99 / 112
第二章 淫紋をぼくめつしたい
お隣さんとの攻防③
しおりを挟む
「な、何これーっ?!」
姉やんから届いた荷物を開けて、おれは絶叫した。
観音開きのダン箱の真ん中にチン座しておわすのは――まっピンクのちんちんやった!
遡ること二日前――
「お隣さんに気をつけよう」って、晴海と誓いあった翌日のことなんやけど。
休み時間に、姉やんから電話かかってきてん。
『薬が完成したから、とりあえず送るわね! 詳しい説明は荷物がついてからするから』
「マジっすか、お姉さん!」
「わああ、ありがとう姉やん!」
齎された吉報に、おれと晴海は抱き合って喜んだ。
『ほほほ。まあ、ちょっと使い方に難ありなんだけど。そこはごめんね』
「ううん! そんなん全然ええよ。嬉しい!」
頬をかいて謙遜する姉やんに、おれは満面の笑顔で頷く。
だってな、スマホの液晶ごしにわかるほど、姉やんの目の下のクマは濃かったんや。きっと、めっちゃ頑張ってくれたんやって、胸がいっぱいになってん。
「ちょっとやり方が難しいくらい、何でもないって。な、晴海っ」
「おう、そうやな。俺に任せてくださいお姉さん」
『あら頼もしい』
おれ達は、あははウフフと笑いあった。
そんで、話は冒頭に戻るんよ。
学校から帰ってきて、姉やんからの荷物が届いてたから、いそいそと開けてみて。
「な……なん……」
おれは、わなわなと震えた。
ファミリー用のクッキー缶くらいの大きさのダン箱には、たっぷりと気泡緩衝材が詰められとる。――あたかも、真ん中におわす、「ごりっぱさん」を守るかのごとく。
――ど、どっからどう見ても、ちんちんや……
おれは、わけがわからんまま、ピンクのちんちんをまじまじと見つめた。
「なんで、ちんこなんや?」
「せやんな?!」
晴海も、難しい顔でゴクリと唾を飲んどる。やっぱわけわからんらしい。
手をこまねいててもしゃあないし、姉やんに電話してみることにした。
『あ、もしもし。荷物ついたの?』
「姉やん、何これ!?」
幸い、すぐに出てくれたので、がぶりよりに尋ねた。
姉やんは、画面越しにちょっと仰け反っとる。
『何よ、やぶから棒に』
「だって、これっ。姉やん、中身まちがえたん?」
『失礼ね。それが、前に話した通りの薬よ。晴海くん、ちょっと箱の中身、全部出してもらえる?』
「あ、はい」
箱にはちんちん以外にも、色んなもんが入っとった。
ハート柄のボトル、スキン二枚、取扱説明書……なぜか乾電池。
「姉やん。いかがわしいグッズにしか、見えんねんけど」
『まあ、モノ自体は道具だから。肝心要は、そのボトル。――それが、解毒薬なの』
「ええっ」
晴海が目を丸くする。
「マジすか。これは、どういう風に使うんですか?」
『うん。シゲルの腸内に棲む、特殊な粘液生物――長いからスライムって呼ぶわよ。この薬には、スライムの活動を弱らせる効能があるんだけど。残念ながら、胃を経由すると効果がなくなっちゃうのよねー。だから、そのバイブを使って、直接ケツ穴に塗り込まなきゃなんないの』
「んな……?!」
あんまりな用法に、おれは口をパクパクさせた。晴海も、顔を赤くしたり青くしたり、信号みたいになっとる。
「え、えーと。バイブ使う理由はなんすか?」
『指だと奥まで届かないじゃない。その点、これなら満遍なく塗れるし。ケツ穴に入れて使うように設計されてるから安全面もバッチリでしょ。大変だったのよ、太くなくて長いバイブ探すの』
「えっ。ちゃんとした理由や」
思わずこぼすと、姉やんは眦をつりあげる。
『こんの馬鹿ッたれ! 私だって、ふざけてこんなモン買えないわよ!』
「そ、そうやんな! ごめんなさい」
すごい剣幕に、ぺこぺこと平謝りする。
でも、確かにそうや。姉やんは、女の子なんやから。アダルトグッズ買うの、辛かったに違いない。
「ありがとうございます。俺、お姉さんの犠牲は無駄にしませんわ」
『是非よろしく……詳しい使い方は、その取説に書いたから。読んどいてね』
「わかった!」
びしっと敬礼すると、姉やんは真剣な調子で続けた。
『もう一つ、お願いがある。この薬は、まだ発情の頻度を抑えるしか出来なくて……完全な解毒薬じゃないの。だから、発情が起こったら、普段通りに対処してくれる?』
「そうなんすね。わかりました」
晴海は、真面目に頷いた。
『ありがとう。もうちょいデータが取れれば、もっといい薬ができると思うから。悪いけど、よろしくお願いね!』
姉やんは、力強く請け負ってくれた。晴海が、おれの肩を抱き――「頑張ろうな」と言うてくれる。
おれは、じーんとした。
――大丈夫。ふたりがおるから、怖くない。
それに、「なんでもする」言うたし、男に二言はないで……!
おれは、むんと気合をいれる。
「ありがとう。姉やん、晴海! よろしくお願いしますっ」
姉やんから届いた荷物を開けて、おれは絶叫した。
観音開きのダン箱の真ん中にチン座しておわすのは――まっピンクのちんちんやった!
遡ること二日前――
「お隣さんに気をつけよう」って、晴海と誓いあった翌日のことなんやけど。
休み時間に、姉やんから電話かかってきてん。
『薬が完成したから、とりあえず送るわね! 詳しい説明は荷物がついてからするから』
「マジっすか、お姉さん!」
「わああ、ありがとう姉やん!」
齎された吉報に、おれと晴海は抱き合って喜んだ。
『ほほほ。まあ、ちょっと使い方に難ありなんだけど。そこはごめんね』
「ううん! そんなん全然ええよ。嬉しい!」
頬をかいて謙遜する姉やんに、おれは満面の笑顔で頷く。
だってな、スマホの液晶ごしにわかるほど、姉やんの目の下のクマは濃かったんや。きっと、めっちゃ頑張ってくれたんやって、胸がいっぱいになってん。
「ちょっとやり方が難しいくらい、何でもないって。な、晴海っ」
「おう、そうやな。俺に任せてくださいお姉さん」
『あら頼もしい』
おれ達は、あははウフフと笑いあった。
そんで、話は冒頭に戻るんよ。
学校から帰ってきて、姉やんからの荷物が届いてたから、いそいそと開けてみて。
「な……なん……」
おれは、わなわなと震えた。
ファミリー用のクッキー缶くらいの大きさのダン箱には、たっぷりと気泡緩衝材が詰められとる。――あたかも、真ん中におわす、「ごりっぱさん」を守るかのごとく。
――ど、どっからどう見ても、ちんちんや……
おれは、わけがわからんまま、ピンクのちんちんをまじまじと見つめた。
「なんで、ちんこなんや?」
「せやんな?!」
晴海も、難しい顔でゴクリと唾を飲んどる。やっぱわけわからんらしい。
手をこまねいててもしゃあないし、姉やんに電話してみることにした。
『あ、もしもし。荷物ついたの?』
「姉やん、何これ!?」
幸い、すぐに出てくれたので、がぶりよりに尋ねた。
姉やんは、画面越しにちょっと仰け反っとる。
『何よ、やぶから棒に』
「だって、これっ。姉やん、中身まちがえたん?」
『失礼ね。それが、前に話した通りの薬よ。晴海くん、ちょっと箱の中身、全部出してもらえる?』
「あ、はい」
箱にはちんちん以外にも、色んなもんが入っとった。
ハート柄のボトル、スキン二枚、取扱説明書……なぜか乾電池。
「姉やん。いかがわしいグッズにしか、見えんねんけど」
『まあ、モノ自体は道具だから。肝心要は、そのボトル。――それが、解毒薬なの』
「ええっ」
晴海が目を丸くする。
「マジすか。これは、どういう風に使うんですか?」
『うん。シゲルの腸内に棲む、特殊な粘液生物――長いからスライムって呼ぶわよ。この薬には、スライムの活動を弱らせる効能があるんだけど。残念ながら、胃を経由すると効果がなくなっちゃうのよねー。だから、そのバイブを使って、直接ケツ穴に塗り込まなきゃなんないの』
「んな……?!」
あんまりな用法に、おれは口をパクパクさせた。晴海も、顔を赤くしたり青くしたり、信号みたいになっとる。
「え、えーと。バイブ使う理由はなんすか?」
『指だと奥まで届かないじゃない。その点、これなら満遍なく塗れるし。ケツ穴に入れて使うように設計されてるから安全面もバッチリでしょ。大変だったのよ、太くなくて長いバイブ探すの』
「えっ。ちゃんとした理由や」
思わずこぼすと、姉やんは眦をつりあげる。
『こんの馬鹿ッたれ! 私だって、ふざけてこんなモン買えないわよ!』
「そ、そうやんな! ごめんなさい」
すごい剣幕に、ぺこぺこと平謝りする。
でも、確かにそうや。姉やんは、女の子なんやから。アダルトグッズ買うの、辛かったに違いない。
「ありがとうございます。俺、お姉さんの犠牲は無駄にしませんわ」
『是非よろしく……詳しい使い方は、その取説に書いたから。読んどいてね』
「わかった!」
びしっと敬礼すると、姉やんは真剣な調子で続けた。
『もう一つ、お願いがある。この薬は、まだ発情の頻度を抑えるしか出来なくて……完全な解毒薬じゃないの。だから、発情が起こったら、普段通りに対処してくれる?』
「そうなんすね。わかりました」
晴海は、真面目に頷いた。
『ありがとう。もうちょいデータが取れれば、もっといい薬ができると思うから。悪いけど、よろしくお願いね!』
姉やんは、力強く請け負ってくれた。晴海が、おれの肩を抱き――「頑張ろうな」と言うてくれる。
おれは、じーんとした。
――大丈夫。ふたりがおるから、怖くない。
それに、「なんでもする」言うたし、男に二言はないで……!
おれは、むんと気合をいれる。
「ありがとう。姉やん、晴海! よろしくお願いしますっ」
11
お気に入りに追加
171
あなたにおすすめの小説
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
いとしの生徒会長さま
もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……!
しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる