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36話
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「呪いが膨れ上がって神聖な神に悪影響を与えると悟った。それで恋仲である神様と触れ合わず、会うことをやめた。それなのに、呪われたあの女に似ている娘がいる。これは同じことを繰り返したいと言うことなのかしら? 今度こそあんたをズタボロにしてあげるわ!!」
宙を見ながらぶつぶつと呟いていた老女が徐々に声を張り上げていった。それを聞く者は周りにはいない。だが、そこに突然人がやってくる。
「大叔母様! 湖に頼まれたものを入れ終わったとご報告がありました。この後どういたしますか?」
「ふむ、何もせずとも良い。あれは水神様のためになるものだ。この村のためになること。水神様も皆に感謝するだろう」
「はっ、承知しました。私たちの仕事は終わりということですね」
「そうじゃ、ご苦労だったな」
水神の湖に投げ入れたものは良いものではない。それを知っているはずの老女はさらりと嘘をつく。信仰する神様のためになることであり、村のためになることでもあると。現れた人は疑問に思うことなく、受け入れているのだろう。その人は老女に挨拶をして、すぐにその場から離れていった。
「これであの女の守りはなくなるはず……。私はあの人を手に入れるためだったらなんだってする! どうか私を選んで」
残された老女の姿は若い女に変わった。その女は自身の思いを呟いた。爪を噛んで悔しそうに顔を歪めていたが、なにかを懇願している様子でもあった。
「カイト。私の愛する人。絶対にあの女になんか渡さない! あの女になんか会わせない! あの女にはもったいない人なの。彼は私を選べば良かったのよ! 私だったら私の全てをあげられたのに」
歯をギリっと噛み締め、何もないところを睨みつける女。きっと憎い人でも見えているのだろう。ただ、そんな中でも寂しそうにぽつりと言葉を落とすこともあった。
***
私、白い髪、水色髪が円になるようにして話している。
「これから村の人たちをどうするんですか~? 水神様はこのまま黙っているつもりでいらっしゃいますか~?」
「もちろん、それ相応のことはする」
「シズクはそれが何かを尋ねてるんですよ! ちゃんと理解してますか?」
「……小娘、黙っていろ。村のやつらより先に対処しておきたいやつがいる。それが出てくるかは知らないがな」
知らなくちゃ対処することはできないと思う。てか、どの人を指しているのか。私にはいまいち相手が見えていない。思わず首を傾げた。
「あー、うん。ククリも会ったことあるよー。あのジジイのことが好きなやつ!」
「あのジジイとは?」
「えーっと、もしかして知らない?」
「え……? 何が?」
「うーん、知らないみたいですよ。水神様」
「知らなくても構わん。小僧がわかっていればそれで良い。どうせ役立たずの小娘だ。私たちの助けとはならないだろうが、これだけは覚えておけ。近づいてくる怪しい老人や女には気をつけろ」
その話を聞き、シズクもうんうん、と頷いていた。けれど、私にとって村の人みんなが警戒する対象といって良い。怪しい判断だと全員が怪しんでしまうと思う。老人や女に気をつけろと言われても困る。うん、それとね……。
「役立たずかもしれないけど、面と向かって言わないでくれるかな?」
あと、蚊帳の外みたいでちょっとムカついた。私が知らない人を二人は知っているように話を進めるし、少しくらい教えてよ。流し目でチラッとみられたけど、静かにしてろってこと? はい、わかりました。静かにしてます。ちょっと拗ねた。
宙を見ながらぶつぶつと呟いていた老女が徐々に声を張り上げていった。それを聞く者は周りにはいない。だが、そこに突然人がやってくる。
「大叔母様! 湖に頼まれたものを入れ終わったとご報告がありました。この後どういたしますか?」
「ふむ、何もせずとも良い。あれは水神様のためになるものだ。この村のためになること。水神様も皆に感謝するだろう」
「はっ、承知しました。私たちの仕事は終わりということですね」
「そうじゃ、ご苦労だったな」
水神の湖に投げ入れたものは良いものではない。それを知っているはずの老女はさらりと嘘をつく。信仰する神様のためになることであり、村のためになることでもあると。現れた人は疑問に思うことなく、受け入れているのだろう。その人は老女に挨拶をして、すぐにその場から離れていった。
「これであの女の守りはなくなるはず……。私はあの人を手に入れるためだったらなんだってする! どうか私を選んで」
残された老女の姿は若い女に変わった。その女は自身の思いを呟いた。爪を噛んで悔しそうに顔を歪めていたが、なにかを懇願している様子でもあった。
「カイト。私の愛する人。絶対にあの女になんか渡さない! あの女になんか会わせない! あの女にはもったいない人なの。彼は私を選べば良かったのよ! 私だったら私の全てをあげられたのに」
歯をギリっと噛み締め、何もないところを睨みつける女。きっと憎い人でも見えているのだろう。ただ、そんな中でも寂しそうにぽつりと言葉を落とすこともあった。
***
私、白い髪、水色髪が円になるようにして話している。
「これから村の人たちをどうするんですか~? 水神様はこのまま黙っているつもりでいらっしゃいますか~?」
「もちろん、それ相応のことはする」
「シズクはそれが何かを尋ねてるんですよ! ちゃんと理解してますか?」
「……小娘、黙っていろ。村のやつらより先に対処しておきたいやつがいる。それが出てくるかは知らないがな」
知らなくちゃ対処することはできないと思う。てか、どの人を指しているのか。私にはいまいち相手が見えていない。思わず首を傾げた。
「あー、うん。ククリも会ったことあるよー。あのジジイのことが好きなやつ!」
「あのジジイとは?」
「えーっと、もしかして知らない?」
「え……? 何が?」
「うーん、知らないみたいですよ。水神様」
「知らなくても構わん。小僧がわかっていればそれで良い。どうせ役立たずの小娘だ。私たちの助けとはならないだろうが、これだけは覚えておけ。近づいてくる怪しい老人や女には気をつけろ」
その話を聞き、シズクもうんうん、と頷いていた。けれど、私にとって村の人みんなが警戒する対象といって良い。怪しい判断だと全員が怪しんでしまうと思う。老人や女に気をつけろと言われても困る。うん、それとね……。
「役立たずかもしれないけど、面と向かって言わないでくれるかな?」
あと、蚊帳の外みたいでちょっとムカついた。私が知らない人を二人は知っているように話を進めるし、少しくらい教えてよ。流し目でチラッとみられたけど、静かにしてろってこと? はい、わかりました。静かにしてます。ちょっと拗ねた。
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