上 下
76 / 112
第二章 淫紋をぼくめつしたい

はじめての……②

しおりを挟む
「シゲル、寒いか? 震えとるけど」
「だ、大丈夫やっ」
「そうか。まあ一応、温度上げとくぞ」
 
 ぴ、ぴ、ぴ……と晴海がエアコンを操作するんを、ドキドキしながら聞く。
 いま、おれは――ベッドで裸にされて……ふかふかのバスタオルに包まっとる状態。これ、おかしくない!? 男子高校生が、男子高校生に体拭いてもらうって、なに?!
 おれの煩悶をよそに、湯気の立つバケツにくぐらしたタオルを、ぎゅーっと絞った晴海が振り向いた。
 
「よっしゃ、やるで」
「な、なあ。やっぱり自分で」
「遠慮すんな。まだくらくらしとるんやろ?」
「あっ」
 
 ころん、と仰向けに寝かされて、天井と晴海だけが視界にうつる。
 恥ずかしい。
 でも、実際からだは熱くてフラフラで、持ちあがれへん。まさに「まな板の上の鯉」状態で、不安と緊張で眩暈がした。
 泣きそうな気持で見つめとったら、晴海が苦笑する。
 
「シゲル。不安そうな顔せんときぃ。なんも痛いことせえへんで」
「晴海……」
 
 ほっぺを撫でられて、目が潤んだ。
 ちゃうねん。おれ、晴海が酷いことするなんて思ってへん。ただ、恥ずかしいだけ――
 
「うう。おねがいします」
 
 覚悟を決めて、ギュって目を瞑ると、晴海が「おう」って応えた。ほかほかのタオルで、ほっぺから拭ってくれる。
 
「痛ない?」
「うん……」
 
 優しく撫でるように拭かれて、顔と肩の力が抜けてく。丁寧に顔と首を拭われて、さっぱりと気持ちよくなってきた。
 そうなると、おれも現金で。腕をふきふきされながら、眠くなってくる。
 
「ふあ……」
「眠いか?」
「ん。だいじょうぶ……」
 
 強くもなく、弱くもない絶妙な力加減で肌を拭われて。マッサージされとるみたいで、きもちいい。とろとろして、布団と背中がくっつきそうな気分や。ジャバジャバって水音を夢心地で聞いとったら、上半身を覆ってたタオルを剥がされた。
 優しい手つきにすっかり身を委ねてたら、胸を撫でられて「んっ」と声が漏れた。
 
「すまん。痛かったか?」
「ううん。なんか、そこぴりぴりする……」
 
 かゆいというか、熱いというか。痛くはないけど変な感じや。
 見た目も――先のとこがツンとしてて、ちょっと赤くなっとる。ふだん、ぺったんこやのにどうしたんやろ? 尖ってるんが物珍しくて、つんつん指ではじいてたら、晴海がゴホゴホと噎せ込んだ。
 首まで真っ赤で、ぎょっとする。
 
「どしたん!?」
「い、いや、平気や。……ここは、痛くなったらあかんから、そっとしとこうな」
「わかった……?」
 
 訝しく思いつつ、頷く。
 晴海は、おれを横向きにころんて転がすと、背中をせっせと拭い始めた。
 ふと視線を落として、ぎょっとする。胸やお腹のあちこちに、花びらみたいに赤い痣が散っとった。

「あ」

 これ、もしかして――キスマークちゃうん? 
 そう思い至って、顔からぼん! て火を噴きそうになる。
 昨日、晴海とエッチしたとき……夢中で、あんまり覚えてへんだけど、あっちこっちをキスされた気がする。――そ、そういえば、乳首も! 晴海の頭抱えて、ひいひい言うたおぼえ、が……
 
「うわわわ!」
「シゲル!?」
 
 いたたまれんくて、ごろごろとベッドで芋虫になってまう。晴海が、ぎょっとして「大丈夫か!?」て聞いてくれるけど。ぜんぜん、大丈夫ちゃうよ~!
 そういえば、一応身ぎれいにしたとはいえ……エッチした後の体やん! やっぱむり、はずかし――
 
「ひゃ!?」
 
 体を丸めて悶えたら、おけつにふわふわしたものが当たって、びくっとする。
 足を拭き終えた晴海が、おけつをくるくると拭いてきた。
 かああっとほっぺが熱くなる。
 
「ちょ、そこいやっ!」
「何でや。さっぱりするやろ」
 
 きょとんと問い返されて、言葉に詰まった。
 そ、そうか。晴海は、善意で拭いてくれてんねや。
 おれが恥ずかしがっとるだけ――ぎゅっと目を瞑って、恥ずかしさに耐えようとする。
 
