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番外編1 ●●が怖い執事長の話
真実(4)
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「ウオルタもしばらくは悩んだらしいが……。同じような兵士を何人も見て、一〇人を超えたところで、ウオルタが一番様と俺のところに、相談に来たんだ」
え?
「どちらかに助けて欲しいと。ローズウェルは立派だが、一人に背負わせることではないと。そして……本当は自分で助けたいが、自分だって明日死ぬかもしれないし、騎士の中でもまだ一番若く、ローズウェルの助けになれるかどうかわからなくて悔しいと」
そんなこと……聞いていない。
知らない。
一番様は、何もおっしゃっていなかった。
もちろん、ウオルタも。
「そこで俺は一瞬考えてしまったが、一番様は迷うことなく了承した。そして、ローズウェルを一番様の専属の性処理担当ということにして他の者が手を出せないようにしたんだ」
「へぇ。一番様も良い方だ。でも、本当に手を出したんじゃないんだよね?」
「当然だ。俺たちに頼み込んできたウオルタは『愛しい愛しい初恋の相手なんです。大事な方なんです。しかし、歪んだ愛を受け続けて、愛されることが怖くなっている。これを伝えても、怖がらせるだけなんです』と涙を流しながら訴えかけてきたからな。手を出すわけにはいかないだろう」
ウオルタ……?
あの、真面目だが鈍感な男が……そこまで理解してくれていたのか……?
一番様が恩人なことには変わらない。
だが……本当に感謝しないといけない相手は……ウオルタだったのか?
「へぇ。その時点でもう、騎士団長さんってローズウェルさんが大好きだったんだ?」
「あぁ。あまりに長々と熱弁していたので断片的にしか覚えていないが……決死の覚悟を受け入れてやる包容力、でも、心は開かない気高さに惚れたと言っていた。そして、いつも勤勉なところ、向上心や野心、誰よりも努力家で常に新しい物を知りたいと思う探求心……あとなんだったか……仕事ができる所や手先の器用さも褒めていたな。字のキレイさも。それから……表情豊かなところ、どんな場所でも堂々としているところ……」
なっ……!?
そこまで……魔王様に長々と惚気るほど……!?
しかも、こんなに大きな気持ちを三〇〇年隠してきたのか?
いや、今はもう、気持ちが変わっているのかもしれない。
「外見は?」
「外見か……当時はあまり言っていなかったが、最近、騎士団との鍛錬の休憩時間によく若手に惚気ているな。いつも手入れを怠らず、爪の先まで整えられて美しいと。努力を感じると。俺は毎日あんなにできないから尊敬すると。三〇〇年も経つのに初々しいかわいいカップルで……そうだな。ライトも俺も、手本にすべき部分がありそうだ」
今も……なのか?
信じられない。
私は、ウオルタに愛されているということ……か?
しかし、「愛される」と言うのは……。
「ね。三〇〇年後もラブラブでいようね? 魔王さん」
「あぁ、もちろんだ。死ぬまでラブラブだ……っと、そろそろ仕事に戻らないといけないな。邪魔して悪かった」
魔王様がライト様とお揃いの腕時計をチラっと確認する。
そうだ。お仕事中だった。
本来なら、ご負担を減らすための補給をして頂くべきところなのに。執事失格だ。
「魔王さんこそ、休憩時間にごめんね? お茶のかわりにチューする?」
「いいのか!?」
ソファから飛び上がるような勢いで、魔王様がライト様の体を抱き寄せる。
唇が近づいて……これ、私は観ていていいのか?
あぁ、でも……。
「ん、んっ……ん、ふふっ。今日はいつもより一回多くキスできたね。良い日だな」
「あぁ。ライトと一緒だと毎日良い日だ。では、行ってくる」
「いってらっしゃい」
少し深いキスをされてから、魔王様はソファから立ち上がり、部屋を後にした。
かわいいなぁ
楽しそうだなぁ……。
あぁ。
いいな。
ライト様を見ていると、愛されることが楽しそうに見える。
え?
「どちらかに助けて欲しいと。ローズウェルは立派だが、一人に背負わせることではないと。そして……本当は自分で助けたいが、自分だって明日死ぬかもしれないし、騎士の中でもまだ一番若く、ローズウェルの助けになれるかどうかわからなくて悔しいと」
そんなこと……聞いていない。
知らない。
一番様は、何もおっしゃっていなかった。
もちろん、ウオルタも。
「そこで俺は一瞬考えてしまったが、一番様は迷うことなく了承した。そして、ローズウェルを一番様の専属の性処理担当ということにして他の者が手を出せないようにしたんだ」
「へぇ。一番様も良い方だ。でも、本当に手を出したんじゃないんだよね?」
「当然だ。俺たちに頼み込んできたウオルタは『愛しい愛しい初恋の相手なんです。大事な方なんです。しかし、歪んだ愛を受け続けて、愛されることが怖くなっている。これを伝えても、怖がらせるだけなんです』と涙を流しながら訴えかけてきたからな。手を出すわけにはいかないだろう」
ウオルタ……?
あの、真面目だが鈍感な男が……そこまで理解してくれていたのか……?
一番様が恩人なことには変わらない。
だが……本当に感謝しないといけない相手は……ウオルタだったのか?
「へぇ。その時点でもう、騎士団長さんってローズウェルさんが大好きだったんだ?」
「あぁ。あまりに長々と熱弁していたので断片的にしか覚えていないが……決死の覚悟を受け入れてやる包容力、でも、心は開かない気高さに惚れたと言っていた。そして、いつも勤勉なところ、向上心や野心、誰よりも努力家で常に新しい物を知りたいと思う探求心……あとなんだったか……仕事ができる所や手先の器用さも褒めていたな。字のキレイさも。それから……表情豊かなところ、どんな場所でも堂々としているところ……」
なっ……!?
そこまで……魔王様に長々と惚気るほど……!?
しかも、こんなに大きな気持ちを三〇〇年隠してきたのか?
いや、今はもう、気持ちが変わっているのかもしれない。
「外見は?」
「外見か……当時はあまり言っていなかったが、最近、騎士団との鍛錬の休憩時間によく若手に惚気ているな。いつも手入れを怠らず、爪の先まで整えられて美しいと。努力を感じると。俺は毎日あんなにできないから尊敬すると。三〇〇年も経つのに初々しいかわいいカップルで……そうだな。ライトも俺も、手本にすべき部分がありそうだ」
今も……なのか?
信じられない。
私は、ウオルタに愛されているということ……か?
しかし、「愛される」と言うのは……。
「ね。三〇〇年後もラブラブでいようね? 魔王さん」
「あぁ、もちろんだ。死ぬまでラブラブだ……っと、そろそろ仕事に戻らないといけないな。邪魔して悪かった」
魔王様がライト様とお揃いの腕時計をチラっと確認する。
そうだ。お仕事中だった。
本来なら、ご負担を減らすための補給をして頂くべきところなのに。執事失格だ。
「魔王さんこそ、休憩時間にごめんね? お茶のかわりにチューする?」
「いいのか!?」
ソファから飛び上がるような勢いで、魔王様がライト様の体を抱き寄せる。
唇が近づいて……これ、私は観ていていいのか?
あぁ、でも……。
「ん、んっ……ん、ふふっ。今日はいつもより一回多くキスできたね。良い日だな」
「あぁ。ライトと一緒だと毎日良い日だ。では、行ってくる」
「いってらっしゃい」
少し深いキスをされてから、魔王様はソファから立ち上がり、部屋を後にした。
かわいいなぁ
楽しそうだなぁ……。
あぁ。
いいな。
ライト様を見ていると、愛されることが楽しそうに見える。
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