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眠りから覚めたら(1話)
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夢を見る。頻繁に。幼馴染に似ている端整な顔立ちをした黒髪の男の子が水に沈んでいるところを。その目はいつも閉じられていた。しかし、今回はうっすらと目が開いた。驚くことにその目は青色だった。深い青。幼馴染は黒色のため、目の色が異なっていた。これ以外の外見は同じだ。彼を幼馴染だと思っていたのだが。幼馴染と関係のない似ている別人または幼馴染と関係のある似ている別人、どちらなのだろうか。目覚める時に彼の唇が動いたような気がした。「もうすぐ会えるよ」と。
いつもとは違った夢の内容に戸惑いを隠せない。水の中にいる彼はただただ眠っているだけだったのに、起きたのだから。少し恐怖心が沸いた。そもそも幼馴染だと勝手に思っていたのだが人が別人であふ可能性が出てきた。なんで水の中にいるんだろうと疑問を感じながら幼馴染を観察していた。というか、それしかすることができなかった。起きようとして起きられるものではないし、夢の内容を私の想いで変えることもできないから。
部屋に響く目覚まし時計をやっと止められた頃、電話がかかってきているのに気づく。幼馴染の暁人からだ。急ぎ出る。
「もしもし」
「おはよう。やっと起きた! これ三回目」
「ごめん。おはよう。起きてるよ」
「おはよう。起きてるなら出て」
「あははは、今日も一緒に行く?」
「行けたらね。じゃあまた」
ちょっと会話をして切られてしまった。時間的に長電話はしていられないけれど。暁人本人に変わった様子はなかったようでホッとした。電話越しではあるから実際はどんな感じであるのかはわからないが。
夢のこともあって、朝起きられるように電話を頼んでいる。律儀に忘れずにかけてくれるのだから優しい。それに頼りになると思った。
私は暁人と一緒に学校へ行けるように急ぎ準備する。制服が汚れないように朝食を取ってから着替えるようにしているので、教科書やハンカチなど必要なものを鞄に詰め込んでからリビングへ。
「琴音ちゃん、おはよう。起きるの遅めだったね」
「おはよう。変な夢見ちゃって考えこんでたら起きるのにちょっと時間かかっちゃった」
「そう。どんな夢を見たのか聞きたいところだけだ、早めにご飯食べないと暁人くんとは一緒に行けなくなりそうね。我慢するわ」
「え!? そんなに時間ギリギリ?」
「急げば間に合うか追いつくかのどちらかよ」
「走るのやだから頑張ろう」
「はい、どうぞ」
いつも朝食を用意してくれる母には感謝だ。時間によってはお昼ご飯とは別に学校で朝食を取れるようにお弁当にしてくれるし。私のお母さんは素敵な人だ。
白米や目玉焼き、ウィンナー、ミニトマト、味噌汁などを口に放り込んで、モグモグと咀嚼する。用意された分の朝食を急ぎめではあるが、味わって食べた。
「ごちそうさまでした」
食器やお箸をシンクに運んで、洗面所へ。歯磨きをしながら、髪の毛をとかした。口の中をスッキリさせて、私自身の部屋へ。ハンガーにかかっている制服をとって着替えた。鞄持ち、忘れ物がないかを確認して、玄関へ。靴を履いて扉を開けた。
「いってきます」
「いってらっしゃい」
遠くから母の声が聞こえてきた。外へ出る。隣の家から暁人が出てきたのを見た。タイミングはばっちりだったようだ。私は暁人のもとへ駆け寄った。
「おはよう、暁人」
「おはよう、琴音」
こうして私たちは一緒に学校へと向かう。
いつもとは違った夢の内容に戸惑いを隠せない。水の中にいる彼はただただ眠っているだけだったのに、起きたのだから。少し恐怖心が沸いた。そもそも幼馴染だと勝手に思っていたのだが人が別人であふ可能性が出てきた。なんで水の中にいるんだろうと疑問を感じながら幼馴染を観察していた。というか、それしかすることができなかった。起きようとして起きられるものではないし、夢の内容を私の想いで変えることもできないから。
部屋に響く目覚まし時計をやっと止められた頃、電話がかかってきているのに気づく。幼馴染の暁人からだ。急ぎ出る。
「もしもし」
「おはよう。やっと起きた! これ三回目」
「ごめん。おはよう。起きてるよ」
「おはよう。起きてるなら出て」
「あははは、今日も一緒に行く?」
「行けたらね。じゃあまた」
ちょっと会話をして切られてしまった。時間的に長電話はしていられないけれど。暁人本人に変わった様子はなかったようでホッとした。電話越しではあるから実際はどんな感じであるのかはわからないが。
夢のこともあって、朝起きられるように電話を頼んでいる。律儀に忘れずにかけてくれるのだから優しい。それに頼りになると思った。
私は暁人と一緒に学校へ行けるように急ぎ準備する。制服が汚れないように朝食を取ってから着替えるようにしているので、教科書やハンカチなど必要なものを鞄に詰め込んでからリビングへ。
「琴音ちゃん、おはよう。起きるの遅めだったね」
「おはよう。変な夢見ちゃって考えこんでたら起きるのにちょっと時間かかっちゃった」
「そう。どんな夢を見たのか聞きたいところだけだ、早めにご飯食べないと暁人くんとは一緒に行けなくなりそうね。我慢するわ」
「え!? そんなに時間ギリギリ?」
「急げば間に合うか追いつくかのどちらかよ」
「走るのやだから頑張ろう」
「はい、どうぞ」
いつも朝食を用意してくれる母には感謝だ。時間によってはお昼ご飯とは別に学校で朝食を取れるようにお弁当にしてくれるし。私のお母さんは素敵な人だ。
白米や目玉焼き、ウィンナー、ミニトマト、味噌汁などを口に放り込んで、モグモグと咀嚼する。用意された分の朝食を急ぎめではあるが、味わって食べた。
「ごちそうさまでした」
食器やお箸をシンクに運んで、洗面所へ。歯磨きをしながら、髪の毛をとかした。口の中をスッキリさせて、私自身の部屋へ。ハンガーにかかっている制服をとって着替えた。鞄持ち、忘れ物がないかを確認して、玄関へ。靴を履いて扉を開けた。
「いってきます」
「いってらっしゃい」
遠くから母の声が聞こえてきた。外へ出る。隣の家から暁人が出てきたのを見た。タイミングはばっちりだったようだ。私は暁人のもとへ駆け寄った。
「おはよう、暁人」
「おはよう、琴音」
こうして私たちは一緒に学校へと向かう。
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