俺は魔法使いの息子らしい。

高穂もか

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第一部 決闘大会編

二百十三話 (7/2(土)0時20分)ちょっとだけ修正しました!(^_^

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――魔法っていうのは、究極イメージ勝負だから。

 俺は、イノリの言葉を思い出す。

――脳が「何をしたいか」理解して、魔力中枢に指令を与えてるんだー。「この現象を起こすために、魔力を放出しなさーい」って。

――だから、脳が理解できるようにしっかりイメージできれば詠じなくても発動できるの。

 ああ、そうだ。
 イノリが、俺をリードしてくれたとき、教えてくれたじゃんか。
 魔法は「イメージ」が鍵だって。
 俺ときたら「魔法を発動だ!」って躍起になって、大事なことを忘れてた。
 
「よし、やるぞっ」

 俺は、目を閉じる。
 ええと、窓をぶっ壊せるような、パンチを打ちたいわけだから。
 ビュン! と風のようなパンチを打つ俺を、思い浮かべて……
 風のパンチ……

「うーん」

 何も、変わってない気がするぜ。
 これじゃ、ただの妄想だぞ。
 あの時は、走ってる俺(イノリが想像したやつ)を思い浮かべたら、出来たんだけど。

「なにが違うんだ? ええと」

 たしか。イノリが俺の手を取って――

「あっ!」

 そうだった。
 俺は、ぽんと膝を打つ。

「イノリが、俺の魔力を引っ張ってくれたよな。まず、体に魔力を行き渡らせようって!」

 風の魔力を、全身に充填してさ。その後、イメージしたら、体が動いた。
 つまり。
 魔力を巡らせておくと、イメージが「鍵」になるんだ!

「わかったぜ!」

 俺は、拳をぱんと打ち合わせる。
 イノリがしてくれた通りに、俺もやってみよう。

「すー、はー」 

 気持ちを落ち着かせて、目を閉じた。
 まず――無詠唱で、魔力を呼び起こすんだ。
 ようし。
 風の魔力よ、胸から溢れてこい。胸の真ん中から、風が吹いてくるみたいに。
 最初は、なんもなし。
 でも。
 繰り返すうちに、実感を伴ってきて。

「ふー……はー……」

 頭がキーンってして、顎を汗がぽたぽた伝う。
 猛ダッシュしてるみてえに、胸がドキドキした。
 でも、好都合だ。
 走ってるみたいなほうが、イメージしやすいんだ。先生が、いつも言ってるもんな!
 集中を切らさないよう、深く呼吸を続ける。

「……っ」

――ゴォ……

 胸の奥で、何かわだかまってくる。ぐるぐると淀んで、胸の内側を叩く。
 き、気持ち悪い。
 奥歯を噛み締めて、えづくのを堪えた。
 やべえ、怖い。
 今、息を吐いたら何か暴れだしそうだ。

 そのとき、

――トキちゃん。

 イノリの声が、耳の奥で聞こえた。

――トキちゃん、イメージしてみて。――風がくるくる巡って、軽くなるの。

「……!」

 うん、イノリ。

 大丈夫。
 他はどうでも、「風」ならきっとイメージできる。お前が、なんども教えてくれたから――


「……あっ!」

 ――ふわ。

 胸の奥で、ふわりと魔力が溢れだす。
 それから、一気に全身が軽くなった。
 肌から、金色の光が溢れだす。

「――っ出来た!!」

 俺は、ガッツポーズをした。――やった! やったよ、イノリ!

「よし! このまま、パンチのイメージ……」

 と、勝利を確信した瞬間、「ふっ」と魔力が途絶える。

「あーっ!!」

 俺は、床にくずおれた。
 ……な、なんて集中力が要るんだ、無詠唱!
 イノリの奴、よくホイホイやってるなー!?

「あいつ、やっぱすげーや……へへ」

 ぱち、と頬を叩く。
 気を取り直して、もう一度。一度出来たなら、二度は絶対にある。

「……よし!」

 俺は、また集中を始めた。

――窓の外は、白みはじめている。

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