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第四章 誰そ彼とき
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「天童さんっ!」
そして、ついに辿り着く。
閉じゆく黄昏時の空を背にした石段に、わたしは大声で呼びかけた。天童さんの姿は、どこにもない。でも見えないことは、はじめから分かっていたことだ。そうじゃない。姿なんて見えなくたっていい。わたしは、彼の心に訴えかけたいのだ。
彼の受けた哀しみや苦しみや憎しみ──絶望を理解してやれるわけではないし、上手いことが言えるほど口が達者なわけではないけれど。
「天童さん、あのね──」
わたしは、思いのありったけを彼に伝えることにした。自分でもなにを話しているのか分からなくなるくらい、支離滅裂な内容だったのかもしれない。それでも、わたしは必死に語りかけ続けた。それは今より一ヶ月前、この場所からわたしとほだか先生の関係が始まったこと。カクリヨ美容室で体験した、髪に纏わる奇妙奇天烈なお話の数々。切っても切れない、繋がりの話を──
そのうち、世界の蓋が閉じ始める。赤で染まったパレットのような空が、次第に黒で塗り潰されていく。すると、ぽつん、ぽつん。雨粒のような星の光が、雨上がりの澄んだ夜空に輝きを灯らせていた。
今夜は、満月。餅をつくウサギさんも、織姫さまと彦星さまの再会を祝福しているのかも。もしくは宇宙をめぐる宇宙人さんも、陰ながら彼らの抱擁を見守っているのかも。そんなフィクションを本気で信じていた幼いあの頃のわたしは、もうどこにもいないのだけれど。
──……はあ、なんだかなぁ。
姿形の掴めないあやかしの存在を知って夜も眠れなかった純粋無垢だったわたしは、もうどこにもいないのだけれど。
──分かったよ。帰ろう、一緒に。
今この時この瞬間のことだけは本物だって、そう思いたい。信じたい。
そのとき、軽やかなそよ風が舞った。わたしの髪が、さらりと揺れた。ひと肌の温もりを、ふわりと感じた──彼の匂いに鼻先を撫でられた、そんな気がしたのだった。
逃れられない宿命に屈服して尚、運命の再会を果たす織姫さまと彦星さま。
そんなお伽話とは、なにもロマンチックだけで構成されているわけではない。子供の頃には気付かなかったけれど、大きくなればきっと気付く。
これは、関係を引き裂かれた二人の悲しいお話だ。
ただそんな彼らとて、年に一度だけ出会える日が設けられている。7月7日。七夕の日。わたしたちは彼らの再会にあわせて、笹の木に短冊を吊るし、星空に願いを込めるのだ。総じてみれば、彼らはまだ救われている方なのかもしれない。
今、わたしは、もっと悲しい二人の運命に、直面している──
「遅かったじゃん結衣にゃん。一体全体どこへ行ってたのさ」
美容室へ戻ると、天童さんは相変わらずのひょうきんな態度でセット面の一席に座っていて、まるで何事もなかったようにそう言った。なんでも、わたしが帰ってくる数十分も前には戻ってきていたらしい。そのときほだか先生がどのような反応を浮かべたのかは分からないが、少なくともいま天童さんの後ろに立つ彼はえらく落ち着いていた。
「いやさぁ、ほだかが突然怖いこと言うから、びっくりして飛び出しちゃったんだよ。ほだかさぁ、少しはタイミングってのを考えなよ」
ということらしい。天童さんは驚き、店を飛び出した。その後にも街をさまよい歩き、しばらく頭を冷やした後にも再びここへ戻ってきたのだという。神社にいたとは、ひと言も発さなかった。だとすれば、わたしが感じたあの感覚は全て錯覚だったのだろうか? それは、天童さんにしか分からない。聞くつもりもなかった。今はただ、穏やかな天童さんの顔を見れただけで充分だ。
ほだか先生は、鏡に映り込む天童さんに向かって頭を下げた。
「申し訳ありません、薫。僕もいつかはと、そう思っていたのですが……あのときは、感情的になってしまって」
それから、ほだか先生は溜まった膿を吐き出すみたく、天童さんに纏わる真実全てを語りはじめた。嘘二言はなく、嘘偽りはなく。そんなほだか先生の表情はつらそうであったが、もう悲しみは滲み出していない。真摯な瞳をしていた。
あらかたを聞き終えたあたりだった。天童さんは「もういいよ」と、再び謝ろうとしたほだか先生へ手のひらを見せて静止させた。
