?と思われるかもしれないが、これをやりだしたのは中共か、それ以前の国民党の頃の中国が先だったわけだし、明石たちがやっていることの何百倍も残虐で酷いことをしているのが今の龍国なわけなので、明石としても情けをかけるつもりは毛頭なかったのだ。
(龍国の卑劣な手法を何度も目の当たりにしてきているしね)
2035年になって、これらの活動や米軍や自衛隊などが管理する偵察衛星などの情報を統合した処、日本への侵攻準備が始まっているという結果が出てきた。
根本中将曰く「やっぱりな!!」とのことだが、2020年辺りから全力で龍国に対しての防御体制を整えていたことが間違っていなかったと改めてわかったのだった。
2035年頃までには、龍国はそれまでの「一帯一路政策」の「一路」つまり陸のシルクロードをほぼ押さえることに成功していて、西はドイツに至るまでの長大なパイプラインの建設や鉄道、高速道路の整備などを整え、最大の懸案であったインドとの紛争にも勝利し、中東の石油利権、各国での経済的進出、スリランカやジプチ、カラチ、スエズ運河などを手中に収め、海路と陸路の両面でユーラシア大陸南部を押さえていた。
それを海軍の増強と共に、東南アジア諸国への経済進出と軍事進出を急速に推し進め始めたのだった。
それまで、中東方面への進出は、主に西洋艦隊が担当し、東南アジア付近には南洋艦隊が担当していたのだが、ここに来て南洋艦隊の動きがやたらと活発になってきていることや、台湾や日本を侵略しようとするであろう上海(拠点が2030年ごろ南京から最近移動したらしい)が拠点の東洋艦隊が急速に増強されているという情報が入ってきたのだった。
ちなみに「艦隊」と言っているが、南洋艦隊はアメリカの空母打撃陣に相当する戦闘単位が3~5個存在すると言われていた。
龍国は確認されているだけで10隻以上もの正規空母、20隻以上の強襲揚陸艦(軽空母?)が存在し、駆逐艦は軽く500隻以上、フリゲートになると1000隻以上は存在するのではないか?と思われるほど大量の艦艇が存在していた。
仮に1つの空母打撃陣で日本に侵攻してきても極めて脅威である。
憲法9条がなかったとしても、ネガティブリストで自衛隊が動けたとしても苦戦するかやられてしまうか怪しい処にもってきて、侵攻してくるとしたらおそらく最低三個艦隊は投入してくるだろうと想定された。
一隻の正規空母で100機の艦載機は載せれるので、300機もの航空機とやり合わねばならないわけだ。
2035年の段階で日本には正規空母は0。
主力戦闘機のF-35が105機、F-15Jが85機、F-2が20機と全て合わせても200機程度しか所有していないので、この時点で龍国海軍の一地方軍の戦力にさえ及んでいなかった。
だが、日本の国会は当然、このような目前に迫った危機についても相変わらず「地方行政での不正が見つかった。これは現政権のせい」「政権幹部の失言があった。これは内閣の責任だ!」などという本当に意味不明な議論を延々と繰り広げていた。
たまに龍国の軍事的脅威を部会などで指摘し、日本も対抗処置を取らねばならないという議論も一部の与党議員から出るのだが、そういうことがあれば必ず、その議員に対する徹底バッシングがマスコミなどで始まり、それに野党も全力で参加するというような事態が始まるのであった。
日本では2012年に自由済民党が政権を奪還して以来、2035年現在も自由済民党が政権を執り続けていたが、支持率が合計しても15%に満たない野党は分裂・内部抗争・合併・党名変更を延々と繰り返し、もはや国民の大多数は党名すら覚えていないような状況が続いた。
与党の経済政策も相変わらずの「デフレ政策」で、経済成長は年に0.2~0.5%、インフレ率は0.3平均という「極めて低水準な経済成長」をかろうじて続けていた。
国内の製造業の大半は龍国に逃げるか、もしくは南海新都市に進出して本土での製造業の業績は悪化していて、本土で活気のある商売は老人向けの介護用品の販売とか龍国から安く仕入れてきた激安商品の販売をする店舗と観光業など、とても先進国とは思えないような停滞状態が続いていた。
この原因は非常に明白で、まず財務省主導の行き過ぎた緊縮政策で、増税に次ぐ増税と、公共投資や教育に対する投資などを削減しまくった結果、少子高齢化が進み、国内で災害などに伴う長期停電、堤防の決壊を伴う洪水などが相次いだ。
また、円高の高止まりが続き、国内の製造業は海外に出るか、独自の販売ルートを所有する南海新都市の企業連合体に加盟して南海新都市に移転するかの選択を迫られていた。
