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チーム決めも一苦労かな(31話)
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休憩時間。バタバタと騒がしく教室から出ていく人たちがいた。その慌ただしさに何事かと視線を送ったところ、広がる光景に唖然とした。男女問わずに人で溢れかえっていたのだ。人が大きな箱にギュウギュウに詰まってでもいるのかと思うくらいには廊下が埋まっていた。
「奥村! 俺たちと組め!!」
「ねぇねぇ、私たちと組まない?」
「風間くんは誰と組むか決めた? 決まってなければぜひ私たちと!」
「はあ? 彼は僕たちと組むんだよ。邪魔すんな!!」
聞こえてきた大声からして勧誘目的のようだ。彼らのところに人が集まっていることが推測できる。とんでもなく競争率が高いようだ。舞凛ちゃんに頼まれているけれど、すでに負けが確定している気がしてきた。奥村先輩と夕羽のいる場所に人が密集するほど人々の情熱がスゴイとは思わなかった。
「ふざけんな。俺たちとチームになるんだよ!!」
「違う!! 奥村くんに返事もらってないくせに勘違い甚だしいわ!!」
「奥村くんは私たちと来るのよ!」
「誰が君たちのようなうるさいヤツと!」
「なんですって!?」
一人をメンバーにするためにいろんな人たちが取り合いをしていた。険悪な雰囲気になっていることしか想像できた。聞こえてくる会話からきて読み取ることしかできないけれど。
「僕たちとあなたが組めば優勝間違いなしです。ぜひ僕たちと一緒に出場しましょう!!」
「あんたたちみたいなヒョロヒョロと一緒のチームになったら、風間くんが潰れちゃうでしょ!!」
「そんなにヤワな方ではありません! それにヒョロヒョロじゃない。そんなにいうなら君たちだって!!」
「風間くんが強いことなんて知ってるわよ! だから誘ってるんでしょ!! それと私たちに何か文句あるわけ??」
「君たちが先に僕たちのことを言ってきたじゃありませんか!!」
別のところでもバチバチとやり合っているらしい。口が止まらないみたいだ。
アイツもアイツで人気なのかと他人事のように思った。実際そうなんだけど。口はあんまり良くないし、意地悪だし、平気で人のこと見捨てるし、どこが良いのか不思議だ。やはり顔が整っているからだろうか。成績が優れているからだろうか。わからない。
奥村先輩は人当たりが良いし、親切だし、優しいから人気なのはわかる。それに成績も優秀で組みたい人はたくさんいると予想ができた。アイツに人が押し寄せるくらい人気なのは予想外だったけれど。
「カフェが終わったら話せる時間あるかなぁ~」
そう小さく呟いた。教室内も人がほとんど出払っているので、誰にも聞こえてはいないはずだ。人の海に入ったところで押し流されるだけ。落ち着いて話せる時に話そうと思う。
「奥村! 組めー!!」
「風間くん! どこ行くのー!!」
「あっ!! 待てぇぇぇぇ!!!」
「私たちとチームに!!」
「うるせー!! 教室移動だってのっ!! お前ら
邪魔!! どけっ!!」
一人逃走したようだ。それを走って追いかけるたくさんの足音が響き渡る。大きな声もね。アイツが走り出したことで、少しは人が減ったようだけれど、奥村先輩から目当ての人がまだ大勢いる。そのため、廊下にはまだまだ人が残っているようだ。
「こいつは俺らと組むんだ!」
「私たちとに決まってるでしょ!!」
肝心の当人たちの声は大勢の声にかき消されているため、全く聞こえてこなかった。先程のアイツの声は叫んでいたこともあって、たまたま聞こえてきたものだったのだと思う。
チャイムが鳴り、先生の注意があるまで、勧誘の騒ぎは続いた。
「メンバーを集めるためとはいえ、時間確認は怠らない!! 授業は遅れないように!! さっさと散る!!」
