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1話
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解散するころには、もう夜になっていた。わたし達は店長さんと勇一さんに一礼をし、帰路に就いた。肌寒さが増して、心なしに身震いしてしまう。それを、見兼ねたソウ兄は着ていたジャケットを、わたしに羽織らせた。驚いてソウ兄の方へ顔を向けた。
「お前を風邪引かせるわけにはいかないからね」
素っ気ない言い方をしているのに、やさしいことを言ってくれる。小さいときから変わらないやさしい人。そして、わたしの憧れの人。わたしは、いつか彼のように、誰かを支えられるようになれたらいい。
「ソウ兄、そ、その、今日はありがとうね」
「なんのこと」
「ソウ兄が傍にいてくれたから、明日香さんのために力を使いたいと思えた。だから、その、ありがとう」
「俺はただ感情的になっちまったからな。俺も、まだまだガキって証拠だな。反省反省」
誰かのために怒るのは、ソウ兄らしい。そんなやさしい人だから、いつまでも、彼のことを信じることができる。
LINEの通知音が鳴り、確認をすると父さんからであった。晩ご飯はソウ兄と食べてくるようにという内容であった。続いてソウ兄のスマホにも通知音が鳴った。もちらんわたしの父さんからであった。ソウ兄は少し呆れたように溜め息を吐いた。男同士だからか、わたしとソウ兄との扱いが少し違うのかもしれない。
「なぁ、マナ。晩メシは何が食べたい」
「わたしはなんでもいいけれど。父さんになんて言われたの?」
「マナの好きなものを食べさせてやれだとさ。もちろん俺のポケットマネーでな」
「わ、わたしも払うよ」
「中坊に割り勘させるかよ。少しぐらいは年上に甘えたらどうだ」
そう言われてしまったら、わたしは何も言い返せなくなってしまう。わたしは小さく「うん」と頷いた。
――し、知り合いに見られたらデートって思われないかな。
そう思うと、恥ずかしくて体が熱くなってしまった。わたしにとって、ソウ兄はもったいないぐらいだ。ソウ兄には、もっと素敵な人がいるはずだ。
「顔が赤くなってる。風邪でも引いたか」
「そ、ソウ兄のせいだから」
「そうか。んじゃ帰るとするか」
「い、行くよ。じゃあ、ハンバーグとパフェが食べたい」
「相変わらずお子様だな。マナは」
「そうやって子ども扱いする。もう知らない。たくさん注文してやるんだから」
「わ、悪かったよ。それだけは勘弁してくれ」
「わかればいいんです」
「だんだん母上殿に似てきたな」
その言葉にわたしの心を突き刺した。わたしとは真逆の人だ。そしてわたしの一番苦手な人だ。明るく且自由人で、人の気持ちを考えようしないところが、すごく苦手だ。今日も仕事で、どこかへ飛び回っている。
――あの人最後に会ったのは半年前な気がする。
父さんもよく別れようと考えないものだ。我が家には変わり者しかいないのだろう。そう納得するしかない。でも、それも悪くはないだろう。それが、わたし達、相楽家なのだから。
サァと冷たい風が吹いた。わたしはソウ兄に笑顔を向け「さ、早く行こ」と声をかけた。祖合うには静かに「はいよ」と返事をした。
「お前を風邪引かせるわけにはいかないからね」
素っ気ない言い方をしているのに、やさしいことを言ってくれる。小さいときから変わらないやさしい人。そして、わたしの憧れの人。わたしは、いつか彼のように、誰かを支えられるようになれたらいい。
「ソウ兄、そ、その、今日はありがとうね」
「なんのこと」
「ソウ兄が傍にいてくれたから、明日香さんのために力を使いたいと思えた。だから、その、ありがとう」
「俺はただ感情的になっちまったからな。俺も、まだまだガキって証拠だな。反省反省」
誰かのために怒るのは、ソウ兄らしい。そんなやさしい人だから、いつまでも、彼のことを信じることができる。
LINEの通知音が鳴り、確認をすると父さんからであった。晩ご飯はソウ兄と食べてくるようにという内容であった。続いてソウ兄のスマホにも通知音が鳴った。もちらんわたしの父さんからであった。ソウ兄は少し呆れたように溜め息を吐いた。男同士だからか、わたしとソウ兄との扱いが少し違うのかもしれない。
「なぁ、マナ。晩メシは何が食べたい」
「わたしはなんでもいいけれど。父さんになんて言われたの?」
「マナの好きなものを食べさせてやれだとさ。もちろん俺のポケットマネーでな」
「わ、わたしも払うよ」
「中坊に割り勘させるかよ。少しぐらいは年上に甘えたらどうだ」
そう言われてしまったら、わたしは何も言い返せなくなってしまう。わたしは小さく「うん」と頷いた。
――し、知り合いに見られたらデートって思われないかな。
そう思うと、恥ずかしくて体が熱くなってしまった。わたしにとって、ソウ兄はもったいないぐらいだ。ソウ兄には、もっと素敵な人がいるはずだ。
「顔が赤くなってる。風邪でも引いたか」
「そ、ソウ兄のせいだから」
「そうか。んじゃ帰るとするか」
「い、行くよ。じゃあ、ハンバーグとパフェが食べたい」
「相変わらずお子様だな。マナは」
「そうやって子ども扱いする。もう知らない。たくさん注文してやるんだから」
「わ、悪かったよ。それだけは勘弁してくれ」
「わかればいいんです」
「だんだん母上殿に似てきたな」
その言葉にわたしの心を突き刺した。わたしとは真逆の人だ。そしてわたしの一番苦手な人だ。明るく且自由人で、人の気持ちを考えようしないところが、すごく苦手だ。今日も仕事で、どこかへ飛び回っている。
――あの人最後に会ったのは半年前な気がする。
父さんもよく別れようと考えないものだ。我が家には変わり者しかいないのだろう。そう納得するしかない。でも、それも悪くはないだろう。それが、わたし達、相楽家なのだから。
サァと冷たい風が吹いた。わたしはソウ兄に笑顔を向け「さ、早く行こ」と声をかけた。祖合うには静かに「はいよ」と返事をした。
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