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第1章

第3話 俺を見捨ててはくれまいか?

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 冒険者ギルド、その場所とは言わば冒険者達の集う集会所のようなところである。ここでは冒険者達が依頼を受けたり情報交換などをしていて、また仲間を集ったり、正式なパーティ申請の登録を行ったりもできる。

 だからだよ、俺は焦っていた。冷や汗が止まらない。

「な、なぁマルシャ?マジでいいのか?いいんだな?」

「何よ今更?いいに決まってるでしょ?」

「はは」

 ですよねー、

「分かった。では、俺も腹括るから…マジで…」

「あははは、あんたってほんと大袈裟ね?おかしいったらありゃしない」

 何を呑気な。俺は俺でかなりの危機感を持っているんだぞ?そんな俺の気も知らないでお前って奴は…

「ま、まぁ…こうなってしまったのなら最早どうしようもない。よし、ここは考え方を少し変えようじゃないか…」

 と、ギルド内を見回してみた。やはりルミナス街という廃れた街とだけあってこの冒険者ギルドもかなりショボい。狭いし汚いし陰湿そうだし、出来るなら今すぐにでも立ち去りたいぐらいだ。

 そんなギルドだからか、この場にいる冒険者も見た感じ大したことない奴等ばかり。と言っても俺の見てくれよりはまだマシな感じではあるが、そもそも俺と比べられる程度ってだけでヤバイ。ヤバイ雰囲気満載だ。よし、これならイケる。

 俺の考え的にはだ、これ以上マルシャみたいな目立つ奴を入れてはならないと思っている。例を言えば如何にも屈強そうなオッサンとか如何にもバリバリに魔法使えそうなお姉さんとか、そんなのはマジ勘弁。そんな奴等いたら本格的に魔王退治なんてアホみたいなことおっぱじめそうだしな。魔王退治など片手間で充分、本気でそんな事に命を捧げる馬鹿に俺はなりたくなどない。

 その点この冒険者ギルドはかなり安心できる。だってよ、皆んなかなり雑魚そうなんだ。雑魚になる為に生まれてきました!とは彼らの貧相な見てくれからビンビンに伝わってくるようだ!やばい、興奮してきた…

 要するにだよ、このギルドとは体から雑魚臭を放つキングオブ雑魚達の巣窟、俺にとっては宝の山というわけだ。どいつを仲間に引き入れても存分に足を引っ張ってくれそうな気がする!いや、間違いなくお荷物になる筈だ!そうであるなら、マルシャの強さと差し引きしてプラマイゼロ!!むしろマイナスかもしれない!それでいい!

「バンキス…なんかヤケにニヤついてるけど、いきなりどうしたの?」

「いや、何でも!それよりもマルシャ!早速仲間を集めようじゃないか!」

「え?ああそれはそうだけどさぁ…やっぱり、このギルドではやめとかない?」

「どうして?」

「いやだってさぁ…」

 と、マルシャの怪訝そうな視線がギルド内の如何にもな冒険者へと向けられた。

「見た感じ、ヤバくない、ここ?」

「ほう、ヤバイとは具体的に?」

「だからさぁ…なんかこう、あんたとおんなじオーラか…それ以下かもしれないけど、とにかく、使えなさそう、的な感じ?」

「成る程、まぁ否定はしない。確かにここにいる者達は俺から見ても残念な奴等ばかりだろう…でもな、それがどうした!?お前の言うリッダーシップっとはその程度のものだったのか!?」

「な、何よ急に声なんて上げちゃって!?」

「いいかマルシャよ、よく聞くんだ!!俺は今、お前に対して猛烈に失望している!何故ならばだ、それさお前が彼等を愚弄するような言葉を口にしたからだ!!」

「いやいやいや、あんただって認めてたじゃない!?」

「俺はいいんだ」

「何でよ!?」

「何でもクソもない!何故なら俺は、馬鹿で愚かな無能だからだ!彼等と何1つ変わらない、惨めで哀れな底辺冒険者なのだからである!」

「そこ胸を張る必要ないからね!?」

「まぁ聞け、そんな俺をだ、お前は暖かくも慈愛に満ちた寛容な心で仲間へと加えてくれた…俺は嬉しかった、そして同時に、お前にこの身の全てを捧げようとはこの剣に誓った…」

「どの剣よ…あんたまだ剣すら持ってないし!」

「違う!俺が言っているのは心の剣…ハートの問題だ馬鹿野郎!!つまりだ、俺はこう言いたい!お前は人を見た目で判断する程小さな冒険者だったのか!?えぇ!?そんなんで伝説の勇者の血を引いているとか言えるのか!?いや言えない!!いや言ってほしくない!!俺の知るマルシャ=クレーヌとはそれ程に器の狭い奴じゃなかった筈だ!」

「バ、バンキス…あんた私の事をそこまで思って…」

 途端にマルシャの目には涙が浮かぶ。よし、いい具合には感動しているみたいだ。作戦は順調。うん、悪くない。イケる。

「だからマルシャ!!俺のように人をを見た目で判断するようなクズ野郎にだけは成り下がってくれるな!!お前は俺とは違う、リッダーシップ溢れる凄い奴の筈だ!!」

「ええ、ええ…全くその通りだわバンキス…あんたは正しい…」

「うむ、じゃあもう一度聞くぞマルシャ?お前の目、彼等はどう映る?まさか俺の目に映ってるような、どうしようもなさそうな奴等に見えると、そう言うのか?」

「いいえ…なんだかよく分かんないけど、彼等の背に後光が差してみえるわ…」

 うん、そりゃあ多分お前の涙が電球に反射してそう見えるだけだろうが…まぁいい。

「うむ。それでこそ冒険者マルシャだ…で、あるならばだ、今更彼等を仲間にしたくないなどと軽はずみな発言はしない、そうだよな?」

「もちろんよ!!バンキス、あんたに言われて目が覚めたわ!!私は伝説の勇者ハイトリック=エストバーニ様の血を引く冒険者マルシャ=クレーヌ!!あんたみたいに人を見た目で判断するような下衆な真似をしないと、この剣に誓うわ!!」

「……お、おう。それでいい…」

 くそ、作戦は成功したというのに何だこの気持ち。自分で自分を悪く言う分には構わないが、他人に言われるとマジで傷つく…ああ、はやくこんなことから解放されたいぞ全く。
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