8 / 78
第1章 『俺この異世界ベルハイムで、第二の人生を送る!』-始まりの異世界とジョーカー
7話 俺というジョーカーについて
しおりを挟む俺は改めて、自身のステータス画面を見開いた。
----------------------------
class : joker
【名前を設定して下さい】
LV : 1
HP : 5/5
MP : 0
ATK : 5
DEF : 1
MAT : 0
MAE : 0
【固有スキル】
・スキルドレイン LV :xxx (一対象につき一回のみ使用可能)
・スキルブレイク LV :xxx (一対象につき一回のみ使用可能)
※一対象に対してスキルドレインとスキルブレイクの併用は不可とする
・なし
【メソッド】
・ LV :2まで残り経験値56
----------------------------
ステータスは以前見た時と何ら変化はない。
当たり前だ。まだ何もしてはいないのだから。
もしも今後変化があるとするならば、それは一番下の【メソッド】という欄に記された条件をクリアすること以外考えられない。
【メソッド】とは、即ち俺の成長に必要な要素を表示してくれるものらしい。
----------------------------
【メソッド】
・ LV :2まで残り経験値56
----------------------------
経験値56という値が如何程のものかは定かではないが、最初だからそこまで高い数値でもないだろう(と思いたい…)。
この経験値56を獲得するには、嫌でも敵を倒さなければならないことは分かっている。ただ、倒すって感覚がイマイチ分からん。
敵をボコボコに痛めつけて戦闘続行不可能にまで追い込めばいいのか、それかそもそも痛めつけるとかではなく殺してしまえばいいのか…いかんいかん、怖いこと考えてるな、俺。でもそういうことだったはそうするしかないからね、うん。
どちらにしろ戦闘しなければ分からないわけだから、この点に関してはその時になって考えればよし。
大体今の俺にはどちらにせよ無理なわけで、今このままの状態で戦ったところでやられてしまう未来は目に見えている。それじゃあ最早経験値がどうだと気にしているレベルじゃない。
だからまずは戦闘を行えるだけの状態にするのが先決だ。そのために、俺は兎に角として青年の力を奪取する事を決めた。
その為に俺はスキルドレインを発動させるーーーjokerとしての役割を得た俺にだからこそ使える固有スキル。
方法は至ってシンプル。定まった対象の体に触れた状態でスキルを発動させる、ただそれだけでいい。
スキルドレインの発動が成功した後、俺は対象からスキルを奪うことが出来る、ということだ。
実際にはまだ試したことがないだけに詳しくは分からない。ただそうなるんだろうなという予測が曖昧ではあるが理解できる程度である。
しかも奪うって言ったって果たしてどこまで奪い取る事ができるのかはまだ分からない。ちょっとなのか、全部なのか…まだまだ予測範疇、結局は不明瞭なままだ。
「それでもやるしかねぇってことに変わりはないが…」
ジリジリと、青年との距離を詰める。青年が剣を振るっている場所は、森の中だと云うのにも関わらず、其処だけが草木が生えておらず、円形のくぼ地と化していた。故に見失なうことはない。
しかもだ、幸いにも青年がいる場所までは然程遠くない。また青年がいるくぼ地までは生い茂る草木などで身を隠す場所は幾らだってある。
気配を殺して、するりするりと慎重に足を進めた。木影から雑草の茂みへ、また茂みから木影へ、何だこれ、まるでストーカーみてぇじゃねぇか、おい。
まぁ実際ストーカーと何ら変わりはないけどな。これから青年を襲うわけだし、いやそれじゃあ聞こえが悪いな。別にホモとかじゃないし、うん。てか誰も見てないわけだからそんなこと気にする必要はないか。
この際ストーカーだろうがホモだろうがどっちだっていい(いややっぱり良くない)。俺は青年の能力を奪い取ると決めたのだ…それは生きる為に。
こめかみを一筋の冷や汗が伝う。あれ、おかしいな、俺緊張してんのかな?でもそういった感情はアンヘルに消されたわけで…いや待てよ、緊張は緊張でも場面によっては緊張することはあるのか?
確かに街の散策に出掛けた二日間、俺は何故だか誰かに声を掛けるのを躊躇っていた…それは要するに、俺が誰かに『声を掛けるの』という行為に対して恐怖を感じていたからではないのか?
もしかしたら、デスゲームで勝ち抜く為に必要な非道な行いや思考などに対する一抹の感情を失っただけで、俺という人間に元々備え付けられていた『コミュ障』という障害は取り除かれてないとか?
うっわ、そうだったらマジで嫌だな…
せっかく異世界転生を果たして新しい俺の幕開けだというのにも関わらず、ただ非道な糞野郎になっただけで、生前の鼻くそみたいな人間性はそのままとか…何だそれ、マジで救いようねぇじゃん…
「だったら尚更だ、俺はもう…後には引けない」
0
お気に入りに追加
161
あなたにおすすめの小説
最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした
水の入ったペットボトル
SF
これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。
ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。
βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?
そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。
この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。
【完結24万pt感謝】子息の廃嫡? そんなことは家でやれ! 国には関係ないぞ!
宇水涼麻
ファンタジー
貴族達が会する場で、四人の青年が高らかに婚約解消を宣った。
そこに国王陛下が登場し、有無を言わさずそれを認めた。
慌てて否定した青年たちの親に、国王陛下は騒ぎを起こした責任として罰金を課した。その金額があまりに高額で、親たちは青年たちの廃嫡することで免れようとする。
貴族家として、これまで後継者として育ててきた者を廃嫡するのは大変な決断である。
しかし、国王陛下はそれを意味なしと袖にした。それは今回の集会に理由がある。
〰️ 〰️ 〰️
中世ヨーロッパ風の婚約破棄物語です。
完結しました。いつもありがとうございます!
【完結】もったいないですわ!乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢は、今日も生徒会活動に勤しむ~経済を回してる?それってただの無駄遣いですわ!~
鬼ヶ咲あちたん
恋愛
内容も知らない乙女ゲームの世界に転生してしまった悪役令嬢は、ヒロインや攻略対象者たちを放って今日も生徒会活動に勤しむ。もったいないおばけは日本人の心! まだ使える物を捨ててしまうなんて、もったいないですわ! 悪役令嬢が取り組む『もったいない革命』に、だんだん生徒会役員たちは巻き込まれていく。「このゲームのヒロインは私なのよ!?」荒れるヒロインから一方的に恨まれる悪役令嬢はどうなってしまうのか?
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の成果を見せつける-
haruhi8128
ファンタジー
受験を間近に控えた高3の正月。
過労により死んでしまった。
ところがある神様の手伝いがてら異世界に転生することに!?
とある商人のもとに生まれ変わったライヤは受験生時代に培った勉強法と、粘り強さを武器に王国でも屈指の人物へと成長する。
前世からの夢であった教師となるという夢を叶えたライヤだったが、周りは貴族出身のエリートばかりで平民であるライヤは煙たがられる。
そんな中、学生時代に築いた唯一のつながり、王国第一王女アンに振り回される日々を送る。
貴族出身のエリートしかいないS級の教師に命じられ、その中に第3王女もいたのだが生徒には舐められるばかり。
平民で、特別な才能もないライヤに彼らの教師が務まるのか……!?
努力型主人公を書いて見たくて挑戦してみました!
前作の「戦力より戦略。」よりは文章も見やすく、内容も統一できているのかなと感じます。
是非今後の励みにしたいのでお気に入り登録や感想もお願いします!
話ごとのちょっとしたものでも構いませんので!
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
俺が悪役令嬢になって汚名を返上するまで (旧タイトル・男版 乙女ゲーの悪役令嬢になったよくある話)
南野海風
ファンタジー
気がついたら、俺は乙女ゲーの悪役令嬢になってました。
こいつは悪役令嬢らしく皆に嫌われ、周囲に味方はほぼいません。
完全没落まで一年という短い期間しか残っていません。
この無理ゲーの攻略方法を、誰か教えてください。
ライトオタクを自認する高校生男子・弓原陽が辿る、悪役令嬢としての一年間。
彼は令嬢の身体を得て、この世界で何を考え、何を為すのか……彼の乙女ゲーム攻略が始まる。
※書籍化に伴いダイジェスト化しております。ご了承ください。(旧タイトル・男版 乙女ゲーの悪役令嬢になったよくある話)
二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?
小平ニコ
ファンタジー
「ディーナ。お前には今日で、俺たちのパーティーを抜けてもらう。異論は受け付けない」
勇者ラジアスはそう言い、私をパーティーから追放した。……異論がないわけではなかったが、もうずっと前に僧侶と戦士がパーティーを離脱し、必死になって彼らの抜けた穴を埋めていた私としては、自分から頭を下げてまでパーティーに残りたいとは思わなかった。
ほとんど喧嘩別れのような形で勇者パーティーを脱退した私は、故郷には帰らず、戦闘もこなせる武闘派聖女としての力を活かし、賞金首狩りをして生活費を稼いでいた。
そんなある日のこと。
何気なく見た新聞の一面に、驚くべき記事が載っていた。
『勇者パーティー、またも敗走! 魔王軍四天王の前に、なすすべなし!』
どうやら、私がいなくなった後の勇者パーティーは、うまく機能していないらしい。最新の回復職である『ヒーラー』を仲間に加えるって言ってたから、心配ないと思ってたのに。
……あれ、もしかして『ヒーラー』って、完全に回復に特化した職業で、聖女みたいに、防御の結界を張ることはできないのかしら?
私がその可能性に思い至った頃。
勇者ラジアスもまた、自分の判断が間違っていたことに気がついた。
そして勇者ラジアスは、再び私の前に姿を現したのだった……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる