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第四章~新たな門出~
百八十七話
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チュン、チュン……
鳥のさえずりが、まどろみに混じって来た。――のろのろと、薄目を開ける。腕の中のあったかい体に寄り添うと、笑い声がした。
「……あっ」
「おはよ、成」
ぱちりと目を開ければ、宏ちゃんの笑顔が真上にあった。「おはよう」って、笑い返そうとして、ハッとする。
ぼくときたら、コアラみたいに宏ちゃんに抱きついて、眠っててん。少し汗ばんだ彼に気づいて、慌ててベッドの端に寄った。
「ご、ごめんなさい。寝ぼけて……!」
「可愛いからいいんだよ。戻ってこい」
「わっ」
宏ちゃんは、ぼくをひょいと抱き寄せる。温かな体に、すっぽりとはまり込んでしまった。おろおろしているうちに、宏ちゃんの脚がぼくの脚を挟んだ。
「宏ちゃん、暑くない?」
「余裕だ。……成の体、冷たいなあ」
「え。そうかな?」
「うん。ほら、氷みたいだぞ」
太ももを片方抱えられて、踵を手のひらで包まれる。温めるように擦られているうちに、足の裏がほかほかしてきた。
「きもちいい……」
「冷え性だもんなぁ。昨夜、エアコンきかせ過ぎたか?」
「ううん、そんなことないよ。寝る前は、すごく暑かったし……」
話しながら、唇がとろんととろけてしまう。体温の高い宏ちゃんにくっついていると、お湯に浸かってるみたいに心地いい。
――やばい……眠くなっちゃいそう……
項から腰までを、丹念に撫でてくれて、子猫になった気分。朝ごはんの支度しなきゃ、って思うのに、心地好くて離れられへん。
広い胸に頬をつけると……宏ちゃんは、「あ」と声を上げた。
「どうしたん?」
「いやいや。昨夜は、たしかに暑かったよな、と思ってさ。二人して、汗だくだったし」
「……!」
意味深にほほ笑まれて、かあと頬が熱る。
――宏ちゃんてば、昨夜のこと、ほのめかしてるんや。
素肌を重ね合わせて、二人で夢中になってしたことを思い出し、「ひゃあ」と叫びたくなっちゃう。
「もうっ、宏ちゃんの助平!」
ぽか、と肩を叩いたら、宏ちゃんは声を上げて笑った。
「悪い、悪い」
「んっ」
ぐい、と抱き寄せられて、唇にキスされる。――ちゅっと明るい音を立てる、いたずらっ子みたいなキス。そうされると、つい目を閉じて、おかわりをねだってしまう。
「……かわいい」
ぞくぞくするような低い声が囁いたときには、もう唇が覆われていた。宏ちゃんにかぶさったまま、うっとりとキスを交わす。
「……ひろちゃん、好き」
「俺も……可愛いな、お前は~。もっとしてやる」
「わあっ……あはは、くすぐったい」
唇だけじゃなくて、頬や顎にもキスされる。
ぼくが「もう少し」ってお願いすると、宏ちゃんは決まって、食べきれないほどの大盛で返してくれるん。へろへろになっちゃうことも多いけど、嬉しい。
「……あっ」
楽しくじゃれ合っている最中――腰を、優しく擦られた。さっきまでと違う、肌がそわそわするような手つき。パジャマの中に滑り込んできた手のひらが、素肌に吸いつくみたい。
うろたえて、宏ちゃんを見上げると、切れ長の目が笑んでいた。
「宏ちゃん?」
「成。したい」
「ええ!?」
率直なお誘いに、ぎょっとのけ反った。
「あ、朝からっ?」
「朝からしたいんだ。いやか?」
「い。嫌と、ちゃうけど……いいのかなぁ? 朝からなんて」
カーテン越しに、朝の光が差し込んできて、すっかり明るいし。
毎朝、犬のお散歩をしてるおじいさんと、ジョギングしてるおじいさんの挨拶が聞こえてきてるし。
みんなが活動してる最中に、エッチするなんて。
――すっごい、いけない事って感じがするんですが……
あわあわしていると、宏兄は笑った。
「それは、夫婦の自由だろ。ちなみに俺は、朝だけじゃないぞ。いつでも、お前としたい」
「ひえ」
大胆過ぎることを言われて、絶句する。か、顔から火を噴きそう……!
