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第2章
つかの間の平和な時代を満喫する日本と龍国
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日本国内の大学や教育機関の多くは龍国の工作員やデュープス(知らず知らず敵に利用されているおバカさんの意味)、社会主義や共産主義を信奉する左派勢力や金儲けの為なら平気で国を売る売国奴によって牛耳られていた。
一方 新都市での小中高大学では川北重工やそれに協力している企業群が特に新技術への開発に多大な投資をしているということもあり、軍事面やバイオマスエネルギー、核融合技術などへの研究開発を企業と緊密に連携して行うようになっていた。
文部科学省にも非常に多くのスパイが紛れ込んでしまっていて、特に教科書検定などでは龍国にとって都合の悪い歴史的事実は徹底的に捻じ曲げられていたことなどもあり、新都市での学校は完全に文部科学省とは切り離された私学として設立された。
当然、国からの交付金なども出ないのだが、それら教育費は川北を始めとする新都市に進出した企業群によって全て賄われた。
日本国内では財政面での緊縮政策が推し進められた結果、公共事業なども大幅にカットされ建築業者や土木業者などが多くの職を失っていた。
川北はそれら業者に対して積極的に新都市への移転を勧誘し、それに呼応した業者の多くは競うように新都市に移転した。
その結果、新都市は更に建築ラッシュを迎えることになった。
時期的に、龍国では新政権に対して行われた膨大な投資によって起こった経済成長と、日本の南海に誕生した新都市の経済成長はほぼ同時期に起こったため、この2020年~2030年頃は世界的にも非常に経済成長が進んだ時代であった。
ただ、川北側は龍国との経済的なつながりはほとんど持たないようにしていた。
なぜなら新都市が立ち上がった経緯がそもそも中国本土に新しく興った新政府の侵略行為に対する危機意識によってもたらされたものだからだ。
南海新都市に進出してきた企業の中には川北の龍国排除の方針はおかしいという意見を持つものが少なくはなかったが、龍国とつながりを持つのであれば、新都市から出て行くよう強く求める川北側の考えに逆らえる者はいなかった。
この頃になり、龍国政府も新都市での不自然な動きに対して警戒するようになった。
なんせ自慢の「スパイ網」がほぼ全くというほど通用しない初めての相手だったからだ。
まず地理的な面では新都市に多数存在するメガフロート群は中国本土はおろか日本本土からも遠く離れた海上にあるため、物理的にも隔離されてしまっていること。
情報面でも通話や通信などは川北側で完全に統制されているし、そこで使われている通信機器や携帯電話なども独自の規格で運用されているため、龍国お得意の自国製のスパイ機能を組み込んだ通信機器を使っての情報収集が不可能であること。
偵察衛星で様子を伺っても、そもそも川北の用意したメガフロートは南洋の暑さ対策のため上部の建造物が少なく、
建物の多くは地下に隠れているので艦船の出入りや上部構造物くらいしか監視することが出来ないこと。
日本国内に多数仕込んでいた工作員を使って記者として報道しようにも、そもそも上陸が不許可にされることが多く、また上陸しても行動の多くに制限をかけられるので満足な情報収集が不可能であること。
また、ヒューミット(人を使ったスパイ行為)を仕掛けようにも、新都市内部の相互監視の目が厳しく、潜り込ませること自体が非常に困難な状況であった。
このような動きに対して当初 龍国政府は強い警戒感を持っていたのだが、自らが起こす侵略行為に忙殺されるあまり、次第と忘れ去られるようになっていたのだった。
だが、後に龍国が起こす台湾侵略や東南アジア侵攻において日本がまず真っ先に狙われなかったのは、新都市が持つ「不気味さ」が影響を及ぼしたことは間違いがない。
龍国がいかに巨大な戦力を持っていたとしても、台湾と同時に日本、東南アジアと同時に日本というような同時侵攻が可能なほど龍国に戦力の余裕があったわけではなかったからだ。
2020年代に入り日本の自衛隊は弱体化が進み、特に陸自の弱体化は目を覆わんばかりであった。
日本の各省庁の中においては比較的、スパイ工作による影響が少なかった自衛隊と防衛省だが、予算の削減に対しては如何ともし難く、未だに1970年代の頃に三木内閣によって決められた防衛費のGDPの1%枠などという意味不明の制限を解除出来ないでいた。
これで経済が伸びていればまだ防衛費もいくらか潤沢になるのであったが、政府による度重なる増税と緊縮財政により経済成長も1990年代からほぼストップ。
急速な経済成長を遂げる南海の新都市を除けば、日本国内のGDPは2020年ごろにはマイナス成長という有様だった。
日本のマスコミでは一切報道されていなかったが、日本の防衛費が年間約5兆円なのに対して龍国はその10倍以上もの軍事費をかけ続けた。
これにより特に海軍と空軍は大幅に増強、アメリカの海兵隊に当たる外征軍も増強され、島嶼部への侵略の体制が急ピッチで進められた。
この動きに強い警戒感をもった自衛隊は島嶼部防衛においては島の内部に多数のトンネルを掘り立て籠もり、時間を稼いでいる間に艦艇や航空機により侵略軍を迎え撃ち挟み込んで撃滅する戦略を立てた。
日龍双方の軍の動きはまた別の機会に話すとして、日本や龍国はこのように「つかの間の平和」を迎えるのだった。
・・・後々おこる大紛争を想像するものは世界中にもまだ極々限られた数の人間しかいなかったのだ。
一方 新都市での小中高大学では川北重工やそれに協力している企業群が特に新技術への開発に多大な投資をしているということもあり、軍事面やバイオマスエネルギー、核融合技術などへの研究開発を企業と緊密に連携して行うようになっていた。
文部科学省にも非常に多くのスパイが紛れ込んでしまっていて、特に教科書検定などでは龍国にとって都合の悪い歴史的事実は徹底的に捻じ曲げられていたことなどもあり、新都市での学校は完全に文部科学省とは切り離された私学として設立された。
当然、国からの交付金なども出ないのだが、それら教育費は川北を始めとする新都市に進出した企業群によって全て賄われた。
日本国内では財政面での緊縮政策が推し進められた結果、公共事業なども大幅にカットされ建築業者や土木業者などが多くの職を失っていた。
川北はそれら業者に対して積極的に新都市への移転を勧誘し、それに呼応した業者の多くは競うように新都市に移転した。
その結果、新都市は更に建築ラッシュを迎えることになった。
時期的に、龍国では新政権に対して行われた膨大な投資によって起こった経済成長と、日本の南海に誕生した新都市の経済成長はほぼ同時期に起こったため、この2020年~2030年頃は世界的にも非常に経済成長が進んだ時代であった。
ただ、川北側は龍国との経済的なつながりはほとんど持たないようにしていた。
なぜなら新都市が立ち上がった経緯がそもそも中国本土に新しく興った新政府の侵略行為に対する危機意識によってもたらされたものだからだ。
南海新都市に進出してきた企業の中には川北の龍国排除の方針はおかしいという意見を持つものが少なくはなかったが、龍国とつながりを持つのであれば、新都市から出て行くよう強く求める川北側の考えに逆らえる者はいなかった。
この頃になり、龍国政府も新都市での不自然な動きに対して警戒するようになった。
なんせ自慢の「スパイ網」がほぼ全くというほど通用しない初めての相手だったからだ。
まず地理的な面では新都市に多数存在するメガフロート群は中国本土はおろか日本本土からも遠く離れた海上にあるため、物理的にも隔離されてしまっていること。
情報面でも通話や通信などは川北側で完全に統制されているし、そこで使われている通信機器や携帯電話なども独自の規格で運用されているため、龍国お得意の自国製のスパイ機能を組み込んだ通信機器を使っての情報収集が不可能であること。
偵察衛星で様子を伺っても、そもそも川北の用意したメガフロートは南洋の暑さ対策のため上部の建造物が少なく、
建物の多くは地下に隠れているので艦船の出入りや上部構造物くらいしか監視することが出来ないこと。
日本国内に多数仕込んでいた工作員を使って記者として報道しようにも、そもそも上陸が不許可にされることが多く、また上陸しても行動の多くに制限をかけられるので満足な情報収集が不可能であること。
また、ヒューミット(人を使ったスパイ行為)を仕掛けようにも、新都市内部の相互監視の目が厳しく、潜り込ませること自体が非常に困難な状況であった。
このような動きに対して当初 龍国政府は強い警戒感を持っていたのだが、自らが起こす侵略行為に忙殺されるあまり、次第と忘れ去られるようになっていたのだった。
だが、後に龍国が起こす台湾侵略や東南アジア侵攻において日本がまず真っ先に狙われなかったのは、新都市が持つ「不気味さ」が影響を及ぼしたことは間違いがない。
龍国がいかに巨大な戦力を持っていたとしても、台湾と同時に日本、東南アジアと同時に日本というような同時侵攻が可能なほど龍国に戦力の余裕があったわけではなかったからだ。
2020年代に入り日本の自衛隊は弱体化が進み、特に陸自の弱体化は目を覆わんばかりであった。
日本の各省庁の中においては比較的、スパイ工作による影響が少なかった自衛隊と防衛省だが、予算の削減に対しては如何ともし難く、未だに1970年代の頃に三木内閣によって決められた防衛費のGDPの1%枠などという意味不明の制限を解除出来ないでいた。
これで経済が伸びていればまだ防衛費もいくらか潤沢になるのであったが、政府による度重なる増税と緊縮財政により経済成長も1990年代からほぼストップ。
急速な経済成長を遂げる南海の新都市を除けば、日本国内のGDPは2020年ごろにはマイナス成長という有様だった。
日本のマスコミでは一切報道されていなかったが、日本の防衛費が年間約5兆円なのに対して龍国はその10倍以上もの軍事費をかけ続けた。
これにより特に海軍と空軍は大幅に増強、アメリカの海兵隊に当たる外征軍も増強され、島嶼部への侵略の体制が急ピッチで進められた。
この動きに強い警戒感をもった自衛隊は島嶼部防衛においては島の内部に多数のトンネルを掘り立て籠もり、時間を稼いでいる間に艦艇や航空機により侵略軍を迎え撃ち挟み込んで撃滅する戦略を立てた。
日龍双方の軍の動きはまた別の機会に話すとして、日本や龍国はこのように「つかの間の平和」を迎えるのだった。
・・・後々おこる大紛争を想像するものは世界中にもまだ極々限られた数の人間しかいなかったのだ。
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