鶴の一声。これに生徒たちは反応して慌ただしく走っていった。
「廊下は走らない!!」
先生に注意され、授業の開始時刻になっている状況に焦っているだろうから、その声は届いていなさそうだ。
「奥村! 俺たちと組め!!」
「ねぇねぇ、私たちと組まない?」
「風間くんは誰と組むか決めた? 決まってなければぜひ私たちと!」
「はあ? 彼は僕たちと組むんだよ。邪魔すんな!!」
聞こえてきた大声からして勧誘目的のようだ。彼らのところに人が集まっていることが推測できる。とんでもなく競争率が高いようだ。舞凛ちゃんに頼まれているけれど、すでに負けが確定している気がしてきた。奥村先輩と夕羽のいる場所に人が密集するほど人々の情熱がスゴイとは思わなかった。
「ふざけんな。俺たちとチームになるんだよ!!」
「違う!! 奥村くんに返事もらってないくせに勘違い甚だしいわ!!」
「奥村くんは私たちと来るのよ!」
「誰が君たちのようなうるさいヤツと!」
「なんですって!?」
一人をメンバーにするためにいろんな人たちが取り合いをしていた。険悪な雰囲気になっていることしか想像できた。聞こえてくる会話からきて読み取ることしかできないけれど。
「僕たちとあなたが組めば優勝間違いなしです。ぜひ僕たちと一緒に出場しましょう!!」
「あんたたちみたいなヒョロヒョロと一緒のチームになったら、風間くんが潰れちゃうでしょ!!」
「そんなにヤワな方ではありません! それにヒョロヒョロじゃない。そんなにいうなら君たちだって!!」
「風間くんが強いことなんて知ってるわよ! だから誘ってるんでしょ!! それと私たちに何か文句あるわけ??」
「君たちが先に僕たちのことを言ってきたじゃありませんか!!」
別のところでもバチバチとやり合っているらしい。口が止まらないみたいだ。
アイツもアイツで人気なのかと他人事のように思った。実際そうなんだけど。口はあんまり良くないし、意地悪だし、平気で人のこと見捨てるし、どこが良いのか不思議だ。やはり顔が整っているからだろうか。成績が優れているからだろうか。わからない。
奥村先輩は人当たりが良いし、親切だし、優しいから人気なのはわかる。それに成績も優秀で組みたい人はたくさんいると予想ができた。アイツに人が押し寄せるくらい人気なのは予想外だったけれど。
「カフェが終わったら話せる時間あるかなぁ~」
そう小さく呟いた。教室内も人がほとんど出払っているので、誰にも聞こえてはいないはずだ。人の海に入ったところで押し流されるだけ。落ち着いて話せる時に話そうと思う。
「奥村! 組めー!!」
「風間くん! どこ行くのー!!」
「あっ!! 待てぇぇぇぇ!!!」
「私たちとチームに!!」
「うるせー!! 教室移動だってのっ!! お前ら
邪魔!! どけっ!!」
一人逃走したようだ。それを走って追いかけるたくさんの足音が響き渡る。大きな声もね。アイツが走り出したことで、少しは人が減ったようだけれど、奥村先輩から目当ての人がまだ大勢いる。そのため、廊下にはまだまだ人が残っているようだ。
「こいつは俺らと組むんだ!」
「私たちとに決まってるでしょ!!」
肝心の当人たちの声は大勢の声にかき消されているため、全く聞こえてこなかった。先程のアイツの声は叫んでいたこともあって、たまたま聞こえてきたものだったのだと思う。
チャイムが鳴り、先生の注意があるまで、勧誘の騒ぎは続いた。
「メンバーを集めるためとはいえ、時間確認は怠らない!! 授業は遅れないように!! さっさと散る!!」
鶴の一声。これに生徒たちは反応して慌ただしく走っていった。
「廊下は走らない!!」
先生に注意され、授業の開始時刻になっている状況に焦っているだろうから、その声は届いていなさそうだ。
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