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6巻
6-1
しおりを挟む第1話 厳しい光景
見ているだけで身が震えるほどの数の魔物が、迫ってきていた。
魔法学院の卒業試験を受けるため、俺――ジョン・セリアスは、他の魔法学院生と一緒に、神都エルランに来ていた。
試験はエクビリオン大聖堂の〝修行の間〟で行われた。部屋に入った者が最も強いと思うものが現れるというその場所で、俺は前世の剣の師ハキム・スルトと戦ったのだ。
そうして何とか試験が終わり、皆のもとに戻ろうとしたとき――それは告げられた。
魔族の襲撃。
信じられないような報せだったが、目の前の光景が事実である以上、俺たち魔法学院生も戦わなくてはならない。
なにせ、魔術師というのは魔法を使えるというだけで大きな戦力なのだ。
エルランの神兵と魔法学院生が隊列を組み、その前方に魔法学院の教授陣が等間隔で立つという陣形で、魔物に相対している。
俺もまた、魔法学院でパーティを組んでいるノール、フィー、トリスと並んで、魔物に魔法を打ち込むべく、緊張しながら機を待っていた。
未だ魔物たちは遠く、魔法学院生の魔法が届くほどの距離ではない。
魔物たちが魔法の射程距離内に入ったそのときに一斉に魔法を放ち、奴らの数をできるだけ減らす――それが俺たちがやるべきことだ。
前方に立つ魔法学院の教授たちが手を掲げながら、魔物たちとの距離を測っている。
もう少し。
もう少しで、合図が……
「……今だ、撃てーっ!!」
教授たちの真ん中に陣取っていた魔法学院長ナコルルがそう叫んで、掲げていた手を魔物たちに向けた。
それを確認した他の教授たちもまた同じように叫び、そして直後、魔法学院生たちの詠唱の声が響き、大量の魔法が魔物たちに向かって放たれる。
巨大で鋭い氷の柱、燃え盛る岩のような大きさの炎の玉、名工の作り上げた剣にも匹敵する刃を持った風の斬撃、それに魔物たちの足下を揺らし転倒させる土の魔法。
他にも様々な魔法が魔物たちに撃ち込まれ、魔物たちは傷を負い、数を減らしていった。
その様子に、魔法を撃った本人である魔法学院生たちも、また、これから魔物たちと直接交戦する予定の神兵たちも感嘆の声を上げる。
「結構いけてるんじゃないか? 俺たち」
「これなら勝てるぞ!」
「もっとだ、もっと魔法を放つんだ!」
そんな風に、士気の高まりを感じさせる言葉が飛び交った。
けれど、その声はすぐに静まっていく。
次々に魔法を放って話している余裕がないからというのももちろんだが、それ以上に大きな理由があった。
魔法によって起こった土煙が晴れると同時に、先ほどまでとほぼ変わらない勢いでこちらに向かってくる魔物たちの姿が見えたのだ。
確かに、魔法学院生たちの魔法は魔物の数を減らしていた。
けれど、全滅させるほどでは当然ない。全体の一割を倒したかどうか、それくらいのものだ。
それでもたった一撃、初撃を食らわせただけの成果と考えれば大したものである。
だが、魔物たちの全く怯まない威容が、大規模な実戦を経験していない魔法学院生たちの心に恐怖を抱かせないわけがない。
再び上がった魔法学院生たちの声は、先ほどまでとは打って変わり、後ろ向きなものばかりであった。
「だ、大丈夫なのかよ!? これで!」
「本当に勝てるのか!」
「まさかここで死ぬなんてことは……」
これほど多くの魔物との戦いなど魔法学院生の大半が経験していないことを考えれば、彼らが弱気になってしまうのも仕方ないが、これはあまりよくない流れだ。
「ジョン……」
ノールが不安そうに俺を呼んだ。
別に、ノールもまた他の魔法学院生と同じように怯懦に呑み込まれかけているというわけではない。
