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第二章 淫紋をぼくめつしたい

はじめての……④

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 ピピ、と体温計が鳴った。

「あっ、三十六度!」
「おお。やったな!」

 表示を見せると、晴海が嬉しそうに笑う。おれも、へらへらって笑い返した。

「晴海のおかげやよ! ずっと看病してくれて、ホンマにありがとうなぁ」

――寝込んで、二日目の夜。

 晴海の真心の看病のおかげで、おれはすっかり良くなった。
 お腹に優しいおいしいごはん、作ってくれて。
 熱上がったときも、ずっと側にいてくれて、心細さを感じることもなかった。ホンマに感謝してもしきれへん。

「はは。そんなん当たり前」

 晴海は照れくさそうに、おれの頭を撫でた。――「ひえ!」と声が漏れる。

「さ、触ったらあかんー!」

 頭を両手で庇って、ぱっと後ずさった。晴海は、きょとんとしとる。

「何や、どうした」
「だって、お風呂入ってないもん! いっぱい汗かいたのに……!」

 熱上がるからお風呂は禁止やて、お前が言うんやもん。
 体だけはなんとか拭いてたけど、頭は洗えてないし、触られるのは絶対むり……!
 そう言うたら、晴海は爆笑した。

「なーんや。そんなん、俺は気にせえへんて」
「おれは気にするの!」

 きっ、と睨むと晴海は手を上げて降参のポーズを取る。

「わかった。ほな、晩メシも食うたし、久々に風呂入るか?」
「ええのっ?」
「おう。でも、長風呂は疲れるからシャワーだけやで」

 ぱあ、と気分が浮上する。

「わかった! さっそく、今から行ってもいい?」
「えーよえーよ」

 久々のお風呂や~って、うきうきしながら支度を持って、バスルームへ向かった。






 熱いシャワーを潜り、シャンプーの泡をざーっと洗い流す。熱っぽい匂いが、ユニットバスの床に流れ出した。

「う~、さっぱりするぅ」

 うっとり息を吐く。
 格別ですなぁ。やっぱり、お風呂好きや~。
 タオルにもこもことボディソープを泡立てて、鼻歌交じりに体を洗う。

「あっ」

 肌にうっすら浮かんだキスマークに気づいて、ドキリとする。
 改めて見ると……胸や、おなかだけやなくて。太ももの内側にも、いっぱいある。

「わああ……!」

 かあぁ、とほっぺが燃える。
 めっちゃ、すごい数やん。
 胸に散った花びらをなぞって、どぎまぎする。あっちもこっちも、こんなにいっぱい……晴海の唇が触ったってこと……?

「ひええ!」

 頭をぶんぶんふって、邪念をはらう。
 何考えてんねん! あれはのっぴきならん状況での、そう、治療なんやから……! エッチなことみたいに反芻したらあかん。
 あれは治療、治療……って言い聞かせて、わしわしとタオルで体を擦りつける。

「晴海だって、治療としてしてくれたんやから……!」

 ぴた、と手が止まる。
……そうやねんかな。
 晴海は、おれを助けるために、抱いてくれたんやんな。
 そう思うと――ずきっ、て胸が鋭く痛んだ。

「って、何でやねーん! そこは友情に感謝やろ!」

 慌てて、ぱちんと頬を叩いて喝をいれる。

「おれも、晴海の親友として、もっとちゃんとしやなっ」

 そこまでしてくれた晴海やから……頼りっきりにならへんようにしよう。
 心に決めた、そのとき。

――きゅう……っ。

「……えっ?」

 突然、おへその下が甘く疼いた。

「はっ……ちょ、」

 不穏な感覚に、冷や汗が垂れる。
 おなかの中でちりちりって、ちっさい火が燃えてるみたい。腰が甘痒くなって……おけつの奥が落着かへん。
 ……地下室で、媚薬を盛られたときとおんなじや。

――こ、これ。もしかして……発情ってやつ……?

「そ、そんなはずない。今まで、平気やったんやから!」

 自分に言い聞かせて、体をごしごしとタオルで洗った。
 力を込めすぎて、肌が赤くなってまう。でも、また変になるのも怖いし、痛いほうがいい。

「ぁ……ぅ……っ」

 シャワーを浴びるだけで、肌が粟立つ。
 はあはあ、と荒い息を吐きながら、カーテンを開けて、タオルを取った。

――早く、部屋に戻ろう。そんで、ベッドに入って、眠ってしもたら、良くなるかも。

 のろのろと頭を拭いて、体の水っ気を取る。ふいに、乳首をふかふかの布が擦って――

「ひぅん……!」

 瞬間、おなかの奥で、痺れるような疼きがはじけた。おけつの穴がくぱっと開いて、瞠目する。

「ひゃっ!?」

 とろ、って中から熱いものが伝い落ちてきた……っ?

――また、こんな……! たすけて、晴海……

 晴海に縋りかけて――体を拭いて貰ったときのことを思い出し、頭をぶんぶん振る。

「はぁ……はぁ……」

 荒い息を吐きながら、わが身を抱く。――落ち着け、シゲル。予定どおり、がんばるんや。
 薬盛られたときは、もっと、わけわからんかったやろ。あれに比べたら……今はまだ、平気なんやから。

「自分で、なんとかする……っ」

 晴海に頼りすぎひんって、決めたんや!
 おれは、ごくりと唾を飲んだ。
 そろそろと、足の間に手を伸ばし――きゅ、とちんちんを握り込んだ。

「はぁん……っ!」

 びく、と背がのけ反った。手で包んだだけやのに、腰が砕けそうや。
 おれは、バスタブにゆっくり膝立ちになって、しゅ、しゅ、と擦り始める。

「はぅ、んん……」 

――気持ちいい……っ。

 ひとこすりごとに、甘い痺れが腰の奥を突き抜けた。まだ、芯の通ってないふにゃってしてる状態やのに……手を動かすのが怖くなるくらい、刺激が強い。

「ふぐっ……」

 唇を噛み締めて、必死に手を動かす。
 おれだって、男の子やもん。
 きっと、ちんちんをイかせれば楽になる。晴海に頼って、おけつでエッチせんだかて、大丈夫……

「んくぅ……うぅんっ」

――くちゅくちゅ、くちゅ……

 お風呂場に、いやらしい水音が響く。おれは、両手でちんちんを必死に扱いた。
 けど……しばらくして、異変に気づく。

「あ……あ……っ、なんでぇ? なんで、勃起せえへんの?!」

 とっくに、先走りでとろとろになっとるのに……! 
 ちんちんは、ちっとも芯を持たんくて。いつまでたっても、ふにゃりと柔らかいままやった。

「嘘やぁ、立ってよ……!」

 ぐちゅぐちゅと激しい音を立て、揉み込んだ。玉を転がしたり、先をくりくり擽ったり――知りうる限りのやらしい手段を、ちんちんに試す。
 それやのに――

「うあぁ……! 何でっ…嫌やあ、こんなん……!」

 どばっと涙が溢れ出した。
 ふにゃふにゃのちんちんを掴んだまま、大泣きする。

――恥ずかしい、情けない……!

 おれのちんちん、馬鹿になってしもたんや。擦っても気持ちいいだけで、そのくせ、だらだら濡れてて何やねん……!

「ひぐっ、ああ……あうっ……」

 激しくしゃくりあげながら、ほぼ惰性で手を動かし続ける。
 すると――追い打ちのように、おけつの穴がコポリと熱いものを吐き出した。大量に溢れたそれが、とろとろ……と内ももを伝い、膝まで濡らす。

「ううー……! もう嫌やぁ……」

 洗い流そうとして、取り損なったシャワーがシャンプーのボトルを弾き落とした。

――ゴトンッ!

 物凄く、大きな音が響いた。
 間もなく、ドタバタと足音が近づいてくる。

「シゲル、どうした?!」

 晴海が心配して、駆けつけてきたんや。――おれは、さあっと青ざめる。

「待って! 開けんといてっ!」

 叫んだ瞬間、ガチャとドアが開いた――

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