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26話
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水神と少年の話はまとまったみたいだ。力を渡す、霊力で生活、穢れを払うなどと話していた。少年が水神を一方的に揶揄っていたように思ったが、私は二人がじゃれあっているようにも見えた。契約というのをするらしいけど、私にはさっぱりわからない。
「わがままな水神様のために必要なものを用意してこようかな? あっ! 簡易契約しなくていいよ。どうせすぐに本格的な契約をすることになるし」
少年はそう言って、すぐさま水神の持ち家(仮)から出ていく。(仮)はただの気分だ。
「え? シズク、どこいくのー!?」
少年に向けて叫んでみるも返事はなかった。後ろ姿は見えているので、「シズク!!」と呼んでみるも答えはない。一体どこに行くのだろうか?
振り返ると目を閉じている水神がいた。水神は少年を止めなかったが、あのまま見送ってよかったのか。
「放っておけ。この家の周辺は人間には見えないようになっているし、あいつには霊力もある。だから、何かあったとしても対処はできるだろう」
淡々とした言葉。水神の冷めている反応に、大丈夫なのかと少し不安に思う私がいる。水神はシズクが村人に捕まるかもしれないとか思わないのかな? この家の周辺が見えないとしても気にかけるべきだと思うのは私だけ?
「水神はなんとも思ってないの?」
「何がだ?」
「シズクが出て行ったこと」
「はぁ、小僧は契約のために必要なものを準備しに行っただけだ。いちいち気にするほどのことではない。心配はしているがな」
へぇ~、水神でも心配するんだ。あんなに素っ気なさそうな態度をしていたのに、心の中では少年のことを考えているのね。そう呑気に思っていた。だが、次の水神の言葉でその思いは間違いであったことに気づく。
「ずいぶんと気持ち悪い顔をしているな、小娘。勘違いしているようだから言っておくが、小僧が心配なのは私の力の供給源がいなくなるからだ。替えなど効かない存在だからな」
なんか最低な発言が聞こえた。自分のためにシズクを心配しているのか。自己のためなのか。それに、勝手に微笑ましく思っていたから、顔にでていたのかもしれないけど、わざとらしく悪口言うなよ。一言目に私への嫌味いらないよね? 意趣返しに嫌がることを言ってみよう。
「……水神はさぁ~、シズクがいないと困るって素直に言いなよ。シズクがいないとな~んにもできなくなっちゃってるんでしょ?」
「気持ち悪いな、小娘。それと意味のわからないことを言うな。私は困ってなどいない。替えが効かない存在だが、別の方法で力を得ることもできる。その方法はな――」
「あー、わかりました。もう何もいいません。シズクが早く帰ってこないかな~」
水神に「小娘、最後まで話を聞け!」と睨みつけられたが、無視だ無視。話が長くなりそうだし、意図的に人を罵った人の話を聞こうとは思わない。私はこの家でシズクが無事であるように願っておこう。
この場所は、悪意ある者が見ようと思っても見ることは叶わない。そして、神聖なものを守るためには、あらゆる手段を講じておかなければならない。予想外のことや窮地のことが起こった時のために、対策をしてあると便利だ。
人間は本当に読めない生き物だからな。そう言ったのは、誰だったのか。覚えてはいない。ただ、人間の愚かしさを知った。
私は人間を、神域を穢した奴らを……。
「水神様も難儀だな。村の奴らのせいで力をまともに使えなくなってさ。僕は、僕たち、いや私たちは奴らに復讐できるのなら、水神様さえ利用しよう。そのためにこの霊力を分け与えるのだから」
ああ、やばいな。意識を乗っ取られかけた。先祖たちの記憶、殺された血族の恨みや憎しみに。僕はいつまで僕でいられるのか。
「はぁ、早く水神様との契約に必要なものを用意しないとな~~。水神様のためにさ」
僕は生い茂った緑の中を歩く。契約のために必要なものを用意するのには、一旦村に帰るしかないのかな。嫌だな。なんとか、水神様の護りの届いているところで材料を準備するようにしよう。あれは結界だろう。この場所は薄い膜のようなもので包まれている。そのため、村人たちが見つけるのは難しいと思うが、あとで水神様に結界のことについて確認しておこう。
「わがままな水神様のために必要なものを用意してこようかな? あっ! 簡易契約しなくていいよ。どうせすぐに本格的な契約をすることになるし」
少年はそう言って、すぐさま水神の持ち家(仮)から出ていく。(仮)はただの気分だ。
「え? シズク、どこいくのー!?」
少年に向けて叫んでみるも返事はなかった。後ろ姿は見えているので、「シズク!!」と呼んでみるも答えはない。一体どこに行くのだろうか?
振り返ると目を閉じている水神がいた。水神は少年を止めなかったが、あのまま見送ってよかったのか。
「放っておけ。この家の周辺は人間には見えないようになっているし、あいつには霊力もある。だから、何かあったとしても対処はできるだろう」
淡々とした言葉。水神の冷めている反応に、大丈夫なのかと少し不安に思う私がいる。水神はシズクが村人に捕まるかもしれないとか思わないのかな? この家の周辺が見えないとしても気にかけるべきだと思うのは私だけ?
「水神はなんとも思ってないの?」
「何がだ?」
「シズクが出て行ったこと」
「はぁ、小僧は契約のために必要なものを準備しに行っただけだ。いちいち気にするほどのことではない。心配はしているがな」
へぇ~、水神でも心配するんだ。あんなに素っ気なさそうな態度をしていたのに、心の中では少年のことを考えているのね。そう呑気に思っていた。だが、次の水神の言葉でその思いは間違いであったことに気づく。
「ずいぶんと気持ち悪い顔をしているな、小娘。勘違いしているようだから言っておくが、小僧が心配なのは私の力の供給源がいなくなるからだ。替えなど効かない存在だからな」
なんか最低な発言が聞こえた。自分のためにシズクを心配しているのか。自己のためなのか。それに、勝手に微笑ましく思っていたから、顔にでていたのかもしれないけど、わざとらしく悪口言うなよ。一言目に私への嫌味いらないよね? 意趣返しに嫌がることを言ってみよう。
「……水神はさぁ~、シズクがいないと困るって素直に言いなよ。シズクがいないとな~んにもできなくなっちゃってるんでしょ?」
「気持ち悪いな、小娘。それと意味のわからないことを言うな。私は困ってなどいない。替えが効かない存在だが、別の方法で力を得ることもできる。その方法はな――」
「あー、わかりました。もう何もいいません。シズクが早く帰ってこないかな~」
水神に「小娘、最後まで話を聞け!」と睨みつけられたが、無視だ無視。話が長くなりそうだし、意図的に人を罵った人の話を聞こうとは思わない。私はこの家でシズクが無事であるように願っておこう。
この場所は、悪意ある者が見ようと思っても見ることは叶わない。そして、神聖なものを守るためには、あらゆる手段を講じておかなければならない。予想外のことや窮地のことが起こった時のために、対策をしてあると便利だ。
人間は本当に読めない生き物だからな。そう言ったのは、誰だったのか。覚えてはいない。ただ、人間の愚かしさを知った。
私は人間を、神域を穢した奴らを……。
「水神様も難儀だな。村の奴らのせいで力をまともに使えなくなってさ。僕は、僕たち、いや私たちは奴らに復讐できるのなら、水神様さえ利用しよう。そのためにこの霊力を分け与えるのだから」
ああ、やばいな。意識を乗っ取られかけた。先祖たちの記憶、殺された血族の恨みや憎しみに。僕はいつまで僕でいられるのか。
「はぁ、早く水神様との契約に必要なものを用意しないとな~~。水神様のためにさ」
僕は生い茂った緑の中を歩く。契約のために必要なものを用意するのには、一旦村に帰るしかないのかな。嫌だな。なんとか、水神様の護りの届いているところで材料を準備するようにしよう。あれは結界だろう。この場所は薄い膜のようなもので包まれている。そのため、村人たちが見つけるのは難しいと思うが、あとで水神様に結界のことについて確認しておこう。
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