マフィアと幼女

ててて

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第2章 生活

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・アラン視点




クラウスさんに命じられて子どもの護衛をすることになった。

なんでも、「疲れて眠っちゃったから、部屋の護衛してちょうだい!可愛すぎてフィルスの奴らに襲われたら困るわ!」だそうだ。

クラウスさんは何を言ってるんだろうか。
クラウスさんと言えばアズーロの相談役で言わば頭脳だ。頭が良く周り、策を講じれば誰にも負けない。問題は話し方と性格ぐらいで。


まぁ、命じられれば仕方がない。嫌々な気持ちで寝てると言われた部屋に入る。

そこにはベットに身を丸くして、すやすやと心地よさそうに眠る子どもがいた。

長い黒髪はベットに散らばり、金色に縁取られた長いまつげはおりている。
ぷくっとした薄紅の唇を少し開け、彼女は眠っていた。

人目見ると目が離せなくなってしまう。

こ、これは断じて見惚れた訳では無い。
ただ、見るものが他になかったからだ!

そんな風に脳内で自分をただし、ソファに座る。

最近、隣国のセントグリアで勢力争いが勃発しているらしい。聞いた話によると、王が病で床に付されたらしい。
そんななか、もしもの事を想定して王位継承権を持つ2人の王子の勢力争いだ。

第1王子は正義感が強く、頭が切れる。
第2王子は野心家で武術に長けている。

そんな上級貴族達の抗争に巻き込まれないよう、下級貴族や領民たちが次々とこの国、ウェルトニス帝国に逃げてきている。

アズーロにも何人か入ってきており、帝国自体はそんな彼らを受け入れているようなのでほっといている。

ただ、今回のことは次に継承する王子どちらかによって事が大きく変わるので私はこうしてセントグリアの歴史書を読んでいた。
歴史書を読んで、未来がわかる訳では無いが未来は歴史という土台によって作られたものでありどうしても歩みは似てしまうものだ。

セントグリア語は難しく、ちょくちょく辞書を見て読むしかないがそれを黙々と読み続ける。

すると、ベットの軋む音が聞こえた。
目をやると金色の目は開かれ窓を眺めている。こちらに気づくとまた挨拶をされた。

今朝は逃げてしまったが、今は大丈夫だろう。バレないように深呼吸をし意を決して話しかける。

よく眠れたそうだ。
そこで会話は途切れたので本に目を戻す。
だが、本に集中出来るわけもなくどうすればいいのか焦ってしまう。

(何か話しかけた方がいいのか?いや、でもなんて…)

考えているうちに後ろからどったーんっと大きな音が聞こえ、振り向くと彼女が落ちていた。

驚き、とっさに抱き起こす。左肩を打ったようで痛みに苦痛の顔を浮かべた。

急いでソファに座らせ、廊下にいた構成員に濡れタオルと氷のうを持ってこさせて冷やした。

ベットに降りる際何故、私を呼ばなかったと聞いたら、読書の邪魔はできないと言われた。

わざわざそんな事を気にしたのか?女は自分の事しか考えない生き物では?人の事情なんて考えないのでは?

と、疑問を浮かべる。
しばらく氷を当てると自分でやるから読書に戻ってほしいと言われた。
どこまで、人のことを気にしてるのか。
左肩は今は赤くなっている。これは時間が経てば青紫に変色するだろう。それほど、痛いはずなのに…どうしてそこまで他人を気にするのか。

彼女も私がやると力が抜けないだろう。
私は読書に戻ることにした。

やはり、セントグリア語で書かれた本は難しくスラスラと読めない。少し難航していると彼女は口を開いた。

「革命…です」

「………ん?」

「今の、12行目の8文字目の言葉は革命と読みます。」

驚いた。本当に辞書と同じ訳を答えたのだから。

読めるのですかと聞いたら困らないくらいにはと答える。
その後もちょくちょくと訳を聞くとどれも当ててみせる。長文を聞くとセントグリア語で読んでくれて訳も教えてくれた。

「……素晴らしいですね。」

本当に驚いたのだ。ぽろっとそんな言葉が出てしまう。その言葉に彼女は、顔は見えなかったが耳を赤くしていた。

そんな彼女に少し胸を締め付けられた。

なんて、愛らしいのだろうか。
この子があんな姉達と同じ?滅相もない。

私は自分の目が腐っていたと思った。
とてもいい子じゃないか。
素直で、可愛らしく、それでいて頭もいい。礼儀正しく、愛らしい。

ボスやクラウスさんやイヴァンさん達があんなにデレデレに接するわけだ。

思わずと言うように頭を撫でる。最初、頭に触れるとびくっと体を怖ばせたがすぐに体を預けてくれた。

撫でると止まらなくなる。

彼女も嫌ではないようでされるがままだった。

そんなときだ。

バンっと勢いよく扉が開いたのは。

「たっだいまーエレナ!!」

とてもいい笑顔のボスはとても絶妙なタイミングで帰還された。



そして、私は思う。



今日は私の命日かもしれないと。





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