「ちょっと返すで」
「……っ」
 
 もっぺん仰向けにされて、腰に絡んでたバスタオルに手がかかる。おれは、手のひらで顔を覆った――心臓が破れそうで、タオルがベッドに落とされるまでの時間が、永遠くらいに感じた。
 
――ぱさり。
 
「うう……」
 
 寒くないように、お布団がかけられて――下半身だけスッポンポンなんが、余計に間抜けや。
 と……足の付け根をタオルが撫でて、喉がひくりと動く。
 太ももをぐいって左右に開かされて、丸出しになった内またを丹念に清められた。
 
「……っ……はぅ……」

 恥ずかしいのに……タオルが内股を撫でると、ぞくぞくって、気持ちよさが背筋を走り抜けた。
 ちんちんがぴくぴく震えるのがわかって、はっとする。

――うそ。いつも体洗っても、こんなならへんのに。

 勃起せえへんのが不思議なくらい、下腹がズキズキ疼いて……はあはあ呼吸が激しくなった。
 
「ふっ……ぁっ?」
 
 ちんちんをタオルで包まれてまう。直接的な刺激に、息を呑んだ。

「ああ……ん~……!」

 さきっぽから根本まで、ふにふにって優しく拭われる。ぷくっと溢れた先走りも拭われて、恥ずかしさで死にそうになる。

「やぁ……はるみっ、だめ……!」
「じっとして。ここ、俺の精液かけてしもたから……綺麗にせな」
「やぁぁー……っ」

 ほかほかタオルに包まれた玉をころころ転がされて、腰が悶える。だめ……っ、そんな……!

「く、んんっ……」

 綺麗にされとるだけやのに、きもちよくって涙が溢れた。
 そして――タオルがおけつの穴を擦った瞬間、

「あぁんっ……!」

 自分でもびっくりするくらい、おっきい声が出てもうた。
 きゅううって、おへその下が熱くなって……おけつの穴から、こぽって熱いものが溢れ出す。

「あっ……ひぃんっ……!」

 タオルで穴を押されると、くちくちと粘着質な音が響く。たくさん熱いのが溢れてきて、谷間がとろとろになってく――

 何、これぇ……っ。晴海がきれいにしてくれてるのに……! なんで、こんな……

 ついに限界が来て――ぽろぽろと涙が溢れた。
 
「ふぇぇ……っ」
「シゲル……?」
 
 急に手をどけられて、驚いてる晴海と目が合う。ひっく、としゃくりあげると、大慌てでほっぺを包まれた。
 
「どうした? しんどなってきたか?」
 
 めちゃくちゃ心配そうに聞かれて、頭を振る。ちがう……そう言いたいのに、言葉にならへん。
 晴海は、おれの体をすっぽりと布団で包む。それから、布団ごとぎゅって抱きしめてくれた。

「ん……っ」
「ごめん。一気にして、疲れてしもたんやな。もう終わりやからな」
「はるみぃ……」

 頭を撫で撫でされて、嗚咽がもれる。真っ黒い目を見上げて、こわごわと肩に顔を埋めた。
 なんで、こんな気持ちよくなっちゃったんやろ。……これが、後遺症なん?

 晴海、ひいてたらどうしよう。

 ずきずきする胸が辛い。おれは晴海の部屋着を握って、しくしく泣いてしもた。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~

無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。 自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

学園の支配者

白鳩 唯斗
BL
主人公の性格に難ありです。

熱中症

こじらせた処女
BL
会社で熱中症になってしまった木野瀬 遼(きのせ りょう)(26)は、同居人で恋人でもある八瀬希一(やせ きいち)(29)に迎えに来てもらおうと電話するが…?

なんで俺の周りはイケメン高身長が多いんだ!!!!

柑橘
BL
王道詰め合わせ。 ジャンルをお確かめの上お進み下さい。 7/7以降、サブストーリー(土谷虹の隣は決まってる!!!!)を公開しました!!読んでいただけると嬉しいです! ※目線が度々変わります。 ※登場人物の紹介が途中から増えるかもです。 ※火曜日20:00  金曜日19:00  日曜日17:00更新

少年ペット契約

眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。 ↑上記作品を知らなくても読めます。  小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。  趣味は布団でゴロゴロする事。  ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。  文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。  文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。  文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。  三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。  文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。 ※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。 ※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。

処理中です...