当時の南海新都市は本土からの工場の移転に対して非常に寛容で、新工場の土地代(使用権)はほぼ無料、電気代は本土の約半分以下、移転にかかる費用の低利子貸付、また新製品の開発支援(AI)などを行なっていた。
本土で従来行なっていた業種や商品販売を持ってくる業者も少なくなかったのだが、南海新都市では大規模な「新規事業ラッシュ」や「建築ラッシュ」という超好景気が続いていたので、それまで事業の経験のない若者なども多く南海のメガフロートに進出してきていた。
当然、これら好景気に湧く企業に投資すれば必ず儲かるので多くの資金が集まってきていた。
これについては龍国も同様で、国内の情報が海外にほぼ漏れていないことにも関わらず、西側諸国や中東などから非常に大量の資金が龍国にも流れ込み、世界経済の中心地となっていた。
龍国では一応選挙はされていたが、旧共産党系の党が相変わらず強く、ほぼ一党独裁状態が続いていた。
だが、代表が多少変わってもその国民の人気は非常に高く、たまに出てくる野党の存在感は極めて希薄だった。
龍国内部の政治状況などは日本ではほとんど報道されないし、されたとしても非常に良いことを報道するだけだったので一般人には龍国内でどのような事態が進行しているかはほとんど分からなかったのだが、
日海軍の情報部や自衛隊の一部、公安関係などは独自に龍国内部の情報をヒューミット(要はスパイ)を使って収集していたので、龍国というのが「民主国の皮を被った独裁国家」という本質を見抜いていた。
方や南海新都市は川北耕三を中心とした川北グループをトップに多くの企業による合議制で経済運営されている連合体なのだが、龍国などからは川北の独裁、のような宣伝をされていた。
見た目と内実が正反対にひっくり返っていたのは皮肉なことだった。
龍国は外からは見えない処で、「一帯一路政策」を実現すべく、海軍力を増強し、主に東南アジアへとその魔の手を差し伸べ始めるのであった。
彼らが行った方法はかなり巧妙で、中東などで活動していたテロ組織を裏で支援し、東南アジア諸国に進出させ、国内の買収された勢力と結びつけて、徹底的にそれらの国内でテロ活動を頻発させた。
龍国は「テロ行為に対する防衛支援」の名目でそれらの国に入り込んでいき、それらの国軍と共同してテロ組織に対抗するようにした。
これに対してそれぞれの国のメディアは非常に好印象な報道を繰り返し、少しずつ国民の支持を取り付けていった。
同時に経済進出も強め、龍国内の製造業をそれぞれの国に進出させ、その国の住民を雇い入れて雇用増に貢献した。
だが、組合活動は一切許さず、それらの動きをしようとする人間に対しては徹底的な弾圧をした。
これらのマイナスイメージになりそうな報道は一切されず、それぞれの国のメディアは日本国内と同じく、毎日ひたすら龍国の映画やドラマなどを流し続け、龍国のタレントなどをそれぞれの国のメディアで流し続けた。
同時にそれぞれの国軍や政治機構、司法、教育などにも龍国シンパ(パンダハガー)を送り込み続け、多少の差があったが裏からそれぞれの国を乗っ取っていった。
とりあえず龍国に反対する勢力や邪魔な勢力はテロ組織などをつかって徹底弾圧、それを成敗する“正義の龍国軍”という図式を使って東南アジアから中東諸国(インドを除く)のほとんどを龍国の勢力圏に収めていくのであった。
中共の頃の金盾は対象サイトのブロックや書き込みの監視などであったが、龍国になってからは国内で外部のインターネットと繋がっている地域は極々少数に限られていて、更にそのアクセス先なども厳密に管理されていた。
つまり、一部の地域から金盾外へは繋がるのだが、外(日本やアメリカなど西側諸国)から金盾内にはアクセス自体が不可能で、外には情報が一切情報が漏れないという状態になっていたのだ。
こうなると龍国内や、被占領地域(ウイグル、チベット、朝鮮半島 など)でどのようなことが実際に起こっているのかを知ることは極めて困難な状態になっていた。
具体的にどういうものなのかが想像しにくいのであれば、北朝鮮で今何が起こっているのかやウイグルやチベットなどマスコミが入れない場所の情報が全く入らないことから想像してみればよく分かると思う。
情報がほとんど入らない場所が「龍国と被占領地域のほぼ全域」だというわけだ。
もちろん、龍国には日本本土やアメリカなど西側諸国からたくさんの投資が入っているし、企業も進出しているのだが、それらの企業は龍国内で実際にどのようなことが起こっているのかを外に漏らすことを徹底的に監視されているし、仮に漏らしたとしたら個人をすぐに特定されて潰されてしまうという状況だった。
また、日本本土やアメリカなどのマスコミもほぼ100% 龍国の浸透工作にやられていて、例え龍国内部の情報をマスコミに流したとしてもそれが公開されることはなく、逆にその漏洩した人を社会的に葬り去るようなことが公然と行われるようになっていた。
テレビは連日、「龍国はこんなに素晴らしい国!」「経済的にも絶好調!(これは本当だが)」「日本企業は停滞を続ける日本を捨てて龍国に進出しよう!」「世界の中心は龍国!」というような龍国にとって都合の良い報道や特集記事を連日流し続けた。
また、龍国のドラマや映画、芸能人などが日本のものより多く取り上げられ、日本独自の文化などは本土では廃れていった。
(日本の文化についてはまた別の章で語ります)
このような状態のため、日海軍も龍国内部の情報、特に軍事情報の取得について非常に苦労していた。
日本の自衛隊や米軍などはかろうじて「反龍派(ドラゴンスレイヤー)」が多かったので、これらと日海軍は裏で提携して情報共有だとか技術開発や兵器の購入などを行なっていたのだが、
日海軍の情報部としても独自に龍国内部の情報を取る準備を行なっていた。
それらを指揮していたのはネット通販業者出身(笑)の明石大佐であったが、彼は日本国内に浸透していた龍国のスパイを拘束したのち、場合によっては買収、恐喝、拷問、その他もろもろの手を使って二重スパイに仕立て上げ、龍国内部の情報を抜いたり、龍国内部での影響力工作などにあたらせる活動を続けていた。
これはどうなのよ?と思われるかもしれないが、これをやりだしたのは中共か、それ以前の国民党の頃の中国が先だったわけだし、明石たちがやっていることの何百倍も残虐で酷いことをしているのが今の龍国なわけなので、明石としても情けをかけるつもりは毛頭なかったのだ。
(龍国の卑劣な手法を何度も目の当たりにしてきているしね)
2035年になって、これらの活動や米軍や自衛隊などが管理する偵察衛星などの情報を統合した処、日本への侵攻準備が始まっているという結果が出てきた。
根本中将曰く「やっぱりな!!」とのことだが、2020年辺りから全力で龍国に対しての防御体制を整えていたことが間違っていなかったと改めてわかったのだった。
2035年頃までには、龍国はそれまでの「一帯一路政策」の「一路」つまり陸のシルクロードをほぼ押さえることに成功していて、西はドイツに至るまでの長大なパイプラインの建設や鉄道、高速道路の整備などを整え、最大の懸案であったインドとの紛争にも勝利し、中東の石油利権、各国での経済的進出、スリランカやジプチ、カラチ、スエズ運河などを手中に収め、海路と陸路の両面でユーラシア大陸南部を押さえていた。
それを海軍の増強と共に、東南アジア諸国への経済進出と軍事進出を急速に推し進め始めたのだった。
それまで、中東方面への進出は、主に西洋艦隊が担当し、東南アジア付近には南洋艦隊が担当していたのだが、ここに来て南洋艦隊の動きがやたらと活発になってきていることや、台湾や日本を侵略しようとするであろう上海(拠点が2030年ごろ南京から最近移動したらしい)が拠点の東洋艦隊が急速に増強されているという情報が入ってきたのだった。
ちなみに「艦隊」と言っているが、南洋艦隊はアメリカの空母打撃陣に相当する戦闘単位が3~5個存在すると言われていた。
龍国は確認されているだけで10隻以上もの正規空母、20隻以上の強襲揚陸艦(軽空母?)が存在し、駆逐艦は軽く500隻以上、フリゲートになると1000隻以上は存在するのではないか?と思われるほど大量の艦艇が存在していた。
仮に1つの空母打撃陣で日本に侵攻してきても極めて脅威である。
憲法9条がなかったとしても、ネガティブリストで自衛隊が動けたとしても苦戦するかやられてしまうか怪しい処にもってきて、侵攻してくるとしたらおそらく最低三個艦隊は投入してくるだろうと想定された。
一隻の正規空母で100機の艦載機は載せれるので、300機もの航空機とやり合わねばならないわけだ。
2035年の段階で日本には正規空母は0。
主力戦闘機のF-35が105機、F-15Jが85機、F-2が20機と全て合わせても200機程度しか所有していないので、この時点で龍国海軍の一地方軍の戦力にさえ及んでいなかった。
だが、日本の国会は当然、このような目前に迫った危機についても相変わらず「地方行政での不正が見つかった。これは現政権のせい」「政権幹部の失言があった。これは内閣の責任だ!」などという本当に意味不明な議論を延々と繰り広げていた。
たまに龍国の軍事的脅威を部会などで指摘し、日本も対抗処置を取らねばならないという議論も一部の与党議員から出るのだが、そういうことがあれば必ず、その議員に対する徹底バッシングがマスコミなどで始まり、それに野党も全力で参加するというような事態が始まるのであった。
