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どうやら僕に合ってなかったよう(21話)

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「え?」

 ロルルさんが言っていることが頭の中にスッと入ってこなかった。試験を受けるためのクエストではないという事実にパニックになる。僕がやってきたことは本来やらなくても良かったということなのか。疑問で頭の中がいっぱいになった。

「このクエストはフーラさんが決めたものらしいですし、フーラさん、えっと小人ノ事務所にいる受付の小人に渡されたものですよ?」

 そう、試験のクエスト内容はこれ、という紙を渡された。間違いないはずなのだが。僕の話に首を傾げるロルルさん。

「うん? フーラさん? あいつ面白半分で無茶な内容を渡すから初回手続きから外されたんじゃなかった? 君、ちゃんと対応してる受付に行った??」
「あー、初めてでわからなかったので、相談案内という窓口に行ったら全部手続きしてくれるとのことで。そのままやってくれました」

 ロルルさんは「なるほど」と呟いた。疑問が解決したからだろうか。表情がすっと変わり、真面目なものになった。そして、淡々と事実を突きつけてくる。

「君、下手したら今回のクエストで最悪死んでたよ? 蜘蛛退治は君のような初心者にもなってない人が行うのは非常に危険なものだ。腕のある見習いまたは初級以上の人間が受注するクエストだよ。初級レベルでも難しくて失敗する人はいるし。あとで、僕から事務所に伝えておくよ。君も今回は運が良かっただけだと思っておくことだ」

 胸が痛い。フーラさんのことを信じきっていた部分もあるから。僕自身でクエストの内容を確認して、わからないことは調べて、おかしいと思ったら聞いてみる。これをする必要があっただろう。ただ、今回は直前に知らされたし、準備も急ぎでしっかりできてなかった。手元に通信機もなかったからね。フーラさん恐るべき小人だ。

「そういえば、クエスト完了の連絡来なかったけど、通信機の調子悪かった? 使用できるかは確認して渡してると思うから使えないことは滅多にないはずだけど」
「ロルルさん、僕、そんな便利道具をそもそも渡されてません」

 言い出しにくかったが渡されてないものは渡されてないので、その事実を伝えた。たぶん、僕は情けない声を出していたと思う。

「あー、うん、災難だったね。僕があいつから試験管を頼まれた時にいろいろと気づくべきだったよ。あいつは平気で人を地獄に突き落とすようなことをするってさ」

 ロルルさんは顔を顰めた。嫌なことでも思い出したのだろうか。もしかして、被害者なのかもしれない。藪をつついて蛇を出すのは怖いので、口をつぐんでおこう。

「きっと初回手続きでイジメてたのがなくなって爆発した結果が君のレベルに合ってないクエストをさせるということになったんだろう。だとしても、やりすぎだから報告したら説教は免れないと思うよ」

 運が悪ければ僕の命の灯火は消えていた。フーラさんにはこってりと絞られて反省してほしい。
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