180 / 346
第三章~お披露目~
百七十九話
しおりを挟む
――ぴちゃ……
お湯をすくって、肩にかける。じんわりと熱がしみて、深い吐息が漏れた。
「はあ……」
……あったかい。広々とした湯船で、どこまでも体が伸びてっちゃいそう。浴室は、大きな窓から昼の光が差し込んで、とても明るい。
ぼくは、お湯の中で揺蕩う自分の体を見下ろした。
「……う~」
ぱちゃん、と顔をお湯に沈める。ぶくぶくと息を吐いて、金魚になった気持でいると……さっきのことが頭に浮かんでくる。
――すっごい、ドキドキした……
着物を脱がせてもらったときの、宏兄の目。――すごく熱かった。たくさん、キスしてくれるときみたいに……。
「うう~」
恥ずかしくて悶える。パシャパシャとお湯が跳ねた。
「でも、宏兄も、ドキドキしてくれてるのかな。そやったら、いいな……」
きゅ、と両肩を抱く。
胸が苦しいくらい、高鳴ってた。これからのこと、すごく不安で、緊張してる。でも――同じくらい、期待してる自分がいて。
――こんな気持ち、はじめて。どうしちゃったんやろ……?
なんだか恥ずかしい。宏兄が知ったら、はしたないって、思われるかな。
「……宏兄」
……でも、もっと側に居たくて。――抱きしめて欲しい。本当は、陽平から庇ってくれたときから、ずっとそうしてほしかった。
ぼん、と頬が燃え上がる。
「……あかんっ。のぼせちゃう!」
迷いを振り切るように、お風呂から上がった。
ふかふかのタオルで、火照った体から水滴を拭い、髪を包んだ。
人生初めてのバスローブを、素肌に羽織る。しっとりとして、安心感のある重みに、目が丸くなる。
「わあ……!」
バスローブって、こういう感じやったんや。
映画やドラマの登場人物になったようで、わくわくする。
髪を乾かして、外に出ると――
「宏兄!」
リビングのソファで、宏兄が腰掛けていた。まだ、お買い物かと思ってたから、どきりとする。
宏兄は、大きなソファに悠々と、新聞を読んでいて。
なんだか、すごく大人の男性に見えて、ドキドキしたん。
「おう。成」
宏兄は、すぐにぼくに気づいて、新聞をぽいと放り出す。
ぼくはハッとして、スリッパをぱたぱた言わせて、駆け寄った。
「ご、ごめんね! のんびりしちゃった」
「何言ってるんだ、ゆっくりしてくれ……それに俺も、今戻ってきたとこだぞ」
宏兄は大らかに笑って、じっと目を細めた。眩しいものを見るように。
ぼくは照れくさくて、もじもじと俯いた。
「あったまったか?」
「うんっ、すごく……」
頷くと、宏兄は立ち上がった。ぼくの髪に触れるか、触れないか……大きな手が近づいてくる。
どきりとして、肩を竦めると――宏兄は言う。
「髪、洗ったんだな」
「う、うん。お風呂やから」
え。違うのかな? おろおろしていると、宏兄はくすりと笑った。
「いや、いつもと違う香りが新鮮でさ。バスローブ姿、可愛いな」
「……えへ。初バスローブ、快適ですっ」
嬉しくて、ぱっと手を広げる。
「あはは。良かったなぁ。じゃあ、俺もさっぱりしてくるかな」
「うん、ゆっくりしてきて! お風呂、すごく良かったよ。眺めもよくてね」
ふざけて、背中をお風呂まで押して行くと、宏兄はくすぐったそうに肩を震わせる。
「そうか、そうか。あ……新しい下着と服。クローゼットにあるから」
「わ、ありがとう」
「俺としては、そのままでいいけどな」
えっ。
ぼくは、ぎしりと固まる。宏兄は、横目にほほ笑んで、お風呂場に入っていった。
どう言う意味ですか、宏兄さん……!
