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37話
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村の人たちよりも早期対応したい個人って誰だろう。村の人間には変わりないと思うけど、重要人物なのかな。
「水神様~、正式な契約はどうしますか~?」
「小僧、準備はできているのか?」
「できてますよ~」
「そうか」
「つめた!」
水神のあっさりした反応にシズクはケラケラと笑っていた。面白そうで何よりである。シズクは懐から何か丸っぽいものを取り出した。
「それ何?」
「霊力のこもった二つの宝珠だよ~。隠し場所に行くの大変だったんだよ!」
「そうなのね」
「え、こっちも冷たい」
シズクのことは無視するとして、宝珠を見てみる。一つは丸い玉のようであり、もう一つは雫の形をしている。どちらも小さい。色は玉は深い緑で、雫の形は淡い青であった。どちらも透き通っていて綺麗だ。
「これどうするの?」
「一つは契約をするための補助に使う。一応、契約はしてるし、今も弱ってる水神様に霊力は持っていかれてるから」
「水神、そんなに辛いの?」
「別になんともない」
「そんなこと言っちゃって~! 力の源である自分の領域を穢されたから相当辛いでしょ。僕の霊力が結構持ってかれてるし」
水神がギロッとシズクを睨みつけた。その剣のある視線を送られたにもかかわらず、ひょうひょうとしている。でも、結構霊力を持っていかれてるってことはシズクにも何かしらの影響が出てきているってことかな?
「シズクは大丈夫なの?」
「うん、僕霊力たくさんあるからもってってくれて嬉しいかな。僕の許容量を超えるとしんどくなるし」
「そういうこともあるのね。でも、それじゃあ補助は必要ないんじゃないの?」
「ああ、補助を使うのは水神様ね。僕が水神様を隷属するなら必要ないんだけど、そうじゃないからね」
意味がわからず、首を傾げているとシズクが説明してくれた。なんでも、自分の力の多いものと自分の力の少ないものが契約すると、力の多い方が勝つらしい。これでは、対等な契約にならず、力の少ない者は操られるようになってしまうらしい。
「ふん! 生意気な小僧だ」
「それ使う時、僕の霊力取らないでくださいよ~。僕が隷属になっちゃいますから」
「そこはちゃんと調整する。小僧を僕にするなんて趣味の悪いことはしない」
「頼みましたからね~! 水神様の隷属になっても構わないとは思いますが……」
「小僧が年中私のそばにいるのには耐えられん」
隷属になっても良いって変わり者だ。私だったら絶対嫌だ。自分の体が意思と関係なく命令一つで動くと思うと、ぞっとする。シズクは水神だったら、そんなことしなさそうってことで言ったのかもしれないけど。それか、面白半分のからかい。
「そのもう一つのやつは何に使うの?」
「人間が神と契約するのには差し出すものがないといけないんだ。だから、こっちを差し出そうと思ってさ」
シズクが取ったのは淡い青色のもの。雫の形をしているものだった。
「なんで神様と契約するのに渡すものなんて用意するの?」
「さぁ? 人間が神様に会うための貢物だったんじゃないの? 僕知らな~い」
「水神はわかる?」
「はぁ、差し出したものに見合った対価を得たいか、神様を呼ぶためのものか。そんなことは知らん」
「へぇー、水神でも分からないんだ~!」
少しからかってやろうと思い、嫌味な感じで言ってみた。水神の反応は無。表情に何の感情もこもってないようで怖かった。私たちの様子を見たシズクは笑い転げていた。
「水神様~、正式な契約はどうしますか~?」
「小僧、準備はできているのか?」
「できてますよ~」
「そうか」
「つめた!」
水神のあっさりした反応にシズクはケラケラと笑っていた。面白そうで何よりである。シズクは懐から何か丸っぽいものを取り出した。
「それ何?」
「霊力のこもった二つの宝珠だよ~。隠し場所に行くの大変だったんだよ!」
「そうなのね」
「え、こっちも冷たい」
シズクのことは無視するとして、宝珠を見てみる。一つは丸い玉のようであり、もう一つは雫の形をしている。どちらも小さい。色は玉は深い緑で、雫の形は淡い青であった。どちらも透き通っていて綺麗だ。
「これどうするの?」
「一つは契約をするための補助に使う。一応、契約はしてるし、今も弱ってる水神様に霊力は持っていかれてるから」
「水神、そんなに辛いの?」
「別になんともない」
「そんなこと言っちゃって~! 力の源である自分の領域を穢されたから相当辛いでしょ。僕の霊力が結構持ってかれてるし」
水神がギロッとシズクを睨みつけた。その剣のある視線を送られたにもかかわらず、ひょうひょうとしている。でも、結構霊力を持っていかれてるってことはシズクにも何かしらの影響が出てきているってことかな?
「シズクは大丈夫なの?」
「うん、僕霊力たくさんあるからもってってくれて嬉しいかな。僕の許容量を超えるとしんどくなるし」
「そういうこともあるのね。でも、それじゃあ補助は必要ないんじゃないの?」
「ああ、補助を使うのは水神様ね。僕が水神様を隷属するなら必要ないんだけど、そうじゃないからね」
意味がわからず、首を傾げているとシズクが説明してくれた。なんでも、自分の力の多いものと自分の力の少ないものが契約すると、力の多い方が勝つらしい。これでは、対等な契約にならず、力の少ない者は操られるようになってしまうらしい。
「ふん! 生意気な小僧だ」
「それ使う時、僕の霊力取らないでくださいよ~。僕が隷属になっちゃいますから」
「そこはちゃんと調整する。小僧を僕にするなんて趣味の悪いことはしない」
「頼みましたからね~! 水神様の隷属になっても構わないとは思いますが……」
「小僧が年中私のそばにいるのには耐えられん」
隷属になっても良いって変わり者だ。私だったら絶対嫌だ。自分の体が意思と関係なく命令一つで動くと思うと、ぞっとする。シズクは水神だったら、そんなことしなさそうってことで言ったのかもしれないけど。それか、面白半分のからかい。
「そのもう一つのやつは何に使うの?」
「人間が神と契約するのには差し出すものがないといけないんだ。だから、こっちを差し出そうと思ってさ」
シズクが取ったのは淡い青色のもの。雫の形をしているものだった。
「なんで神様と契約するのに渡すものなんて用意するの?」
「さぁ? 人間が神様に会うための貢物だったんじゃないの? 僕知らな~い」
「水神はわかる?」
「はぁ、差し出したものに見合った対価を得たいか、神様を呼ぶためのものか。そんなことは知らん」
「へぇー、水神でも分からないんだ~!」
少しからかってやろうと思い、嫌味な感じで言ってみた。水神の反応は無。表情に何の感情もこもってないようで怖かった。私たちの様子を見たシズクは笑い転げていた。
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