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猫が1匹、猫が2匹……(1話)
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ここはレイル国。主に獣人と人間が暮らす国。昔はとても仲が良く、異種族間でいがみ合っていたらしい。争いがあったとかなかったとか言われている。現在においては、両者は仲良く、協力し合い、生活している。獣人と人間が結婚することもあるが、同種族間での結婚が多めだ。
***
私は獣人の母と人間の父の間に生まれた子ども。猫宮かえで。性別は女。現在十六歳。猫の獣人だ。苗字に猫がついているので、覚えやすいと思う。猫の獣人だけあって、身体能力が高く、足は速い。また、高いところも楽々と飛び乗れる。
木の上に登って「降りられたくなったら危ないから登らないで」と父に泣かれたことが多々あった。その度に「父に心配かけさせるようなことをするな」と母に怒られた。それでも、登りたくななったら、木に飛び乗っていた気がする。
こんな私は現在、両親が通っていたらしいアレイルア学園にいる。各地にいる人間や獣人などが集まってきて、魔法や薬作りなどを学ぶところだ。すでに入学式は終わっている。その時に友達になった舞凛ちゃんという子がいるが、その子についてはまた今度話そう。今は重要な任務があるから、それが優先だ。私は偶然見つけた。あのビビッときた衝撃が忘れられない。その人を見て、雷が頭の中で降ったんだ。私はその人と近づきたいがために、行くところがある。成績表を握りしめて、突撃する予定。
「私、スタッフになれるかな? なれたらいいな~」
震える足をゆっくりと動かす。向かう場所はカフェ。生徒が主体となって行う活動として、学園側が出店を認めたところ。他にも、占いや探索、交換、衣服、お菓子、ゲーム、指導など様々なお店がある。
カフェのように場所を借りていて集団で活動するお店は、授業があるため、放課後開いている。場所を借りていても、個人で活動が可能であり、短時間で終わるものは休憩時間でも営業が可能だ。学園内でお店を開くのにも条件はあるが、それは後ほど。
私は一目惚れした人と一緒の時間を過ごすために、カフェのスタッフになる。それが相手と距離を縮めるための一番の近道のはずだ。
成績は筆記は苦手だが、実技は得意だし、問題ないはずだ。暗記して、作成するのは苦手だが。ああ、心配だ。成績が良くないと面接を受けさせてもらえない可能性がある。もし面接があっても質問に答えられるか不安だ。どうか事が上手く運びますよう。あの人と一緒に活動できますように。ダメだったら盛大に泣く。そういう自信はある。お願いです。どうか神様、私が泣くことがないようにしてください。
***
猫が一匹。猫が二匹。猫が三匹。猫が……落ち着け。私は受かってみせる。こういうのは虚勢が大事。猫宮かえで。あなたなら大丈夫よ。恋する乙女は負けないもの。この扉を開けたら、あの人に会える。怖気付いてないで、行くんだ。深呼吸。
「やっぱり無理!」
踵を返して逃げた。途中まで来た道を戻ってまたカフェに来てを繰り返す。
「もう! こういうのは勢いよ。勢い!!」
決意を固め、静かに扉を開けた。行くのはあの人がいるカウンター。
「いらっしゃいませ。ご注文の画面をご提示お願いいたします」
視界に映っているのは、目鼻立ちが整った男の子。澄んだ翡翠の瞳。ワインレッドの柔らかそうな髪の毛。このカフェの制服だろう黒に統一されている服装。似合っていた。彼の周りが輝いて見える。
「お客様? もしかして当店のご利用は初めてでしょうか?」
彼に夢中になっていて、ぼんやりとしていたが、我に返る。私の目的が果たせないところだった。ここは思い切りが大事。ハッキリと伝えるの。
「こ、こ……」
「?」
首を傾げる仕草が可愛い。可愛いとかっこいいを両方持っているなんて――。言葉にならない。彼の素敵なところをもっと見ていたかったが、今は他にやるべきことがある。首を左右に振って、悪魔の誘惑を振り払う。もたもたしすぎて迷惑になってるだろう。早く言うべきことを言え、猫宮かえで。
