愛される王女の物語

ててて

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第1章 家族

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閉じているはずの瞼に光が透けた。
眩しく感じる光を我慢して目を開く。

視界にはいる、見覚えた天井。
触り心地のいい白いシーツの擦れる音。
私の部屋だ。

なぜ、私は部屋で寝ているんだろう。
昨日はやっと与えられた食事を食べ、部屋へ戻る時に……あぁ、なんだか苦しくなって倒れたのだった。

息が吸える。自分の口で、肺を動かして。
昨日のような苦しいことはなかった。

コンコン


「失礼致します。……っ!シルフィオーネ様っ!お気づきになられましたか!」

メイドのミーナが入ってくる。

「?」

私は思わず首をかしげた。私は昨日なにかあったの?

「えっ……シルフィオーネ様?もしかして…昨日のこと覚えていらっしゃいませんか?」

昨日のこと?倒れたことよね?…あれ、昨日、何を食べたのだっけ?
昨日は|ドミニカ様(義母様)の機嫌が悪く、朝と昼は食事を与えられなかった。そして、限界までお腹がすいた私にドミニカ様が何かをくれた。

私はそれを食べた…と思う。

ドクドクと心臓の音が体に響く。息がしずらくて必死に呼吸しようとするが、上手くできない。

苦しい

「シルフィオーネ様っ!!」

彼女が駆け寄り背中をさする。ゆっくりと呼吸をしようと、落ち着こうと彼女の手の動きに合わせて呼吸をした。

しばらくしてやっと落ち着く。


「………大丈夫、よ」

喉から絞り出すように声を出した。
喉が気持ち悪い。なんだか体おかしい。

「……っ!お話に!!
っ!?シルフィオーネ様っ、ご無理なさらないでください!」

彼女は消えてしまいそうな声を出して、目に涙を滲ませながらもグッと堪え立ち上がった。

「…っ少々お待ちください。ただいま宮廷医師を連れてまいります。」

彼女は震える声でそう告げると静かに部屋から出ていった。
重厚な扉の音だげが響く。

しばらくベットから部屋を見渡す。
いつも通り、使用人たちが綺麗にしてくれる部屋。右側には大きな窓があり、白いカーテン越しに陽が差し込んでいる。

そこからは小鳥のさえずりさえ聞こえてきた。

数十分が立ち足音が近づいてきた。扉をノックして入る。

入ってきたのはミーナとここの医師のビステナだった。ビステナはベットのサイドに置いてある椅子に座ると、カバンを開く。

私の手を抑え、脈を測り目の下の色を見る。首や顔の周りを触り口の奥を除く。
聴診器をあて手や足を触る。

「わ、たしは、きのう、なにかあっ、たの?」

途切れ途切れになりながらも言葉を紡ぐ。

「…昨日、シルフィオーネ様はよって毒を飲まされ、廊下で倒れていたのをこのミーナに発見されました。……何かお心当たりはございますか?」

昨日…といえば、含んだものはドミニカ様に頂いた食べ物だったはず。

まさか……それに?
とうとう、ドミニカ様は私のことを殺そうとしているの?

怖い

また息が荒くなる。
気づいた先生がグイッと上を向かせ息を吸いやすいようにしてくれた。
おかげで過呼吸にはならなかった。

「…失礼致しました。
どうやらお心当たりはあるようですね…。大体の事は想定できますが…一先ず、ご無事で何よりでございます。
シルフィオーネ様を守れず申し訳ございません。」


ビステナ先生は申し訳なさそうに言う、が反して私の頭には上手く入ってこない。

私の名前はシルフィオーネ・クラン・カスティリア。

一応、ここのカスティリア王国の第二王女。形だけなのだけれど。


実際は、ここ後宮でドミニカ様とラベンナその娘に玩具のような扱いを受けている。

気に入らないことがあれば、私にあたり、鞭をうち、暴言を浴びさせ、殴り掴む。

食事が貰える日はまだいい日。部屋から出られない日、外に放り出される日。
それはその日によってまちまちだ。


こんな生活を12年も送っている。
王宮という所には国王陛下も第1王子様もいらっしゃるそうだが、会ったこともなければ見たことも無い。

まぁ…関係の無いことよね。


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