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限られたある世界と現実
鳴き声×放置×妖怪
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「いつまで、いつまで、いつまで、いつまで」
鬱陶しいほど声をあげてくる。僕には見えない何かの存在。頭の中に響いてくる声に常にイライラしている。
「おい!どうかしたのか?」
急に立ち止まり、頭を抑えた僕。その時に教科書やらペンケースなどを落とした。その音で振り返った友。僕の様子を見て、慌てて尋ねてきた。眉を顰め、ギュッと目を閉じている僕はそれに答える余裕もない。
「いつまでいつまでいつまでいつまでいつまでいつまでいつまでいつまでいつ……マデ……」
うるさいうるさい。黙れ黙れ黙れ!! 心の中でできる最大限の抵抗をした。僕はただ声を荒げるだけであったが、いつのまにか声は聞こえなくなった。やっと落ち着ける。
「おい、どうしたんだよ……。お前、顔色悪いぞ? 保健室で休んできたらどうだ?」
心配そうに僕の顔を覗き込んでくる友。そんなに僕の顔色は悪いのだろうか。まあ、頭を抑えて、何かに耐えていた僕の姿を見た友。具合が悪いと思うものかもしれない。
「大丈夫だよ。ちょっとピリッと痛みが走ったけど、もう大丈夫。早く行かないと次の授業に遅れるぜ?」
僕は友に誤魔化した。納得してなさそうな友だったが、僕は強引にその話を断ち切る。
「おい、早くいくぞ?」
落ちたものを拾い、友を促す僕。授業を受けるために、教室を移動していたのだ。だから、遅れると先生に怒られてしまう。僕のせいで友が巻き添いを食らうのはたえられない。
これは僕だけの問題でもあるわけだし、友に相談せずに解決するべきことだ。心配させるようなことをわざわざ言う必要はない。何度も僕の安否を尋ねてくる友に苦笑しながら、僕たちは授業のために教室に向かった。
あの声が聞こえるようになったのはいつからだっただろう。きっとあの時かもしれない。僕が死を怖がっているから。怖くて怖くてそのままにしているから。僕がいけないことはわかっているんだ。
「いつまでいつまでいつまでいつまでいつまでいつまでいつまでいつまでいつまで……イツ……マデ……イツマデ……」
わかってるよ。僕はちゃんと埋葬してあげないといけないんだ。深く深く土を掘って、埋めてあげないと――。お別れだって、もう目を覚ますことがないのはわかってる。ただ怖くて、怖くて、そのままにしていた。それこそやってはいけないことなのに。
ずっと一緒にいられるわけがない。僕があいつを解放してやるべきだ。縛っていてはいけないんだ。供養して、送り出してやらないと駄目なんだ。ああ、庭に埋葬してやろう。大切な存在を亡くすのは、苦しくて悲しい。だが、冷たくして置いておくことはもうできない。なぜこんなにも胸が詰まるのだろう。お別れが近いからか?
僕に何度も繰り返し「いつまで」と言っていた声。それはもう聞こえていない。さて、早く埋葬してやろう。自宅の庭のある場所で深く深く土を掘った。その中に小さなハムスターを優しく入れる。他のものたちに荒らされることがないように、工夫を施そう。あと、あいつが好きだった食べ物を入れて、お花を添えてやろう。
「ハル、ごめんな。ありがとう」
僕の声があいつに届くといいな。
※
「いつまで」と鳴いていたのは、以津真天という妖怪だったのだろう。この現代において、妖怪なんて不可思議なことだが、それ以外に考えられない。どうして僕だけに声が聞こえていたのかも謎だが、妖怪という存在がすでに奇々怪々なもの。不思議なことは不思議なまま心に残しておくことにした。
図書館で立ち読みしていた僕。一冊の本をすっと棚に戻した。
鬱陶しいほど声をあげてくる。僕には見えない何かの存在。頭の中に響いてくる声に常にイライラしている。
「おい!どうかしたのか?」
急に立ち止まり、頭を抑えた僕。その時に教科書やらペンケースなどを落とした。その音で振り返った友。僕の様子を見て、慌てて尋ねてきた。眉を顰め、ギュッと目を閉じている僕はそれに答える余裕もない。
「いつまでいつまでいつまでいつまでいつまでいつまでいつまでいつまでいつ……マデ……」
うるさいうるさい。黙れ黙れ黙れ!! 心の中でできる最大限の抵抗をした。僕はただ声を荒げるだけであったが、いつのまにか声は聞こえなくなった。やっと落ち着ける。
「おい、どうしたんだよ……。お前、顔色悪いぞ? 保健室で休んできたらどうだ?」
心配そうに僕の顔を覗き込んでくる友。そんなに僕の顔色は悪いのだろうか。まあ、頭を抑えて、何かに耐えていた僕の姿を見た友。具合が悪いと思うものかもしれない。
「大丈夫だよ。ちょっとピリッと痛みが走ったけど、もう大丈夫。早く行かないと次の授業に遅れるぜ?」
僕は友に誤魔化した。納得してなさそうな友だったが、僕は強引にその話を断ち切る。
「おい、早くいくぞ?」
落ちたものを拾い、友を促す僕。授業を受けるために、教室を移動していたのだ。だから、遅れると先生に怒られてしまう。僕のせいで友が巻き添いを食らうのはたえられない。
これは僕だけの問題でもあるわけだし、友に相談せずに解決するべきことだ。心配させるようなことをわざわざ言う必要はない。何度も僕の安否を尋ねてくる友に苦笑しながら、僕たちは授業のために教室に向かった。
あの声が聞こえるようになったのはいつからだっただろう。きっとあの時かもしれない。僕が死を怖がっているから。怖くて怖くてそのままにしているから。僕がいけないことはわかっているんだ。
「いつまでいつまでいつまでいつまでいつまでいつまでいつまでいつまでいつまで……イツ……マデ……イツマデ……」
わかってるよ。僕はちゃんと埋葬してあげないといけないんだ。深く深く土を掘って、埋めてあげないと――。お別れだって、もう目を覚ますことがないのはわかってる。ただ怖くて、怖くて、そのままにしていた。それこそやってはいけないことなのに。
ずっと一緒にいられるわけがない。僕があいつを解放してやるべきだ。縛っていてはいけないんだ。供養して、送り出してやらないと駄目なんだ。ああ、庭に埋葬してやろう。大切な存在を亡くすのは、苦しくて悲しい。だが、冷たくして置いておくことはもうできない。なぜこんなにも胸が詰まるのだろう。お別れが近いからか?
僕に何度も繰り返し「いつまで」と言っていた声。それはもう聞こえていない。さて、早く埋葬してやろう。自宅の庭のある場所で深く深く土を掘った。その中に小さなハムスターを優しく入れる。他のものたちに荒らされることがないように、工夫を施そう。あと、あいつが好きだった食べ物を入れて、お花を添えてやろう。
「ハル、ごめんな。ありがとう」
僕の声があいつに届くといいな。
※
「いつまで」と鳴いていたのは、以津真天という妖怪だったのだろう。この現代において、妖怪なんて不可思議なことだが、それ以外に考えられない。どうして僕だけに声が聞こえていたのかも謎だが、妖怪という存在がすでに奇々怪々なもの。不思議なことは不思議なまま心に残しておくことにした。
図書館で立ち読みしていた僕。一冊の本をすっと棚に戻した。
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