「――私の先輩になってください!!」
「はい?」
間違えてないけど、間違えた。
***
私は獣人の母と人間の父の間に生まれた子ども。猫宮かえで。性別は女。現在十六歳。猫の獣人だ。苗字に猫がついているので、覚えやすいと思う。猫の獣人だけあって、身体能力が高く、足は速い。また、高いところも楽々と飛び乗れる。
木の上に登って「降りられたくなったら危ないから登らないで」と父に泣かれたことが多々あった。その度に「父に心配かけさせるようなことをするな」と母に怒られた。それでも、登りたくななったら、木に飛び乗っていた気がする。
こんな私は現在、両親が通っていたらしいアレイルア学園にいる。各地にいる人間や獣人などが集まってきて、魔法や薬作りなどを学ぶところだ。すでに入学式は終わっている。その時に友達になった舞凛ちゃんという子がいるが、その子についてはまた今度話そう。今は重要な任務があるから、それが優先だ。私は偶然見つけた。あのビビッときた衝撃が忘れられない。その人を見て、雷が頭の中で降ったんだ。私はその人と近づきたいがために、行くところがある。成績表を握りしめて、突撃する予定。
「私、スタッフになれるかな? なれたらいいな~」
震える足をゆっくりと動かす。向かう場所はカフェ。生徒が主体となって行う活動として、学園側が出店を認めたところ。他にも、占いや探索、交換、衣服、お菓子、ゲーム、指導など様々なお店がある。
カフェのように場所を借りていて集団で活動するお店は、授業があるため、放課後開いている。場所を借りていても、個人で活動が可能であり、短時間で終わるものは休憩時間でも営業が可能だ。学園内でお店を開くのにも条件はあるが、それは後ほど。
私は一目惚れした人と一緒の時間を過ごすために、カフェのスタッフになる。それが相手と距離を縮めるための一番の近道のはずだ。
成績は筆記は苦手だが、実技は得意だし、問題ないはずだ。暗記して、作成するのは苦手だが。ああ、心配だ。成績が良くないと面接を受けさせてもらえない可能性がある。もし面接があっても質問に答えられるか不安だ。どうか事が上手く運びますよう。あの人と一緒に活動できますように。ダメだったら盛大に泣く。そういう自信はある。お願いです。どうか神様、私が泣くことがないようにしてください。
***
猫が一匹。猫が二匹。猫が三匹。猫が……落ち着け。私は受かってみせる。こういうのは虚勢が大事。猫宮かえで。あなたなら大丈夫よ。恋する乙女は負けないもの。この扉を開けたら、あの人に会える。怖気付いてないで、行くんだ。深呼吸。
「やっぱり無理!」
踵を返して逃げた。途中まで来た道を戻ってまたカフェに来てを繰り返す。
「もう! こういうのは勢いよ。勢い!!」
決意を固め、静かに扉を開けた。行くのはあの人がいるカウンター。
「いらっしゃいませ。ご注文の画面をご提示お願いいたします」
視界に映っているのは、目鼻立ちが整った男の子。澄んだ翡翠の瞳。ワインレッドの柔らかそうな髪の毛。このカフェの制服だろう黒に統一されている服装。似合っていた。彼の周りが輝いて見える。
「お客様? もしかして当店のご利用は初めてでしょうか?」
彼に夢中になっていて、ぼんやりとしていたが、我に返る。私の目的が果たせないところだった。ここは思い切りが大事。ハッキリと伝えるの。
「こ、こ……」
「?」
首を傾げる仕草が可愛い。可愛いとかっこいいを両方持っているなんて――。言葉にならない。彼の素敵なところをもっと見ていたかったが、今は他にやるべきことがある。首を左右に振って、悪魔の誘惑を振り払う。もたもたしすぎて迷惑になってるだろう。早く言うべきことを言え、猫宮かえで。
「――私の先輩になってください!!」
「はい?」
間違えてないけど、間違えた。
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