魔王さんのガチペット

回路メグル

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番外編1 ●●が怖い執事長の話

挑戦(6)

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「では、少し、深く……」
「んんっ!?」

 ウオルタが、少し強く腰を突き上げた瞬間、背中がゾクゾクして、頭がほんの一瞬だけ真っ白になった。

「うっ、締まっ……!」
「あ、んっ、あ?」

 え?
 これ、なんだ?
 射精のような……いや、ちがう……でも……これは……

「ここ、先ほどの場所か……」
「さきほど……?」

 さきほど……気持ち良かった、場所?

「あ。あ! あぁ!」

 理解すると、もう、体が素直に反応した。
 さっき、指で教えてもらった場所だ。
 気持ちの良い場所。
 受け入れる側が、気持ち良くなる場所。

「あ、こ、ここ、あ、あ、ウオルタ、あ!」

 きっと、昔の性行為でもここに当たることはあったはずなのに。
 潤滑油も無い乱暴な性行為で痛かったから?
 コンドームもなく、恐怖と嫌悪感で怯えていたから?
 きっと、感じる余裕も無かったし、体がとにかく拒否していたんだろうが……
 相手が変わっただけで、こんなに気持ちがいいのか!?

「はぁ……たまらない……ローズウェル……もっと、もっと良くなってくれ」
「あ、ぁっん、んっ!」

 中、ずっとそこだけ擦ってくれて、気持ちいい。
 ウオルタがあまりに嬉しそうで……気持ちいい。
 優しいから? 好きだから?
 わからない。
 いや、それよりも、それよりも……!

「あ、ウオルタ、あ、ん、あ、あっ!」

 とにかく気持ちいい。
 口から勝手に自分の声とは思えない色っぽい喘ぎ声が出る。

「ローズウェル、くっ、ローズウェル!」

 下から突き上げる動きが速くなる。
 圧迫感もあるが、一度気付いた快感は、もう、ずっと頭の大部分を占めていて、ただただ気持ちいい。
 ウオルタの顔も、少し険しいけど……気持ちよさそう。

「ウオルタ、あ、こ、これ……この、セックス……ウオルタとの、セックス……すき」
「あ……」

 ウオルタが驚いたような顔をして、その顔がどんどん、深く、蕩けそうな笑顔になる。
 その顔……初めてキスした日に、もっと見たいと思った顔だ……

「あぁ、俺も! 俺も、ローズウェルとセックスできることが、幸せで、嬉しくて、好きだ」
「ん、私も。好きな人と、好きって言いながらセックスできるの……幸せ……です」
「ローズウェル!」

 そこからはもう、二人ともただただセックスが楽しくて、幸せで、気持ち良かった。
 沢山キスをして、触れ合って、抱きしめ合って、

「すき、ウオルタ……ん、好き」
「あぁ、ローズウェル、俺も、好きだ……愛してる……ローズウェル」

 たくさん愛を囁いて……きもちよくて。心も、体も、すごく満たされて。
 すごく、気持ちいいから、もう……もう……!

「はぁ、すまない、もう……いきたい……」
「ん、あ、あ、私、も」

 ウオルタも?
 ウオルタももう?
 ちゃんと、私とのセックスで気持ち良くなってくれているのか。嬉しい。
 嬉しい。
 それも嬉しい!
 あ、腰、はやくなって……え?

「あ、あ、そ、そこ!?」

 ウオルタの右手がペニスを優しく……でも、性急な手つきで握り込む。
 今まで経験したセックスの相手は「イこうとする」だけだった。
 ウオルタは、私を「イかせよう」としてくれるのか。
 それだけでも嬉しいのに、ペニスへの物理的な刺激、そして、ウオルタの片手が離れたから、あ、腰、深く……!

「アァァ!」
「くっ……!」

 最後の衝撃は大きすぎてよく解らなかった。
 ペニス、アナル、そして精神的な気持ち良さ。全部が一気に押し寄せてきて……ただただすごかった。
 しかも……

「ローズウェル……うっ……ぐ!」

 ちゃんとコンドーム越しで、でも私の中で、ウオルタがイってくれたのが嬉しくて。
 目の前の顔が眉間にしわを寄せながらも気持ちよさそうで、蕩けそうで……私のことが大好きって顔で……。

 たまらない。
 悦びで体が震える。

 たった一回で、もう、愛する人とのセックスが大好きになってしまった。
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