35 / 346
第一章~婚約破棄~
三十四話
しおりを挟む
「あれ?」
空のお酒の瓶を引き上げてきたところで、宴会の輪から外れて、静かに飲んでいる人たちに気づく。
二人とも、今日初めてのお客さんで。壁にだらんと凭れて、空のグラスを脇に置いたまま喋ってるみたい。
「すみませんー。次、なに飲まれます?」
そっと近づいて尋ねると、二人は目を丸くし――ぺこっと会釈しはった。
「あ、ありがとうございます。でも、大丈夫です」
「俺たち、ビール一杯が限界なんですよー」
確かに、ふたりともすっごい顔が赤いや。ぼくは「そういうことなら」と、にこっと笑う。
「じゃあ、冷たいお茶はいかがですか?」
――お二人は、岩瀬さんと渡辺さんとおっしゃって、蓑崎さんのゼミの同輩なんやって。陽平とは蓑崎さんづてに仲良くなったんやとか。
「そうなんですかぁ。陽平が、いつもお世話になってます」
「いやいや、全然ですよ! 俺らこそ、城山くんにはお世話になってるんで」
「うん。蓑崎と話せるの、彼くらいだから」
ぺこりと頭を下げると、お二人は朗らかに笑った。
彼らによると、蓑崎さんは勉強熱心なあまり、ゼミの仲間と衝突することもしばしばだったそう。岩瀬さんは、陽平と連れ立つようになってから当たりが柔らかくなった、と教えてくれた。
「まあ、うちはオメガはあいつ一人なんで。気を張ってたんすかね」
「そうですね……」
――陽平……言った通り、蓑崎さんを支えてるんやね。
ちょっと複雑な気持ちはするものの……有言実行はえらい。しみじみと感じ入ってると、テーブルの方から「成己くーん」と大声で呼ばれる。見れば、蓑崎さんが手を振っていた。
「はいっ」
「ビール、冷蔵庫にまだあったよねー?」
「あ……はい! 持ってきますね」
ぼくは、岩瀬さんと渡辺さんにぺこりと頭を下げて、キッチンへ走った。
「お待たせしましたー」
テーブルにお酒を置くと、我も我もと手が伸びてきた。
――すごいペースや。一度、スーパーで買い足しせなあかんかも……
それと、おつまみも無いみたい。なにか作ろうかな、と思いながらお皿を引いていると、「ねえ」と声をかけられた。
振り返ると、がっしりした刈り上げ頭の男の人が、にやにやと笑みを浮かべていた。この人は……グループのリーダー格の近藤さんや。
ちょっと身構えながらも、笑って首を傾ける。
「なんでしょうか?」
「成己さん、おつまみなら買ってきてね。エッチ食じゃ、食った気しないし」
「……!」
投げかけられた言葉に、ぎくりとした。
――成己さんの料理って、まんまセンター産オメガって感じだよな……
以前言われた酷いからかいを思い出し、笑顔が強張ってしまう。
すると――蓑崎さんが、近藤さんの隣からひょこりと顔を出す。
「なんですか、エッチ食って」
「知らねえの? 成己さんはセンター出身だろ? センターではな、オメガが身ごもりやすい体になるよう、健康的な飯ばっか食わせるんだ」
「えー! 眉つばでしょ?」
蓑崎さんが、ぷっと噴き出した。
「嘘なもんか。センター産オメガは孕みやすいって、統計的にも出てんだぞ」
近藤さんの言葉に、ひゅーっと誰かが口笛を吹いた。
「ようは励ませるためのメシだから、エッチってことか!」
「それを、成己さんは作ってんのか。あはは、城山も大変だなー!」
どっ、と大きな笑い声が上がった。ただの声やのに、体をもみくちゃにされるような、酷い気持ちになる。
――ひどい……!
ぼくは、顔が真っ赤になるのを抑えられなかった。
恥ずかしさと、悔しさで。
だって、先生たちが、どれだけ愛情をもってぼくを育ててくれたか……みんな知らないのに。そんな、ひどいからかいのネタになんてしないで欲しい。
――最低、ばか!
言い返してやりたい。でも……ぼくは、陽平をちらりと見る。
陽平は、気まずそうな顔でお酒を飲んでいた。聞こえてるはずなのに、ちっとも目が合わない。
「城山、飲んでないで言えよ! どうなんだよ効果は?」
「まあ、ただのガキくさいメシですよ」
近藤さんに肩を抱かれ、陽平が愛想笑いで返す。
その反応に、ぼくはすーっと怒りが悲しみに変わってくのを感じた。
わかってる。
あの近藤さんは、陽平の一番つき合いにくい先輩で。家の繋がりで……つき合いを大事にせなあかん人やもんね。
「……もう、やめてくださいよっ! 恥ずかしいから、退散しますっ」
ぼくは、恥ずかしさと悔しさを堪えて――つとめて明るく言う。
楽しそうな笑い声を背に、小走りにキッチンに引っ込んだ。
ごめんなさい、先生……!