宏ちゃんは、ぼくを逞しい胸に閉じ込めた。大きな手のひらが、太ももを優しく撫でて……きゅっとお尻を包みこむ。そのまま、弾力を楽しむように揉まれて、吐息が震えた。
「やぁ……宏ちゃんっ、待って……」
「……お前は、したくない?」
「そ、そんな……」
鎖骨にキスをされただけで、目が熱く潤んだ。宏ちゃんに触れられると、昨夜の名残が残っていた体に、すぐパチパチと火花が散っちゃう。
「やあっ」
こしょこしょと脇腹を撫でられて、Tシャツをくしゃくしゃに握りしめる。ぞくぞくする甘い痺れに耐えながら、切れ切れに訴えた。
「だめっ。朝ごはんが……」
自分でも嘘やって、はっきりわかった。
――あ……ぼく、したいんや。朝から、宏ちゃんと……
恥ずかしい。でも……してほしい。寧ろ、ここで「やめとくか」ってなっちゃったら、どうしよう――不安になって見上げると、宏ちゃんは笑みを浮かべていた。
わかってるよ、って言うみたいに。
「ああっ……」
脇から滑ってきた手に、優しく胸の突起を摘ままれて、はしたない声があふれ出す。
もっとたくさん触って欲しくて、切ない疼きが止まらなくなる。
「ひろちゃん……したいです」
ぼくは、あっけなく降参して、宏ちゃんの首に腕を回した。すると……ころん、と体をマットに転がされてしまう。
「ふふ。成、好きだよ」
覆いかぶさって来た宏ちゃんが、嬉しそうに笑った。鼻歌を歌わんばかりに、ぷつぷつ、とボタンが外されるのを、ぼくは気恥ずかしい思いで見守った。
「今日はブランチにしようなー。他のことも全部、俺に任せろ」
「うう……」
やたら楽しそうな夫に、頷けばいいのか、どうすればいいのか――照れているうちに、裸になってしまう。すっかり汗ばんでいた肌に、空気が触れて、少し震えた。
セクシーな笑みを浮かべて、宏ちゃんがぼくの頬にキスをする。
「だから、何も気にせず――たくさん気持ち良くなってくれな」
鳥のさえずりが、まどろみに混じって来た。――のろのろと、薄目を開ける。腕の中のあったかい体に寄り添うと、笑い声がした。
「……あっ」
「おはよ、成」
ぱちりと目を開ければ、宏ちゃんの笑顔が真上にあった。「おはよう」って、笑い返そうとして、ハッとする。
ぼくときたら、コアラみたいに宏ちゃんに抱きついて、眠っててん。少し汗ばんだ彼に気づいて、慌ててベッドの端に寄った。
「ご、ごめんなさい。寝ぼけて……!」
「可愛いからいいんだよ。戻ってこい」
「わっ」
宏ちゃんは、ぼくをひょいと抱き寄せる。温かな体に、すっぽりとはまり込んでしまった。おろおろしているうちに、宏ちゃんの脚がぼくの脚を挟んだ。
「宏ちゃん、暑くない?」
「余裕だ。……成の体、冷たいなあ」
「え。そうかな?」
「うん。ほら、氷みたいだぞ」
太ももを片方抱えられて、踵を手のひらで包まれる。温めるように擦られているうちに、足の裏がほかほかしてきた。
「きもちいい……」
「冷え性だもんなぁ。昨夜、エアコンきかせ過ぎたか?」
「ううん、そんなことないよ。寝る前は、すごく暑かったし……」
話しながら、唇がとろんととろけてしまう。体温の高い宏ちゃんにくっついていると、お湯に浸かってるみたいに心地いい。
――やばい……眠くなっちゃいそう……
項から腰までを、丹念に撫でてくれて、子猫になった気分。朝ごはんの支度しなきゃ、って思うのに、心地好くて離れられへん。
広い胸に頬をつけると……宏ちゃんは、「あ」と声を上げた。
「どうしたん?」
「いやいや。昨夜は、たしかに暑かったよな、と思ってさ。二人して、汗だくだったし」
「……!」
意味深にほほ笑まれて、かあと頬が熱る。
――宏ちゃんてば、昨夜のこと、ほのめかしてるんや。
素肌を重ね合わせて、二人で夢中になってしたことを思い出し、「ひゃあ」と叫びたくなっちゃう。
「もうっ、宏ちゃんの助平!」
ぽか、と肩を叩いたら、宏ちゃんは声を上げて笑った。
「悪い、悪い」
「んっ」
ぐい、と抱き寄せられて、唇にキスされる。――ちゅっと明るい音を立てる、いたずらっ子みたいなキス。そうされると、つい目を閉じて、おかわりをねだってしまう。
「……かわいい」
ぞくぞくするような低い声が囁いたときには、もう唇が覆われていた。宏ちゃんにかぶさったまま、うっとりとキスを交わす。
「……ひろちゃん、好き」
「俺も……可愛いな、お前は~。もっとしてやる」
「わあっ……あはは、くすぐったい」
唇だけじゃなくて、頬や顎にもキスされる。
ぼくが「もう少し」ってお願いすると、宏ちゃんは決まって、食べきれないほどの大盛で返してくれるん。へろへろになっちゃうことも多いけど、嬉しい。
「……あっ」
楽しくじゃれ合っている最中――腰を、優しく擦られた。さっきまでと違う、肌がそわそわするような手つき。パジャマの中に滑り込んできた手のひらが、素肌に吸いつくみたい。
うろたえて、宏ちゃんを見上げると、切れ長の目が笑んでいた。
「宏ちゃん?」
「成。したい」
「ええ!?」
率直なお誘いに、ぎょっとのけ反った。
「あ、朝からっ?」
「朝からしたいんだ。いやか?」
「い。嫌と、ちゃうけど……いいのかなぁ? 朝からなんて」
カーテン越しに、朝の光が差し込んできて、すっかり明るいし。
毎朝、犬のお散歩をしてるおじいさんと、ジョギングしてるおじいさんの挨拶が聞こえてきてるし。
みんなが活動してる最中に、エッチするなんて。
――すっごい、いけない事って感じがするんですが……
あわあわしていると、宏兄は笑った。
「それは、夫婦の自由だろ。ちなみに俺は、朝だけじゃないぞ。いつでも、お前としたい」
「ひえ」
大胆過ぎることを言われて、絶句する。か、顔から火を噴きそう……!
宏ちゃんは、ぼくを逞しい胸に閉じ込めた。大きな手のひらが、太ももを優しく撫でて……きゅっとお尻を包みこむ。そのまま、弾力を楽しむように揉まれて、吐息が震えた。
「やぁ……宏ちゃんっ、待って……」
「……お前は、したくない?」
「そ、そんな……」
鎖骨にキスをされただけで、目が熱く潤んだ。宏ちゃんに触れられると、昨夜の名残が残っていた体に、すぐパチパチと火花が散っちゃう。
「やあっ」
こしょこしょと脇腹を撫でられて、Tシャツをくしゃくしゃに握りしめる。ぞくぞくする甘い痺れに耐えながら、切れ切れに訴えた。
「だめっ。朝ごはんが……」
自分でも嘘やって、はっきりわかった。
――あ……ぼく、したいんや。朝から、宏ちゃんと……
恥ずかしい。でも……してほしい。寧ろ、ここで「やめとくか」ってなっちゃったら、どうしよう――不安になって見上げると、宏ちゃんは笑みを浮かべていた。
わかってるよ、って言うみたいに。
「ああっ……」
脇から滑ってきた手に、優しく胸の突起を摘ままれて、はしたない声があふれ出す。
もっとたくさん触って欲しくて、切ない疼きが止まらなくなる。
「ひろちゃん……したいです」
ぼくは、あっけなく降参して、宏ちゃんの首に腕を回した。すると……ころん、と体をマットに転がされてしまう。
「ふふ。成、好きだよ」
覆いかぶさって来た宏ちゃんが、嬉しそうに笑った。鼻歌を歌わんばかりに、ぷつぷつ、とボタンが外されるのを、ぼくは気恥ずかしい思いで見守った。
「今日はブランチにしようなー。他のことも全部、俺に任せろ」
「うう……」
やたら楽しそうな夫に、頷けばいいのか、どうすればいいのか――照れているうちに、裸になってしまう。すっかり汗ばんでいた肌に、空気が触れて、少し震えた。
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