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――ないなんてことはない(23話)
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貧弱な僕でも行えるクエスト。そう言われていたが、本当に騙された。無事に帰還できたから良いものの巨大蜘蛛に会った時は震えたよ。その後、いろいろあり、僕はカードとランクを取得した。小人ノ事務所でクエストを受けるために必要な資格だそうだ。試験に合格したため、初心者となる。
また、カードの色でランクがわかるようになっている。このカードは、報酬の受け取りや料金の支払いにも使用するそうだ。カードの色は次の通り。
ホワイトは初心者。ド素人。イエローは見習い。まだまだこれから。ブロンズは初級。一般。シルバーは中級。そこそこ優秀。ゴールドは上級。優れモノ。それより上のランクもあるらしく、専門家と呼ばれている。
ホワイトカラーの初心者ではもらえるPが少ないが、上のランクに昇級すれば報酬も増えるそうだ。それは難しいクエストがあるから、それに合わせて報酬も上がっているのだろう。
小人ノ事務所の名簿リストに登録が完了し、カードの発行もされた。早速、何かクエストを受けようと左にある掲示板を見ていたところ、フーラさんに連れ出された。整備された土の道。ところどころ緑がはえている。遠くに見えるのはたくさんの木々。近くにはぶつぶつと呟いている小人が1人。これは不貞腐れているのだろうか。
「チィのせいだぞ。我は仕事をしただけだというのに窓口のやつら全員で小言を言いおって。まとめ役にも怒られた。3ヶ月分の減給もされた。これらすべてチィのせいで起こったことだ。だから、チィは我のクエストの手伝いをさせてやろう。ええい、喜べ!! 誉に思え!!」
喜ぶ要素が何一つない。フーラさん自身が僕に合わないクエストを渡したのが悪いのであって、僕のせいではない。確かに、クエストについて事前調査しなかったのは良くなかった。ただそんな時間はなかった。起こされて、クエストの場所に向かうことになって、考えることもできなかった。今回のはフーラさんがほぼほぼ悪い。9.5割フーラさんの責任で、0.5割は僕の責任だ。そういうことだから、処罰されたのは僕のせいではない、よって、偉そうに手伝えと言われたが、その必要はないと思う。
「うーん、帰れるなら帰りたい」
「駄目だ。もし逃亡しようものなら賞金首として掲示板に貼り付けるぞ? 他にも……わかっておるな?」
「僕何もしてないので、悪者にはなりませんよ? 怖いこと言わないでください」
関わってはいけない、と踵を返そうとした。
「それで良いのか? どうやらお主の頭はお花畑なようだ」
「どういうことですか?」
何やら含みのある言葉に僕は足を止め、振り返った。
「悪者でないから捕まらないのであればでっちあげれば良いと思わないか? 今、我の手伝いをするか、そのまま我の前から逃亡して全てを失うか、選べ。せっかく初心者になれたのに、追いかけ回されることになりたくはないだろう??」
口元が引き攣った。こんな脅しに屈するものか、と思ったが、この人はやると言ったらやる人だ。逃げると屈するが乗っている天秤。ぐらぐらと揺れている。屈するなんてこと、あるわけがな――。
天秤は敗北に傾いた。僕はフーラさんに従うことにした。ちくしょう。こうなったら……。
また、カードの色でランクがわかるようになっている。このカードは、報酬の受け取りや料金の支払いにも使用するそうだ。カードの色は次の通り。
ホワイトは初心者。ド素人。イエローは見習い。まだまだこれから。ブロンズは初級。一般。シルバーは中級。そこそこ優秀。ゴールドは上級。優れモノ。それより上のランクもあるらしく、専門家と呼ばれている。
ホワイトカラーの初心者ではもらえるPが少ないが、上のランクに昇級すれば報酬も増えるそうだ。それは難しいクエストがあるから、それに合わせて報酬も上がっているのだろう。
小人ノ事務所の名簿リストに登録が完了し、カードの発行もされた。早速、何かクエストを受けようと左にある掲示板を見ていたところ、フーラさんに連れ出された。整備された土の道。ところどころ緑がはえている。遠くに見えるのはたくさんの木々。近くにはぶつぶつと呟いている小人が1人。これは不貞腐れているのだろうか。
「チィのせいだぞ。我は仕事をしただけだというのに窓口のやつら全員で小言を言いおって。まとめ役にも怒られた。3ヶ月分の減給もされた。これらすべてチィのせいで起こったことだ。だから、チィは我のクエストの手伝いをさせてやろう。ええい、喜べ!! 誉に思え!!」
喜ぶ要素が何一つない。フーラさん自身が僕に合わないクエストを渡したのが悪いのであって、僕のせいではない。確かに、クエストについて事前調査しなかったのは良くなかった。ただそんな時間はなかった。起こされて、クエストの場所に向かうことになって、考えることもできなかった。今回のはフーラさんがほぼほぼ悪い。9.5割フーラさんの責任で、0.5割は僕の責任だ。そういうことだから、処罰されたのは僕のせいではない、よって、偉そうに手伝えと言われたが、その必要はないと思う。
「うーん、帰れるなら帰りたい」
「駄目だ。もし逃亡しようものなら賞金首として掲示板に貼り付けるぞ? 他にも……わかっておるな?」
「僕何もしてないので、悪者にはなりませんよ? 怖いこと言わないでください」
関わってはいけない、と踵を返そうとした。
「それで良いのか? どうやらお主の頭はお花畑なようだ」
「どういうことですか?」
何やら含みのある言葉に僕は足を止め、振り返った。
「悪者でないから捕まらないのであればでっちあげれば良いと思わないか? 今、我の手伝いをするか、そのまま我の前から逃亡して全てを失うか、選べ。せっかく初心者になれたのに、追いかけ回されることになりたくはないだろう??」
口元が引き攣った。こんな脅しに屈するものか、と思ったが、この人はやると言ったらやる人だ。逃げると屈するが乗っている天秤。ぐらぐらと揺れている。屈するなんてこと、あるわけがな――。
天秤は敗北に傾いた。僕はフーラさんに従うことにした。ちくしょう。こうなったら……。
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