猫系男子の優雅な生活

ててて

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安心出来る人

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  「……。…。…マオ。…マオ、大丈夫ですか」


なんだか懐かしい夢を見ていた気がする。
でも、いい夢ではなかった、あまり思い出したくない夢。

いつの間にか寝ていたのか、ウトウトと目を開けた先には、こちらを心配そうに除く銀髪のイケメン、ギルバートがいた。


「なんだか、寝心地が悪そうだったので起こしてしまいました。おはようございます、マオ」

できた寝癖を撫で付けるように頭を撫でられた。
起き上がれば、来ていたセーラー服は脱がされており、少しダボつく服を着せられている。

「すみません、あなたの服はシワがつきそうだったので、あちらにかけて起きました。とりあえず私の服で我慢してください。」

そう言って、もう一度サラッと髪を撫でるとギルバートはベットのサイドチェアから立ち上がった。



どうやら僕は、ヒュウが出ていった後に寝てしまったらしい。さっきまでいたギルバートの執務室から知らぬ間に移動しており、見慣れない部屋だった。

寝起きのせいかまだボーっとしている。

着せられたギルバートの服からふわっと匂いがした。
落ち着いたミントのような爽やかな匂いで、なんだか安心出来る。僕は余る袖を顔に着けたままもう一度、寝転がった。

召喚された時、向こうの世界では放課後だった。
僕は部活に所属していないため帰るところで、廊下側の1番後ろの席にいた僕は帰ろうと振り返ったのだ。そんなとき、教室に入ってくる渡辺の足元の光に照らされ、気づいたらこの世界だった。

そういえば、持っていたカバンやケータイもどっかに行ってしまったなぁと考える。

まぁ、思い出があるわけでもなければ、こんな異世界で必要ないんだろうけどね。


ふかふかのベットから少し顔を上げてギルバートを見た。あれは夢じゃなかったんだなと半身思いつつ、ギルバートはイケメンだなと再確認する。

「あのクローゼットの中にヒュウが買ってきた服が何着か入ってます。着替えの手伝いは入りますか?」

「……大丈夫。……あの、お風呂ってある?」

昨日はお風呂にも入らず、髪の毛も縛ったまま眠ってしまい、ぐちゃぐちゃだった。

「あぁ、そうですね。お風呂はこちらです」

ギルバートに差し出された手を取ってお風呂に向かうと、大体の使い方を教えてもらいお風呂に入った。

あまりお風呂は好きじゃないので、体さえ洗えば即に出る。

ボタンを押すと全身の水滴が取れる魔道具があって便利だった。

クローゼットには昨日ヒュウという人が買ってきてくれたらしい服が何着か入っていた。
男物だと、シンプルで黒や白、茶色の無地のものが多い。逆に女物はフリルや色がカラフルで、可愛らしい物が多かった。

昨日ギルバートが見たいって言ってたから、何となく女物の服にした。

手に取ったのは真っ青の生地に白いフリルが着いたAラインの膝丈ワンピースだ。首元に丸襟が付いていて可愛かった。

それに合わせて、髪の毛は編み込みで右肩にサイドに流しておく。

コスプレみたいだなと思いながらも、似合う自分に少し満足した。

脱衣所から部屋に戻れば、ギルバートが待っていたみたいだ。


「……大変可愛らしいですね。こちらの服も良くお似合いです。」

ギルバートが優しく微笑み、褒められて満更でもない。そのままギルバートについて行き、昨日の執務室で朝食を一緒に食べた。

出された野菜のスープは湯気が経つほど熱くて、飲む前に気づいたギルバートが冷気の息を吹きかけてくれた。

朝食が終われば、キルバートは業務があるらしく執務の席に座り、僕はソファで寛いでいてと言われた。


ソファの隙間からギルバートを覗く。


さっきまで付けてなかったメガネを付けて、手元の書類を見ている。

ギルバートの銀の髪は短い。目は青く落ち着いた色で、鋭いから一見怖そうに見える。
でもギルバートは優しい。まだ出会って少ししか経ってないけど、この人は信頼できそうだと感じていた。

ソファから立ち上がって、ギルバートの近くによる。
見ている書類には、暗号のような文字の羅列があって読めなかった。全然分からない。

あ、でもこれ分かる。

ほかの書類に、数字で書かれたものがあった。
恐らく経理の書類だと思われる。

「どうしました?」

「…これ、計算合わない」

「ん?」

表を指す。全部出しても支出額が合わないため、横領なり書かれていない出費があるのだろう。


「……はぁ、私の所に持ってくる前に間違いは気づいて欲しいのですが。……マオ、ありがとうございます」

手を伸ばされ、撫でられるのかなと少し頭を下げた。
ギルバートの手は暖かいな…


人にこうして撫でられることはなかったけど、こんなに気持ちいいんだなと思い無意識に擦り寄った。








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