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番外編1 ●●が怖い執事長の話
挑戦(3)
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なんとなく、セックスというのは夜に、ベッドで、正常位で行うものだと思っていた。
しかし、昼に、ソファで、ウオルタの膝の上に乗ってするセックスは、自然と受け入れられた。
「あ、ウオルタ!」
「ん、大丈夫だ……ローズウェル、ゆっくりする。一度止める。大丈夫だ」
怖いなと思った瞬間には、ウオルタの名前を呼んで、ウオルタと視線を合わせる。
そうすると、ウオルタはきちんと待ってくれる。
特に、アナルに指を入れるのは流石に怖くて体が強張ったが、ウオルタはきちんと待ってくれた。
無理やり、自分のペースを、欲望を押し付けるようなことはしなかった。
「ん……」
待ってくれている間、何度も優しくキスをしてくれて、体に触れてくれて、触れさせてくれて……そうするとすぐに身体の力が抜ける。
「ウオルタ……」
また名前を呼べば、ウオルタが嬉しそうに続きをしてくれる。
あぁ、いいな。
ウオルタ、いいな。
この気持ちは、もう、絶対に……
「あっ!?」
急に体が跳ねた。
中に指が埋まっても、二本に増えても、「ペニスより細くて圧迫感が無いし、体液が出るわけでもないので、怖くない」としか思わなかったのに。違和感はあるが嫌ではないだけだったのに。
「ん、ここか?」
「あ、え? あ、あ……!」
ペニスをぎゅっと握られるのに近いような……でも、もっと深い、よく解らない感覚が……?
これ、え?
もしかして……?
記憶の奥で、ライト様がイルズ様にお話ししていた言葉が浮かぶ。
――抱かれるのって、すっごく気持ちいいから……避けている人、勿体ないな
「……!」
ライト様の言葉と、今体で感じている未知の感覚が繋がった。
これ、そうか。
そうだ。
気持ちいいのか。
「大丈夫か? ローズウェル?」
「え? あ、えぇ、大丈夫です。あの、全然、大丈夫です」
急に固まった私を、ウオルタが心配そうに見つめていた。
指、ちゃんと止めてくれている。
優しい。
優しいから……。
「たぶん……気持ちいい……ので……大丈夫ですし、その……大丈夫です、よ?」
怖いと思うことが、一つずつ無くなっていく。
ライト様が背中を押してくれて、ウオルタが丁寧に向き合ってくれて……今なら、できる気がした。
それに……
「あ……い、いい、のか?」
「……はい」
「あ、や、や、やさしく、する!」
「おねがいします」
二人とも緊張して視線は泳ぐし体は強張っているが……顔を背けることも、密着した体を離すことも無く、ずっとお互いに向き合っていた。
◆
「ベッドへ、行くか? ここではその……こういう体勢だと、辛いかもしれないぞ?」
気遣いは嬉しいが、首を横に振った。
「いえ、ベッドはちょっと……。辛くて良いので、今日は、このままで……」
「そうか……解った。その、段取りが悪くて申し訳ないが、少し待っていてくれ」
「え? はい」
ウオルタが、私の体をソファにおろしてから、上半身裸のまま立ち上がった。
折角いいムードだったのに?
「すぐに戻る」
そう言って三階のウオルタの部屋に行って、すぐに戻って来たウオルタの手には……あぁ、そうか。
潤滑油とコンドームだ。
しかし、昼に、ソファで、ウオルタの膝の上に乗ってするセックスは、自然と受け入れられた。
「あ、ウオルタ!」
「ん、大丈夫だ……ローズウェル、ゆっくりする。一度止める。大丈夫だ」
怖いなと思った瞬間には、ウオルタの名前を呼んで、ウオルタと視線を合わせる。
そうすると、ウオルタはきちんと待ってくれる。
特に、アナルに指を入れるのは流石に怖くて体が強張ったが、ウオルタはきちんと待ってくれた。
無理やり、自分のペースを、欲望を押し付けるようなことはしなかった。
「ん……」
待ってくれている間、何度も優しくキスをしてくれて、体に触れてくれて、触れさせてくれて……そうするとすぐに身体の力が抜ける。
「ウオルタ……」
また名前を呼べば、ウオルタが嬉しそうに続きをしてくれる。
あぁ、いいな。
ウオルタ、いいな。
この気持ちは、もう、絶対に……
「あっ!?」
急に体が跳ねた。
中に指が埋まっても、二本に増えても、「ペニスより細くて圧迫感が無いし、体液が出るわけでもないので、怖くない」としか思わなかったのに。違和感はあるが嫌ではないだけだったのに。
「ん、ここか?」
「あ、え? あ、あ……!」
ペニスをぎゅっと握られるのに近いような……でも、もっと深い、よく解らない感覚が……?
これ、え?
もしかして……?
記憶の奥で、ライト様がイルズ様にお話ししていた言葉が浮かぶ。
――抱かれるのって、すっごく気持ちいいから……避けている人、勿体ないな
「……!」
ライト様の言葉と、今体で感じている未知の感覚が繋がった。
これ、そうか。
そうだ。
気持ちいいのか。
「大丈夫か? ローズウェル?」
「え? あ、えぇ、大丈夫です。あの、全然、大丈夫です」
急に固まった私を、ウオルタが心配そうに見つめていた。
指、ちゃんと止めてくれている。
優しい。
優しいから……。
「たぶん……気持ちいい……ので……大丈夫ですし、その……大丈夫です、よ?」
怖いと思うことが、一つずつ無くなっていく。
ライト様が背中を押してくれて、ウオルタが丁寧に向き合ってくれて……今なら、できる気がした。
それに……
「あ……い、いい、のか?」
「……はい」
「あ、や、や、やさしく、する!」
「おねがいします」
二人とも緊張して視線は泳ぐし体は強張っているが……顔を背けることも、密着した体を離すことも無く、ずっとお互いに向き合っていた。
◆
「ベッドへ、行くか? ここではその……こういう体勢だと、辛いかもしれないぞ?」
気遣いは嬉しいが、首を横に振った。
「いえ、ベッドはちょっと……。辛くて良いので、今日は、このままで……」
「そうか……解った。その、段取りが悪くて申し訳ないが、少し待っていてくれ」
「え? はい」
ウオルタが、私の体をソファにおろしてから、上半身裸のまま立ち上がった。
折角いいムードだったのに?
「すぐに戻る」
そう言って三階のウオルタの部屋に行って、すぐに戻って来たウオルタの手には……あぁ、そうか。
潤滑油とコンドームだ。
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