389 / 409
第9章 その後の世界 / 新しい仲間と遊びの話
デート(4)
しおりを挟む
シャツの話で思わず盛り上がってしまったけど、その後は俺も魔王さんも何着も何着もお互いを着せ替えて……
「魔王さん派手な色も似あう! この組み合わせもかっこいい! 絶対にまた着ているところが見たい!」
「うっ、このライトもかわいい! この服も天才的に似合う! この姿を一回しか見られないなんて嫌だ!」
今から着る服以外にも気に入った服がありすぎて……結局デート五回分くらいの服を買って店を出た。
魔王さんがかっこいいのが悪い。
魔王さんは「ライトがかわいいからだ」って言うけど。
そして……
「服が軽い。このような薄い布で外を歩くのは慣れないな」
お店から一歩外に出た魔王さんが自分の姿を見下ろす。
今日のデート用に魔王さんに着てもらった服は、さっきの白い半袖シャツとやや薄手の黒いテーラードジャケット。ベージュのストレートパンツにこげ茶色の革靴。
全部仕立てはいいけど、普段の装飾がついた黒詰襟やブーツ、マント姿に比べるとすごくスッキリして見える。
角がなければ、元の世界のオフィスカジュアル姿のサラリーマンでも通じそうだけど……こんなかっこいいサラリーマンはいないか。
「よく似合っているよ。いつもの服は王様らしくて素敵だけど、こういうシンプルな服を着ていると……魔王さんって地位とか関係なく素敵なんだなって思う」
「そ……そうか?」
「うん。首回りがすっきりしていてかっこいい顔が目立つし、しっかり鍛えた体のラインや厚みのおかげでシンプルな服が様になるのも素敵。姿勢がいいのも、足が長いのも、こういう服の方がわかりやすいよね。かっこいい。おそろいのアクセサリーが引き立つのもいいな」
「そうか……だが、その言葉、すべてライトに返す。お前の方が素敵だ」
「ふふっ、そう?」
俺の服装は白いTシャツに黒いテーラードジャケット。ベージュのストレートパンツにこげ茶の革靴……そう、ほぼ同じ。
「俺は似合っている、似合っていないより、おそろいなのが嬉しいな」
「……あぁ」
魔王さん、口元を手で覆っても照れてニヤついてるのバレバレだよ?
「普段もおそろいの小物は多いけど、これなら一目で俺たちが仲良しだってわかるからいいね」
式典で同じ服を着ることはあったけど、あれは公的な意味合いが大きかったから……オフのおそろいはただの「仲良し」でしかないよね?
「そうだな」
「だから、早く次の場所行こう? いろんな人に仲良しの俺たちを見てもらいたい!」
実はさっきから、お店の周りにはたくさんの人が集まっていて、「うわ、同じ格好をされている! 仲良しで素敵!」「ライト様、あいかわらずおかわいらしい!」なんて声が聞こえる。
店の前に魔王さん用の馬車が停まっているんだから、集まっちゃって当然だよね。馬車と一定距離を空けてくれているのはみんなのマナーがいいのか、魔王さんの結界なのか……どっちでもいいか。
俺は見られることが好きだけど、そろそろお店の迷惑になっちゃうだろうし。
「あぁ。ローズウェル、次の場所へ」
「はい、承知致しました」
魔王さんが周囲に集まった国民のみんなに、きちんと視線を向けて軽く手を上げて応えてから馬車に乗り込む。
堂々としていてかっこいい。私服なのに気品と威厳がある!