「ほだか、お前のことは俺が一番よく分かってるから。俺のためを思って、そうなんでしょ? あとは、そうだね──」
と、天童さんはポケットに手を突っ込んで、椅子に深く座る。椅子から落ちてしまいそうな体制のまま、目を瞑る。笑った。
「大好きなお兄さまと離れ離れになるのが悲しかったんでしょ? はぁーあ、やれやれ。モテる男は、つらいねぇ」
そんな冗談。例え目と耳を塞ぎたくなるような真実を知らされたところで、揺るぎなく、天童さんは天童さんのままだった。
「結衣にゃん、キミにも迷惑をかけたね」
「いえ、わたしは、なにも……」
むしろ、わたしの方が今この瞬間に於ける自身の在り方を見失っている。わたし、どんな風に天童さんと接していたんだっけ──
「結衣くん」
わたしの迷いを断ち切ってくれる、それはやはりほだか先生であった。彼もまた、天童さんと同じくいつも変わらない態度でそこにいる。先ほどのアレはなんだったと思うくらい、とても頼もしく見えた。ほだか先生は、わたしへ優しく微笑みかけてくれながら、
「雨の中、わざわざありがとうござました。あなたがいなければ、今この瞬間はありません。感謝しています」
そして──
「では、はじめます」
爽やかさと力強さの入れ混じる、涼やかな声でほだか先生がそう言った後にも──リーン、リーン、リーン……振るわれた小槌に垂れる鈴の音が、静謐な室内に木霊した。天童さんの体が、仄かに青白く発光しはじめる。
「不思議な感覚だね……なにか、ああ、そうか……俺は、あのとき」
天童さんは目を瞑り、何度も頷いていた。今彼の中でなにが起こっているのか──それについては、小槌を振り続けるほだか先生が語り明かしてくれた。
「これは、霊槌(れいつい)と呼ばれるものです。霊の記憶を呼び覚まし、意識を覚醒させるものであると……祖父『黄昏 綾明(りょうめい)』は、そのように仰っていました」
霊の記憶を呼び覚ます小槌「霊槌」に、ほだか先生の祖父「黄昏 綾明」という存在。一ヶ月も一緒にいたのに、わたしはそれすらも知らなかった。ほだか先生も、話してくれなかった。それが今、やっと繋がった。
ほだか先生は、小槌を丁寧にワゴン(キャスター付きの台)に置く。天童さんへと向き直る。
「そして、これもまた伝えておりませんでしたが、僕は祖父の意思を継いでいます。この世とあの世の狭間を繋ぐ者、祖父は自分のことを、そう呼んでおりました」
知らなかった。
「霊魂と髪は表裏一体だと、僕はそう聞いています。肉体朽ちた後も、現世を彷徨い続ける者たちがいる……髪とは、そんな亡者たちの依り代となりやすいのだと、誰かが断ち切ってやれねばならないのだと……それこそが僕らのご先祖さまから祖父へ、そして僕へと繋げられた、黄昏の血を引き継ぐ者たちの使命のようです」
そのとき、昨日天童さんの墓石の前での会話が想起される。ほだか先生は血縁のしがらみについて、「仕方ない」と言っていた。あれは、なにも他人事ではなかったのだろう。自身もまた、血の繋がりによる重みをよく自覚していたのだろう。
わたしは、ほだか先生のことについて本当になにも知らなかったようだ。そのくせ、勝手に知ったつもりでいた。自分が情けなくなる。
「薫……気分は、大丈夫ですか?」
天童さんを気遣うほだか先生。これもまた知らないことだが、記憶と意識の覚醒とは、酷く苦しいことなのかもしれない。
天童さんは、顔の半面に手を当てる。呟くように言った。
「……ああ、平気。いま、やっと全てを思い出したよ。そうだったね……はは、俺、死んでたんだ、あのとき」
その瞬間だった。ほだか先生の目が、怜悧な眼光を放つ。険しく光る、それは復讐の色に思えた。ほだか先生は声を震わせて、
「あなたの無念は……僕が必ず晴らします。だから、つらいかもしれませんが、教えてください。誰が、薫のことを──」
「ほだか」
天童さんが、にこりと笑う。
「成人式!」
突拍子もなく、天童さんは爛々とした笑顔で見せてくる。目を丸くさせ、言葉を失うほだか先生。そんな二人の顔は、対照的だった。
「俺さ、実は仕事で成人式出れなかったんだよね! だからさ、今日が俺の成人式。カッコよく頼むよ、ほだか」
「薫、だから、」
「でも、俺スーツじゃなくて袴が良かったんだけどな~。ははっ、まあそれは言っても仕方ないか」
「薫っ──」
「いい加減にしろ、ほだか」
天童さんの声が、ほだか先生の声を一刀両断する。それは、いつもの天童さんではない。「黄昏ほだか」の志として歩き続けた兄、「黄昏 薫」の表情なのかもしれない。
「なんかよく分かんないけど、幽霊とか一族がどうとかさ、なにそれ? ほだかさぁ、なんか勘違いしてねぇか?」
天童さんは、言った。
「お前は『黄昏ほだか』である前に……ここカクリヨ美容室の店長、美容師だろうが」
次に、その瞳がわたしへ向けられた。
「その子を助けてあげたのは、ほだか、お前がそうしたかったからだろうが。その子のために髪を切ってあげたいって、お前自身がそう思ったからじゃねーのかよ。だったらそれが、『黄昏ほだか』という美容師あり方だろうが。そんなお前を、その子がこれまでどんだけ心配したと思ってんだ」
「薫……」
「だからさ、お前は……お前らしく生きろよ。俺は、別に復讐なんて望んでない。俺の物語は、もう終わったんだ」
それこそが、天童さんの本音に違いない。『お前らしく生きろ』──そのひと言に、全てが詰まっていた。黄昏薫は最後まで、黄昏ほだかの道標であり続けることを選んだ。さまざまな感情があったことだろうと思う。憎しみも悲しみも、その心内に渦巻いていただろうと思う。それでも、彼は黄昏の兄であることを選んだ。別人のような天童さんの声音から、わたしはそのことを悟る。またそれは、黄昏の弟である彼ならば、わたしよりもずっと深く理解できたのだろうか。
「……そうでしたね。あなたは、そういう男、でしたね。そして僕は、そんなあなたの弟……黄昏ほだか、美容師」
それは暗黒世界に指した刹那の光みたく──ほだか先生の手に握られたシザーが、白銀の輝きを放った。
「最後は華々しく、終わらせましょう。薫」
ほだか先生は、天童さんに「最後」と言った。だったら彼の中で、気持ちは固まったのだろうか。
またそれは、彼の中でも。
「……カッコ良くしないと承知しないからね? じゃないと、またクレームしに戻ってきちゃうかも」
やはり、そんなにもおちゃらけた黄昏の兄であり続け、その「最後」を受け入れたようだ。
その後にもわたしが見たものは、どこにでもありそうな美容室のひとコマ、仲の良い兄弟のやり取りでしかない。
かちんっ、かちんっ、かちんっ──切られていく金色の髪がふわりと宙に舞って、煌きながら消えていく。
「そう言えば、ワンピースってもう終わったの? 海賊王になった?」
「さあ、僕は知りません」
「おいおい、勘弁してくれよ。こんなんじゃ死ぬにも死にきれないだろ~」
かちんっ、かちんっ、かちんっ──ハサミの開閉する、リズミカルな音。
どこにでもある、なにも変わらない日常。髪を切られている人と、髪を切る人がいる。おちゃらけた兄と、穏やかな弟がいる。そんなにも極自然なやり取りには、確かな幸せが詰まっていた。
「結衣にゃん」
天童さんが、受付台に座るわたしに話しかけてくる。いつもの何一つ変わらない態度、面持ちで。
「キミは、知ってる? 週刊少年ジャンプのワンピース! 俺、あれ好きだったんだよね」
「えっと、まだ終わってないはずですよ」
笑顔で、答えてみる。自然体だった。涙の別れには相応しくないだろう、いつも通りのわたしだ。こんな時、女優さんみたく晴れやかに立ち回れたのなら良かったのだけれど。
「そうなんだ。じゃあ、うん、いっか。続きは生まれ変わってからのお楽しみってことで」
天童さんの演技ない笑顔には、わたしもまたつられて笑えてくる。それに。
「てか結衣にゃんさ、ブラ紐」
「?」
「透けてるよ」
「え……は、はぁあ!? うそ!? まさかさっき、濡れたから──」
「うそ、冗談」
「ちょ、天童さんっ! その冗談はさすがに笑えないですからぁっ!」
「ふふ」
「ほだか先生までなに笑ってるんですか!?」
って、はぁ。まぁ、いいけどさ。
「全く、勘弁してくださいよ」
バカみたいなやり取り。変わらないいつものわたしたち。日常。わたしたちは、今この瞬間を間違いなく生きている。こんな「最後」も悪くない──かちんっ、かちんっ、かちんっ──時を刻む掛け時計のクロック音、ハサミの開閉音に耳を傾けながら、幸福な気分に浸っているわたしがいた。
そして、三十分程のカットを経て。
「おお、これが俺か! なんか、別人みたいだなぁ」
鏡に映る自分を見て感嘆の声を上げて驚く天童さん。わたしは、息を飲んだ。
ほだか先生は、シザーを腰へ納めながら言った。
「今回は、ショートウルフにしてみました」
