猫系男子の優雅な生活

ててて

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団長

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その後も黙々とギルバートは書類を捌いていた。
机に積み重なったいくつかの書類はどんどん振り分けられていき、手さばきの速さに仕事が出来る大人って感じがした。

書類を見てる間でも話していいみたいで、好きな食べ物とか嫌いな食べ物とか割と何気ない話をしていた。

ちなみに好きな食べ物は甘いもので、嫌いな食べ物は苦いのと辛いのと熱いの。好物はケーキだ。

「ギルバートは、副団長なの?」


「えぇ、そうですね。今の団長、つまり私の上司が直々に指名して下さったせいで、まだ25歳にも関わらず仕事が多いのです。」

ギルバート、25歳なんだ。
話し方が丁寧だし、仕事もできるからすごく大人っぽい。25歳でも充分大人だけど、もっと歳上に見えた。


「……はぁ、あとこれだけ終わればマオと休憩しましょうね。」


何枚かの冊子をまとめながら、微笑んでくれた。
やっぱり仕事量が多すぎるのか、疲れて見えるし優しくしてあげたい。

そんなことを考えながら、手伝えることもないので大人しくソファに座っていた。
すると、扉が勝手に開いて男の人が入ってきた。

黒髪パーマのくせ毛に健康的な肌、シャツの上からでもわかる筋肉は軍服出なくとも騎士だと分かった。胸元には第一騎士団の紋章がついたブローチを付けており、腰には重そうな剣を携えている。



「あーあ、疲れた。ギル、お前昨日儀式の間に居たんだよな?なんだあのじゃじゃ馬娘。あれの何処が聖女………は?」

黒髪の人は綺麗な顔にはそぐわない乱暴な手つきでガシガシと頭をかきながら、ギルバートに投げかけた。
やっと、僕に気づいたようで変な風に言葉が途切れる。


「…はぁ、団長。ノックをしてください、ノックを。貴方がそんな風だからヒュウも育たないのです。」

「……いや、はい。…え、」


ギルバートは立ち上がって、団長を睨みつけた。


ギルバートに怒られながらも、団長?さんは僕を見て目を離さない。ジリジリと近づいてくるから、何となくソファから逃げてギルバートの後ろに隠れた。

ギルバートの匂いがする。ちょっとミントみたいなスッキリした匂い。この匂い結構気に入ってる。

無意識に匂いをスンスンと嗅ぎながら引っ付いていて、ギルバートの表情は見えてなかっだ。

「………お前、そのデロンデロンの顔何とかしろ。」


「…………うるさいです。仕方ないでしょう」


デロンデロンって何とギルバートの顔を覗き見たら通常のキリッとした顔に戻っていた。

「ごほん、マオ。あの方は先程話したこの第一騎士団の団長、アルベルト・ユーズです。乱暴でガサツで粗野ですが、この団でいちばん強いですし、頼りがいはありますよ。あまり近づいては行けませんからね。」

と、アルベルトを指さして言い、僕が頷くとまた頭を撫でてきた。


「……おい、誰が乱暴でガサツで粗野なんだよ。優しくて勇敢で頼りがいのある団長様だろ。」


「はぁ?……ごほん、失礼しました。では、優しくて勇敢で頼りがいがあるダンチョウサマ、この書類やって下さい。貴方の仕事です。
では、マオ。約束通りお茶にしましょうね。」

「ん。」


「はぁ?なんでそうなるんだよ。つーか、その子?の説明をしてくれ」

「……説明しますからまずは紅茶の準備くらいさせてください。そして早く席座って書類に目を通して下さい。あとそれだけなんですから、ね。
マオ、私の隣に座ってくださいね。」


一瞬部屋の空気が凍ったように凍てつくような声色でギルバートは団長を睨むと、とたん僕の方を見ていつもの優しい顔に戻った。

とりあえず、波風をたてまいとたし流されるままにソファに座った。

ギルバートは廊下に待機していた従僕に声をかけると隣に座ってきた。

直ぐにティーカップが乗ったワゴンが運ばれ、今日はマドレーヌも着いていた。慣れたように紅茶を入れると僕の前に、そして団長にも渡す。

ようやくギルバートの分も入れ席に着いたとこで団長が口を開いた。

「それで?その子は…?」

「その前に。さっき言っていた聖女(仮)の話ですが。確かに昨日私は儀式の間に居ましたよ。それについての報告書も書きあげてあります。そちらのクリップで留めたものです。」

「あぁ、これな。わかった。……それで?」

「その報告書を読めば分かりますが。は昨日の聖女の召喚で一緒に召喚された異世界の人です。マオと言います。」

一応紹介されたので、頭を下げておく。

……まだ、紅茶熱いな。

「……ん?確かに昨日召喚されたのは2人で、1人はほぼ確実に聖女だと魔法省から聞いた。もう片方は男だったと報告を受けたが?」

「だから、【彼】ですよ。」

「………俺の目には淑女にしか見えないが。」

「はい、とても可愛いですが、男の娘です。」


………

「嘘だろ。」

「だから、本当ですって」

「いや、そんな可愛い男がいてたまるか」

「居るんですが」

「その子は女の子だぞ、どう見ても。もし万が一にも男だとしたらこの国の女が可哀想なくらいだ。」

「同感です。とても可愛いでしょう」

「あぁ。可愛いけどな。女の子だろ?」

「……はぁ、もうこのバカは放っておきましょう。マオ、この焼き菓子は食べましたか?甘くて美味しいですよ。あぁ、紅茶が少し熱いですよね、待ってください。……はい、これで飲めるはずです」

フーと冷たい息が吹きかけられた紅茶は、さっきよりも湯気が落ち着いている。それを少し飲んで、マドレーヌを食べた。マドレーヌはバターが濃厚で甘みもあって美味しい。

チラっとギルバートを見ると彼も紅茶を飲みながら、こちらを見ていた。

「美味しいですか?」

「…ん、ありがとう」

またしてもギルバートはニコニコで、マドレーヌをもう一つ取ってくれる。

「……どっからどう見ても女の子にしか見えん。なんか可愛いし。ギルはデロデロだし。なんなんだ」

「だから男の娘ですって。服をぬがして確かめたいんですか?」

「は!?いや、そんな、お前馬鹿か!!」

「馬鹿は貴方でしょう。」

どうやら、ギルバートは団長と仲がいいみたいだ。
慣れたように言い合う2人はとても怖そうな雰囲気では無かった。

「……あの、僕、こんなんだけと男、です。」

「……まじか。…いや、そうか、悪い、あまりにも可愛いしどう見ても……。あ、俺はアルベルトだ。アルベルトって呼んでくれな。俺にもギルみたいに敬語無しでいいぞ。」


なんか、いっぱい可愛いって言われるから照れてしまう。こんなイケメンに真正面から褒められたことが無いのでどう反応したらいいか困るがとりあえず、否定はしない。

僕も可愛いと思う。こういうクラシックなワンピースあまり来たこと無かったし、黒髪にも合うしね。

アルベルトは自己紹介すると、その野性味ある顔でニカッと笑った。八重歯が可愛かった。


「マオ、」

敬語無しだと、マオです(?)マオだよ(?)なんて言えばいいの


「マオか。マオ。可愛いな、、妹にしたい」

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