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第2章 ラクスマリア城とラクシャータ王女の剣

24話 無情な結末

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 ドサリと音を立てて地面に落ちたアルバートの右腕から[アルバートの短剣]が抜け落ちた。
 右腕を失ったアルバートは未だ状況を理解できてないのか、


「私の腕が…転がっている…何故?」
 とはブツブツと、放心した表情を浮かべていた。
 

 そんなアルバートの姿を覗いて、「これ以上はない」と俺は剣を腰から吊り下げたさやへと納めて、[剣鬼形態]を解除。
 最早勝敗は決した。アルバートにこれ以上俺に対抗し得る手段は何1つとしてないだろう。


「この私が…負けた?え、負けた…のですか?」
 

「そうだよアルバート・ジックレイ。お前は…負けたんだよ、この俺に」


「い、いいいいや、いやいやいやいや、まだだ!まだ何か…まだ何か手が…」
 そんな戯言を呟いて、アルバートは先程まで右腕が箇所に目線を移した。
 移して、絶叫した。


「手が、手がないぃいいいい!?私の、腕がぁあああああ!!」

 
 アルバートはそのまま崩れ落ちるようには地面に腰つかせると、辺りをキョロキョロと見回した。
 見回して、遠く離れた地面に落ちた自身の右腕を見つけ、

「あった!見つけた!これで、まだ戦える!!」

 と、地面を這って腕の落ちた場所へと向かっていった。
 

 その姿はあまりに無様で、情けないく、惨めで仕方がない。
 その姿に人としての威厳はなく、また人を殺めてきた男らしい最後と言えるだろう。


「もう終わりだよ、アルバート…」


 俺はのろく地面を這って進むアルバートを追い越して、アルバートの右腕の拾い上げた。手に持った瞬間にもアルバートの右腕 ものとはまるでオモチャの腕のようにはグニャリとしなる。
 まさかこの手が数多の命を奪ってきたなんて到底思えずに、人の腕とは想像以上に軽いようで、また重いようで…


「…お前アルバートだってこれまでたくさんの命を奪ってきたんだろ?だったら、腕の一本ぐらいどうだってことはない…そうだろ?」


「返せ!」


「嫌だね」


 俺はそのままアルバートの腕を遠く投げ捨てた。
 投げ捨てて、地面を這うアルバートをきつく睨みつける。


「…さぁ、心の準備はできたか…」


「ひ、ひぃいい!」


「お前は俺に負けた。だから…分かってるよな?」


 それは脅しなんかじゃない。
 俺は本気だ。俺は本気でーー


『アルバート・ジックレイという男を殺す気でいたのだ』


 ゆっくりと、アルバートへ向けて歩み寄る。
 アルバートはそんな俺を見て、苦悶に満ちた表情を作ってはガクガクと身を揺らしていた。
 

「わわ、私はまだ…まだ死ねない…まだっ!」
 

、だと?」


「そそそうだっ!私にはまだ…やるべき使命が…復讐せねならぬのだ!!罪深き愚者共に、死を運ぶというっ、尊き使命があるのだぁ!!」


 使


「……ふふ、はははははは!!」


「な、何が可笑しい!?」


「…ははは、いやね、あんまりにもふざけた事ばかり言うもんだからさぁ…だってよ、人の命は平気で奪っておいて、自分の命は惜しがるんだもんなぁ、お前は…」


「ちち、違う!!私はーー


「いや違わねぇよ。何理由つけたってお前がこれまでやってきたことはなくならねぇし、また正当化されることもないはずだ。本当はお前だって分かってんだろ?人の命を奪うって行為はな、人が生きてる上で一番やっちゃいけねぇ大罪だと思うぞ?」
 

 って何言っちゃってんだ俺よ。
 これからその大罪を犯す俺が言えたもんじゃねーだろ…
 

『まぁ、それでも…うん』


 結局はそういうことだもんな。
 そもそも誰かの命を奪って生きる道に救いなんてあるわけないんだ。
 仮にそんな事が許される存在がいるとするならばだ、それは最早神と呼べる存在でしかないだろう。
 

『俺もアルバートも神と呼べるような立派な存在じゃない。むしろ悪魔と言った方がよっぽどお似合いだ』



「もう後には引けないんだよ、俺も、お前もーーー」


 俺はアルバートの頭を鷲掴んだ。
 鷲掴んで、俺は頭の中にイメージを湧かせる。




----------------------------

【固有スキル】
・スキルブレイク LV :xxx  (一対象につき一回のみ使用)
※一対象に対してスキルドレインとスキルブレイクの併用は不可とする

----------------------------

システムを起動中…

----------------------------
Now loading…
----------------------------
Now loading…
----------------------------

システムの起動を確認しました。
スキルブレイクの発動条件をクリアしました。
 
----------------------------

スキルブレイクを発動します。
本当によろしいですか?