「うう……」
初めてのウォークインクローゼットやけど、感動する心の余白がないっ。
パンクしそうな頭で、ぼくは衣装棚を漁った。すでにタグの切られた服と、下着が丁寧に納められてる。
「……」
ぼくは、新しい下着を手に取る。
着てきたものは、ランドリーに出してくれるそうで……実はいま、何も履いてないん。
下着無しは落ち着かないから、凄くありがたい。
――俺としては、そのままでいいけどな。
顔が、ぼっと熱る。
ぎゅう、と下着を握りしめて、へたり込む。
「ど、どうしたら。でも、裸でいるのも恥ずかしいし……」
というか、シンプルに意味が気になる。やっぱり、"そう言うこと"なの?
どっどっ、と早鐘を打つ心臓が、飛び出してきそう。
「じゃあ、履いたら……なんか拒否したみたいになるかな? でも、万一開けたら、恥ずかしいし……」
うんうん悩んでいると、大きな姿見が目に入る。映ってるのは――下着を握りしめて、難しい顔をしてるぼくで。
「ひえ」
シュールな絵面に、ちょっと恥ずかしくなる。
ぼくはおずおずと、小さな座椅子に腰をかけた。……シャワーの音が聞こえてくる。
この隣が洗面所だから、近くに宏兄が。
落ち着かなくて、視線を巡らすと……眩い白が目に飛び込んできた。
「……あっ、やっこさん」
――お義母さんの、お着物。
壁面のハンガーフックに、大きく腕を伸ばした格好で、着物が干されていた。帯や長じゅばんも。
「……わあ」
近づいて見ると、しわなく伸ばされた布地が淡い照明の光を受け、しっとりと光ってる。
「お義母さんがしてあったみたい。……宏兄も、着物着るんかなあ」
そんなことを、ふと思う。
顔を寄せると、かすかに森の香りがした。たくさん、抱きしめて貰ったからかも……
きゅう、と胸が震える。
「――どうした?」
「ひゃあ!?」
しっとりと熱を孕んだ、芳しい木々が香る。いつの間にやってきたのか、宏兄が後ろに立っていた。
「も、もう出たん?」
「もうってこともないぞ。何かあったか?」
大きな笑みを浮かべ、宏兄が言う。ぼくと同じ、バスローブを纏ってる。湯上がりの浅黒い肌を直視できなくて、着物に向き直った。
「う、ううん! 綺麗にしてくれて、ありがとう。ごめんね、脱ぎっぱなしで」
「いいよ、これくらい」
何でもないみたいに言う宏兄に、少し尋ねてみる。
「えと。宏兄って、着物着るの?」
「ん?」
「なんか、慣れてはるなあと思って」
「ああ……子供の頃、母さんの趣味でな。性に合わないから、家を出てからは全然だが」
「そうなん? ……初めて知った」
ぼくは、目を真ん丸にする。長い付き合いなのに、知らなかったなんて。
そう思って、はっとする。
――ぼくって……宏兄のこと、知ってるつもりで。全然、知らないんや。
結婚することになるまで……宏兄のご家族にも会ったことなかったし。
お兄さんが結婚してたことも、今日、来られなかったお姉さんの、事情のことも――宏兄と過ごした十五年の間に、起こったことなのに。
――宏兄は、家のことあまり話さなくて。たぶん、ぼくの家族がいないの、気にして……
わかってたのに。
宏兄は、夢の話も、好きなものも……宏兄のことは話してくれるから。
今、眼の前にいる宏兄だけ知れていればいいって、言い訳して。――本当は、ぼくが傷つきたくなかっただけなのに。
『……あんまり、仲良くなったら辛いよ』
優しい声が甦り、胸が軋む。これは忠告やった。――ぼくが、いつか苦しまないように。
だから、宏兄が言わないでくれることに、甘えてた。
……ずるい。
すると、そっと背を抱き寄せられた。
「成、どうした?」
「宏兄……」
あたたかい腕に抱かれて、長い息が漏れる。泣きたくなって、ぎゅっと腰に抱きついた。
宏兄は、本当に優しい。
子供の頃から、ずっと変わらない。