このままだと今後の戦闘に悪影響があるという懸念を示しているだけだ。
他の二人……トリスとフィーも似たような表情をしている。
その気持ちは俺にも理解できたが、おそらく心配無用だろう。
というのも、たった今、陣形の一番前にいた魔法学院の教授陣が動き出したからだ。
魔法学院生の魔法の撃ち込みが一段落したことを確認したからだろう。
さすが、教授たちだけあって、生徒たちの癖をよく理解している。
「三人とも心配するな。今先生たちが行ったぞ」
「……本当だな。しかし、あの人数で何が……」
ノールは一応頷いたが、教授陣は十人もいない。
その人数で数千にも上る魔物の大群に突っ込んでも、死にに行くようにしか思えないかもしれない。その感覚は間違いないのだが……
「まぁ、見てろよ……」
俺が言うと、ノールも前方に目を向ける。
すると、教授陣の中の一人、元素使いと呼ばれる老魔術師モラード・ガラクルシアが、まず魔物の軍勢の中に突っ込んでいった。
「えぇ、あんなことして、大丈夫なの!?」
トリスが驚きの声を上げたが、直後、モラードが突撃したと思しき地点の周辺から、巨大な炎の竜巻が発生した。
魔法学院生が生み出す同様の魔法の数十から数百倍はある、巨大なものである。
それに魔物たちは吹き上げられ、さらに燃やされて次々と灰になっていくのだ。
「……凄すぎ」
呆れたようにそうつぶやいたのは、フィーだ。
俺たち全員、モラードの実技の授業を受けたことがあるのだが、彼の全力を見たことは一度たりともなかったのだと、今になって思い知らされた。それほどに強大な魔法である。
しかもモラードはおそらく、あれを何発も撃てるはずだ。
魔法学院生の放つ魔法など、彼の魔法に比べればものの数にもならない。
驚きはそれだけで終わらなかった。
魔法学院の教授陣の中にもはや見慣れた顔として、学術都市ソステヌーのブルバッハ幻想爵がいたわけだが、彼は、すーっと空中を飛んで魔物たちに近づくと、空に手を掲げた。
その直後、彼の頭上にズズズと謎の黒い穴のような空間が出現し、そこから卵形をした巨大な物体が這いだしてきたのだ。
と言っても、その大きさは鶏の卵どころではない。
人間を五倍にしたくらいの巨大さで、しかも非常に醜悪な見た目をしているのだ。
あちこちに裂けた口やら大きな瞳やらが張りつけられており、さらに手足も生えている。
口から垂れる液体は銀色をしていたが、それが地面にこぼれ落ちると煙が上がった。どうやら強力な酸のようだ。
そんな謎の物体が、魔物たちの方に向かって走っていく。
謎の卵形の物体は黒い穴からさらに二体ほど現れて、それぞれ別の方向に突き進んでいった。
パカパカと、ちょうど卵がまっぷたつに割れるような形で最も大きな口を開いて、周囲の魔物を平らげていく。
その様子は、どちらが魔物なのか分からなくなるほど、邪悪で醜悪なものだった。
「……やばすぎないか、あれ。そもそも何の魔法なんだよ? 召喚魔法?」
見ていたノールが引きつった顔でそうつぶやいた。
少なくとも、既存の魔法体系から外れた何かに見える。
確かに、強いて言うならノールの言う通り、召喚魔法の一種であると理解できなくはない。
しかしそれにしても、喚ばれた存在は一体何なのか。
低位から中位のものであれば、一般に存在を知られているので何が喚ばれたのか見れば分かるものだし、反対に高位で秘匿されるような存在でも、その司る属性くらいはぱっと見で分かるものだ。
けれど、ブルバッハ幻想爵のそれは今まで見たことのあるどんな召喚獣とも違うし、属性もよく分からない。
禍々しすぎる。闇属性のものだと言われても、それ以上の禁呪ではないかと思えるほどの邪悪さだった。
一体あの男はどんな研究をして、あれを喚べるようになったのか。