----------------------------

→[はい]
 [いいえ]

----------------------------
Now loading…



----------------------------

スキルブレイクを発動中…

----------------------------


 [スキルブレイク]を発動。
 その途端、アルバートの頭を鷲掴んだ手から全身に伝って異様な熱反応を感じ始めていた。


 『やっぱりだ、[スキルブレイク]にしろ[スキルドレイン]にしろ、これらの固有スキルには身体に負担を強いられると見て間違いはない…』


 [スキルブレイク]は[スキルドレイン]と同様に相手対象に触れていなければ発動できないという制限がある。
 またリスクといって、身体に過剰な不可を負ってしまい、最悪死に至るというデメリットがあるようだ。


 ただこれらのスキルjokerとしての固有スキルは破格の効果を誇っているからに、当然のリスクとも言えなくはないだろう。


「あ、ああああああああああっ!!!痛い!やめ…ろ…手を離して…」
 そんなアルバートの叫び声が響き渡る。
 

「痛い…か。ふーん、成る程ね、[スキルブレイク]の効果には対象に痛みを与えもするってことなのか…」


「やめてく…れ…頭が…割れる…」


「え?それは無理。言っただろ?って」


 これはある意味実験だ。
 [スキルブレイク]という未知の可能性を秘めたスキルの実験。
 


----------------------------


【称号スキル】
・アルバート・ジックレイ LV:xxx


----------------------------


 [通常スキル]や[魔法スキル]と違って、[称号スキル]はかなり異質なもの。それは[スキルドレイン]を使用した時にも分かったことであり、[称号スキル]とは人の在り方を証明する魂のようなものであるとは解釈していた。
 俺はそんな人の魂とも呼べる[称号スキル]をアルテマから略奪した。略奪した後の展開については最早言うまでもないだろう。


 じゃあそれが[スキルブレイク]だったらどうなのか?
 もしも[称号スキル]を[スキルブレイク]で破壊してしまった場合の展開についてを俺はまだ知らない。
 ただ俺の予想が正しければ、この[スキルブレイク]で俺はアルバートを殺すことができる。
 肉体を傷つけることなく、アルバートという人間一人の存在をこの世から抹消することができる。
 

『そもそもアルバート・ジックレイという人間はこの世に存在していなかった。だから俺が殺人に手を染めたという事実は俺しか知らない…ということになるんだよな?』


「あ、ぎぃいいい…た、頼む…殺さないで…ほしい…」


「…往生際の悪い奴だなお前は」


「お願いします…お願いします…」


「…あー五月蝿いな。分かったよ、じゃあチャンスをやる」


「チャン…ス?」


 よし、食いついた。


「そう、チャンス。なーに、難しい話ではない。ただお前は此度の一連の詳細を話してくれるだけでいい。簡単だよな…なぁ?」


「そ…それは…」


「じゃあ、このまま死ぬか?」


「…わ、分かった…話す、話すから…だから…」


「それじゃあ聞かせて頂戴な。嘘は許さない、分かってるな?」


「もちろん…です……」


……







 アルバートは苦痛に顔を歪めながら、渋々といった様子では語り始めた。
 その内容とは一連の殺人に関する詳細と、犯行動機。


「ふーん、成る程ね。そういうことか…」


 語り終えて、アルバートと視線が重なった。
 まるで化け物を見るかのように見開いたその目に、俺はどんな風に映っているのだろうか?
 知る由はない、知る必要もない。
 

 だって、俺はーー


「た、たけし…私は正直に、話した…これで…」


 これからーー


「たけ、し?」


 アルバートをこの手でーー


「…手を、離してはーーー」


 ーー殺す。


「無理」
 俺は即答した。
 即答して、[スキルブレイク]を再開。
 アルバートの破壊を再び敢行する。


「あ、あがぁあ&#x°\+*%々\÷|<…な、何故だぁ…私は、ちゃんと正直に〆÷>#&#x…」


「勘違いするなアルバート。俺はチャンスをやるとは言ったが、なんて一言も言ってない…俺はこのまま無駄死にさせない為のチャンスを上げたってだけ」


 そう、嘘は言っていない。


「お前が勝手に勘違いしただけ、だろ?」


「き、貴様ぁああああああああああああ!!!」


 アルバートの怒号を耳に、俺はより一層に[スキルブレイク]に力を込めた。
 途端に身体を巡る熱に勢いが増して、なれどアルテマの時ほど辛辣なものではなかった。
 
 故に躊躇ちゅうちょはしない。
 戸惑いはないも、また恐れもない。今の俺の心は清々しい程に死に対して寛容かんようだ。
 

「これは報いだよ、アルバート」


「報…いだと?」


「お前は人を殺し過ぎた。まぁ何人殺したかは知らんが」


「仕方が…なかった…」


「仕方がない?うん、いいんだ別にそんなことは。だって俺も、お前を殺すことを仕方がなかったって割り切っていくつもりだし」


 そう、仕方がないんだよ。


「俺とお前アルバートは同類だ。自身が生きる為に人の命を奪う事を選んだ。別にそれをとやかく言うつもりはない。ただな、同じ外道なら分かるだろ?人の命を奪ってきたのなら、またその逆も考えられたはずだ。いつか自分が殺される日が来ることも想像出来ていたはずだ。そこにが全くないことも。分かってたと思うんだがなぁ…」


 てかそんな権利はないし。


「だから、これはそんな報い。お前が人を殺す道を選び続けた結果、俺たちはこうして合間見えた。俺という化け物に出会ったってしまったわけ。残念だったな、アルバート・ジックレイ」


「……くそ、糞糞糞糞……恨む…ぞ…たけ…し…」


 恨むだと?よくもそんな事が言えるな。
 今までお前に殺された人達もそう思ってたと思うぞ?


「好きにしな」


「……」


「……」


「……」


「……アルバート?」


「……」


「……あれ?」


 いねーじゃん。


 気づくと、アルバートの存在は喪失していた。
 先程までアルバートの頭を鷲掴みしていた俺の手が、空を握る。


『やっぱり肉体は残らない…か。だよな』


 余程の握力で握っていたせいか、アルバートの頭を鷲掴んでいた手がプルプルとは小刻みに震えていた。また鎮まり返った暗い鍛冶屋の中を、俺の息遣いだけが支配している。


 鍛冶屋を後にする前、俺はすっかり寂しくなった無人の鍛冶屋に言葉を投げ掛けた。


「悪いとは思ってないからな?」


 でも、これだけは言っておくよ。


「……ごめんな」


 もちろん、返事はなかった。
 











----------------------------



【メソッド】
・LV:11まで残り経験値357を達成しました。
・LV:12まで残り経験値395を達成しました。
・LV:13まで残り経験値439を達成しました。



Now loading…
----------------------------

 ステータス展開中…
----------------------------


class : jokerジョーカー
【たけし】


LV  : 13
HP : 613 / 1208
MP : 88 / 469



ATK攻撃 : 1567
DEF防御 : 890
MAT魔法攻撃 : 421
MAE魔法防御 : 266


【装備】
・アルテマの剣   ランク[AA+] レア度[★★★★★]


【称号スキル】
・アルテマ・スコットスミス LV:2 


【魔法スキル】
・スモールフレイム LV:1


【固有スキル】
・スキルドレイン LV :xxx  (一対象につき一回のみ使用可能)
・スキルブレイク LV :xxx  (一対象につき一回のみ使用可能)
※一対象に対してスキルドレインとスキルブレイクの併用は不可とする
・七面変化 LV:xxx (使用可能時期に制限があります)
・心眼 LV:2 
(LevelUPレベルアップしました)
※閲覧制限が更に解除されました。


【通常スキル】
・見切り LV:5 
・流水の型 LV:3 
・鉄壁の構え LV:4
・闇足 LV:4 
・火剣 LV:2 
・氷剣 LV:2 
・雷の剣鳴 LV:3 
・先陣の先駆け LV:3 
・水狐の寵愛 LV:xxx (ただいま使用できません)
※水狐との契約が解除されました。
※スキル発動には再度契約する必要があります。
・剣鬼形態 LV:1 
・リバースマジック LV:2 
・熱血心 LV:2
・リバウンドリアクション LV:3
・エリアドロップ LV:3
・エリアスリーパー LV:5 
・隼の舞 LV:4
・影分身 LV:1


【メソッド】
・ LV :14まで残り経験値499


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