「宏兄……!」
優しく背を撫でてくれる大きな手は、お兄ちゃんの……ううん、ぼくの旦那さんのものやった。
――そうや。今は、もう違う……
ぼくは、宏兄の顔を見上げた。
「あのね、宏兄」
「うん?」
優しい目が、見下ろしてくれる。ぼくは、勇気を得て……ぎゅっと背を抱いた。
「ぼく、宏兄のこと、もっと知りたい……!」
お湯をすくって、肩にかける。じんわりと熱がしみて、深い吐息が漏れた。
「はあ……」
……あったかい。広々とした湯船で、どこまでも体が伸びてっちゃいそう。浴室は、大きな窓から昼の光が差し込んで、とても明るい。
ぼくは、お湯の中で揺蕩う自分の体を見下ろした。
「……う~」
ぱちゃん、と顔をお湯に沈める。ぶくぶくと息を吐いて、金魚になった気持でいると……さっきのことが頭に浮かんでくる。
――すっごい、ドキドキした……
着物を脱がせてもらったときの、宏兄の目。――すごく熱かった。たくさん、キスしてくれるときみたいに……。
「うう~」
恥ずかしくて悶える。パシャパシャとお湯が跳ねた。
「でも、宏兄も、ドキドキしてくれてるのかな。そやったら、いいな……」
きゅ、と両肩を抱く。
胸が苦しいくらい、高鳴ってた。これからのこと、すごく不安で、緊張してる。でも――同じくらい、期待してる自分がいて。
――こんな気持ち、はじめて。どうしちゃったんやろ……?
なんだか恥ずかしい。宏兄が知ったら、はしたないって、思われるかな。
「……宏兄」
……でも、もっと側に居たくて。――抱きしめて欲しい。本当は、陽平から庇ってくれたときから、ずっとそうしてほしかった。
ぼん、と頬が燃え上がる。
「……あかんっ。のぼせちゃう!」
迷いを振り切るように、お風呂から上がった。
ふかふかのタオルで、火照った体から水滴を拭い、髪を包んだ。
人生初めてのバスローブを、素肌に羽織る。しっとりとして、安心感のある重みに、目が丸くなる。
「わあ……!」
バスローブって、こういう感じやったんや。
映画やドラマの登場人物になったようで、わくわくする。
髪を乾かして、外に出ると――
「宏兄!」
リビングのソファで、宏兄が腰掛けていた。まだ、お買い物かと思ってたから、どきりとする。
宏兄は、大きなソファに悠々と、新聞を読んでいて。
なんだか、すごく大人の男性に見えて、ドキドキしたん。
「おう。成」
宏兄は、すぐにぼくに気づいて、新聞をぽいと放り出す。
ぼくはハッとして、スリッパをぱたぱた言わせて、駆け寄った。
「ご、ごめんね! のんびりしちゃった」
「何言ってるんだ、ゆっくりしてくれ……それに俺も、今戻ってきたとこだぞ」
宏兄は大らかに笑って、じっと目を細めた。眩しいものを見るように。
ぼくは照れくさくて、もじもじと俯いた。
「あったまったか?」
「うんっ、すごく……」
頷くと、宏兄は立ち上がった。ぼくの髪に触れるか、触れないか……大きな手が近づいてくる。
どきりとして、肩を竦めると――宏兄は言う。
「髪、洗ったんだな」
「う、うん。お風呂やから」
え。違うのかな? おろおろしていると、宏兄はくすりと笑った。
「いや、いつもと違う香りが新鮮でさ。バスローブ姿、可愛いな」
「……えへ。初バスローブ、快適ですっ」
嬉しくて、ぱっと手を広げる。
「あはは。良かったなぁ。じゃあ、俺もさっぱりしてくるかな」
「うん、ゆっくりしてきて! お風呂、すごく良かったよ。眺めもよくてね」
ふざけて、背中をお風呂まで押して行くと、宏兄はくすぐったそうに肩を震わせる。
「そうか、そうか。あ……新しい下着と服。クローゼットにあるから」
「わ、ありがとう」
「俺としては、そのままでいいけどな」
えっ。
ぼくは、ぎしりと固まる。宏兄は、横目にほほ笑んで、お風呂場に入っていった。
どう言う意味ですか、宏兄さん……!
「うう……」
初めてのウォークインクローゼットやけど、感動する心の余白がないっ。
パンクしそうな頭で、ぼくは衣装棚を漁った。すでにタグの切られた服と、下着が丁寧に納められてる。
「……」
ぼくは、新しい下着を手に取る。
着てきたものは、ランドリーに出してくれるそうで……実はいま、何も履いてないん。
下着無しは落ち着かないから、凄くありがたい。
――俺としては、そのままでいいけどな。
顔が、ぼっと熱る。
ぎゅう、と下着を握りしめて、へたり込む。
「ど、どうしたら。でも、裸でいるのも恥ずかしいし……」
というか、シンプルに意味が気になる。やっぱり、"そう言うこと"なの?
どっどっ、と早鐘を打つ心臓が、飛び出してきそう。
「じゃあ、履いたら……なんか拒否したみたいになるかな? でも、万一開けたら、恥ずかしいし……」
うんうん悩んでいると、大きな姿見が目に入る。映ってるのは――下着を握りしめて、難しい顔をしてるぼくで。
「ひえ」
シュールな絵面に、ちょっと恥ずかしくなる。
ぼくはおずおずと、小さな座椅子に腰をかけた。……シャワーの音が聞こえてくる。
この隣が洗面所だから、近くに宏兄が。
落ち着かなくて、視線を巡らすと……眩い白が目に飛び込んできた。
「……あっ、やっこさん」
――お義母さんの、お着物。
壁面のハンガーフックに、大きく腕を伸ばした格好で、着物が干されていた。帯や長じゅばんも。
「……わあ」
近づいて見ると、しわなく伸ばされた布地が淡い照明の光を受け、しっとりと光ってる。
「お義母さんがしてあったみたい。……宏兄も、着物着るんかなあ」
そんなことを、ふと思う。
顔を寄せると、かすかに森の香りがした。たくさん、抱きしめて貰ったからかも……
きゅう、と胸が震える。
「――どうした?」
「ひゃあ!?」
しっとりと熱を孕んだ、芳しい木々が香る。いつの間にやってきたのか、宏兄が後ろに立っていた。
「も、もう出たん?」
「もうってこともないぞ。何かあったか?」
大きな笑みを浮かべ、宏兄が言う。ぼくと同じ、バスローブを纏ってる。湯上がりの浅黒い肌を直視できなくて、着物に向き直った。
「う、ううん! 綺麗にしてくれて、ありがとう。ごめんね、脱ぎっぱなしで」
「いいよ、これくらい」
何でもないみたいに言う宏兄に、少し尋ねてみる。
「えと。宏兄って、着物着るの?」
「ん?」
「なんか、慣れてはるなあと思って」
「ああ……子供の頃、母さんの趣味でな。性に合わないから、家を出てからは全然だが」
「そうなん? ……初めて知った」
ぼくは、目を真ん丸にする。長い付き合いなのに、知らなかったなんて。
そう思って、はっとする。
――ぼくって……宏兄のこと、知ってるつもりで。全然、知らないんや。
結婚することになるまで……宏兄のご家族にも会ったことなかったし。
お兄さんが結婚してたことも、今日、来られなかったお姉さんの、事情のことも――宏兄と過ごした十五年の間に、起こったことなのに。
――宏兄は、家のことあまり話さなくて。たぶん、ぼくの家族がいないの、気にして……
わかってたのに。
宏兄は、夢の話も、好きなものも……宏兄のことは話してくれるから。
今、眼の前にいる宏兄だけ知れていればいいって、言い訳して。――本当は、ぼくが傷つきたくなかっただけなのに。
『……あんまり、仲良くなったら辛いよ』
優しい声が甦り、胸が軋む。これは忠告やった。――ぼくが、いつか苦しまないように。
だから、宏兄が言わないでくれることに、甘えてた。
……ずるい。
すると、そっと背を抱き寄せられた。
「成、どうした?」
「宏兄……」
あたたかい腕に抱かれて、長い息が漏れる。泣きたくなって、ぎゅっと腰に抱きついた。
宏兄は、本当に優しい。
子供の頃から、ずっと変わらない。
「宏兄……!」
優しく背を撫でてくれる大きな手は、お兄ちゃんの……ううん、ぼくの旦那さんのものやった。
――そうや。今は、もう違う……
ぼくは、宏兄の顔を見上げた。
「あのね、宏兄」
「うん?」
優しい目が、見下ろしてくれる。ぼくは、勇気を得て……ぎゅっと背を抱いた。
「ぼく、宏兄のこと、もっと知りたい……!」
137
お気に入りに追加
1,401
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
王妃から夜伽を命じられたメイドのささやかな復讐
当麻月菜
恋愛
没落した貴族令嬢という過去を隠して、ロッタは王宮でメイドとして日々業務に勤しむ毎日。
でもある日、子宝に恵まれない王妃のマルガリータから国王との夜伽を命じられてしまう。
その理由は、ロッタとマルガリータの髪と目の色が同じという至極単純なもの。
ただし、夜伽を務めてもらうが側室として召し上げることは無い。所謂、使い捨ての世継ぎ製造機になれと言われたのだ。
馬鹿馬鹿しい話であるが、これは王命─── 断れば即、極刑。逃げても、極刑。
途方に暮れたロッタだけれど、そこに友人のアサギが現れて、この危機を切り抜けるとんでもない策を教えてくれるのだが……。
Tally marks
あこ
BL
五回目の浮気を目撃したら別れる。
カイトが巽に宣言をしたその五回目が、とうとうやってきた。
「関心が無くなりました。別れます。さよなら」
✔︎ 攻めは体格良くて男前(コワモテ気味)の自己中浮気野郎。
✔︎ 受けはのんびりした話し方の美人も裸足で逃げる(かもしれない)長身美人。
✔︎ 本編中は『大学生×高校生』です。
✔︎ 受けのお姉ちゃんは超イケメンで強い(物理)、そして姉と婚約している彼氏は爽やか好青年。
✔︎ 『彼者誰時に溺れる』とリンクしています(あちらを読んでいなくても全く問題はありません)
🔺ATTENTION🔺
このお話は『浮気野郎を後悔させまくってボコボコにする予定』で書き始めたにも関わらず『どうしてか元サヤ』になってしまった連載です。
そして浮気野郎は元サヤ後、受け溺愛ヘタレ野郎に進化します。
そこだけ本当、ご留意ください。
また、タグにはない設定もあります。ごめんなさい。(10個しかタグが作れない…せめてあと2個作らせて欲しい)
➡︎ 作品や章タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。
➡︎ 『番外編:本編完結後』に区分されている小説については、完結後設定の番外編が小説の『更新順』に入っています。『時系列順』になっていません。
➡︎ ただし、『番外編:本編完結後』の中に入っている作品のうち、『カイトが巽に「愛してる」と言えるようになったころ』の作品に関してはタイトルの頭に『𝟞』がついています。
個人サイトでの連載開始は2016年7月です。
これを加筆修正しながら更新していきます。
ですので、作中に古いものが登場する事が多々あります。
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
いっそあなたに憎まれたい
石河 翠
恋愛
主人公が愛した男には、すでに身分違いの平民の恋人がいた。
貴族の娘であり、正妻であるはずの彼女は、誰も来ない離れの窓から幸せそうな彼らを覗き見ることしかできない。
愛されることもなく、夫婦の営みすらない白い結婚。
三年が過ぎ、義両親からは石女(うまずめ)の烙印を押され、とうとう離縁されることになる。
そして彼女は結婚生活最後の日に、ひとりの神父と過ごすことを選ぶ。
誰にも言えなかった胸の内を、ひっそりと「彼」に明かすために。
これは婚約破棄もできず、悪役令嬢にもドアマットヒロインにもなれなかった、ひとりの愚かな女のお話。
この作品は小説家になろうにも投稿しております。
扉絵は、汐の音様に描いていただきました。ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる