猫は恋したので、カフェに行く(仮)

月詠世理

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不運が続く中で助けられました(9話)

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 カフェでの仕事はまだ失敗はあるが、慣れてきた。学園生活は順調と言えるはず。最近、不運なことが続いているから少し憂鬱ではあるけれど。

 詳しく言うと、歩いていたら上から植木鉢が落ちてきたり、水が降ってきたり、物がなくなったりなどの様々なことがあった。植木鉢と水は避けることができたから怪我はなかったけれど、もし当たっていたら、を想像すると恐ろしい。水は濡れるだけで済むかもしれないが植木鉢はぶつかったところが悪いと最悪な結果になりかねない。危なすぎ。同じようなことが何度も起こっていることもあって運が悪いにも程があると思った。

 授業で使う教科書が噴水のところにあった時は足が生えて移動したのかもしれないと誤魔化してみた。流石に無理がある考えだろう。人為的なものを疑う。盗まれたところを見たわけではないので、犯人を捕まえるのは難しそうだ。

 私だけだったらひたひたになった教科書を乾かすのが大変だった。舞凛ちゃんが水を取り除いてくれたから使えるようになった。今度、カフェのケーキを買って、責物をする予定。話しかけたら無視されることも増えた気がするし、なんでだろうと頭をひねる。話しかけるタイミングが悪かっただけかもしれないからあんまり悪い方向には考えないようにしている。

「危ない!!」

 誰かが大きな声を上げた。授業がある教室を移動している最中のことだ。何事かと辺りを見回そうとして近づいてくる気配を感じた。私に迫ってくる赤の魔法。いくつかの炎の玉が飛んできている。避けようとすれば避けることもできたが、他の人たち生徒もここにはいる。そのため、私が動いたら私以外の人に危険が及ぶ。自衛しようとするも判断が間に合わない。急に誰かに手を引かれた。私の前に立つ人がいる。

「青の魔法、――ウィンディーネ

 水と炎がぶつかり合い、炎の玉が打ち消され、湯気ようなものが出ていた。後ろ姿が映っていた人はくるりと向きを変え、私の肩をガシッと掴んだ。

「かえでちゃん、怪我ない!?」

 無事かどうかを確認をされた。身の危険をどうするか考えていて、次から次に事が起こったため、気づくのが遅くなる。

「あっ、奥村くん。えっと、あの、助けてくれてありがとう。私は大丈夫だよ。巻き込まれた人はいないかな?」

 現状についていけていない私はぽわーんとゆるゆるした表情になってるだろう。そのせいで、あとで目の前に迫ってきた顔を思い出して赤面することになるのだが。

「どういたしまして。見る限りはいないと思うよ。それより、こういうのは良くあるの?」
「こういうの? 今の魔法による攻撃ははじめてですよ」

 険しい表情を浮かべている奥村先輩。私を助けてくれて、それでいて心配してくれるのだから優しい。先輩の手を煩わせてしまったのには落ち込みそうだ。私自身で解決することだったのにと思う。あの避けることも叶わず、咄嗟の料断もできなかった状況では無理な話ではある。ただ、先輩に救われて嬉しい気持ちもあった。それもあって、もやもやした気持ちが収まらなさそうだ。

 魔法を使用した人の姿は見えないため、すでに逃げたのだろう。事故で魔法が発動したにしても危ないし、故意ならなおのことやめてほしい。学園内で人が怪我するような魔法や建物を壊せるような魔法をいたずらに使用することは禁止されている。もし廃法の研究をするとしたら申請書を提出して許可証をもらう必要がある。そうすることで、廃法の使用に関して融通が利く与えられた場所を使用することが可能になるのだ。周りに彼害を与えるような危険な魔法などは使用許可がある場所で監督する先生がいる上で使うことができるそうだ。

 授業外で魔法を使うことはあってもあからさまに殺傷力のある魔法を人に向けるのは良くないことだ。防御目的ゆえの攻撃はありだと思うけれど。

 今回は奥村先輩の後ろ姿しか見ていないから今度は近くで全体が映る角度でかっこいいところを見たいな。同じようなことがそう何度も起こっても困るので違う場面でね。
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