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目覚めからの2度寝は阻止された(11話)
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遠くに多くの木々が見える。街を出て、でこぼこの盛り上がった土と雑草が生えている場所に来た。
「森エリアの手前。君がクエストを行うところはココだよ。更に進めば、森エリアに入ってしまうから進みすぎちゃダメだよ」
大きめの服を身につけた小柄で穏和な雰囲気の人。この人が僕の試験管らしい。優しそうな人で安心だ。
「制限時間は夕方まで。クエストが完了したら支給された通信機で連絡してね。僕は門の近くにいるから」
試験管はついてきて評価するものではないのだろうか。それと通信機なんて支給されていない。僕が渡されたのはクエスト内容が書かれている紙だけだ。
「あの~」
切り出そうとしたらもう試験管の人はいなかった。戻るの早すぎ。フーラさん、説明をお願いします。僕、フーラさんに「現地で説明があるからさっさと行け」と言われたのに。一体あれは――。
「起きろーー!!」
いつの間にか眠りについていたようだ。大きな声を上げられて毛布を引っぺがされた。しょぼしょぼする目を開けると何もいなかった。僕は2度寝をしようとベッドに寝転がる。
「我が起こしてやってるのに寝ようとするとはな」
目を瞑って微睡みに身を委ねる。次の瞬間、耳元で大音量で音が鳴り響いた。びっくりして飛び起きる。
「うわっ!!」
コケコーコケコッコーとニワトリの鳴き声がハウリングしている。そのうるささに、完全に目が覚めた。2度寝はできそうにない。
「やっと起きたか」
「もしかして僕まだ寝てる?」
周りを見回しても何もいない。実はまだ寝ていて夢の中なのだろうか。不思議な感覚に包まれながら、部屋から出ようと床に足をつけた。ふにっと柔らかい感触が足裏にあった。足をどかして見ると、青色のとんがり帽子が特徴のフーラさんがいた。
「我を踏むとはどういうことだ!!」
激昂したフーラさん。今回はフーラさんがいたのを知らなかったとはいえ、僕が悪いので、素直に謝る。
「わー、ごめんなさい!!」
「いつもならそう簡単に許さぬところだが、今回は特別に許してやろう。チィにはこれから行くところがあるからな」
「行くところ? その前に僕、何かお腹に入れときたいな。お腹減った」
「では、食事しながら聞くが良い。ほれっ!!」
部屋にあるテーブルの上にトレイに乗ったパンとサラダと飲み物が突然現れた。フーラさんを踏んだから持ってきていたらダメになっていそうだし。
「あっ! なるほど、僕を起こす前に食事を用意しておいてくれたのか!」
「我がなぜそんなことをしないといけない。そもそも我はチィがご飯を望んでいたことなど知らん」
「じゃあ、どうやって?」
僕の目の錯覚で突然現れたように見えただけかと思ったが、どうやら違うらしい。
「森エリアの手前。君がクエストを行うところはココだよ。更に進めば、森エリアに入ってしまうから進みすぎちゃダメだよ」
大きめの服を身につけた小柄で穏和な雰囲気の人。この人が僕の試験管らしい。優しそうな人で安心だ。
「制限時間は夕方まで。クエストが完了したら支給された通信機で連絡してね。僕は門の近くにいるから」
試験管はついてきて評価するものではないのだろうか。それと通信機なんて支給されていない。僕が渡されたのはクエスト内容が書かれている紙だけだ。
「あの~」
切り出そうとしたらもう試験管の人はいなかった。戻るの早すぎ。フーラさん、説明をお願いします。僕、フーラさんに「現地で説明があるからさっさと行け」と言われたのに。一体あれは――。
「起きろーー!!」
いつの間にか眠りについていたようだ。大きな声を上げられて毛布を引っぺがされた。しょぼしょぼする目を開けると何もいなかった。僕は2度寝をしようとベッドに寝転がる。
「我が起こしてやってるのに寝ようとするとはな」
目を瞑って微睡みに身を委ねる。次の瞬間、耳元で大音量で音が鳴り響いた。びっくりして飛び起きる。
「うわっ!!」
コケコーコケコッコーとニワトリの鳴き声がハウリングしている。そのうるささに、完全に目が覚めた。2度寝はできそうにない。
「やっと起きたか」
「もしかして僕まだ寝てる?」
周りを見回しても何もいない。実はまだ寝ていて夢の中なのだろうか。不思議な感覚に包まれながら、部屋から出ようと床に足をつけた。ふにっと柔らかい感触が足裏にあった。足をどかして見ると、青色のとんがり帽子が特徴のフーラさんがいた。
「我を踏むとはどういうことだ!!」
激昂したフーラさん。今回はフーラさんがいたのを知らなかったとはいえ、僕が悪いので、素直に謝る。
「わー、ごめんなさい!!」
「いつもならそう簡単に許さぬところだが、今回は特別に許してやろう。チィにはこれから行くところがあるからな」
「行くところ? その前に僕、何かお腹に入れときたいな。お腹減った」
「では、食事しながら聞くが良い。ほれっ!!」
部屋にあるテーブルの上にトレイに乗ったパンとサラダと飲み物が突然現れた。フーラさんを踏んだから持ってきていたらダメになっていそうだし。
「あっ! なるほど、僕を起こす前に食事を用意しておいてくれたのか!」
「我がなぜそんなことをしないといけない。そもそも我はチィがご飯を望んでいたことなど知らん」
「じゃあ、どうやって?」
僕の目の錯覚で突然現れたように見えただけかと思ったが、どうやら違うらしい。
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