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第1章
4 お家探検
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千聖side
「ご飯?」
「あぁ。結局、夜ご飯食べてないだろ?
俺、お腹空いたよ…」
確かに鍋を食べると言った矢先に召喚されたから食べ損ねたのは事実である。
でも、私はまだこの展開についていけてない。向こうにはお父さんとお母さんの仏壇があるし、2人で住んでいた家も思い出だ。
突然、知らない世界に連れてこられて住めと言われても戸惑うに決まっている。
だが、陛下はさっき言った。
「元の世界に戻すのは不可能だ」と。
お兄ちゃんはそんな私の不安に気づいたらしい。
「ちー、元の世界に戻りたいか?」
「お兄ちゃんは戻りたくないの?」
「んー。向こうには父さんと母さんがいるからなぁ。そう考えると戻りたくはある。
でも、実はこの世界での暮らしにも興味があるんだ。」
この世界での暮らし?魔法とか剣とかかな?
「…その顔はわかってないな。この世界には俺たちが兄妹って知るやつはいないんだよ。
だから人目を気にせず、ちーとイチャイチャできる!…なんて。こんなこといったら親不孝かもな」
……イチャイチャ?
もしかして、屋敷に来るまでも手が繋ぎっぱなしだったのもそれだから?
この世界に対してはの不安はある。
だが元の世界に戻る方法がないので、この世界で生きていかなければならないというのは決定事項だろう。
そしてお兄ちゃんと兄妹としてでなく恋人として住める。元の世界では人目を気にしてできなかった“イチャイチャ”そんな魅力的な話に私の不安は少し薄れてしまい、期待が高ぶった。
「ご飯、食べよっか」
「あぁ。だけどまず、キッチン探さないとな。」
手を繋いでだだっ広い屋敷の中を探検する。
「お兄ちゃん、このお屋敷とても広いけどどうやって掃除するの?使用人さんも断っちゃったし。」
とても広いのだ。本当にここに住むという現実が帯びてくると色々心配になってくる。
「どうせ住むのは2人だけだからな。使う部屋だけに絞ってそこだけ掃除するつもりだよ。…使用人なんか雇ったら新婚気分になれないだろ」
最後の方はなんと言ったら聞こえなかったがそれなら安心かな。
奥の部屋でキッチンと思われる場所を見つけた。
「広いな…これはキッチンというより厨房だな。さすが貴族御用達な訳だ」
お兄ちゃんはその広さに感心していたが料理を作る方からすればこれは嬉しい。
広いキッチン、揃えられたフライパンや包丁、綺麗なお皿に冷蔵庫からはたくさんの食材。料理好きの人には夢のような場所である。
「ん?ちー、どうした?」
「…すごい。お兄ちゃん!絶対美味しいご飯作るから待ってて!できるだけ早く作るからその間、お屋敷探検してて!」
らしくなくテンションが上がってしまう。
そんな私を見てお兄ちゃんは優しい目つきで頭を撫でる。
「わかった。楽しみにしてるな!」
そうして、お兄ちゃんは厨房から出ていった。
「よし!何を作ろうか!」
冷蔵庫の中の物を見る。美味しそうな野菜?と、鶏肉?みたいなお肉があるので炒めて果物もだそう。あ、ご飯…はないのね、パンはあるから色がつくくらいしっかり焼いて、あとは…
それはもう夢中に作った。
響side
厨房に入った瞬間のちーのはしゃぎようが
とんでもなく可愛かった。
思わず抱きしめるのを我慢して撫でただけの俺を褒めて欲しい。
だっていつも血色が薄く綺麗なちーが頬を染めて笑顔満開だったらどんだけの破壊力か…
こっちに来てからとても不安そうだったが、
あの笑顔を見るとやってはいけそうに思える。
ちーはあまり自分の気持ちを口に出さないからこちらから気づいてやらないとな。
もう、シスコンでも過保護とでも言ってくれ。
「ご飯?」
「あぁ。結局、夜ご飯食べてないだろ?
俺、お腹空いたよ…」
確かに鍋を食べると言った矢先に召喚されたから食べ損ねたのは事実である。
でも、私はまだこの展開についていけてない。向こうにはお父さんとお母さんの仏壇があるし、2人で住んでいた家も思い出だ。
突然、知らない世界に連れてこられて住めと言われても戸惑うに決まっている。
だが、陛下はさっき言った。
「元の世界に戻すのは不可能だ」と。
お兄ちゃんはそんな私の不安に気づいたらしい。
「ちー、元の世界に戻りたいか?」
「お兄ちゃんは戻りたくないの?」
「んー。向こうには父さんと母さんがいるからなぁ。そう考えると戻りたくはある。
でも、実はこの世界での暮らしにも興味があるんだ。」
この世界での暮らし?魔法とか剣とかかな?
「…その顔はわかってないな。この世界には俺たちが兄妹って知るやつはいないんだよ。
だから人目を気にせず、ちーとイチャイチャできる!…なんて。こんなこといったら親不孝かもな」
……イチャイチャ?
もしかして、屋敷に来るまでも手が繋ぎっぱなしだったのもそれだから?
この世界に対してはの不安はある。
だが元の世界に戻る方法がないので、この世界で生きていかなければならないというのは決定事項だろう。
そしてお兄ちゃんと兄妹としてでなく恋人として住める。元の世界では人目を気にしてできなかった“イチャイチャ”そんな魅力的な話に私の不安は少し薄れてしまい、期待が高ぶった。
「ご飯、食べよっか」
「あぁ。だけどまず、キッチン探さないとな。」
手を繋いでだだっ広い屋敷の中を探検する。
「お兄ちゃん、このお屋敷とても広いけどどうやって掃除するの?使用人さんも断っちゃったし。」
とても広いのだ。本当にここに住むという現実が帯びてくると色々心配になってくる。
「どうせ住むのは2人だけだからな。使う部屋だけに絞ってそこだけ掃除するつもりだよ。…使用人なんか雇ったら新婚気分になれないだろ」
最後の方はなんと言ったら聞こえなかったがそれなら安心かな。
奥の部屋でキッチンと思われる場所を見つけた。
「広いな…これはキッチンというより厨房だな。さすが貴族御用達な訳だ」
お兄ちゃんはその広さに感心していたが料理を作る方からすればこれは嬉しい。
広いキッチン、揃えられたフライパンや包丁、綺麗なお皿に冷蔵庫からはたくさんの食材。料理好きの人には夢のような場所である。
「ん?ちー、どうした?」
「…すごい。お兄ちゃん!絶対美味しいご飯作るから待ってて!できるだけ早く作るからその間、お屋敷探検してて!」
らしくなくテンションが上がってしまう。
そんな私を見てお兄ちゃんは優しい目つきで頭を撫でる。
「わかった。楽しみにしてるな!」
そうして、お兄ちゃんは厨房から出ていった。
「よし!何を作ろうか!」
冷蔵庫の中の物を見る。美味しそうな野菜?と、鶏肉?みたいなお肉があるので炒めて果物もだそう。あ、ご飯…はないのね、パンはあるから色がつくくらいしっかり焼いて、あとは…
それはもう夢中に作った。
響side
厨房に入った瞬間のちーのはしゃぎようが
とんでもなく可愛かった。
思わず抱きしめるのを我慢して撫でただけの俺を褒めて欲しい。
だっていつも血色が薄く綺麗なちーが頬を染めて笑顔満開だったらどんだけの破壊力か…
こっちに来てからとても不安そうだったが、
あの笑顔を見るとやってはいけそうに思える。
ちーはあまり自分の気持ちを口に出さないからこちらから気づいてやらないとな。
もう、シスコンでも過保護とでも言ってくれ。
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