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第18話 多忙(2)
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伊月さんが「アオくんの体調に合わせた料理が出せるように、最近料理教室に通っているんだ」と言いながら作ってくれた、味は普通だけど今の俺には嬉しい超ヘルシーな手料理を食べて、俺がまだ観れていない今期放送のドラマをソファで二本観て、夜の十一時すぎ。
そろそろセックスの時間のはず。
今日は朝五時からここに来る直前まで撮影で、明日も朝七時にはスタジオ入り。
できればサクっとすませて早く寝たいんだけど……
「ねぇアオくん。たまにはお風呂でイチャイチャしよう? いい入浴剤もらったんだ」
お風呂でイチャイチャか……そこからセックスだろうから寝る時間が遅くなるな。
でも……
「あ……はい。いつもシャワーだけど、ここの湯船大きいから入ってみたかったんです」
伊月さんの恋人としては、付き合わないといけないか。
久しぶりに会ったし、次に会えるのも二週間は先だし。
会えた時くらいサービスしないと。
「はぁ……きもちいい……」
湯船に浸かるの、いつぶりかな?
忙しくてずっとシャワーだったから、久しぶりの湯船はすごく気持ちがよかった。
少し熱めのお湯が心地いい。
入浴剤も血行促進とリラックス効果らしく、じわじわと疲労回復されていく気がする。
「もっと凭れていいよ」
「ん……」
俺の体を伊月さんが後ろから抱きしめて支えてくれて、大きめのバスタブの中でふわふわしながらも溺れる心配がない。全身の力を抜ける。
「お風呂ってこんなに気持ちよかったんですね……」
裸で密着しているのに、伊月さんはまだ手を出してこない。
困ったな。
お風呂は気持ちがいいけど、早くイチャイチャしてセックスして寝ないといけないのに。
時間が無くなる。
それに……もう……
「そうだよ。この入浴剤あげようか? お家でも……アオくん?」
「ん―……」
気持ち良くて、疲れが溶けていくのと同時に、意識も……
◆
――ピピピピピピピピピピピピッ
「んー……」
朝、スマホのアラームの音で目が覚めた。
五時半か。
七時にスタジオ入りだけど、ここと同じ港区だし、もう少しゆっくり用意しても間に合……ん?
「ふぁ……おはよう、アオくん」
「え? あ、おはようございま……す?」
伊月さんと同じベッドで寝て起きることにはもう慣れているけど、起きた瞬間に後ろから抱きしめられているのは少し珍しくて……あれ? 服着ている? しかも、なんか……当たって……?
「アオくん、少しは疲れとれた?」
耳元で優しく囁かれて……寝起きの頭でも一気に理解した。
そうだ。昨日、お風呂が気持ちよすぎて寝てしまって……今、朝ということは……普段裸で寝ていることが多いのに二人ともしっかり服を着ているということは……セックス無しで朝まで寝ていたんだ!
「あ、ご、ごめんなさい! 俺、昨日、寝ちゃって、相手できなくて!」
セックス、していない。
伊月さんを満足させていない!
慌てて振り返ると、伊月さんは朝だから前髪が下りているけど……それでもよくわかる、いつも通りの笑顔だった。
「かわいい寝顔をたくさん見せてもらえたから大丈夫だよ……ってこの状態で言うのは情けないけど」
伊月さんが少しだけ腰を引く。
あぁ、そうか朝勃ち?
昨夜できていなくて、俺が腕の中にいるなら仕方がないことだと思う。
「あの、今、します! でも、時間が無いから……手! あと、口で! します!」
俺が慌てて体を起こすと、伊月さんはなぜか楽しそうに声まで出して笑う。
「ははっ、なんでそんなに慌てちゃうの?」
「え? だって……伊月さん……したかった……ですよね?」
今まで、伊月さんの家に来た時は、毎回セックスをしていた。
俺が恋人として伊月さんに差し出せる物なんて体くらいだし。
「アオくんとのセックスは大好きだけど……」
上半身を起こした伊月さんが、俺の頭をポンポンと撫でる。
「アオくんの健康やお仕事の方が大切だよ」
「え……っと?」
それって、伊月さんのことじゃないのに?
自分のことよりも、俺の健康や俺の仕事が大切?
なんで?
「俺、アオくんのことが大好きだから。好きってそういうことじゃない?」
「伊月さん……?」
好きって……そういうことだっけ?
今までに演じてきた恋人役ってどうだった?
「大好きで、愛しくて、大切な子だと思っているよ。だから今日は、寝落ちしちゃうくらい疲れているのに俺に会いに来てくれただけで、充分。すごく幸せだよ」
伊月さんが頭を撫でている手はそのまま、俺の体を優しく抱きしめてくれる。
セックスしていないのに。
こんなに優しく、愛してくれるんだ。
反射的に背中に回した手に……思わず、ぎゅっと力を込めてしまった。
そろそろセックスの時間のはず。
今日は朝五時からここに来る直前まで撮影で、明日も朝七時にはスタジオ入り。
できればサクっとすませて早く寝たいんだけど……
「ねぇアオくん。たまにはお風呂でイチャイチャしよう? いい入浴剤もらったんだ」
お風呂でイチャイチャか……そこからセックスだろうから寝る時間が遅くなるな。
でも……
「あ……はい。いつもシャワーだけど、ここの湯船大きいから入ってみたかったんです」
伊月さんの恋人としては、付き合わないといけないか。
久しぶりに会ったし、次に会えるのも二週間は先だし。
会えた時くらいサービスしないと。
「はぁ……きもちいい……」
湯船に浸かるの、いつぶりかな?
忙しくてずっとシャワーだったから、久しぶりの湯船はすごく気持ちがよかった。
少し熱めのお湯が心地いい。
入浴剤も血行促進とリラックス効果らしく、じわじわと疲労回復されていく気がする。
「もっと凭れていいよ」
「ん……」
俺の体を伊月さんが後ろから抱きしめて支えてくれて、大きめのバスタブの中でふわふわしながらも溺れる心配がない。全身の力を抜ける。
「お風呂ってこんなに気持ちよかったんですね……」
裸で密着しているのに、伊月さんはまだ手を出してこない。
困ったな。
お風呂は気持ちがいいけど、早くイチャイチャしてセックスして寝ないといけないのに。
時間が無くなる。
それに……もう……
「そうだよ。この入浴剤あげようか? お家でも……アオくん?」
「ん―……」
気持ち良くて、疲れが溶けていくのと同時に、意識も……
◆
――ピピピピピピピピピピピピッ
「んー……」
朝、スマホのアラームの音で目が覚めた。
五時半か。
七時にスタジオ入りだけど、ここと同じ港区だし、もう少しゆっくり用意しても間に合……ん?
「ふぁ……おはよう、アオくん」
「え? あ、おはようございま……す?」
伊月さんと同じベッドで寝て起きることにはもう慣れているけど、起きた瞬間に後ろから抱きしめられているのは少し珍しくて……あれ? 服着ている? しかも、なんか……当たって……?
「アオくん、少しは疲れとれた?」
耳元で優しく囁かれて……寝起きの頭でも一気に理解した。
そうだ。昨日、お風呂が気持ちよすぎて寝てしまって……今、朝ということは……普段裸で寝ていることが多いのに二人ともしっかり服を着ているということは……セックス無しで朝まで寝ていたんだ!
「あ、ご、ごめんなさい! 俺、昨日、寝ちゃって、相手できなくて!」
セックス、していない。
伊月さんを満足させていない!
慌てて振り返ると、伊月さんは朝だから前髪が下りているけど……それでもよくわかる、いつも通りの笑顔だった。
「かわいい寝顔をたくさん見せてもらえたから大丈夫だよ……ってこの状態で言うのは情けないけど」
伊月さんが少しだけ腰を引く。
あぁ、そうか朝勃ち?
昨夜できていなくて、俺が腕の中にいるなら仕方がないことだと思う。
「あの、今、します! でも、時間が無いから……手! あと、口で! します!」
俺が慌てて体を起こすと、伊月さんはなぜか楽しそうに声まで出して笑う。
「ははっ、なんでそんなに慌てちゃうの?」
「え? だって……伊月さん……したかった……ですよね?」
今まで、伊月さんの家に来た時は、毎回セックスをしていた。
俺が恋人として伊月さんに差し出せる物なんて体くらいだし。
「アオくんとのセックスは大好きだけど……」
上半身を起こした伊月さんが、俺の頭をポンポンと撫でる。
「アオくんの健康やお仕事の方が大切だよ」
「え……っと?」
それって、伊月さんのことじゃないのに?
自分のことよりも、俺の健康や俺の仕事が大切?
なんで?
「俺、アオくんのことが大好きだから。好きってそういうことじゃない?」
「伊月さん……?」
好きって……そういうことだっけ?
今までに演じてきた恋人役ってどうだった?
「大好きで、愛しくて、大切な子だと思っているよ。だから今日は、寝落ちしちゃうくらい疲れているのに俺に会いに来てくれただけで、充分。すごく幸せだよ」
伊月さんが頭を撫でている手はそのまま、俺の体を優しく抱きしめてくれる。
セックスしていないのに。
こんなに優しく、愛してくれるんだ。
反射的に背中に回した手に……思わず、ぎゅっと力を込めてしまった。
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