じゃあ俺も。
「これから魔王さんとデートなんだ。いいでしょう? いってきます」
笑顔で手を振ると、周囲の人たちが一瞬息をのんで……
「……あ、あぁ、か、かわいい!」
「わざわざデート宣言していくなんて!」
「しかもあんなに楽しそうに!」
「自慢気なところがもう、もうぅ……ッ!」
「かっわいいいいいいいい!!!!!!」
国民のみんなの叫び声に近い歓声を聞きながら馬車に乗り込んだ。
俺、魔王さんを喜ばせるのも上手くなったけど、国民のみんなを喜ばせるのも上手くなったな。
「魔王さん派手な色も似あう! この組み合わせもかっこいい! 絶対にまた着ているところが見たい!」
「うっ、このライトもかわいい! この服も天才的に似合う! この姿を一回しか見られないなんて嫌だ!」
今から着る服以外にも気に入った服がありすぎて……結局デート五回分くらいの服を買って店を出た。
魔王さんがかっこいいのが悪い。
魔王さんは「ライトがかわいいからだ」って言うけど。
そして……
「服が軽い。このような薄い布で外を歩くのは慣れないな」
お店から一歩外に出た魔王さんが自分の姿を見下ろす。
今日のデート用に魔王さんに着てもらった服は、さっきの白い半袖シャツとやや薄手の黒いテーラードジャケット。ベージュのストレートパンツにこげ茶色の革靴。
全部仕立てはいいけど、普段の装飾がついた黒詰襟やブーツ、マント姿に比べるとすごくスッキリして見える。
角がなければ、元の世界のオフィスカジュアル姿のサラリーマンでも通じそうだけど……こんなかっこいいサラリーマンはいないか。
「よく似合っているよ。いつもの服は王様らしくて素敵だけど、こういうシンプルな服を着ていると……魔王さんって地位とか関係なく素敵なんだなって思う」
「そ……そうか?」
「うん。首回りがすっきりしていてかっこいい顔が目立つし、しっかり鍛えた体のラインや厚みのおかげでシンプルな服が様になるのも素敵。姿勢がいいのも、足が長いのも、こういう服の方がわかりやすいよね。かっこいい。おそろいのアクセサリーが引き立つのもいいな」
「そうか……だが、その言葉、すべてライトに返す。お前の方が素敵だ」
「ふふっ、そう?」
俺の服装は白いTシャツに黒いテーラードジャケット。ベージュのストレートパンツにこげ茶の革靴……そう、ほぼ同じ。
「俺は似合っている、似合っていないより、おそろいなのが嬉しいな」
「……あぁ」
魔王さん、口元を手で覆っても照れてニヤついてるのバレバレだよ?
「普段もおそろいの小物は多いけど、これなら一目で俺たちが仲良しだってわかるからいいね」
式典で同じ服を着ることはあったけど、あれは公的な意味合いが大きかったから……オフのおそろいはただの「仲良し」でしかないよね?
「そうだな」
「だから、早く次の場所行こう? いろんな人に仲良しの俺たちを見てもらいたい!」
実はさっきから、お店の周りにはたくさんの人が集まっていて、「うわ、同じ格好をされている! 仲良しで素敵!」「ライト様、あいかわらずおかわいらしい!」なんて声が聞こえる。
店の前に魔王さん用の馬車が停まっているんだから、集まっちゃって当然だよね。馬車と一定距離を空けてくれているのはみんなのマナーがいいのか、魔王さんの結界なのか……どっちでもいいか。
俺は見られることが好きだけど、そろそろお店の迷惑になっちゃうだろうし。
「あぁ。ローズウェル、次の場所へ」
「はい、承知致しました」
魔王さんが周囲に集まった国民のみんなに、きちんと視線を向けて軽く手を上げて応えてから馬車に乗り込む。
堂々としていてかっこいい。私服なのに気品と威厳がある!
じゃあ俺も。
「これから魔王さんとデートなんだ。いいでしょう? いってきます」
笑顔で手を振ると、周囲の人たちが一瞬息をのんで……
「……あ、あぁ、か、かわいい!」
「わざわざデート宣言していくなんて!」
「しかもあんなに楽しそうに!」
「自慢気なところがもう、もうぅ……ッ!」
「かっわいいいいいいいい!!!!!!」
国民のみんなの叫び声に近い歓声を聞きながら馬車に乗り込んだ。
俺、魔王さんを喜ばせるのも上手くなったけど、国民のみんなを喜ばせるのも上手くなったな。
433
お気に入りに追加
3,562
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった
なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。
ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
迷子の僕の異世界生活
クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。
通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。
その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。
冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。
神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。
2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる