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23話
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当時の村長の息子は、村の女性から一定の人気があった。彼女は彼が囲まれている姿を間近で見ていた。彼の人気を理解していた。人気者の彼と自分なんかが結ばれていいのかと不安があったのかもしれない。実際、どんな理由だったのかはわからないよ。
巫女は湖に行くことが好きだった。なんでも、心が落ち着くらしく、時間があればその湖に足を運んでいた。
昔は立ち入り禁止ではない湖。そこでは、村の人々が水神様を崇拝して、食べ物や魔除けの物などを供えていた。
純粋に神様に貢物をしていた。村の恵みと安寧を求めてね。生贄というもの、人間の供物なんてものはなかったよ。
ある日、巫女は水神様と会った。巫女は人間姿の水神様を見た。湖から出ていた水神様を見て、恋に落ちてしまった。神と人間は結ばれる関係ではないと知っていた巫女。でも、恋心を秘めておくことは、罪になることはない。
彼女はその恋心を胸に秘めて、水神様のいる湖へ訪れた。何回も何十回も何百回もそこへ訪れた。彼女は湖に通い続けた。それが、彼女の生きがいになったかのように――。
そして、いつしか彼女は水神様の恋人となった。彼女の恋は結ばれたのだ。しかし、その時すでに、問題が生じていた。彼女が村長の家の息子との結婚を断ったことによって、問題が起きたのだ。
村長の息子は巫女が好きだった。また、彼はある女に執着するほどの恋心を抱かれていた。自分の好きな人と両思いになれない。そんな重い恋心が向かう先はどこだったんだろうね。
村長の息子は自身との結婚を断った巫女が毎日通う場所はどこなのかを知りたくなった。何か秘密があるのではないかと勘ぐった。
「お前の隠し事を暴いてやる」
自分から離れるなんて許さない、という気持ちから彼は動き始めた。そして、巫女の後を追い、見たものは――。
巫女が向かった先は湖だった。巫女の目の前には一人の男が立っていた。その男に寄り添っていく巫女の姿。村長の息子はその様子に大いに驚いた。驚愕するとともに怒りと悲しみに支配された。
「あの男は誰だ! 私の物に手を出すなど許しはしないっっっ!!」
彼は激情に身を任せてしまう。彼が見た男は存在しない者である。いや、存在はしているが、その時見たものに関しては違ったのだ。いわゆる幻覚の類だ。彼は冷静な判断をすることができずにある一人の女の仕組んだ罠にはまった。彼に見える幻は、他の誰かに見えることはないもの。もし彼と一緒に他の誰かが行動していたならば、彼はそのおかしさに気づいていたかもしれない。
「あの方は私の物。他の誰にも渡さないわ。巫女、あなただけは絶対に許しはしない。彼の心を奪ったあなたは、早速邪魔な存在でしかないわ。私はあなたを……」
一人の女は誰にも見つからないようにひっそりと彼らの様子を伺っていた。自分の思い通りに事が進んでいる光景に、恍惚な笑みを浮かべる。
「さぁ、もっと堕ちて頂戴」
彼女は彼を手に入れるために、邪魔な巫女を消すために、彼にある幻を見せた。
巫女と男が口づけをするところを巫女と男の逢瀬を見せてあげた。その時の巫女はただ湖を覗き込んで座っていただけだというのに、村長の息子は幻惑を破ることはできなかった。
巫女は湖に行くことが好きだった。なんでも、心が落ち着くらしく、時間があればその湖に足を運んでいた。
昔は立ち入り禁止ではない湖。そこでは、村の人々が水神様を崇拝して、食べ物や魔除けの物などを供えていた。
純粋に神様に貢物をしていた。村の恵みと安寧を求めてね。生贄というもの、人間の供物なんてものはなかったよ。
ある日、巫女は水神様と会った。巫女は人間姿の水神様を見た。湖から出ていた水神様を見て、恋に落ちてしまった。神と人間は結ばれる関係ではないと知っていた巫女。でも、恋心を秘めておくことは、罪になることはない。
彼女はその恋心を胸に秘めて、水神様のいる湖へ訪れた。何回も何十回も何百回もそこへ訪れた。彼女は湖に通い続けた。それが、彼女の生きがいになったかのように――。
そして、いつしか彼女は水神様の恋人となった。彼女の恋は結ばれたのだ。しかし、その時すでに、問題が生じていた。彼女が村長の家の息子との結婚を断ったことによって、問題が起きたのだ。
村長の息子は巫女が好きだった。また、彼はある女に執着するほどの恋心を抱かれていた。自分の好きな人と両思いになれない。そんな重い恋心が向かう先はどこだったんだろうね。
村長の息子は自身との結婚を断った巫女が毎日通う場所はどこなのかを知りたくなった。何か秘密があるのではないかと勘ぐった。
「お前の隠し事を暴いてやる」
自分から離れるなんて許さない、という気持ちから彼は動き始めた。そして、巫女の後を追い、見たものは――。
巫女が向かった先は湖だった。巫女の目の前には一人の男が立っていた。その男に寄り添っていく巫女の姿。村長の息子はその様子に大いに驚いた。驚愕するとともに怒りと悲しみに支配された。
「あの男は誰だ! 私の物に手を出すなど許しはしないっっっ!!」
彼は激情に身を任せてしまう。彼が見た男は存在しない者である。いや、存在はしているが、その時見たものに関しては違ったのだ。いわゆる幻覚の類だ。彼は冷静な判断をすることができずにある一人の女の仕組んだ罠にはまった。彼に見える幻は、他の誰かに見えることはないもの。もし彼と一緒に他の誰かが行動していたならば、彼はそのおかしさに気づいていたかもしれない。
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一人の女は誰にも見つからないようにひっそりと彼らの様子を伺っていた。自分の思い通りに事が進んでいる光景に、恍惚な笑みを浮かべる。
「さぁ、もっと堕ちて頂戴」
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