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13話
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セツは守りたいがために愛姫という名を奪った。そうすることが、他の悪魔からの悪影響を防ぐことになるからだ。
契約者の名を知ることは悪魔を優位に立たせてしまう。やろうと思えば、他の契約者を操ることができる。それは、相手の名前を知っていることが前提条件だ。また、力の強いものがそれを行うことができる。
悪魔の王である彼は力が強いものに該当する。そのため、セツは愛姫という名前を奪っておいて良かったと安堵していた。
キッと殺気を孕んだ視線をセツに向けるデレアスモス。
「お主を殺すことで姫君が死ぬのなら、愛姫を殺して契約をやり直せばいい。お主が姫君と契約できたのだ。我ができないはずがない」
今度こそは姫君と契約してみせる。姫君の特別な血の恩恵を得るために、姫君自身を得るために、この男を排除しよう。
悪魔の男たちの瞳は鋭く光っていた。
「お前をユアと契約させることはない。調子にのるな!」
「さて、調子にのっているのはどっちだろうか」
セツはユアをかばいながら、デレアスモスとの距離をとる。そして、二人が魔法のぶつけ合いを始めたのが合図となったのだろう。戦闘となる。
二つの力は相殺されるが、街の中なので甚大な被害が出る。強い風が吹き抜けて、地面には大きな穴が空いていた。
一人は守るものがいる。そのため、動きが制限されていた。契約は彼女を守ることだから、彼女は必ず守らなければならない。一人の男はそのように思っていた。
額から流れ落ちる汗。セツに余裕がなどない。ただ、デレアスモスと対峙し、対処するだけで精一杯であった。
一方、デレアスモスは笑みを浮かべており、疲労が溜まっているようには見えない。
「キャアァァ!」
ギリギリのところで死守しているセツであるが、一つの悲鳴が響いてきたことによって、集中力が途切れてしまったようだ。
「離して!!」
「悪魔の王よ。姫君を捕えました」
セツがユアの方を見たところにデレアスモスは風の刃を作って一撃をぶつける。セツの注意は彼から遠退いていたので、それを食らってしまった。
血を滴らせながら、ユアのことを見据えると彼女を掴んでいる女がいた。その女はメイド服を着ている。
長袖であるが、肩のところには膨らみがあった。スカート丈はくるぶしが隠れるほどあり、履いている靴は茶色のブーツ。髪はまとめられており、小さな帽子の中におさめられていた。
使用人の服とされているものを着ている女は、恐ろしいほど無表情であった。悪魔の気配は感じられないため、人間の女だろうとセツは推測している。しかし、人間の女に迂闊に手を出すことはできない。デレアスモスに操られているのかもわからない女を殺すわけにはいかない。
「良くやった」
その一言が辺りに響いた。
契約者の名を知ることは悪魔を優位に立たせてしまう。やろうと思えば、他の契約者を操ることができる。それは、相手の名前を知っていることが前提条件だ。また、力の強いものがそれを行うことができる。
悪魔の王である彼は力が強いものに該当する。そのため、セツは愛姫という名前を奪っておいて良かったと安堵していた。
キッと殺気を孕んだ視線をセツに向けるデレアスモス。
「お主を殺すことで姫君が死ぬのなら、愛姫を殺して契約をやり直せばいい。お主が姫君と契約できたのだ。我ができないはずがない」
今度こそは姫君と契約してみせる。姫君の特別な血の恩恵を得るために、姫君自身を得るために、この男を排除しよう。
悪魔の男たちの瞳は鋭く光っていた。
「お前をユアと契約させることはない。調子にのるな!」
「さて、調子にのっているのはどっちだろうか」
セツはユアをかばいながら、デレアスモスとの距離をとる。そして、二人が魔法のぶつけ合いを始めたのが合図となったのだろう。戦闘となる。
二つの力は相殺されるが、街の中なので甚大な被害が出る。強い風が吹き抜けて、地面には大きな穴が空いていた。
一人は守るものがいる。そのため、動きが制限されていた。契約は彼女を守ることだから、彼女は必ず守らなければならない。一人の男はそのように思っていた。
額から流れ落ちる汗。セツに余裕がなどない。ただ、デレアスモスと対峙し、対処するだけで精一杯であった。
一方、デレアスモスは笑みを浮かべており、疲労が溜まっているようには見えない。
「キャアァァ!」
ギリギリのところで死守しているセツであるが、一つの悲鳴が響いてきたことによって、集中力が途切れてしまったようだ。
「離して!!」
「悪魔の王よ。姫君を捕えました」
セツがユアの方を見たところにデレアスモスは風の刃を作って一撃をぶつける。セツの注意は彼から遠退いていたので、それを食らってしまった。
血を滴らせながら、ユアのことを見据えると彼女を掴んでいる女がいた。その女はメイド服を着ている。
長袖であるが、肩のところには膨らみがあった。スカート丈はくるぶしが隠れるほどあり、履いている靴は茶色のブーツ。髪はまとめられており、小さな帽子の中におさめられていた。
使用人の服とされているものを着ている女は、恐ろしいほど無表情であった。悪魔の気配は感じられないため、人間の女だろうとセツは推測している。しかし、人間の女に迂闊に手を出すことはできない。デレアスモスに操られているのかもわからない女を殺すわけにはいかない。
「良くやった」
その一言が辺りに響いた。
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