日本では2012年に自由済民党が政権を奪還して以来、2035年現在も自由済民党が政権を執り続けていたが、支持率が合計しても15%に満たない野党は分裂・内部抗争・合併・党名変更を延々と繰り返し、もはや国民の大多数は党名すら覚えていないような状況が続いた。
与党の経済政策も相変わらずの「デフレ政策」で、経済成長は年に0.2~0.5%、インフレ率は0.3平均という「極めて低水準な経済成長」をかろうじて続けていた。
国内の製造業の大半は龍国に逃げるか、もしくは南海新都市に進出して本土での製造業の業績は悪化していて、本土で活気のある商売は老人向けの介護用品の販売とか龍国から安く仕入れてきた激安商品の販売をする店舗と観光業など、とても先進国とは思えないような停滞状態が続いていた。
この原因は非常に明白で、まず財務省主導の行き過ぎた緊縮政策で、増税に次ぐ増税と、公共投資や教育に対する投資などを削減しまくった結果、少子高齢化が進み、国内で災害などに伴う長期停電、堤防の決壊を伴う洪水などが相次いだ。
また、円高の高止まりが続き、国内の製造業は海外に出るか、独自の販売ルートを所有する南海新都市の企業連合体に加盟して南海新都市に移転するかの選択を迫られていた。
当時の南海新都市は本土からの工場の移転に対して非常に寛容で、新工場の土地代(使用権)はほぼ無料、電気代は本土の約半分以下、移転にかかる費用の低利子貸付、また新製品の開発支援(AI)などを行なっていた。
本土で従来行なっていた業種や商品販売を持ってくる業者も少なくなかったのだが、南海新都市では大規模な「新規事業ラッシュ」や「建築ラッシュ」という超好景気が続いていたので、それまで事業の経験のない若者なども多く南海のメガフロートに進出してきていた。
当然、これら好景気に湧く企業に投資すれば必ず儲かるので多くの資金が集まってきていた。
これについては龍国も同様で、国内の情報が海外にほぼ漏れていないことにも関わらず、西側諸国や中東などから非常に大量の資金が龍国にも流れ込み、世界経済の中心地となっていた。
龍国では一応選挙はされていたが、旧共産党系の党が相変わらず強く、ほぼ一党独裁状態が続いていた。
だが、代表が多少変わってもその国民の人気は非常に高く、たまに出てくる野党の存在感は極めて希薄だった。
龍国内部の政治状況などは日本ではほとんど報道されないし、されたとしても非常に良いことを報道するだけだったので一般人には龍国内でどのような事態が進行しているかはほとんど分からなかったのだが、
日海軍の情報部や自衛隊の一部、公安関係などは独自に龍国内部の情報をヒューミット(要はスパイ)を使って収集していたので、龍国というのが「民主国の皮を被った独裁国家」という本質を見抜いていた。
方や南海新都市は川北耕三を中心とした川北グループをトップに多くの企業による合議制で経済運営されている連合体なのだが、龍国などからは川北の独裁、のような宣伝をされていた。
見た目と内実が正反対にひっくり返っていたのは皮肉なことだった。
龍国は外からは見えない処で、「一帯一路政策」を実現すべく、海軍力を増強し、主に東南アジアへとその魔の手を差し伸べ始めるのであった。
彼らが行った方法はかなり巧妙で、中東などで活動していたテロ組織を裏で支援し、東南アジア諸国に進出させ、国内の買収された勢力と結びつけて、徹底的にそれらの国内でテロ活動を頻発させた。
龍国は「テロ行為に対する防衛支援」の名目でそれらの国に入り込んでいき、それらの国軍と共同してテロ組織に対抗するようにした。
これに対してそれぞれの国のメディアは非常に好印象な報道を繰り返し、少しずつ国民の支持を取り付けていった。
同時に経済進出も強め、龍国内の製造業をそれぞれの国に進出させ、その国の住民を雇い入れて雇用増に貢献した。
だが、組合活動は一切許さず、それらの動きをしようとする人間に対しては徹底的な弾圧をした。
これらのマイナスイメージになりそうな報道は一切されず、それぞれの国のメディアは日本国内と同じく、毎日ひたすら龍国の映画やドラマなどを流し続け、龍国のタレントなどをそれぞれの国のメディアで流し続けた。
同時にそれぞれの国軍や政治機構、司法、教育などにも龍国シンパ(パンダハガー)を送り込み続け、多少の差があったが裏からそれぞれの国を乗っ取っていった。
とりあえず龍国に反対する勢力や邪魔な勢力はテロ組織などをつかって徹底弾圧、それを成敗する“正義の龍国軍”という図式を使って東南アジアから中東諸国(インドを除く)のほとんどを龍国の勢力圏に収めていくのであった。
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