27 / 112
第一章 おけつの危機を回避したい
二十七話
しおりを挟む
「イメチェンしたんだよ、イメチェン。ちょっと思うところあってさあ。俺って、眼鏡って顔でもなくね? って」
「なんでだよ」
照れたみたいに頬かいとる竹っちに、鈴木が突っ込んだ。
「おい、眼鏡が本体って言ってたじゃねーか! 竹っちを返せ!」
上杉が、竹っちに掴みかかる。
「うわあ、何だこいつ!」
「お、落ち着きぃ、上杉!」
がくがくと竹っちを揺さぶる上杉を、慌てて止める。上杉と竹っち、グループ内の眼鏡コンビやったから、寂しいんやろうか。
すると、竹っちの横顔をまじまじと見て、晴海が「ははあ」と頷いた。
「しかし、急に男ぶりあがったなあ。竹っち……さては女やろ?」
「はあ!?」
竹っちは、顔をボン! と赤らめる。上杉・鈴木・山田が驚愕して身を乗り出す。おれは、ぷっと噴き出した。
「いややなあ、晴海。竹っちは男の子やん」
「馬鹿、そういう意味じゃねえから! ――竹っちに、女が出来たってことだろ!」
「ええーっ! そうなん!?」
全員分の視線の砲火を浴びて、真っ赤な顔の竹っちは両手を突き出した。
「ちっげーし! まだ付き合ってねえから!」
「”まだ”。女は確定ってことね」
「恋でポリシーを捨てやがったか……眼鏡族の面汚し!」
「春やなあ、竹っち」
「あああ」
やんや、やんやと皆に肩を組まれ、竹っちは悲痛な叫び声を上げた。
そんな風に、賑やかに騒ぎながら教室に向かう。上杉が近寄ってきて、こそっとおれに耳打ちした。
「竹っち、イメチェンは意味わかんねえけどさ。元気出て良かったよ」
「えっ? 落ち込んでたん?」
おれは、目をまん丸にした。
「うん。あいつさあ、お前らの部屋から帰ったあとな。「俺のせいで悪い」って、凹んじまって。愛野はムカつくけど、シモの話を公言するのは良くなかった、ってさ」
「そうやったんや……」
竹っちも、罪悪感を抱えてたんや……。しんみりと口を噤むと、上杉が明るく言う。
「でも、もう立ち直ったらしーや。昨日、出かけてたみたいだけど、それで出会いがあったんかな? 恋でも何でも、元気になったなら良かったぜ!」
「上杉……そうやな!」
おれも、ほっこりと頷いた。
上杉、さっき一番からかっとったのに。おちゃらけやけど、友達思いの男やねんかなあ。
竹っちも、ほんまに元気になってくれて良かった。竹っちの恋、おれも応援するからな。
『へえ、今そんな事になってるんだ?』
電話ごしに、姉やんが相槌を打つ。昼休みの被服室で、おれと晴海は現状を報告しててん。
「姉やん。これ、どうかな? 会計ルート、順調に進んどる?」
『順調だと思うわ。愛野くんと藤崎くんに、悪役モブがクラス行事から追放されるイベント、ゲームで見たし』
「そうなんや……」
『でも、大丈夫よ。親衛隊のこととか、ゲームと違うところも沢山ある。この調子で、頑張って!』
「わかった!」
熱くエールを送られて、おれはこぶしを握って見せた。姉やんは、「それより……」と晴海に向き直った。
『晴海くん、怪我させちゃってごめんね。シゲルを守ってくれて、ありがとう』
「いやいや。シゲルがぶたれた方が、辛いんで」
「……っ」
『あら、まあ!』
晴海の返事に、姉やんが華やいだ声を上げた。
ニヨニヨとした笑みを浮かべて、こっちを見つめてくる。
おれは、慌てて晴海の後ろに回り込む。熱々のほっぺ、姉やんに見られたくないんやもん。
「どした、シゲル?」
「気にせんといてっ」
『うんうん、その調子でよろしくね。――そういえば、送ってくれた薬、分析してたんだけどさ。それに伴って、また少し記憶が戻ったの』
「えっ!」
おれと晴海は、驚愕の声を上げた。
ゲームの記憶が戻ったって、どういうこと?
