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9巻
9-1
しおりを挟む第1話 精霊王の夢
「……ジョン・セリアス殿!」
そんな声とともに部屋の扉が叩かれ、俺の意識はゆっくりと覚醒していった。
「……ジョン殿!」
ぼんやりとした視界と意識のせいで事態を容易には掴めないが、だんだんと頭がはっきりしてくるにつれ、俺はここがどこで、今自分が何をしていたかを思い出す。
そうだ……ここは魔族討伐軍の前線の砦、その中にある平兵士のための仮眠室だ。
魂を食らう代わりに絶大な力を貸すという異様な存在――ファレーナに憑かれているとはいえ、俺の身分は一般兵にすぎないのだから、将校のような一人一室といった待遇など望むべくもない。
まぁ、魔族との争いが長く続き、お互いにかなり消耗している現在において、将校ですら簡単に自室でゆっくり、なんてことは難しいんだけどな。
むしろ、部屋はあってもその主はほとんどいない、ということのほうが多い。
忙しさはもちろん俺たち平兵士も同じで、仮眠室で休むより、遠征で野宿するほうが多いくらいなのだが、今は魔族たちの襲撃が小休止しているため、束の間の休憩がとれたのだった。
そんな貴重な時間を、俺は即座に睡眠に当てたのである。
他の兵士たちは訓練したり、たらふく食事をとったりと各々好きに過ごしているが、本当の意味での休養は誰も取れていない。
すべては、次の戦いまでに可能な限り力を溜めるため――それに必要なことをやっているだけだ。
ストイックにもほどがあるが、そういうことをきちんと実行してきたからこそ、今砦にいる兵士はここまで生き残ってこられたのである。
あるいは、俺のようにおかしなものに憑かれているか、魔導部の実験体になって人間離れした状態になっているか、だな。
実験に参加した者の中には、人間にあるまじき回復力を持った者もいたりするから、そういう奴らはほとんど休憩がいらないのだ。
ただ、デメリットもあり、通常よりも老化が早かったり、何度も怪我をすると、突然、体の一部分がボロボロと灰のように崩れ落ちたりする。
色々な意味で全然だめな改造結果なわけだが、魔族との戦争が終結するまで十年もかからないだろうと予測して、その十年だけ保てばいい、ということで彼らは体を改造してしまったのだ。
十年どころか明日の朝日を拝めるのかすら分からないこの状況で、その選択はむしろ長生きするための有効な手段かもしれない。
実際、改造をしていない兵士たちはバカスカ死んでいったわけだからな。
でも、人のまま死ねただけ幸せだったのだろうか。
もう、俺にもよく分からない。
彼らほどではないにしろ、俺の体だって相当なものだしな。
さて、それはともかく、扉の外だ。
なんだか呼ばれていたな……
一体誰だろうと思いつつ、俺は扉を開ける。
すると、そこには若い伝令兵が立っていた。
「あぁ、ジョン殿。良かった。起きていらっしゃいましたか」
お前のせいで起きたんだよ、と突っ込んでやりたい気持ちが湧き上がってきたが、伝令兵があまりにもほっとした笑みを浮かべていたので、実際に文句を言うのはやめることにする。
そして、とりあえず用件を尋ねた。
「……あぁ、まぁな。それで、何だ? 魔族が攻めてきたのか?」
だとすれば、もっと切羽詰まった雰囲気のはずだし、砦中を兵士が走り回っているだろうから違うと分かってはいたが、とりあえずそう言ってみた。
すると、やはり伝令兵は頭を振った。
「いえ、魔族は未だ不気味なほど沈黙しております。そうではなく、勇者殿がジョン殿をお呼びなので……」
「勇者殿が? 俺みたいな平兵士を? 何かの間違いじゃないのか?」
不思議に思って首を傾げるが、俺以上にその伝令兵も謎だったのだろう。困惑した様子で答えた。