ちゃんと弁解できなかった罪悪感で、胸がキリキリする。ぼくは、勢いよく蛇口を開き、コップに水をどどどと注いだ。
「奥さん、大丈夫ですか」
やけくそで水を呷っていると――おずおずと声をかけられた。岩瀬さんと渡辺さんや。心配そうに眉をひそめて、キッチンの入り口に所在無さげに立ってはる。二人は、中に入ってこようとはしなくて……紳士的やと思う。蓑崎さんがいるから、慣れてるのかもしれへん。
ボウッと考えてから――ぼくは、ハッとしてコップを置く。
「だ、大丈夫です! すみません、気遣ってもらっちゃって」
「いや、俺らがすんません。近藤さん怖さに、何も出来んくて……」
ぺこりと頭を下げると、二人もぺこぺこ! とかわるがわる謝ってくれた。ぼくは、あの場でみんなに笑われたんやないと――少し、気が楽になった。
「……ありがとうございますっ」
にっこり笑うと、お二人はホッとしたように顔を見合わせはった。
そう――わかってくれる人はいるんや。ぼくは息を吐いて、気合を入れなおす。
「よしっ……じゃあ、ぼくお酒買いますね!」
「え。一人でっすか? 危ないすよ」
「それなら、俺たち行ってくるんで」
岩瀬さんと渡辺さんは、慌ててそう申し出てくれた。すごい親切やなあ……と感動しつつ、お気持ちだけ頂くことにする。マンション内にあるスーパーは、電話でオーダーしたら商品を持ってきてくれるサービスがあって、安全やから。
そう言うと、二人は納得してくれた。
「じゃあ、ぼく電話してきますので」
玄関にある電話へ向かおうと、キッチンを出ようとしたとき――
「城山、お前さあ。早まったんじゃねえの?」
近藤さんの声が聞こえてきて、ぼくは動きを止めた。
次は、陽平の声が聞こえてくる。
「何がっすか?」
「いや、蓑崎だよ。美人だけど、変わりもんだと思ってたのにさー。こんな、嫁力も強いとは思わんかったし。成己さんで手を打って、早まったって思ってね?」
――え……!?
ひゅっと、息を飲んだ。
すると、蓑崎さんがけらけらと笑う。
「えー、何言ってんですか。陽平には成己くんが合ってますって」
「いやいや……よく言うよ、お前らのがカップルっぽいじゃん。いつもべったりだし」
「わかる、わかる。成己さん、子どもっぽいからな」
次々に飛んでくる言葉が、胸を刺す。――ぼくは、陽平にふさわしくない……蓑崎さんの方がお似合い。そんな風に見えてるん?
がたがたと、足下から震えがやってくる。ドアノブを握る指が、冷たい。
「もう……陽平もなんとかいいなよ」
蓑崎さんが、陽平に水を向ける。ぼくは、心臓がどきりと鼓動して――固唾を飲む。
――陽平……!
祈るような気持ちで、言葉を待つ。
すると、陽平はぶっきらぼうに言った。
「べつに……晶にも婚約者がいるんで。やめてやってください」
空のお酒の瓶を引き上げてきたところで、宴会の輪から外れて、静かに飲んでいる人たちに気づく。
二人とも、今日初めてのお客さんで。壁にだらんと凭れて、空のグラスを脇に置いたまま喋ってるみたい。
「すみませんー。次、なに飲まれます?」
そっと近づいて尋ねると、二人は目を丸くし――ぺこっと会釈しはった。
「あ、ありがとうございます。でも、大丈夫です」
「俺たち、ビール一杯が限界なんですよー」
確かに、ふたりともすっごい顔が赤いや。ぼくは「そういうことなら」と、にこっと笑う。
「じゃあ、冷たいお茶はいかがですか?」
――お二人は、岩瀬さんと渡辺さんとおっしゃって、蓑崎さんのゼミの同輩なんやって。陽平とは蓑崎さんづてに仲良くなったんやとか。
「そうなんですかぁ。陽平が、いつもお世話になってます」
「いやいや、全然ですよ! 俺らこそ、城山くんにはお世話になってるんで」
「うん。蓑崎と話せるの、彼くらいだから」
ぺこりと頭を下げると、お二人は朗らかに笑った。
彼らによると、蓑崎さんは勉強熱心なあまり、ゼミの仲間と衝突することもしばしばだったそう。岩瀬さんは、陽平と連れ立つようになってから当たりが柔らかくなった、と教えてくれた。
「まあ、うちはオメガはあいつ一人なんで。気を張ってたんすかね」
「そうですね……」
――陽平……言った通り、蓑崎さんを支えてるんやね。
ちょっと複雑な気持ちはするものの……有言実行はえらい。しみじみと感じ入ってると、テーブルの方から「成己くーん」と大声で呼ばれる。見れば、蓑崎さんが手を振っていた。
「はいっ」
「ビール、冷蔵庫にまだあったよねー?」
「あ……はい! 持ってきますね」
ぼくは、岩瀬さんと渡辺さんにぺこりと頭を下げて、キッチンへ走った。
「お待たせしましたー」
テーブルにお酒を置くと、我も我もと手が伸びてきた。
――すごいペースや。一度、スーパーで買い足しせなあかんかも……
それと、おつまみも無いみたい。なにか作ろうかな、と思いながらお皿を引いていると、「ねえ」と声をかけられた。
振り返ると、がっしりした刈り上げ頭の男の人が、にやにやと笑みを浮かべていた。この人は……グループのリーダー格の近藤さんや。
ちょっと身構えながらも、笑って首を傾ける。
「なんでしょうか?」
「成己さん、おつまみなら買ってきてね。エッチ食じゃ、食った気しないし」
「……!」
投げかけられた言葉に、ぎくりとした。
――成己さんの料理って、まんまセンター産オメガって感じだよな……
以前言われた酷いからかいを思い出し、笑顔が強張ってしまう。
すると――蓑崎さんが、近藤さんの隣からひょこりと顔を出す。
「なんですか、エッチ食って」
「知らねえの? 成己さんはセンター出身だろ? センターではな、オメガが身ごもりやすい体になるよう、健康的な飯ばっか食わせるんだ」
「えー! 眉つばでしょ?」
蓑崎さんが、ぷっと噴き出した。
「嘘なもんか。センター産オメガは孕みやすいって、統計的にも出てんだぞ」
近藤さんの言葉に、ひゅーっと誰かが口笛を吹いた。
「ようは励ませるためのメシだから、エッチってことか!」
「それを、成己さんは作ってんのか。あはは、城山も大変だなー!」
どっ、と大きな笑い声が上がった。ただの声やのに、体をもみくちゃにされるような、酷い気持ちになる。
――ひどい……!
ぼくは、顔が真っ赤になるのを抑えられなかった。
恥ずかしさと、悔しさで。
だって、先生たちが、どれだけ愛情をもってぼくを育ててくれたか……みんな知らないのに。そんな、ひどいからかいのネタになんてしないで欲しい。
――最低、ばか!
言い返してやりたい。でも……ぼくは、陽平をちらりと見る。
陽平は、気まずそうな顔でお酒を飲んでいた。聞こえてるはずなのに、ちっとも目が合わない。
「城山、飲んでないで言えよ! どうなんだよ効果は?」
「まあ、ただのガキくさいメシですよ」
近藤さんに肩を抱かれ、陽平が愛想笑いで返す。
その反応に、ぼくはすーっと怒りが悲しみに変わってくのを感じた。
わかってる。
あの近藤さんは、陽平の一番つき合いにくい先輩で。家の繋がりで……つき合いを大事にせなあかん人やもんね。
「……もう、やめてくださいよっ! 恥ずかしいから、退散しますっ」
ぼくは、恥ずかしさと悔しさを堪えて――つとめて明るく言う。
楽しそうな笑い声を背に、小走りにキッチンに引っ込んだ。
ごめんなさい、先生……!
ちゃんと弁解できなかった罪悪感で、胸がキリキリする。ぼくは、勢いよく蛇口を開き、コップに水をどどどと注いだ。
「奥さん、大丈夫ですか」
やけくそで水を呷っていると――おずおずと声をかけられた。岩瀬さんと渡辺さんや。心配そうに眉をひそめて、キッチンの入り口に所在無さげに立ってはる。二人は、中に入ってこようとはしなくて……紳士的やと思う。蓑崎さんがいるから、慣れてるのかもしれへん。
ボウッと考えてから――ぼくは、ハッとしてコップを置く。
「だ、大丈夫です! すみません、気遣ってもらっちゃって」
「いや、俺らがすんません。近藤さん怖さに、何も出来んくて……」
ぺこりと頭を下げると、二人もぺこぺこ! とかわるがわる謝ってくれた。ぼくは、あの場でみんなに笑われたんやないと――少し、気が楽になった。
「……ありがとうございますっ」
にっこり笑うと、お二人はホッとしたように顔を見合わせはった。
そう――わかってくれる人はいるんや。ぼくは息を吐いて、気合を入れなおす。
「よしっ……じゃあ、ぼくお酒買いますね!」
「え。一人でっすか? 危ないすよ」
「それなら、俺たち行ってくるんで」
岩瀬さんと渡辺さんは、慌ててそう申し出てくれた。すごい親切やなあ……と感動しつつ、お気持ちだけ頂くことにする。マンション内にあるスーパーは、電話でオーダーしたら商品を持ってきてくれるサービスがあって、安全やから。
そう言うと、二人は納得してくれた。
「じゃあ、ぼく電話してきますので」
玄関にある電話へ向かおうと、キッチンを出ようとしたとき――
「城山、お前さあ。早まったんじゃねえの?」
近藤さんの声が聞こえてきて、ぼくは動きを止めた。
次は、陽平の声が聞こえてくる。
「何がっすか?」
「いや、蓑崎だよ。美人だけど、変わりもんだと思ってたのにさー。こんな、嫁力も強いとは思わんかったし。成己さんで手を打って、早まったって思ってね?」
――え……!?
ひゅっと、息を飲んだ。
すると、蓑崎さんがけらけらと笑う。
「えー、何言ってんですか。陽平には成己くんが合ってますって」
「いやいや……よく言うよ、お前らのがカップルっぽいじゃん。いつもべったりだし」
「わかる、わかる。成己さん、子どもっぽいからな」
次々に飛んでくる言葉が、胸を刺す。――ぼくは、陽平にふさわしくない……蓑崎さんの方がお似合い。そんな風に見えてるん?
がたがたと、足下から震えがやってくる。ドアノブを握る指が、冷たい。
「もう……陽平もなんとかいいなよ」
蓑崎さんが、陽平に水を向ける。ぼくは、心臓がどきりと鼓動して――固唾を飲む。
――陽平……!
祈るような気持ちで、言葉を待つ。
すると、陽平はぶっきらぼうに言った。
「べつに……晶にも婚約者がいるんで。やめてやってください」
87
お気に入りに追加
1,401
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
王妃から夜伽を命じられたメイドのささやかな復讐
当麻月菜
恋愛
没落した貴族令嬢という過去を隠して、ロッタは王宮でメイドとして日々業務に勤しむ毎日。
でもある日、子宝に恵まれない王妃のマルガリータから国王との夜伽を命じられてしまう。
その理由は、ロッタとマルガリータの髪と目の色が同じという至極単純なもの。
ただし、夜伽を務めてもらうが側室として召し上げることは無い。所謂、使い捨ての世継ぎ製造機になれと言われたのだ。
馬鹿馬鹿しい話であるが、これは王命─── 断れば即、極刑。逃げても、極刑。
途方に暮れたロッタだけれど、そこに友人のアサギが現れて、この危機を切り抜けるとんでもない策を教えてくれるのだが……。
Tally marks
あこ
BL
五回目の浮気を目撃したら別れる。
カイトが巽に宣言をしたその五回目が、とうとうやってきた。
「関心が無くなりました。別れます。さよなら」
✔︎ 攻めは体格良くて男前(コワモテ気味)の自己中浮気野郎。
✔︎ 受けはのんびりした話し方の美人も裸足で逃げる(かもしれない)長身美人。
✔︎ 本編中は『大学生×高校生』です。
✔︎ 受けのお姉ちゃんは超イケメンで強い(物理)、そして姉と婚約している彼氏は爽やか好青年。
✔︎ 『彼者誰時に溺れる』とリンクしています(あちらを読んでいなくても全く問題はありません)
🔺ATTENTION🔺
このお話は『浮気野郎を後悔させまくってボコボコにする予定』で書き始めたにも関わらず『どうしてか元サヤ』になってしまった連載です。
そして浮気野郎は元サヤ後、受け溺愛ヘタレ野郎に進化します。
そこだけ本当、ご留意ください。
また、タグにはない設定もあります。ごめんなさい。(10個しかタグが作れない…せめてあと2個作らせて欲しい)
➡︎ 作品や章タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。
➡︎ 『番外編:本編完結後』に区分されている小説については、完結後設定の番外編が小説の『更新順』に入っています。『時系列順』になっていません。
➡︎ ただし、『番外編:本編完結後』の中に入っている作品のうち、『カイトが巽に「愛してる」と言えるようになったころ』の作品に関してはタイトルの頭に『𝟞』がついています。
個人サイトでの連載開始は2016年7月です。
これを加筆修正しながら更新していきます。
ですので、作中に古いものが登場する事が多々あります。
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる