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番外編1 ●●が怖い執事長の話
●●が好きな執事長の話
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「ローズウェル……大丈夫か?」
「はい」
射精をしても、コンドームの処理をしても、タオルで体を拭いて、きっちりと服を着こんでも、ソファに並んで座ったウオルタは私の体を抱きしめ、セックス中のように優しく……甘ったるい。
「ローズウェル 嬉しい。夢のようだ」
私とセックスができたことをこんなにも喜んでくれるのか。
頑張って良かったな。
気恥ずかしさはあるが、私も笑顔になって頷くと、ウオルタは一層笑みを深める。
「ローズウェルが、俺のことを好きだと言ってくれるなんて……もう、幸せで、幸せで……」
「あ……」
そっちか。
体を繋げられたことよりも……心の繋がりを、喜んでくれているのか……。
どうしよう、心臓がぎゅっとする。
「あ、いえ、あの。なかなか、言えなくてすみません」
「大丈夫だ。先ほども言ったが、それだけ時間をかけて真剣に考えて出してくれた真摯な答えなのだろう? そう思うと、嬉しい」
ウオルタの腕の力が強くなって、でも、背中を優しく撫でられて……今までは、「どこまで恋人らしいことができるか」というお試しのようなスキンシップだったが、これはもう、恋人のスキンシップなんだな。
そう思うと、もう慣れたはずのウオルタの腕が一層喜ばしかった。
私の気持ちに寄り添ってくれることが、嬉しくて嬉しくて……嬉しかった。
「そうですね。たくさん考えました。だけど……自分の気持ちはやっぱり、よく解らないんです」
「え?」
「その……いつのまに、貴方のことを愛していたのかは、解らないんです」
「あ……」
驚いたり喜んだり忙しい。
ウオルタも、私も。
それだけ相手の言葉や態度の一つ一つが愛しくて仕方が無いんだ。
「いつの間にか、自然と好きになってしまって、だから、ハッキリこれが愛だって気づくのに時間がかかりました。すみません」
「そんな、謝ることではない」
「それに、私、ずっと愛されることが怖かったんです。昔の……あれのせいで」
どうしても表情が強張るのだが……ウオルタが優しく、力強く抱きしめてくれる。
大丈夫だ。怖くない。
「でも……ウオルタがくれる愛は、怖くない。むしろ……嬉しい」
「ローズウェル……」
この腕も、名前を呼んでくれる声も。嬉しい。
「だから、私も同じようにウオルタを愛したい。まだ愛というものに気付いたばかりで上手くできないかもしれませんが、いずれは魔王様とライト様のように……いえ、きっとそれ以上に」
「魔王様たち以上か、大きく出たな」
気付いたばかりの癖に調子に乗りすぎたか?
でも、私の一番の目標であり、お手本なのはあのお二人なんだ。
「だが、ライバルとしてこれ以上ない。そうだな、魔王様たち以上に愛し合おう!」
私の大きな目標に、ウオルタも頷いてくれた。
同じ方向を向けることも、嬉しい。
「ウオルタ、改めて……よろしく」
「あぁ、よろしく。ローズウェル」
今まで何度ウオルタに「よろしく」と言っただろう。
切実な「よろしく」もワクワクする「よろしく」もあった。
でも、今日の「よろしく」は……今までで一番大きくて、ウオルタから言われる「よろしく」にも、しっかり応えようと思う、大事な大事な「よろしく」だった。
まだ、親友と恋人の明確な違いは解らない。
愛することも愛されることも慣れない。
でも……
今の私は、ライト様と同じようにきっぱり言える。
ウオルタが、ライト様と魔王様が教えてくれたから。
言える。
愛されることはもう怖くない。
私は、愛されることが好きだ。
「はい」
射精をしても、コンドームの処理をしても、タオルで体を拭いて、きっちりと服を着こんでも、ソファに並んで座ったウオルタは私の体を抱きしめ、セックス中のように優しく……甘ったるい。
「ローズウェル 嬉しい。夢のようだ」
私とセックスができたことをこんなにも喜んでくれるのか。
頑張って良かったな。
気恥ずかしさはあるが、私も笑顔になって頷くと、ウオルタは一層笑みを深める。
「ローズウェルが、俺のことを好きだと言ってくれるなんて……もう、幸せで、幸せで……」
「あ……」
そっちか。
体を繋げられたことよりも……心の繋がりを、喜んでくれているのか……。
どうしよう、心臓がぎゅっとする。
「あ、いえ、あの。なかなか、言えなくてすみません」
「大丈夫だ。先ほども言ったが、それだけ時間をかけて真剣に考えて出してくれた真摯な答えなのだろう? そう思うと、嬉しい」
ウオルタの腕の力が強くなって、でも、背中を優しく撫でられて……今までは、「どこまで恋人らしいことができるか」というお試しのようなスキンシップだったが、これはもう、恋人のスキンシップなんだな。
そう思うと、もう慣れたはずのウオルタの腕が一層喜ばしかった。
私の気持ちに寄り添ってくれることが、嬉しくて嬉しくて……嬉しかった。
「そうですね。たくさん考えました。だけど……自分の気持ちはやっぱり、よく解らないんです」
「え?」
「その……いつのまに、貴方のことを愛していたのかは、解らないんです」
「あ……」
驚いたり喜んだり忙しい。
ウオルタも、私も。
それだけ相手の言葉や態度の一つ一つが愛しくて仕方が無いんだ。
「いつの間にか、自然と好きになってしまって、だから、ハッキリこれが愛だって気づくのに時間がかかりました。すみません」
「そんな、謝ることではない」
「それに、私、ずっと愛されることが怖かったんです。昔の……あれのせいで」
どうしても表情が強張るのだが……ウオルタが優しく、力強く抱きしめてくれる。
大丈夫だ。怖くない。
「でも……ウオルタがくれる愛は、怖くない。むしろ……嬉しい」
「ローズウェル……」
この腕も、名前を呼んでくれる声も。嬉しい。
「だから、私も同じようにウオルタを愛したい。まだ愛というものに気付いたばかりで上手くできないかもしれませんが、いずれは魔王様とライト様のように……いえ、きっとそれ以上に」
「魔王様たち以上か、大きく出たな」
気付いたばかりの癖に調子に乗りすぎたか?
でも、私の一番の目標であり、お手本なのはあのお二人なんだ。
「だが、ライバルとしてこれ以上ない。そうだな、魔王様たち以上に愛し合おう!」
私の大きな目標に、ウオルタも頷いてくれた。
同じ方向を向けることも、嬉しい。
「ウオルタ、改めて……よろしく」
「あぁ、よろしく。ローズウェル」
今まで何度ウオルタに「よろしく」と言っただろう。
切実な「よろしく」もワクワクする「よろしく」もあった。
でも、今日の「よろしく」は……今までで一番大きくて、ウオルタから言われる「よろしく」にも、しっかり応えようと思う、大事な大事な「よろしく」だった。
まだ、親友と恋人の明確な違いは解らない。
愛することも愛されることも慣れない。
でも……
今の私は、ライト様と同じようにきっぱり言える。
ウオルタが、ライト様と魔王様が教えてくれたから。
言える。
愛されることはもう怖くない。
私は、愛されることが好きだ。
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