【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ

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第34話:自給自足への道と新たな課題

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住居問題が解決に向かい、アークライト共同体は、以前にも増して活気に満ちていた。整然と並んだ家々、整備された畑、そしてそれを潤す水路。それは、辺境の地に生まれたとは思えないほど、機能的で安定した生活空間だった。住民たちの表情も明るく、自分たちの手で築き上げたコミュニティへの愛着と、未来への希望が見て取れた。

特に、リアムが改良した畑は、驚くべき成果を上げ始めていた。蒔かれた種は、肥沃な土壌と豊富な水、そしてルナが時折かける【微かな成長促進(リトルグロース)】の魔法のおかげで、通常では考えられないほどの速度で成長し、実りをつけ始めていたのだ。

リアムが創造した穀物(小麦や米に似たもの)は、黄金色の穂をたわわに実らせ、野菜はどれも瑞々しく、大きく育った。ルナが見つけてきたハーブ類も、豊かな香りを放ちながら青々と茂っている。そして、リアムが最初に創造した、あの甘い赤い果実も、安定して収穫できるようになった。

「すごい……これだけの収穫があれば、当分、食料に困ることはないぞ!」
元農夫の男が、収穫したばかりの大きなカブ(のような野菜)を手に、興奮した様子で言った。他の住民たちも、自分たちが育てた作物の豊かな実りに、喜びの声を上げていた。

収穫された作物は、セレスティアが計画した通り、共同体の食料庫(これもリアムが創造した、温度・湿度管理機能付きのものだ)に集められ、アルフレッドによって正確に記録・管理された。そして、基本規約に基づき、住民たちに公平に分配された。

「これで、食料自給率はほぼ100%達成と言っても過言ではありませんわね」
セレスティアは、アルフレッドが作成した在庫リストを確認しながら、満足げに報告した。「一部の嗜好品(塩や香辛料など、まだ自給できていないもの)を除けば、食料に関しては完全に自給自足できる体制が整いましたわ」
「みんなのおかげだな」リアムも、豊かな収穫を喜びながら言った。「特に、セレスティアの計画と管理がなければ、ここまでスムーズにはいかなかっただろう」
「ふ、ふん、当然のことをしたまでですわ」セレスティアは照れ隠しのようにそっぽを向いたが、その表情は満更でもなさそうだった。

食料自給率の達成は、共同体の自立に向けた大きな一歩だった。外部からの援助に頼ることなく、自分たちの力で生きていけるという自信は、住民たちの精神的な支柱にもなった。

しかし、新たな課題も見えてきていた。それは、食料以外の物資――特に、衣服や生活道具、そして燃料などの消耗品――の確保と、生産体制の確立だった。

現状、衣服や基本的な道具の多くは、リアムが《概念創造》で供給していた。しかし、住民が増えるにつれて、その需要は増大し、リアムの魔力負担も無視できなくなってきていた。また、リアムが創造するものは機能的ではあるが、画一的で、人々の多様な好みやニーズに応えきれていない部分もあった。
燃料に関しても、今は主に薪を利用しているが、森の資源を無計画に伐採し続けるわけにはいかない。ドルガンの工房で使う燃料も、将来的には課題となるだろう。

「食料は安定したが、次は『衣』と『住』の充実、そしてエネルギー問題ですわね」セレスティアが、次なる課題を指摘した。「衣服を作るための素材(糸や布)、それを加工する技術と道具。生活を豊かにする様々な道具や家具の生産。そして、持続可能な燃料の確保……やるべきことは山積みですわ」

「衣服か……」リアムは考えた。「綿や麻のような植物を育てることは可能だろうか? それとも、家畜を飼って、その毛を利用するか……?」
「糸を紡ぎ、布を織る技術を持つ者も、今の住民の中にはいないかもしれませんわね。道具も必要になりますわ」ルナが補足する。

「生活道具や家具なら、ワシの工房で作れるものもあるじゃろう」ドルガンが言った。「木工の技術を持つ者も、確か難民の中にいたはずじゃ。工房の設備を少し拡張すれば、簡単な家具くらいは量産できるかもしれん」

「燃料問題は深刻じゃな」ドルガンは続けた。「薪は有限じゃし、ワシの炉で使う石炭(のようなもの)も、いつまでも地下の鉱脈に頼れるとは限らん。水路を利用した水力発電……というのも考えたが、それには高度な技術が必要じゃろうし……」

議論は多岐にわたった。コミュニティが自給自足し、さらに発展していくためには、食料生産だけでなく、様々な分野での生産体制を確立していく必要がある。それは、リアムの《概念創造》だけに頼るのではなく、住民たちの持つスキルや知識、そしてドルガンのような専門家の技術を結集させていく、より複雑なプロセスになるだろう。

リアムは、皆の意見を聞きながら、一つの方向性を感じていた。それは、「創造」と「生産」の組み合わせだ。
例えば、衣服なら、リアムが《概念創造》で高品質な綿花や羊毛を「素材」として生み出し、それを住民たちが加工して糸にし、布を織り、服を縫う。道具なら、リアムが基本的な形状や特殊な機能を付与した部品を「創造」し、ドルガンや他の職人がそれを組み立て、仕上げる。

(俺の力は、あくまで『触媒』や『加速装置』のようなものなのかもしれない。ゼロから全てを生み出すのではなく、皆の力や技術と組み合わせることで、初めて真価を発揮する……)

それは、リアムにとって新たな気づきだった。彼は、自分の力を過信するのではなく、コミュニティ全体の力を引き出し、相乗効果を生み出すような使い方を目指すべきなのかもしれない。

「よし、まずは衣服の生産から試してみよう」リアムは提案した。「俺が、良質な綿花と、簡単な紡ぎ車、機織り機を創造する。それを使って、布を作ることに挑戦してくれる人はいるだろうか?」
すると、難民の中から、数人の女性が「昔、少しだけやったことがある」「見よう見まねならできるかもしれない」と手を挙げた。

「家具作りも進めよう。ドルガン殿、工房の一角に木工スペースを作ってもらえるだろうか? 必要な工具は俺が用意する」
「うむ、任せておけ。腕の立つ者がいるなら、ワシが指導してやらんでもないぞ」

新たなプロジェクトが、次々と立ち上がっていく。それは、食料自給という第一段階をクリアしたコミュニティが、次のステージ――多様な生産活動による、より豊かで自立した生活――へと進むための、重要な一歩だった。

課題は多い。燃料問題のように、すぐには解決策が見えないものもある。しかし、コミュニティのメンバーたちは、以前のような絶望感ではなく、困難な課題に挑戦する意欲と、仲間と共に未来を切り開いていくという希望に満ちていた。

リアムは、活気に満ちた共同体の様子を見ながら、静かに決意を固めた。
(俺は、この場所を、誰もが安心して、自分らしく生きられる場所にしたい。そのためなら、どんな困難も乗り越えてみせる)

彼の《概念創造》の力は、単なるチートスキルではなく、仲間たちの力を引き出し、未来を形作るための、希望の光となりつつあった。自給自足への道を確かなものとし、コミュニティは更なる発展を目指して、力強く歩みを進めていく。その先には、どのような未来が待っているのだろうか。リアムの挑戦は、まだ始まったばかりだった。
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