ブルバッハ幻想爵の魔法技術は、俺やナコルルと共に研究をしているせいで他と隔絶しつつある。もしかすると、その中の成果の一つなのかもしれない。
「……まぁ、何だかよく分からないが、頼もしいからいいんじゃないか」
魔法を放ちつつ、俺はノールにそう返事をした。それくらいしか言えないからだ。
ノールは顔を引きつらせたままである。
「それで終わらせるお前はすごいな……俺はあれが敵だったらと考えただけで震えるよ」
なるほど、それは考えなかった。
確かに、あんな気持ち悪いパカパカした卵形の何かに襲いかかってこられたら、精神的にきついものがある。
「……でも、あの人は敵にはならないさ。たぶんな」
俺はノールにそう答えた。
甚だ真実味に欠ける台詞だったが、前世においてブルバッハ幻想爵はあれでずっと人類の味方だったのだ。
あの見た目や普段の振る舞いを考えると、魔族側につけば有益な研究ができるかもしれない、などと言って寝返りそうな人物に思えるが、そんな気配は全くなかった。
実際、魔導部には少なからずそういう思考をする人がいて、軍部から姿を消してしまう者が稀に現れた。本当に魔族に協力していたかどうかは分からないが。
魔族に与するまでいかずとも、辺境で人を攫って実験体にし、自分の研究にのめり込んでいるという者もいて、彼らは発見され次第即座に粛清されていった。
ブルバッハ幻想爵はまさにそういうことを最もしそうな人物であるが、現実には、最後まで人類の頭脳であり続けた人だ。
危険で非人道的な実験を繰り返してはいたが、それはあくまで人類のためだったのだろう。
そんなことは一度たりとも口にしなかったし、口を開けば実験とその成果の話しか外に出さなかったが、それでも、彼が人類の未来を考えていてくれたことは分かる。
彼のやっていた実験はすべて、人類が魔族に勝つためのものだったからだ。
そこから外れたことは、一度もなかった。
だから、彼は裏切らない。
たとえ俺の言葉が疑わしくても、それが事実である。
「本当かよ……まぁ、ジョンが言うなら信じるけどさ……」
ノールはひどく怪訝そうな表情をしているが、いずれ分かるだろう。
今だって、ブルバッハ幻想爵は魔物たちを蹴散らしているのだ。彼は誤解されやすいが、信用できる人である。
ブルバッハ幻想爵以外に、魔物を倒している教授たちの中で目立っているのはベルノーだ。
彼女が持っているのは女性らしい武器と言える細剣であるため、他の教授陣と比べて若干、火力で劣るように思える。
しかし、現実は全く異なる。というのも、その武器を振るう速度が半端ではないのだ。
たった一回突いただけのように見える剣筋なのにもかかわらず、直後には十体以上の魔物が地に伏している。
そうかと思えば、いつの間にかベルノーの姿が消えていて、別の場所でまた細剣を目にも留まらぬ速さで突いていたりするのだ。
まさに美技と称えられるべき剣術であり、ちょっとやそっとの修練ではたどり着けない高みがそこにはあった。
迷宮探索の第一人者という肩書きは伊達ではない。とてつもない実力だ。
モラード、ブルバッハ幻想爵、ベルノーの凄まじい戦いぶり以上に目立っているのが、ナコルルである。
大規模な魔法ばかりを放って戦っている。
それ自体は別にいい。魔法学院長として、納得のいく戦い方である。
けれど、その手には巨大なハルバードが握られており、ナコルルは魔法で怯んだ魔物たちのところに突っ込んで、直接物理的に切り刻んでいるのだ。
貴種姿で嬉しそうな微笑みを浮かべながら軽々とハルバードを振るい続けているものだから、違和感が凄かった。
ナコルルの戦いぶりは、戦闘中のフィーと似たものを感じる。
公の場では学院長という立場に相応しくあるため貴種の姿をしているナコルルだが、実際の彼女はフィーと同じ匠種だ。匠種というのは好戦的な種族なのだろうか。
前世では、武器を持って接近戦をしているナコルルなど見たことがなかったが、もしかすると自身の名が英雄として広まるにつれてやめたのかもしれない。
〝大魔導〟の名を持つ者が、ハルバードを振るって戦うというのもおかしな話だ。
匠種なのにわざわざ貴種姿に変身するようなイメージ戦略を大事にしている人だ、それくらいのことはするだろう。
ただ、今の彼女の戦いぶりは、魔法学院生や神兵に勇気を与えていた。
貴種でもハルバードで魔族相手にあれほどの戦果を上げられる、ならば、自分たちにも十分に戦えるのではないか、と思わせたのである。
貴種という種族は、魔法的素養はかなり高いものの、腕力の弱い者が多い。
もちろん、長命であるから技術的には相当なレベルに達している者も少なくないのだが、ナコルルの戦いは技術というより、腕力でどうにかしているように見えるのだ。
一振りで自身の周囲の魔物を蹴散らし、間髪容れずに大規模魔法を撃ち込む。その魔法で魔物を吹き飛ばしつつ、怯んだ奴らに向かってハルバードで突っ込む……ということの繰り返し。
倒した数なら魔法で吹き飛ばした魔物のほうが多いのだが、ハルバードでも並みの兵士以上の戦いぶりを見せている。
実際のところ、ナコルルは様々ある種族の中でも腕力の高さに定評のある匠種なので、皆の勘違いではあるのだが、この場合は言いっこなし、というやつだろう。
それに、ナコルルは貴種の中でも規格外の腕力に違いないというくらいは、学院生も神兵も感づいているはずだ。
勘違いであったとしても、勇気を持つきっかけになったのなら、それは悪いことではない。
教授陣の奮闘を見て、この戦いは「とてもじゃないが勝てそうもない戦い」から「頑張れば勝てる戦い」に認識が変わった、というわけである。
第2話 戦いの状況
「さて、教授陣の戦いは見てて惚れ惚れするけど、ずっと鑑賞してるってわけにもいかなそうだな」
俺がつぶやくと、ノールも頷く。
「あぁ。そろそろお出ましってわけだ」
ノールが見ている方向に目をやると、教授陣の放つ魔法や攻撃から逃れてこちらに向かってくる魔物たちの姿が見えた。
教授陣が奮闘しているとはいえ、やはり魔物が多すぎる。対処しきれないのは仕方がないことであるし、その逃れてきた魔物を倒すことこそ俺たちの仕事だ。
しかし、それにしても数が多すぎる。
俺たちに魔物の群の中で暴れている教授たちのような力があるなら別だが、そうではない以上、余裕をもって当たれるような数ではなかった。
「斧持って突っ込めばいいのかな?」
楽しそうに言ったフィーに、トリスは呆れた顔をした。
「馬鹿なこと言うんじゃないわよ……そんなことしちゃ駄目でしょう。私たちの役割は、あくまで魔法を放って敵を倒す〝砲台〟よ。直接戦闘は神兵の人たちに任せるの。さすが、神都エルランを守る神兵だけあって、武術に関しては私たちが足下にも及ばないほど優れた技術を持っているみたいだし」
神兵たちの槍や剣の構え方を見れば、トリスの言うことは正しいと分かる。
俺は前世からの経験で相手の力量をある程度見極めることができるのだが、トリスたちもまた、それなりに魔法学院で武術を鍛え続けてきたのだ。
自分よりも腕が上かどうかは、それが巧妙に隠されたりしていない限り、構えを見れば分かるだろう。
俺の感覚からすると、神兵たちの武術の実力は魔法学院生よりも一段も二段も上である。
もちろん、魔法の使用をありにして一対一で戦えば魔法学院生に軍配が上がるだろうが、純粋な武術に限った場合は神兵たちの圧勝だ。
つまり、魔物たちとの直接戦闘は彼らに任せるのが得策、というわけである。
それはフィーにも分かっていたようで、口を尖らせながら了承した。
「はーい……。じゃ、僕たちは魔法をいっぱい使おっか。〝多量の土よ、起こり、刺し貫け! 〝土の多槍〟!」
フィーが唱えると同時に、こちらに襲いかかろうとしていた魔物たちに、地面からタケノコのように生えた土の槍が突き刺さる。
といっても貫通力はそこまでではなく、突き刺さっているものもあれば、吹き飛ばすだけに終わったり、逆に魔物に弾かれてへし折られたりしているものも少なくない。
この辺りに、魔法学院教授陣との実力の差が表れている。
しかし、それでも足止めとしては十分な効果があるし、数体の弱い魔物はしっかりと絶命させることができている。
残りは神兵たちが群がって止めを刺してくれているので、問題ないだろう。
これなら、うまく神兵たちと補い合いながら戦っていけそうだ。
全体から見ると、フィーは機を待ちきれずに少し早く動きすぎたような感じがあった。
しかし、フィーの魔法が確かに魔物たちに効いていること、そしてフィーの打ち漏らした魔物たちを神兵たちが確実に片づけてくれたことが、他の魔法学院生や神兵たちの目に入ったのは良かったといえる。
おかげで魔物を迎え撃つ俺たちの士気は高揚し、フィーに続いて、魔法学院生たちの詠唱の声が次々に戦場に響きだした。
フィーの魔法のような土の槍や、氷の槍、炎の玉や、風の刃などが戦場を飛び交う。
いずれも魔物たちに命中し、その命を確実に刈り取っていく。
神兵たちの立ち回りも見事だった。魔法学院生たちの魔法の飛び交う隙間をうまく見つけて走り、魔法で仕留め損ねた魔物たちを見つけては倒していく。
これは口で言うほど簡単なことではない。
なにせ、魔法学院生たちは、これが初の大規模な実戦なのだ。
魔法の飛んでいく方向は基本的にある程度決まっているとはいえ、かなりずれた方角に放たれたり、うまく発動しなかったりすることもある。
そんな不安定な中を走り抜けていくのは、並大抵の勇気ではできない。神兵たちはかなり修練を積んでいるのだろうと思われた。
また、魔法学院生たちも意外とうまくやっていた。
もちろん、魔法学院生の中には、いくら教授陣や他の学院生たちの奮闘を見たといっても、こんな命のかかった戦いの経験などないため、恐慌や混乱に陥る者も少なからずいる。
それは良くないことではあるが、しかし同時に仕方のないことでもある。
俺だって前世での初陣のときは恐ろしかったし、まともな判断ができていたかどうかすら怪しい。
むしろ、今の状況で皆よく戦っているほうだと思う。
しかも、注意して観察してみると、魔法学院生の中には全体を見ながら指揮をしている者もいた。
大抵がそれぞれの班のリーダーで普段から慣れているからだろうが、それでも魔物が迫ってきているこの状況下で、混乱することなく冷静に指示を出せているというのは非常に有能な証拠だ。
迷宮で数体の魔物を相手にしている場合であれば、各自に指示を飛ばしやすいし、いざというときにはさっさと撤退を宣言すればいい。
けれど、この戦場ではそう簡単にはいかない。一つの判断が全体の生死に直結する恐れがあるからだ。
そんな中で指示を出すというのは言葉以上に難しいものがあり、多大な重圧がかかるのである。
これに耐え、的確な指示を出せる者こそが将たる器を持っているということになるのだろうが、その片鱗を見せつつある者が、学院生の中に何人かいた。
これは喜ばしいことだ。今の戦いでも、そしてこの戦いが終わった後、魔族との戦いが激化していく中でも必要とされる才能なのだから。
有能な指揮官がたくさん生まれることは、より多くの人類が生き残ることを意味する。それは俺にとって、とても歓迎すべきことだ。
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