本当に別人みたいだ。長さ自体は耳の下くらいなのに対して、襟足はスーツの襟にかからないくらいと少し長め。それでいてトップは適度に短くなっており、毛先が程よくウネっていて、動きが強調されているかのよう。
以上──生まれ変わった美男子が、そこにいた。
「ウルフとは、その名の通り『おおかみ』が由来とされるカットです。首筋に沿って流れる襟足は、おおかみの毛先。そして短くしたレイヤー(段)は、立て髪を表しているとされています」
ほだか先生の瞳が、未だ驚きを隠せないのだろう天童さんへと向けられる。口を開いた。
「どうですか、薫。気に入ってくれたら、良かったのですが」
「……あのさ、ほだか」
「はい」
「…………やっぱりお前、最高の美容師だよ」
天童さんは、笑っていた。鏡映る自分の姿を見て、嬉しそうに何度も頷いていた。
「俺さ、実はさ……ほだか。美容師になったお前のことが、ずっと羨ましかったんだ。なんで俺が美容師じゃなくて、お前が美容師なんだって……少しだけ、この境遇に嫌気が差したこともあったんだよ」
「薫……」
「ははは、驚いたろ? そうだよな。俺はいつだって、弟想いの良い兄だったからね。そこに間違いはない。だけど、今言った卑屈な俺ってのも、確かに存在してたんだ。羨ましくも、恨めしくもあったんだよ。ほだか、お前のことが」
天童さんは席を立ち、ほだか先生の前へと立つ。握り拳を作る──
「でも、今やっと分かったよ。俺は、今この瞬間のために、生きていたのかもしれない」
──ほだか先生の心臓に、拳を優しく重ね合わせた。にっと笑うその顔には、彼の気持ち全てが現れているかのようだった。
「『黄昏ほだか』のために生きた俺の人生も……うん、悪くなかったみたいだ。最後に弟の立派な成長ぶりを見られて、お兄ちゃんは満足だ」
「違います薫。僕は、あなたがいたから、だから、」
なにかを言いかけたほだか先生の肩を叩き、天童さんは首を横に振った。これ以上はもういいと、そういうことかもしれない。ほだか先生の表情は、今にも張り裂けそうなくらい切実な悲しみに暮れていた。無理もない。
天童さんの体が、次第に透けていくのが分かった。終わりの時は近い。
「じゃあ、俺はそろそろ行くわ」
天童さんはポケットに手を突っ込み、扉に向かって歩き出した。その間際。
「結衣にゃん、またほだかがバカやらないよう、頼むね。それにキミも、あんまり無茶しないように」
わたしは涙に滲んだ瞳のまま、何度も頷いた。視界がぼやけて見えづらかったが、天童さんが笑って頷き返してくれたのはちゃんと分かって──
「薫、行ってらっしゃい」
ほだか先生の声も、ちゃんと聞こえて──
「…………」
──光と粒子となった天童さんは、もうどこにもいなかった。
「……天童さん、行っちゃいましたね」
「………ええ、そうですね」
「……」
「……」
「ほだか先生。わたし、霊感が強くなったかもしれません」
「? どういう、意味ですか?」
「いや、あのですね……その、今、天童さんの声が聞こえた気がするんです」
「……薫が、なにか言ったんですか?」
「はい! 最後に『行ってきます』って、そう聞こえた気がします。『ほだか先生ともっと話したかった』とも、言ってたような。それで──」
「結衣くん」
「? はい、なんでしょう」
「いいんですよ。もう、いいんです」
「えっと…………へ?」
「ありがとうございます。あなたの気持ちは、ちゃんと伝わりましたから。だからもう、泣いていいんですよ」
彼は最後まで、花火のような人だった。ひゅるりと天空に舞い上がり、ひらひらと空の一番高いところで咲いて、笑って、ぱぁーと、火花を散らして、静寂の中に消えていく。それが何発、何発と打ち上がって、そのうち完全にいなくなる。そんな花火のように明るく眩しかった彼の去ったあとに遺るもの、それは喪失感でしかなかった。
明る過ぎるからこそ、濃い影が生まれる。光があるところに、闇がある。その光の中で、ほだか先生は闇を見てしまったのだろう。だけど闇を照らし払い除けたもの、それもまた光でしかない。
黄昏薫という光に、あてられて──
「結衣くん、よくがんばりましたね」
黄昏ほだかの抱えていた闇は、失われたのかもしれない。運命に翻弄された兄弟の最後に、わたしは涙が止まらなかった。彼の腕に抱かれているという安心感が、さらにわたしを涙させた。泣きたいのは彼のはずなのに、彼は涙ひとつ見せなかった。
