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第2章 ラクスマリア城とラクシャータ王女の剣

3話 突然の来訪者

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 俺の退屈だった毎日は唐突にも終わりを告げる。
 それはラクスマリア城で意識を取り戻して四日目に当あたる(寝込んでいた期間を含めれば実質この異世界ベルハイム6日が過ぎた事になる)早朝の出来事であった。発端はが俺のいる部屋に現れたことに始まった。


 とは何の前触れもなくやってきて、俺が心地よい睡眠から目覚めた時にも既にベッドの傍にいた。
 俺の顔を覗き込むようには目を見開いていて、またニッコリとした女神様スマイルを浮かべていたのだった。
 
 
『えっ…てか誰?』


 見た感じは俺と同年代のように若い。真っ赤な色のショートヘアーに藍色の瞳、目堀が深くて鼻が高くて、その雰囲気はまるで外人のようで…うん、要するにかなりの美人さん。

 格好はアルテマが着ていた白色の制服と同じもののようで、にして腰にはやたら細い黒鍔のレイピアを吊り下げ、その姿格好から察するに騎士のようであった。
 

『どうしたのもんかね…』


 とりあえず、何か言っとくべきか?
 でも待て、何を話せばいいんだ?俺はその騎士風の女性について何も知らない。知らないからに、どうしたって下手な反応にしかならないような気がしてならなかった。
 アルテマの知り合いなんだろうが…
 以前として、まじまじと俺を見つめる騎士風の女性。ただ見ているばかりで、口元は相変わらず閉ざされたままである。
 お互いに牽制し合うような、歪で妙な間が空間一体を支配していた。
 俺は意を決して言葉を絞り出そうとした…その時、


「…よく寝れたか?」
 と、先に口を開いた騎士風の女性。 
 容姿もさる事ながら、その声もまた透き通るような美声…美しい。


『はっ、いかんいかん…今はそんなこと考えている場合じゃないだろ俺よ…』


 彼女とアルテマには何かしらの関係がある見た(まぁそれ以外考えられないが)、ただそれが近しい間柄であるのかそうでないのかは現状判断が難しい。
 ん、でもそうだ…確か俺の部屋は鍵で施錠されていたはずだよな?で、鍵を解除したのは彼女と考えたとして…
 だったらだよ、そんな行為を許されるってことはやはりアルテマと近しい間柄であるという何よりの証拠なんじゃ…


『て、おい俺、そう考えるには些か憶測が過ぎるってもんだろうよ』
 ここは一発、何か台詞やつ一つや二つぐらい捻る出して…

 

「お、おはようございます」


「え?あ、うん、おはようたけし…って何その他人行儀な挨拶は?」


 やばい。やっぱ無理。


「あ…ははは、いや、何となく…たまにはいいかなってさ?」


「ん? って?」


 やばいやばい…


「ほ、ほら、言うじゃないですか?親しき中にも礼儀あり、って……知りません?」


「親しき中にも礼儀あり?いや知ってるけどさ、突然にどうした?」


 やばいやばいやばいやばい…


「えーと…すみません…」


「何で、謝るわけ?」


「い、いや…」


「?」


 結果、俺は理解した。


             ”打つ手なし!!!”



 もう駄目だこりゃあ…
 そうして俺が全てを諦めかけたーーー次の瞬間、


 トーーーンーーー……


 それは音。 
 小槌を打ち付けた時に聞こえるような、跳ねるように軽い音。そんな小さな音が頭の中?で反響しているようだった。
 また次第に、トーーーンーー、トーーン、と反響するインターバルが少しずつ短く、強くなっていく、そんな感じ。


 そして、


 ”ズドォオオオオンッ!!!”と。


 
 その音、さながら雷鳴の如し。
 また全身をけたたましい程の震えが走って、脳に直接流れ込んで感覚を覚えた。
  例えるなら、それはイメージ。


『は?何だこれ!?』


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