マフィアと幼女

ててて

文字の大きさ
上 下
30 / 40
第2章 生活

30

しおりを挟む

目が覚める。
先程までの眠たさが嘘かのようにパッチリと目が開いた。

体を起こす。窓に目を向けると太陽が沈む頃で夕日がとても綺麗だった。

視界の端で何かが動く気配がする。そこにはソファに座ったアランさんが本を読んでいた。

アランさんが横目でこちらを見る。

「お、はようございます。」

今朝のように挨拶はしたが、また無視をされるかと思う。だが、アランさんの意識は私からすぐに本に戻る。

少し重たいようなため息をついてから返事が返ってきた。

「…………よく眠れましたか」

「はい。」

それで会話は途切れた。
どうしようか…
アランさんは本に集中しているし、邪魔しない方がいいですよね?
でも、ここにアランさんがいるってことはまだアルフレッドさん達も帰ってきてないし…
だからといってもう一度寝ようとは思えないし…

ひとまずベットに降りようと足を下ろす。

すると、私が思っていたよりベットが高く、私が思っていたよりベットには反発力があった。

沈んだ体に対し反発力で体がぼふんっと跳ね返る。気づいた時には自分の顔は地面に直面していた。

とっさに受け身を取り顔を守る。
顔は無事だが左肩をぶつけた。

「…………っ!!」

痛みが左肩を走る。しばらく動けなかった。

すると、アランさんがいつの間にか近くにいて抱き起こしてくれる。

「な、何をしているのですか!!」

「えっと……痛っ」

説明しようと思うが左肩が結構痛い。

アランさんは私をソファに座らせるとすぐに廊下へ行き、構成員に頼んで濡れタオルと氷のうを持ってきてくれた。

すぐにあててくれる。

「肩以外に痛みはありますか?どこか捻ったとか、動かせないとか」

「大丈夫だと思います……」

「なぜベットから落ちたんですか」

「えっと、ベットから降りようとしたんですが、思っていたより高くて…あと反発性みたいで体が飛ばされたというか……」

「はぁ……そんなの私を呼べばいいでしょう。」

「ごめんなさい、アランさんの読書の邪魔をしたくなくて…結局邪魔になってしまいました。本当にごめんなさい」

不快な思いをさせないようにと思っていたのに、失敗してしまった。

「あ、いや、……こちらこそすいませんでした。少し嫌な言い方をしました。」

「い、いえっ、そんなことは…っん!」

少し体を揺らしただけで左肩がツキンっと痛みが走る。変な打ち方をしたかもしれない。

「あぁ、動かないでください。打撲などは冷やしてあまり動かさないべきです。」

アランさんは自分の両足の間に私を入れて固定する。そうして後ろから左肩を冷やしてくれた。

あててくれる氷のうにそっと触れる。

「私、自分で当てれます。アランさんは読書に戻ってください…」

「いや、別にこれくらいは…」

「大丈夫です、」

「……わかりました。私がやると貴方が気を抜けないでしょう。私は読書に戻ります。
また、痛かったり何かしたいなら言ってください。」

そうして、アランさんは読書に戻る。
もっとも膝に私が居るので本は私の目の前にあるのだが。

本を覗いてみるとどうやら歴史書のようだった。隣のセントグリア王国の歴史書で、セントグリア語で書かれている。

たまに本を置き、ペラペラと自分の胸元から出した小さい本をめくっては本を読み始めるの繰り返しだった。

しばらくして、また本を置こうとする。

「革命…です」

「………ん?」

「今の、12行目の8文字目の言葉は革命と読みます。」

「……君は、セントグリア語が読めるのですか?」

「…困らないくらいには」

セントグリア語というのはニール君が話す言葉だ。隣のセントグリア王国が公用語にしていて、歴史深い言葉でもある。

「………これは?」

「皇太子」

「………これは?」

「紛争」

それからアランさんが読み、分からない言葉を私が訳する。というのを繰り返した。

いつの間にか外は日が落ちて夜になっていた。








・気がついたら30話まで書けました!
   奇跡ですね笑
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転生したら幼女でした!?

@ナタデココ
恋愛
これは異世界に転生した幼女の話・・・

『番外編』イケメン彼氏は警察官!初めてのお酒に私の記憶はどこに!?

すずなり。
恋愛
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の身は持たない!?の番外編です。 ある日、美都の元に届いた『同窓会』のご案内。もう目が治ってる美都は参加することに決めた。 要「これ・・・酒が出ると思うけど飲むなよ?」 そう要に言われてたけど、渡されたグラスに口をつける美都。それが『酒』だと気づいたころにはもうだいぶ廻っていて・・・。 要「今日はやたら素直だな・・・。」 美都「早くっ・・入れて欲しいっ・・!あぁっ・・!」 いつもとは違う、乱れた夜に・・・・・。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんら関係ありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!

りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。 食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。 だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。 食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。 パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。 そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。 王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。 そんなの自分でしろ!!!!!

美人すぎる姉ばかりの姉妹のモブ末っ子ですが、イケメン公爵令息は、私がお気に入りのようで。

天災
恋愛
 美人な姉ばかりの姉妹の末っ子である私、イラノは、モブな性格である。  とある日、公爵令息の誕生日パーティーにて、私はとある事件に遭う!?

至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます

下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。

男女比がおかしい世界にオタクが放り込まれました

かたつむり
恋愛
主人公の本条 まつりはある日目覚めたら男女比が40:1の世界に転生してしまっていた。 「日本」とは似てるようで違う世界。なんてったって私の推しキャラが存在してない。生きていけるのか????私。無理じゃね? 周りの溺愛具合にちょっぴり引きつつ、なんだかんだで楽しく過ごしたが、高校に入学するとそこには前世の推しキャラそっくりの男の子。まじかよやったぜ。 ※この作品の人物および設定は完全フィクションです ※特に内容に影響が無ければサイレント編集しています。 ※一応短編にはしていますがノープランなのでどうなるかわかりません。(2021/8/16 長編に変更しました。) ※処女作ですのでご指摘等頂けると幸いです。 ※作者の好みで出来ておりますのでご都合展開しかないと思われます。ご了承下さい。

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました

市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。 私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?! しかも婚約者達との関係も最悪で…… まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

女官になるはずだった妃

夜空 筒
恋愛
女官になる。 そう聞いていたはずなのに。 あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。 しかし、皇帝のお迎えもなく 「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」 そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。 秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。 朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。 そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。 皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。 縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。 誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。 更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。 多分…

処理中です...