光のような笑顔で、彼はわたしのそばにいてくれた。
そして、ついに辿り着く。
閉じゆく黄昏時の空を背にした石段に、わたしは大声で呼びかけた。天童さんの姿は、どこにもない。でも見えないことは、はじめから分かっていたことだ。そうじゃない。姿なんて見えなくたっていい。わたしは、彼の心に訴えかけたいのだ。
彼の受けた哀しみや苦しみや憎しみ──絶望を理解してやれるわけではないし、上手いことが言えるほど口が達者なわけではないけれど。
「天童さん、あのね──」
わたしは、思いのありったけを彼に伝えることにした。自分でもなにを話しているのか分からなくなるくらい、支離滅裂な内容だったのかもしれない。それでも、わたしは必死に語りかけ続けた。それは今より一ヶ月前、この場所からわたしとほだか先生の関係が始まったこと。カクリヨ美容室で体験した、髪に纏わる奇妙奇天烈なお話の数々。切っても切れない、繋がりの話を──
そのうち、世界の蓋が閉じ始める。赤で染まったパレットのような空が、次第に黒で塗り潰されていく。すると、ぽつん、ぽつん。雨粒のような星の光が、雨上がりの澄んだ夜空に輝きを灯らせていた。
今夜は、満月。餅をつくウサギさんも、織姫さまと彦星さまの再会を祝福しているのかも。もしくは宇宙をめぐる宇宙人さんも、陰ながら彼らの抱擁を見守っているのかも。そんなフィクションを本気で信じていた幼いあの頃のわたしは、もうどこにもいないのだけれど。
──……はあ、なんだかなぁ。
姿形の掴めないあやかしの存在を知って夜も眠れなかった純粋無垢だったわたしは、もうどこにもいないのだけれど。
──分かったよ。帰ろう、一緒に。
今この時この瞬間のことだけは本物だって、そう思いたい。信じたい。
そのとき、軽やかなそよ風が舞った。わたしの髪が、さらりと揺れた。ひと肌の温もりを、ふわりと感じた──彼の匂いに鼻先を撫でられた、そんな気がしたのだった。
逃れられない宿命に屈服して尚、運命の再会を果たす織姫さまと彦星さま。
そんなお伽話とは、なにもロマンチックだけで構成されているわけではない。子供の頃には気付かなかったけれど、大きくなればきっと気付く。
これは、関係を引き裂かれた二人の悲しいお話だ。
ただそんな彼らとて、年に一度だけ出会える日が設けられている。7月7日。七夕の日。わたしたちは彼らの再会にあわせて、笹の木に短冊を吊るし、星空に願いを込めるのだ。総じてみれば、彼らはまだ救われている方なのかもしれない。
今、わたしは、もっと悲しい二人の運命に、直面している──
「遅かったじゃん結衣にゃん。一体全体どこへ行ってたのさ」
美容室へ戻ると、天童さんは相変わらずのひょうきんな態度でセット面の一席に座っていて、まるで何事もなかったようにそう言った。なんでも、わたしが帰ってくる数十分も前には戻ってきていたらしい。そのときほだか先生がどのような反応を浮かべたのかは分からないが、少なくともいま天童さんの後ろに立つ彼はえらく落ち着いていた。
「いやさぁ、ほだかが突然怖いこと言うから、びっくりして飛び出しちゃったんだよ。ほだかさぁ、少しはタイミングってのを考えなよ」
ということらしい。天童さんは驚き、店を飛び出した。その後にも街をさまよい歩き、しばらく頭を冷やした後にも再びここへ戻ってきたのだという。神社にいたとは、ひと言も発さなかった。だとすれば、わたしが感じたあの感覚は全て錯覚だったのだろうか? それは、天童さんにしか分からない。聞くつもりもなかった。今はただ、穏やかな天童さんの顔を見れただけで充分だ。
ほだか先生は、鏡に映り込む天童さんに向かって頭を下げた。
「申し訳ありません、薫。僕もいつかはと、そう思っていたのですが……あのときは、感情的になってしまって」
それから、ほだか先生は溜まった膿を吐き出すみたく、天童さんに纏わる真実全てを語りはじめた。嘘二言はなく、嘘偽りはなく。そんなほだか先生の表情はつらそうであったが、もう悲しみは滲み出していない。真摯な瞳をしていた。
あらかたを聞き終えたあたりだった。天童さんは「もういいよ」と、再び謝ろうとしたほだか先生へ手のひらを見せて静止させた。
「ほだか、お前のことは俺が一番よく分かってるから。俺のためを思って、そうなんでしょ? あとは、そうだね──」
と、天童さんはポケットに手を突っ込んで、椅子に深く座る。椅子から落ちてしまいそうな体制のまま、目を瞑る。笑った。
「大好きなお兄さまと離れ離れになるのが悲しかったんでしょ? はぁーあ、やれやれ。モテる男は、つらいねぇ」
そんな冗談。例え目と耳を塞ぎたくなるような真実を知らされたところで、揺るぎなく、天童さんは天童さんのままだった。
「結衣にゃん、キミにも迷惑をかけたね」
「いえ、わたしは、なにも……」
むしろ、わたしの方が今この瞬間に於ける自身の在り方を見失っている。わたし、どんな風に天童さんと接していたんだっけ──
「結衣くん」
わたしの迷いを断ち切ってくれる、それはやはりほだか先生であった。彼もまた、天童さんと同じくいつも変わらない態度でそこにいる。先ほどのアレはなんだったと思うくらい、とても頼もしく見えた。ほだか先生は、わたしへ優しく微笑みかけてくれながら、
「雨の中、わざわざありがとうござました。あなたがいなければ、今この瞬間はありません。感謝しています」
そして──
「では、はじめます」
爽やかさと力強さの入れ混じる、涼やかな声でほだか先生がそう言った後にも──リーン、リーン、リーン……振るわれた小槌に垂れる鈴の音が、静謐な室内に木霊した。天童さんの体が、仄かに青白く発光しはじめる。
「不思議な感覚だね……なにか、ああ、そうか……俺は、あのとき」
天童さんは目を瞑り、何度も頷いていた。今彼の中でなにが起こっているのか──それについては、小槌を振り続けるほだか先生が語り明かしてくれた。
「これは、霊槌(れいつい)と呼ばれるものです。霊の記憶を呼び覚まし、意識を覚醒させるものであると……祖父『黄昏 綾明(りょうめい)』は、そのように仰っていました」
霊の記憶を呼び覚ます小槌「霊槌」に、ほだか先生の祖父「黄昏 綾明」という存在。一ヶ月も一緒にいたのに、わたしはそれすらも知らなかった。ほだか先生も、話してくれなかった。それが今、やっと繋がった。
ほだか先生は、小槌を丁寧にワゴン(キャスター付きの台)に置く。天童さんへと向き直る。
「そして、これもまた伝えておりませんでしたが、僕は祖父の意思を継いでいます。この世とあの世の狭間を繋ぐ者、祖父は自分のことを、そう呼んでおりました」
知らなかった。
「霊魂と髪は表裏一体だと、僕はそう聞いています。肉体朽ちた後も、現世を彷徨い続ける者たちがいる……髪とは、そんな亡者たちの依り代となりやすいのだと、誰かが断ち切ってやれねばならないのだと……それこそが僕らのご先祖さまから祖父へ、そして僕へと繋げられた、黄昏の血を引き継ぐ者たちの使命のようです」
そのとき、昨日天童さんの墓石の前での会話が想起される。ほだか先生は血縁のしがらみについて、「仕方ない」と言っていた。あれは、なにも他人事ではなかったのだろう。自身もまた、血の繋がりによる重みをよく自覚していたのだろう。
わたしは、ほだか先生のことについて本当になにも知らなかったようだ。そのくせ、勝手に知ったつもりでいた。自分が情けなくなる。
「薫……気分は、大丈夫ですか?」
天童さんを気遣うほだか先生。これもまた知らないことだが、記憶と意識の覚醒とは、酷く苦しいことなのかもしれない。
天童さんは、顔の半面に手を当てる。呟くように言った。
「……ああ、平気。いま、やっと全てを思い出したよ。そうだったね……はは、俺、死んでたんだ、あのとき」
その瞬間だった。ほだか先生の目が、怜悧な眼光を放つ。険しく光る、それは復讐の色に思えた。ほだか先生は声を震わせて、
「あなたの無念は……僕が必ず晴らします。だから、つらいかもしれませんが、教えてください。誰が、薫のことを──」
「ほだか」
天童さんが、にこりと笑う。
「成人式!」
突拍子もなく、天童さんは爛々とした笑顔で見せてくる。目を丸くさせ、言葉を失うほだか先生。そんな二人の顔は、対照的だった。
「俺さ、実は仕事で成人式出れなかったんだよね! だからさ、今日が俺の成人式。カッコよく頼むよ、ほだか」
「薫、だから、」
「でも、俺スーツじゃなくて袴が良かったんだけどな~。ははっ、まあそれは言っても仕方ないか」
「薫っ──」
「いい加減にしろ、ほだか」
天童さんの声が、ほだか先生の声を一刀両断する。それは、いつもの天童さんではない。「黄昏ほだか」の志として歩き続けた兄、「黄昏 薫」の表情なのかもしれない。
「なんかよく分かんないけど、幽霊とか一族がどうとかさ、なにそれ? ほだかさぁ、なんか勘違いしてねぇか?」
天童さんは、言った。
「お前は『黄昏ほだか』である前に……ここカクリヨ美容室の店長、美容師だろうが」
次に、その瞳がわたしへ向けられた。
「その子を助けてあげたのは、ほだか、お前がそうしたかったからだろうが。その子のために髪を切ってあげたいって、お前自身がそう思ったからじゃねーのかよ。だったらそれが、『黄昏ほだか』という美容師あり方だろうが。そんなお前を、その子がこれまでどんだけ心配したと思ってんだ」
「薫……」
「だからさ、お前は……お前らしく生きろよ。俺は、別に復讐なんて望んでない。俺の物語は、もう終わったんだ」
それこそが、天童さんの本音に違いない。『お前らしく生きろ』──そのひと言に、全てが詰まっていた。黄昏薫は最後まで、黄昏ほだかの道標であり続けることを選んだ。さまざまな感情があったことだろうと思う。憎しみも悲しみも、その心内に渦巻いていただろうと思う。それでも、彼は黄昏の兄であることを選んだ。別人のような天童さんの声音から、わたしはそのことを悟る。またそれは、黄昏の弟である彼ならば、わたしよりもずっと深く理解できたのだろうか。
「……そうでしたね。あなたは、そういう男、でしたね。そして僕は、そんなあなたの弟……黄昏ほだか、美容師」
それは暗黒世界に指した刹那の光みたく──ほだか先生の手に握られたシザーが、白銀の輝きを放った。
「最後は華々しく、終わらせましょう。薫」
ほだか先生は、天童さんに「最後」と言った。だったら彼の中で、気持ちは固まったのだろうか。
またそれは、彼の中でも。
「……カッコ良くしないと承知しないからね? じゃないと、またクレームしに戻ってきちゃうかも」
やはり、そんなにもおちゃらけた黄昏の兄であり続け、その「最後」を受け入れたようだ。
その後にもわたしが見たものは、どこにでもありそうな美容室のひとコマ、仲の良い兄弟のやり取りでしかない。
かちんっ、かちんっ、かちんっ──切られていく金色の髪がふわりと宙に舞って、煌きながら消えていく。
「そう言えば、ワンピースってもう終わったの? 海賊王になった?」
「さあ、僕は知りません」
「おいおい、勘弁してくれよ。こんなんじゃ死ぬにも死にきれないだろ~」
かちんっ、かちんっ、かちんっ──ハサミの開閉する、リズミカルな音。
どこにでもある、なにも変わらない日常。髪を切られている人と、髪を切る人がいる。おちゃらけた兄と、穏やかな弟がいる。そんなにも極自然なやり取りには、確かな幸せが詰まっていた。
「結衣にゃん」
天童さんが、受付台に座るわたしに話しかけてくる。いつもの何一つ変わらない態度、面持ちで。
「キミは、知ってる? 週刊少年ジャンプのワンピース! 俺、あれ好きだったんだよね」
「えっと、まだ終わってないはずですよ」
笑顔で、答えてみる。自然体だった。涙の別れには相応しくないだろう、いつも通りのわたしだ。こんな時、女優さんみたく晴れやかに立ち回れたのなら良かったのだけれど。
「そうなんだ。じゃあ、うん、いっか。続きは生まれ変わってからのお楽しみってことで」
天童さんの演技ない笑顔には、わたしもまたつられて笑えてくる。それに。
「てか結衣にゃんさ、ブラ紐」
「?」
「透けてるよ」
「え……は、はぁあ!? うそ!? まさかさっき、濡れたから──」
「うそ、冗談」
「ちょ、天童さんっ! その冗談はさすがに笑えないですからぁっ!」
「ふふ」
「ほだか先生までなに笑ってるんですか!?」
って、はぁ。まぁ、いいけどさ。
「全く、勘弁してくださいよ」
バカみたいなやり取り。変わらないいつものわたしたち。日常。わたしたちは、今この瞬間を間違いなく生きている。こんな「最後」も悪くない──かちんっ、かちんっ、かちんっ──時を刻む掛け時計のクロック音、ハサミの開閉音に耳を傾けながら、幸福な気分に浸っているわたしがいた。
そして、三十分程のカットを経て。
「おお、これが俺か! なんか、別人みたいだなぁ」
鏡に映る自分を見て感嘆の声を上げて驚く天童さん。わたしは、息を飲んだ。
ほだか先生は、シザーを腰へ納めながら言った。
「今回は、ショートウルフにしてみました」
本当に別人みたいだ。長さ自体は耳の下くらいなのに対して、襟足はスーツの襟にかからないくらいと少し長め。それでいてトップは適度に短くなっており、毛先が程よくウネっていて、動きが強調されているかのよう。