「私にも理由は……。ですが、ジョン殿は魔導部の実験に何度となく参加されているということですし、その関係なのでは? 魔導部の方々と勇者殿は頻繁に情報交換していると聞きますし、新兵器が作られるとの話もあります……」
それは、ただの噂だ。
新兵器の開発がどこかから通達されているわけでもないし、勇者たちが自ら吹聴しているということもない。
しかし、魔導部は今の魔族討伐軍において、技術部門のほとんどすべてを担っているため、勇者と連絡を取り合っているのは事実だ。
それに、新兵器という話も、全く根拠がないわけではない。
魔族を大元から叩くべく、本拠地である北の島に行かねばならないのだが、そこへは結界嵐を越えなければたどり着けないということが、ついこの間明らかになった。その結界嵐をどうにかするには、特別な手段が必要だと言われている。
その特別な手段――つまりは新兵器を魔導部が作ろうとしている、という話が囁かれているのだった。
そのために勇者たちが協力しているというのは、もっともらしい話だろう。
しかし、勇者たちは別に技術的専門家というわけではないからな。
大魔導ナコルルと精霊王アークあたりは魔法と精霊術に関しては大家だろうが、勇者と聖女ミレイアは開発の役に立ちそうもない。
その勇者が呼んでいるのならば、新兵器の話は俺に関係なさそうだが……
とはいえ。
「……ここで考えていても埒が明かないな。本人に聞いてみることにするよ」
俺がそう言うと、伝令兵は目を輝かせた。
「ジョン殿はやはり、勇者殿と親密でいらっしゃるのですか?」
「いやいや、また何でそんな話になるんだよ……」
俺が少し呆れてそう言うと、伝令兵は理由を説明した。
「つい先日の戦いで、勇者殿がジョン殿を気にしておられたという話が……」
「初耳だな」
「それに、何か親しげに話をされていたとも……」
これについては誤解がある。
確かに俺は勇者に声をかけられたが、二言、三言、兵士の消耗や士気なんかについて尋ねられただけだ。
それ以来、すれ違ったら雑談くらいはするものの、特段仲がいいというわけではない……と思う。
「勇者殿はお前が思っているより気さくな人だぞ。そんなに気になるなら、自分から話しかけてみろよ。普通に会話してくれるから」
そう言うと、伝令兵は、畏れ多いという顔をした。
「いえ、私のようなものが、そんな……。おっと、長く話し過ぎました。お時間を取らせて申し訳ありません。では、失礼します」
慌てて首を振り、伝令だけのつもりが長居になってしまったと恐縮しつつ去っていった。
「……別に畏れ多くなんてないと思うんだけどな……」
伝令兵の後ろ姿を見ながら呟きつつ、思い出す。
昔、ケルケイロと初めて話したときも、似たようなことを同僚に聞かれたな、と。
当時、俺としては普通に会話をしただけという認識だったが、同僚に「お前は色々と鈍い」と言われたのを覚えている。
のちに、ケルケイロが実は大貴族の息子だったことを知って、同僚の指摘は正しかったことが証明されたのだが……
今回の勇者についても同じことなのかもしれないなと、ふと思った。
「……とりあえず呼ばれたんだ。勇者殿のところに行くか……」
そう呟いて、俺は部屋を出たのだった。
◇◆◇◆◇
「……来たか、ジョン。忙しいところ悪いな」
勇者モルスのために用意された部屋の前にたどり着くと、俺が声をかける前に、モルスが中から扉を開けた。
俺の気配を、すでに察知していたのだろう。
勇者の能力には至るところで驚かされるが、日常にも活かされるらしい。
足音や空気の流れで気配を感じる、というのは武術の基礎技術の一つであるが、モルスの場合、精度や範囲が尋常ではない。
この部屋の前を通る人間など何人もいるはずなのに、その中から俺だけを判別したわけだからな。
……俺の足音はそんなに特徴があるのか?
いやいや、普通だろう……
「特に忙しくはないさ。ちょっと仮眠をとっていたくらいだしな」
「そうか? ならいいんだが……その仮眠も重要な休養であることは変わりない。申し訳なく思うよ」
改めて考えてみると、確かに勇者モルスと俺は、傍から見ればかなり親しげに会話しているのかもしれない。
だが、それほど深い付き合いというわけではなく、一般兵の中ではよく話してくれる、という程度だ。
最初は敬語を使っていたものの、モルスから不要と言われて普通の言葉遣いをしている。
勇者にも、どうでもいい会話ができる相手が一人くらい必要だ、ということだろうか。
普段は神都の宗教者たちが彼を囲んでいるからな。
別に彼を守っている、というわけではないのだが、勇者が負傷して戦線を離脱したら、魔族討伐軍は間違いなく瓦解する。
そうならないように、神都の連中が治癒術師をたくさんつけているのだ。
もちろん、聖女ミレイアが最も治癒術に長けていることは言うまでもないのだが、重傷の治癒には命を賭して行わなければならない術式もある。
そういった術をミレイアに使わせるわけにはいかないので、万が一に備えて他の治癒術師たちがいるというわけだ。
まるで使い捨ての薬のようだと思うが、俺たち一般兵だって適当に作った弓矢と同様、使い捨ての駒にすぎないしな。
この状況で綺麗事ばかり言っていられないのは宗教者も同じ、というわけだ。
「いや、気にしないでくれ。必要な分は眠れたしな。それよりも、何か用があるんじゃないか? 世間話がしたいってわけでもないだろう?」
俺がそう尋ねると、モルスは頷いて答える。
「あぁ……そうだった。実はな、アークがお前を呼んでほしいと……」
「アーク? 精霊王アークか?」
当たり前のことながら、俺はその名前をよく知っていた。
勇者モルスの連れて来た三人の仲間たち、その一人、精霊王アーク。
彼は精霊術の大家であり、すでに数多くの戦場で絶大な能力を見せている。
ナコルルの魔法と比べても全く劣らないすさまじい威力を発揮し、しかもその規模はナコルル以上。多人数に対する戦いにおいては、勇者よりも強大な力を発揮すると言ってもいい。
ナコルルもかなり大規模な魔法を使えるが、彼女の真のすごさはそこではなく、その強力な攻撃手段である魔法を誰でも簡単に、しかも無詠唱またはほとんど詠唱なしで使えるようにしてしまったことにある。
精霊王アークの精霊術は残念ながら、精霊に好かれなければ使えない。だから誰でも扱えるように、とはいかないのだ。
それでも彼一人で戦況を変えてしまえるわけで、やはり非常に頼もしい存在である。
そんな彼が、俺を呼んでいる?
これは不思議な話だった。
「何で俺を……ただの平兵士にすぎないんだぞ」
「この戦争をここまで生き残っている兵士たちが、ただの平兵士、とは言い難いと思うが……まぁ、お前の言うことも分からないでもない。ただ、ジョン、お前には特別なものがあるだろう。その背に憑いている、不可思議な存在が」
そう言われて、なるほど、精霊王アークが用があるのは俺ではなく、そっちだったかと納得した。
「……ファレーナか。だが、こいつと一体何を話そうっていうんだ? 俺が言うのもなんだが、まともに会話してくれるとは限らないぞ」
そう言うと、俺の体の中からふわり、とファレーナが出てきた。
「またまた、ずいぶんとしんがいなことをいうなぁ。ぼくだってちゃんとはなせるよ?」
少し怒った顔をしているが、その口調は軽く、またどこか夢を見ているような、歌うような響きを持っていた。
ファレーナの言い分はともかく、普通に会話が成り立つと期待するのはどうなのか、と思ってしまう。
もちろん、気が向いたときは尋ねたことにも答えてくれるし、むしろ親切な場合だって少なくないのは確かだ。
俺は、自分の命がこいつの力によって繋がれたことを忘れていない。
いかに奇妙で、不気味で、恐ろしい存在だと分かっていても、根底には間違いなく感謝と信頼がある。
ただ、だからといって、ファレーナがまともな性格をしている、と言うことはできない。