『正確には、より鮮明になったって感じかな。そこで、結構有用な情報があったの。これさえ気をつけておけば、フラグ回避できそうなくらい』
「ほ、ホンマに?!」
『ええ。それで、確認のため聞きたいんだけど。二人は最近、化学教師と会った?』
おれと晴海は、顔を見合わせる。
「授業に会う以外、ないですよ。なあ?」
「うん」
『やった! それなら、まず第一関門突破だわ。あのね……化学教師が、「シゲル」を悪事に誘うタイミングがわかったの』
「えっ?!」
『ズバリ、悪役モブがクラス行事を追放された直後なの。落ち込んでる「シゲル」を、準備室に連れ込んで、誘いをかけてたわ。……もう声かけられてたら、どうしようかと思ったけど。ホッとしたわ!』
姉やんは、心から安心したように言う。おれも、ぱあっと陽が差した気分や。晴海が、がしっとおれの肩を抱く。
「やったな、シゲル! お姉さん、情報ありがとう!」
「うん! ありがとう、姉やんっ」
『やだ、良いのよ。……でも念のため、これから特に化学教師に注意してね。絶対、シゲルと二人きりにならないように』
「わかった!」
「俺がついてます。任せてください」
『うん……薬を分析するうちに、もっと記憶が戻るかもしれないわ。その都度、情報共有してくから、よろしくね!』
「はい!」
おれと晴海は、姉やんの言葉に力強く頷いた。
「なんでだよ」
照れたみたいに頬かいとる竹っちに、鈴木が突っ込んだ。
「おい、眼鏡が本体って言ってたじゃねーか! 竹っちを返せ!」
上杉が、竹っちに掴みかかる。
「うわあ、何だこいつ!」
「お、落ち着きぃ、上杉!」
がくがくと竹っちを揺さぶる上杉を、慌てて止める。上杉と竹っち、グループ内の眼鏡コンビやったから、寂しいんやろうか。
すると、竹っちの横顔をまじまじと見て、晴海が「ははあ」と頷いた。
「しかし、急に男ぶりあがったなあ。竹っち……さては女やろ?」
「はあ!?」
竹っちは、顔をボン! と赤らめる。上杉・鈴木・山田が驚愕して身を乗り出す。おれは、ぷっと噴き出した。
「いややなあ、晴海。竹っちは男の子やん」
「馬鹿、そういう意味じゃねえから! ――竹っちに、女が出来たってことだろ!」
「ええーっ! そうなん!?」
全員分の視線の砲火を浴びて、真っ赤な顔の竹っちは両手を突き出した。
「ちっげーし! まだ付き合ってねえから!」
「”まだ”。女は確定ってことね」
「恋でポリシーを捨てやがったか……眼鏡族の面汚し!」
「春やなあ、竹っち」
「あああ」
やんや、やんやと皆に肩を組まれ、竹っちは悲痛な叫び声を上げた。
そんな風に、賑やかに騒ぎながら教室に向かう。上杉が近寄ってきて、こそっとおれに耳打ちした。
「竹っち、イメチェンは意味わかんねえけどさ。元気出て良かったよ」
「えっ? 落ち込んでたん?」
おれは、目をまん丸にした。
「うん。あいつさあ、お前らの部屋から帰ったあとな。「俺のせいで悪い」って、凹んじまって。愛野はムカつくけど、シモの話を公言するのは良くなかった、ってさ」
「そうやったんや……」
竹っちも、罪悪感を抱えてたんや……。しんみりと口を噤むと、上杉が明るく言う。
「でも、もう立ち直ったらしーや。昨日、出かけてたみたいだけど、それで出会いがあったんかな? 恋でも何でも、元気になったなら良かったぜ!」
「上杉……そうやな!」
おれも、ほっこりと頷いた。
上杉、さっき一番からかっとったのに。おちゃらけやけど、友達思いの男やねんかなあ。
竹っちも、ほんまに元気になってくれて良かった。竹っちの恋、おれも応援するからな。
『へえ、今そんな事になってるんだ?』
電話ごしに、姉やんが相槌を打つ。昼休みの被服室で、おれと晴海は現状を報告しててん。
「姉やん。これ、どうかな? 会計ルート、順調に進んどる?」
『順調だと思うわ。愛野くんと藤崎くんに、悪役モブがクラス行事から追放されるイベント、ゲームで見たし』
「そうなんや……」
『でも、大丈夫よ。親衛隊のこととか、ゲームと違うところも沢山ある。この調子で、頑張って!』
「わかった!」
熱くエールを送られて、おれはこぶしを握って見せた。姉やんは、「それより……」と晴海に向き直った。
『晴海くん、怪我させちゃってごめんね。シゲルを守ってくれて、ありがとう』
「いやいや。シゲルがぶたれた方が、辛いんで」
「……っ」
『あら、まあ!』
晴海の返事に、姉やんが華やいだ声を上げた。
ニヨニヨとした笑みを浮かべて、こっちを見つめてくる。
おれは、慌てて晴海の後ろに回り込む。熱々のほっぺ、姉やんに見られたくないんやもん。
「どした、シゲル?」
「気にせんといてっ」
『うんうん、その調子でよろしくね。――そういえば、送ってくれた薬、分析してたんだけどさ。それに伴って、また少し記憶が戻ったの』
「えっ!」
おれと晴海は、驚愕の声を上げた。
ゲームの記憶が戻ったって、どういうこと?
『正確には、より鮮明になったって感じかな。そこで、結構有用な情報があったの。これさえ気をつけておけば、フラグ回避できそうなくらい』
「ほ、ホンマに?!」
『ええ。それで、確認のため聞きたいんだけど。二人は最近、化学教師と会った?』
おれと晴海は、顔を見合わせる。
「授業に会う以外、ないですよ。なあ?」
「うん」
『やった! それなら、まず第一関門突破だわ。あのね……化学教師が、「シゲル」を悪事に誘うタイミングがわかったの』
「えっ?!」
『ズバリ、悪役モブがクラス行事を追放された直後なの。落ち込んでる「シゲル」を、準備室に連れ込んで、誘いをかけてたわ。……もう声かけられてたら、どうしようかと思ったけど。ホッとしたわ!』
姉やんは、心から安心したように言う。おれも、ぱあっと陽が差した気分や。晴海が、がしっとおれの肩を抱く。
「やったな、シゲル! お姉さん、情報ありがとう!」
「うん! ありがとう、姉やんっ」
『やだ、良いのよ。……でも念のため、これから特に化学教師に注意してね。絶対、シゲルと二人きりにならないように』
「わかった!」
「俺がついてます。任せてください」
『うん……薬を分析するうちに、もっと記憶が戻るかもしれないわ。その都度、情報共有してくから、よろしくね!』
「はい!」
おれと晴海は、姉やんの言葉に力強く頷いた。
41
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
天使から美形へと成長した幼馴染から、放課後の美術室に呼ばれたら
たけむら
BL
美形で天才肌の幼馴染✕ちょっと鈍感な高校生
海野想は、保育園の頃からの幼馴染である、朝川唯斗と同じ高校に進学した。かつて天使のような可愛さを持っていた唯斗は、立派な美形へと変貌し、今は絵の勉強を進めている。
そんなある日、数学の補習を終えた想が唯斗を美術室へと迎えに行くと、唯斗はひどく驚いた顔をしていて…?
※1話から4話までは別タイトルでpixivに掲載しております。続きも書きたくなったので、ゆっくりではありますが更新していきますね。
※第4話の冒頭が消えておりましたので直しました。
義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。
※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました!
えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。
※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです!
※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
転生したが陰から推し同士の絡みを「バレず」に見たい
むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。
ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。
しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。
今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった!
目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!?
俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!?
「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」
とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?
藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。
なんで?どうして?
そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。
片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。
勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。
お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。
少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。
(R4.11.3 全体に手を入れました)
【ちょこっとネタバレ】
番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。
BL大賞期間内に番外編も完結予定です。
【本編完結】攻略対象その3の騎士団団長令息はヒロインが思うほど脳筋じゃない!
哀川ナオ
BL
第二王子のご学友として学園での護衛を任されてしまった騎士団団長令息侯爵家次男アルバート・ミケルセンは苦労が多い。
突撃してくるピンク頭の女子生徒。
来るもの拒まずで全ての女性を博愛する軽薄王子。
二人の世界に入り込んで授業をサボりまくる双子。
何を考えているのか分からないけれど暗躍してるっぽい王弟。
俺を癒してくれるのはロベルタだけだ!
……えっと、癒してくれるんだよな?
溺愛系とまではいかないけど…過保護系カレシと言った方が 良いじゃねぇ? って親友に言われる僕のカレシさん
315 サイコ
BL
潔癖症で対人恐怖症の汐織は、一目惚れした1つ上の三波 道也に告白する。
が、案の定…
対人恐怖症と潔癖症が、災いして号泣した汐織を心配して手を貸そうとした三波の手を叩いてしまう。
そんな事が、あったのにも関わらず仮の恋人から本当の恋人までなるのだが…
三波もまた、汐織の対応をどうしたらいいのか、戸惑っていた。
そこに汐織の幼馴染みで、隣に住んでいる汐織の姉と付き合っていると言う戸室 久貴が、汐織の頭をポンポンしている場面に遭遇してしまう…
表紙のイラストは、Days AIさんで作らせていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる