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好きな人の名前を知りました(5話)
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「よし。心臓に悪い話はこれで終わりということで」
苦虫を噛み潰したような表情が一変する。愉悦な表情を浮かべている先生。嫌な予感。
「君さ、陸斗のどこを好きになったの?」
誰のことだろうか。これが表情に出ていたのだろう。先生は困ったように眉を寄せ、首を傾げた。
「えーと、陸斗さんって私の知っている方でしょうか?」「君、それ本気で言ってないよね? あんなに熱烈に『先輩になって』って頼み込んでいたのに……」
一瞬、思考が停止した。もしかして、陸斗さんという人は私が一目惚れした相手だろうか。初めて知った。
「あの方の名前は陸斗さんというんですね。ステキ!」
「大袈裟な反応だなぁ。君、本当に知らなかったんだ。恋する相手の名前くらいすでに把握済みだと思ってた。陸斗を追ってくる行動力があるし」
「先生!? なんで誰にも話してないのに私がこ、こ、恋してるってわかったんですか? それに『先輩になってください』と言った時、先生はこちらの部屋にいたはずです。なんで知っているんですか?」
不思議だ。ジーっと先生を見つめて返事を待った。私が胸に秘めている想い。これがどうして先生にバレているのだろうか。
「嘘? 君さ、それで隠せていると思ってるの? わかりやすく態度にも表情にも出てるし、テンパったからこその『先輩』発言でしょ? 鈍くなければ察するって」
驚きと呆れが見られた。私はそんなに顔に出ているのだろうか。態度もわかりやすいと言われたし。これでも隠していたのに、衝撃の言葉だった。
心理戦は苦手な自信はある。でも、運は良いから案外なんとかなりそう。それよりも私の反応で簡単に恋してるということが周りに伝わってしまうのは恥ずかしい。表情筋を鍛えてみようかな。私は気まずくて先生から目をそらす。
「バレてしまっているなら思い切って白状しますよ。ええ、ええ、私はり、り、り、り、……がす、す、す、す、す、す、……好き……です。それで!! 先生はなんで!!本人に『先輩』と言ってしまったことを知っているんですか!? まさか、すでに噂になっているんですか?」
前のめりな姿勢になった私。この勢いにタジタジな先生がいたが、ペースを取り戻したようだ。かわすのは上手いらしい。
「まあまあ、落ち着いて。噂がどうこうは知らないけどさ、今の君、熟れていて食べたら美味しそうだね。それに、最終的に名前を呼べなかったの可愛いと思うよ」
「からかわないでください! もういいです。先生のおかげでここのスタッフになれたんです。それで十分です」
「いや、別に教えないとは言ってないんだけど……。でも、話さなくてもいいならわざわざ話す必要もない。――応援してるからね」
にやあ、と嫌な笑みを浮かべた先生。これから、私が遊ばれる玩具にならないか心配だ。
「それで? 君、陸斗のどこが好きなの? あ、外見の話はなしで」
「――、一目惚れして追いかけてきたんです。だから、えーと、困ります。これからも好きなところは探していきますが。えーと、その、そんなすぐに具体的には出てこないというか……もー! ニヤニヤしないでください!! 何言わせてくれてるんですか!!」
目をそらし、口ごもったのだが、先生の反応を見て怒鳴ってしまうのだった。
苦虫を噛み潰したような表情が一変する。愉悦な表情を浮かべている先生。嫌な予感。
「君さ、陸斗のどこを好きになったの?」
誰のことだろうか。これが表情に出ていたのだろう。先生は困ったように眉を寄せ、首を傾げた。
「えーと、陸斗さんって私の知っている方でしょうか?」「君、それ本気で言ってないよね? あんなに熱烈に『先輩になって』って頼み込んでいたのに……」
一瞬、思考が停止した。もしかして、陸斗さんという人は私が一目惚れした相手だろうか。初めて知った。
「あの方の名前は陸斗さんというんですね。ステキ!」
「大袈裟な反応だなぁ。君、本当に知らなかったんだ。恋する相手の名前くらいすでに把握済みだと思ってた。陸斗を追ってくる行動力があるし」
「先生!? なんで誰にも話してないのに私がこ、こ、恋してるってわかったんですか? それに『先輩になってください』と言った時、先生はこちらの部屋にいたはずです。なんで知っているんですか?」
不思議だ。ジーっと先生を見つめて返事を待った。私が胸に秘めている想い。これがどうして先生にバレているのだろうか。
「嘘? 君さ、それで隠せていると思ってるの? わかりやすく態度にも表情にも出てるし、テンパったからこその『先輩』発言でしょ? 鈍くなければ察するって」
驚きと呆れが見られた。私はそんなに顔に出ているのだろうか。態度もわかりやすいと言われたし。これでも隠していたのに、衝撃の言葉だった。
心理戦は苦手な自信はある。でも、運は良いから案外なんとかなりそう。それよりも私の反応で簡単に恋してるということが周りに伝わってしまうのは恥ずかしい。表情筋を鍛えてみようかな。私は気まずくて先生から目をそらす。
「バレてしまっているなら思い切って白状しますよ。ええ、ええ、私はり、り、り、り、……がす、す、す、す、す、す、……好き……です。それで!! 先生はなんで!!本人に『先輩』と言ってしまったことを知っているんですか!? まさか、すでに噂になっているんですか?」
前のめりな姿勢になった私。この勢いにタジタジな先生がいたが、ペースを取り戻したようだ。かわすのは上手いらしい。
「まあまあ、落ち着いて。噂がどうこうは知らないけどさ、今の君、熟れていて食べたら美味しそうだね。それに、最終的に名前を呼べなかったの可愛いと思うよ」
「からかわないでください! もういいです。先生のおかげでここのスタッフになれたんです。それで十分です」
「いや、別に教えないとは言ってないんだけど……。でも、話さなくてもいいならわざわざ話す必要もない。――応援してるからね」
にやあ、と嫌な笑みを浮かべた先生。これから、私が遊ばれる玩具にならないか心配だ。
「それで? 君、陸斗のどこが好きなの? あ、外見の話はなしで」
「――、一目惚れして追いかけてきたんです。だから、えーと、困ります。これからも好きなところは探していきますが。えーと、その、そんなすぐに具体的には出てこないというか……もー! ニヤニヤしないでください!! 何言わせてくれてるんですか!!」
目をそらし、口ごもったのだが、先生の反応を見て怒鳴ってしまうのだった。
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