そんな俺の気持ちを理解しているのか、モルスもわずかに眉を寄せて言う。
「……まぁ、アークもそこまで期待しているわけではないと思う。何を話したいのかは分からないが……こいつらのような存在は他にもいるのだろう? ジョン一人に話を聞こう、とは考えていないんじゃないか」
「他の奴らか……」
魔導具〝皿〟を与えられ、ファレーナみたいな存在と契約した者は俺以外にもいる。
とはいえ、かなりの数が戦死するか、精神に異常をきたしてとても戦える状態ではなくなっているが。
今、まともに活動できている者は十人くらいだ。
当初はその五倍はいたことを考えると、かなり数を減らしたといえる。
不思議なのは、今も俺のように普通に活動できている者が特別精神的に強靭、というわけでもないことだろうか。
はっきり言って、俺は身体能力も精神力も平凡だからな。
俺よりもずっと心も体も強い者はたくさんいた。
しかし、そういう者ほど、ファレーナたちの力に呑み込まれていったのだ。
ファレーナに理由を聞くと、相性が合わなかったんだ、とか、使いすぎたんだよ、とか言う。
確かに、ダメになった奴らとファレーナたちの関係を思い出すと、いつも喧嘩している者や、ファレーナたちの力を多用している者が多かったような覚えはある。
要は、適度にファレーナたちに気を遣って付き合い、また力も慎重に小出しにしていた者が生き残っている、ということだろう。
そう考えると、俺が生きているのは納得だな。
俺はファレーナがなんだかんだ言って嫌いじゃないのでそこそこ仲良くしているし、力を使えば使うほど魂を食うと宣言されているため、本当にどうしようもない時以外は使わないようにしている。
ファレーナが魔法を使って助けてくれる場合もあるが、それはあくまで本人の意思で、俺がファレーナの力を使った、とはカウントされないみたいだしな。
「他にも話を聞くとしても、この砦にいる〝契約者〟はジョン一人だ。もし会話が成立しなかったら手がかりが一つ減るからな。できる限り、ファレーナ殿にはお手柔らかに願いたいところだよ」
モルスがそう言うと、ファレーナは、にぃと笑う。
「ぼくはいつもやさしいよ? ジョンがすきだからね。アークは……どうかなぁ」
「……そういうところが不安なんだが。ジョン、どうしようもないときは説得を頼めるか?」
「俺が説得したところで、話を聞くようなタマじゃないけどな……」
それができるなら、魂を食べるなとか、常に俺を守るように戦ってくれとか言えるのだが、そんなお願いを聞いてくれたためしなどない。
ファレーナはあくまで自分の好きに動く。
それが、たまたま俺の利害と繋がることがある、というだけだ。
そんな話をすると、モルスは首を捻って言う。
「ファレーナ殿に、後ろから突然刺される可能性もあるってことか?」
俺はファレーナを見ながら少し考えて、言った。
「そりゃ、そうだろ。ただ、こいつに殺されるなら、それはそれで仕方ないかもしれないと思ってるよ。もともと、こいつに助けられた命なんだからな」
素直にそんな言葉が出てくるあたり、俺はどこか狂っているのかもしれないと思う。
けど、狂っていなければこんな戦争で、剣を振るっていられないのだ。
だからこれで正しいのだと思っている。
ファレーナは俺の言葉を聞いて、珍しく優しげに微笑んだ。
「だからぼくはジョンがすきなんだ。だいじょうぶ。ぼくはジョンをころしたりなんてしないよ。まもって、あげる」
そう言って、透き通った手で俺の首を抱きしめた。
そんな俺たちを見たモルスは、「……おっかない関係だ……」としみじみと呟いたのだった。
第2話 責任の話
「……来たか」
モルスに連れられてアークの部屋にたどり着き、扉を開くと、執務机で書き物をしていたアークが顔を上げ、俺とモルスの姿を確認してそう呟いた。
疲れたような雰囲気が漂っているのは、彼が激務だからか、それとも他の理由からか。
噂で聞くように、やはり新兵器の開発に関わっているのかもしれないな。
まぁ、そのあたりは平兵士にすぎない俺には分からないところだ。
機密もあるだろうし、下っ端にそういうことがはっきり伝わるのは、完成したときだからな。
「あぁ、連れて来たぞ。といっても、別に面識がないわけではないだろう?」
モルスがアークと俺に向かって尋ねる。
実際、全く面識がないわけではない。
アークと俺の実力には天と地ほどの開きがあるが、それでも同じ戦場を駆ける仲間であることに間違いはない。
だから、言葉を交わす機会は多少あるのだ。
もちろん、話したことのない兵士や上官もたくさんいるのだが、俺はファレーナのこともあって、比較的上官や中枢部の近くにいることが多いからな。
本来なら天上の住人に近いアークとも会話することがあった。
とはいえ、その内容は大したものではない。アーク自身が、そこまで多弁な人物ではないからだ。
モルスやミレイア、それにナコルルなんかは結構人と話すのが好きだから、誰かれ構わず話しかけている。
そんな英雄たちの中では一人、浮きがちな人物だった。
もちろん、そんなことで彼の偉大さが損なわれることなどないが。
「確かに面識はある。だが、モルス。お前のように友情を築いているというわけではないのだ。だから、お前から呼んでもらったほうがいいと考えた……いきなり私が呼び出したのでは、来てくれない可能性もあるからな」
アークがモルスの言葉にそんな返事をした。
「来てくれない? なぜだ」
モルスが尋ねると、アークは表情を崩さぬまま答える。
「私は……それほど、兵士たちとコミュニケーションをとっていないからな。あまり好かれていないだろう。そんな相手の呼び出しなど、気が進まないはずだ」
アークの意外な言葉にモルスは頭を抱えた。
「……アーク、いくらなんでも後ろ向きすぎないか? 別に嫌われてはいないだろうに……なぁ、ジョン?」
話を振られて、俺はアークに対して言う。
「ええ。アーク殿を嫌っている者など、軍には一人もいませんよ。確かに、あまり能弁な方ではない、とは言われていますが……」
「ほれみろ、モルス。これはな、気遣いというものだ。実際は無口でプライドの高そうな奴だと嫌っているが、あえて柔らかく包んだ表現をしてくれているのだろう……余計な気遣いをさせて、申し訳なく思うぞ、ジョン。いいのだ、正直に言ってくれ。私は嫌われている……そうだろう?」
「いえ、あの……」
あまりにもネガティブな発言に、なんと返していいものか分からなくなった俺であった。
モルスは苦々しい表情で囁く。
「……こういう奴なんだ。悪いが、受け入れてくれ」
「……博識で物静かな人だとは思っていたが……」
少なくとも、ここまでネガティブな発言は聞いたことがなかった。
いくらなんでも後ろ向きすぎだろう。
大体、精霊王アークと言ったら、魔族討伐軍において多大なる戦果を挙げている英雄の一人なのだ。一体、どこの誰が嫌うというのか。
「物静かなのは、あまり話すとボロが出るからだ。博識なのは……まぁ、これでエルフだからな。年の功なんだろう……」
「悪かったな、年で。若者に私の気持ちなど分からんよ……ああ、今回の戦争についてもな」
唐突に気になることを呟くアーク。
俺は首を傾げて尋ねる。
「何か、この戦争に思うところが?」
まぁ、戦争について何も思わない奴なんていないに決まっているのだから、この質問の仕方はどうかと思う。
戦争に兵士として参加している俺は当然、勝ちたいとか、これ以上人類の数を減らされてたまるかとか、殺された仲間たちの復讐を、とか色々あるし、戦場に立っていない一般人にだって似たような思いはあるだろう。
ただ、アークの呟きが含んでいるものは、そういう至極当たり前の思いではない気がしたのだ。
では何なのか、と聞かれると困ってしまうのだが……だから本人に聞くしかない。
「それはな。何も思わない人間などおらんよ。祖種も貴種も、匠種も、その他の種族も、誰もな」
アークは一般論を口にするにとどめた。
そんなことを聞きたかったわけではないのだが、しつこく尋ねても話すようなタイプではあるまい。
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