以上──生まれ変わった美男子が、そこにいた。
「ウルフとは、その名の通り『おおかみ』が由来とされるカットです。首筋に沿って流れる襟足は、おおかみの毛先。そして短くしたレイヤー(段)は、立て髪を表しているとされています」
ほだか先生の瞳が、未だ驚きを隠せないのだろう天童さんへと向けられる。口を開いた。
「どうですか、薫。気に入ってくれたら、良かったのですが」
「……あのさ、ほだか」
「はい」
「…………やっぱりお前、最高の美容師だよ」
天童さんは、笑っていた。鏡映る自分の姿を見て、嬉しそうに何度も頷いていた。
「俺さ、実はさ……ほだか。美容師になったお前のことが、ずっと羨ましかったんだ。なんで俺が美容師じゃなくて、お前が美容師なんだって……少しだけ、この境遇に嫌気が差したこともあったんだよ」
「薫……」
「ははは、驚いたろ? そうだよな。俺はいつだって、弟想いの良い兄だったからね。そこに間違いはない。だけど、今言った卑屈な俺ってのも、確かに存在してたんだ。羨ましくも、恨めしくもあったんだよ。ほだか、お前のことが」
天童さんは席を立ち、ほだか先生の前へと立つ。握り拳を作る──
「でも、今やっと分かったよ。俺は、今この瞬間のために、生きていたのかもしれない」
──ほだか先生の心臓に、拳を優しく重ね合わせた。にっと笑うその顔には、彼の気持ち全てが現れているかのようだった。
「『黄昏ほだか』のために生きた俺の人生も……うん、悪くなかったみたいだ。最後に弟の立派な成長ぶりを見られて、お兄ちゃんは満足だ」
「違います薫。僕は、あなたがいたから、だから、」
なにかを言いかけたほだか先生の肩を叩き、天童さんは首を横に振った。これ以上はもういいと、そういうことかもしれない。ほだか先生の表情は、今にも張り裂けそうなくらい切実な悲しみに暮れていた。無理もない。
天童さんの体が、次第に透けていくのが分かった。終わりの時は近い。
「じゃあ、俺はそろそろ行くわ」
天童さんはポケットに手を突っ込み、扉に向かって歩き出した。その間際。
「結衣にゃん、またほだかがバカやらないよう、頼むね。それにキミも、あんまり無茶しないように」
わたしは涙に滲んだ瞳のまま、何度も頷いた。視界がぼやけて見えづらかったが、天童さんが笑って頷き返してくれたのはちゃんと分かって──
「薫、行ってらっしゃい」
ほだか先生の声も、ちゃんと聞こえて──
「…………」
──光と粒子となった天童さんは、もうどこにもいなかった。
「……天童さん、行っちゃいましたね」
「………ええ、そうですね」
「……」
「……」
「ほだか先生。わたし、霊感が強くなったかもしれません」
「? どういう、意味ですか?」
「いや、あのですね……その、今、天童さんの声が聞こえた気がするんです」
「……薫が、なにか言ったんですか?」
「はい! 最後に『行ってきます』って、そう聞こえた気がします。『ほだか先生ともっと話したかった』とも、言ってたような。それで──」
「結衣くん」
「? はい、なんでしょう」
「いいんですよ。もう、いいんです」
「えっと…………へ?」
「ありがとうございます。あなたの気持ちは、ちゃんと伝わりましたから。だからもう、泣いていいんですよ」
彼は最後まで、花火のような人だった。ひゅるりと天空に舞い上がり、ひらひらと空の一番高いところで咲いて、笑って、ぱぁーと、火花を散らして、静寂の中に消えていく。それが何発、何発と打ち上がって、そのうち完全にいなくなる。そんな花火のように明るく眩しかった彼の去ったあとに遺るもの、それは喪失感でしかなかった。
明る過ぎるからこそ、濃い影が生まれる。光があるところに、闇がある。その光の中で、ほだか先生は闇を見てしまったのだろう。だけど闇を照らし払い除けたもの、それもまた光でしかない。
黄昏薫という光に、あてられて──
「結衣くん、よくがんばりましたね」
黄昏ほだかの抱えていた闇は、失われたのかもしれない。運命に翻弄された兄弟の最後に、わたしは涙が止まらなかった。彼の腕に抱かれているという安心感が、さらにわたしを涙させた。泣きたいのは彼のはずなのに、彼は涙ひとつ見せなかった。
光のような笑顔で、彼はわたしのそばにいてくれた。
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