【完結】枕営業のはずが、重すぎるほど溺愛(執着)される話

回路メグル

文字の大きさ
上 下
16 / 60

第16話 仕事/結果(家族)

しおりを挟む

「あの、すみませんでした…」

「僕こそ、ぐっすり寝ちゃってごめんね。」

次に獅音さんが起きた頃には、すっかり日が沈んでいた。
その間拘束され続けた私も、あの後二度寝した。
今日は夜、眠れないかもしれない。

時間は19時。
ご飯でも食べていってもらおうか。

「何か作ります。
良かったらご飯食べていってください。」

「体調は大丈夫なの?
何かデリバリーしようよ。」

「でも…」

「いいから、こっちおいで。
一緒に見よう。」

獅音さんが携帯を取り出してアプリを開く。

「何にしよう。
温かいものがいいよね。お粥とかあるけど…
何か食べたいものある?」

「へぇ~…お粥もデリバリーできるんですね。
だけどお粥だと獅音さん物足りなくないですか?」

「僕のことは気にしなくていいよ。
う~ん…ここはどう?」

「美味しそうですね…この、梅雑炊がいいです。」

「はーい。僕は鳥雑炊にしよっと。」

さっと注文を終えて、獅音さんが机に携帯を置いた。

「さて、それじゃあ奏ちゃん。おいで。」

私たちは今、ラグに横並びで座っている。

「…どこに…」

「ここ。」

ここ、と言って獅音さんは自分の太ももをぽんぽんと叩いた。

「はい?!」

「ぎゅっとしたいから、ここに来て。」

「上に乗れと?!」

「そう。
今日一緒に寝たし、もう慣れたでしょ。」

「それとこれとは別では…?!」

「いいから来て。」

流石に獅音さんの太ももの上に乗るのは、自分の体重も気になるしちょっと…
押し問答の末、獅音さんの足の間に座るということで合意した。
なんだこれ。

「こっち見て。」

「顔が近くて恥ずかしいので無理です」

「え~…」

そのまま固まっていると、急に伸びてきた獅音さんの両手が私の頭と腰を自分の方へぐっと引いた。
獅音さんの胸の中にぽすっと倒れこむ。

「わぁ、あ、ごめんなさいっ、」

離れようとするがまたも抱き締められたまま拘束される。

「このまま」

今日、ずっとこの体勢の気がする。
腕の中で固まってると、獅音さんが私の髪を弄り始めた。

「…毎月、今日みたいにしんどいの?」

「…暑い時期は多少マシかな、と」

「これから寒くなるよ。」

「そう、ですね…」

「奏ちゃんが嫌じゃないなら、体調悪いときは呼んでほしい。
一人で辛い思いしてほしくないの。
分かった?」

「…はい。」

「あと、もっと甘えてほしい。恋人だから。」

「それは、」

「僕以外に甘える相手が居るの?
僕以外にあんなところ見せてるの?」

急に変わった雰囲気に戸惑う。
いつもと同じ喋り方なのに、何かが違った。

「そんなわけないじゃないですか…」

「…そう。」

「…怒ってますか?」

獅音さんからネガティブな感情を感じたことは無い。
実際、いつもどおり優しい声で会話は続いている。
でも、

「怒ってないよ。」


これは嘘だ、と思った。
しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

処理中です...