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番外編1 ●●が怖い執事長の話
作戦(1)
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色々な衝撃を受けたエルフの国観光の後も、更に色々な衝撃的なことがあった。
ライト様が元の世界に一週間だけ戻られたり、異世界からのお土産を頂いたり、売店でライト様関連の商品を販売したり、主要新聞にてライト様の連載が始まったり……。
どれも「ライト様すごい」の一言で済んでしまう出来事ではあるが、本当に日々驚きと喜びばかりがどんどんやってくる。
だから……エルフの国で聞いてしまった衝撃的なことも、どんどん頭の片隅に追いやっていた。
忙しいし。
楽しいし。
考えても、どうせ解らないし。
解らないことには蓋をして、目の前のライト様との日々を楽しもう。
そう思うようにしていた、ライト様がこの城に来られて三年が過ぎたある日、城宛に一通の手紙が届いた。
エルフの国の王室から「ライト様に、国王の退位および新国王の即位式へ出席していただきたい」という手紙だった。
◆
エルフの国の国王の退位式や即位式に外国の王室関係者が呼ばれるなんて異例なことだ。
人間で、ペットというお立場だからできたことだろう。
あぁ、ライト様のお陰で一層国の関係が深まる!
ライト様天才……!
お優しいライト様は、お友だちのイルズ様が心配と言うこともあって、出席には前向きだが……一つ問題がある。
魔王様だ。
今回の式典、外国の王である魔王様を呼ぶとなると、他の王たちも呼ばないと均衡が崩れる。
だから、魔王様は呼ばずにライト様だけにお声がけを頂いているのだが……。
「俺が行くって言ったら魔王さん嫌がるかな?」
「式典と前後の晩餐会などを考えると……一週間は向こうに行くことになるようです。少し、渋い顔をされるかもしれませんね」
魔王様はライト様を大変大切に思っていらっしゃる。
ライト様が元の世界へ里帰りをしている間も、とても寂しそうで、とても仕事の手が止まり、とても食欲が落ちてしまわれた。
ライト様の部屋の枕が、なぜか魔王様の御部屋にあったこともあるので、寂しくてライト様の枕を抱えてお休みになられていたようだ。なんと微笑ましい……いや、お可哀想だったか。
できることなら、お二人には常に一緒にいて頂きたい。
しかし、今回の式典は二国間の関係においての歴史の転換点となるかもしれない。
「俺は行きたい」
「城としても、行って頂きたいです」
ライト様と、真剣な顔で頷き合った。
「ちょっと、作戦たてようか」
「はい」
◆
「じゃあ、そんな感じでまずは真摯に相談して、ダメなら三日後に届くお風呂でサービスしつつ……俺が頑張るよ」
「承知致しました」
作戦と言っても私の出る幕はあまりないし、おそらく、ライト様の手腕でどうにかできるだろう。
このたった三年で、ライト様は魔王様の心を掴みきって、理解しきっているのだから。
「後は……付き添い、二人までか。今回は長いし、イレギュラーなことも多そうだし、できればローズウェルさんには来て欲しいんだよね」
「もちろん、お供します」
ライト様の御世話やフォローだけでなく、政治的な判断も必要になるかもしれない。
普段から魔王様の補佐で各国との連絡を請け負っている立場の私が行くのは当然だ。
それに……その……魔族は誰も見たことがない、特別な式典が見られるし……。
「もう一人は……魔王さん、誰なら安心するかな?」
ライト様の言葉を聞いて、一番に思い浮かんだのはウオルタの顔だ。
行きたがっていたな、と。
公私混同はよくないが……いや、冷静に考えてもウオルタだろう。
「騎士団長に頼みましょう。この国で一番強いのは騎士団長です。魔王様の信頼も厚いので安心感があるのではないでしょうか?」
「騎士団長さんか……」
ライト様が手紙をじっと眺めつつ、少し考え込む。
……ウオルタはお嫌か……まぁ、仕方がないな。
初対面の時にライト様に対して無礼な態度をとっていたし、その後、お詫びはしてはいたが……悪い印象がぬぐい切れているとは思えない。
ウオルタはウオルタで、魔王様のことを一生懸命考えてのことだし、力が強すぎてか弱い人間に対して上手く接することができないからなのだが……。
「ローズウェルさん、大丈夫?」
「え?」
私の、心配を?
ライト様が元の世界に一週間だけ戻られたり、異世界からのお土産を頂いたり、売店でライト様関連の商品を販売したり、主要新聞にてライト様の連載が始まったり……。
どれも「ライト様すごい」の一言で済んでしまう出来事ではあるが、本当に日々驚きと喜びばかりがどんどんやってくる。
だから……エルフの国で聞いてしまった衝撃的なことも、どんどん頭の片隅に追いやっていた。
忙しいし。
楽しいし。
考えても、どうせ解らないし。
解らないことには蓋をして、目の前のライト様との日々を楽しもう。
そう思うようにしていた、ライト様がこの城に来られて三年が過ぎたある日、城宛に一通の手紙が届いた。
エルフの国の王室から「ライト様に、国王の退位および新国王の即位式へ出席していただきたい」という手紙だった。
◆
エルフの国の国王の退位式や即位式に外国の王室関係者が呼ばれるなんて異例なことだ。
人間で、ペットというお立場だからできたことだろう。
あぁ、ライト様のお陰で一層国の関係が深まる!
ライト様天才……!
お優しいライト様は、お友だちのイルズ様が心配と言うこともあって、出席には前向きだが……一つ問題がある。
魔王様だ。
今回の式典、外国の王である魔王様を呼ぶとなると、他の王たちも呼ばないと均衡が崩れる。
だから、魔王様は呼ばずにライト様だけにお声がけを頂いているのだが……。
「俺が行くって言ったら魔王さん嫌がるかな?」
「式典と前後の晩餐会などを考えると……一週間は向こうに行くことになるようです。少し、渋い顔をされるかもしれませんね」
魔王様はライト様を大変大切に思っていらっしゃる。
ライト様が元の世界へ里帰りをしている間も、とても寂しそうで、とても仕事の手が止まり、とても食欲が落ちてしまわれた。
ライト様の部屋の枕が、なぜか魔王様の御部屋にあったこともあるので、寂しくてライト様の枕を抱えてお休みになられていたようだ。なんと微笑ましい……いや、お可哀想だったか。
できることなら、お二人には常に一緒にいて頂きたい。
しかし、今回の式典は二国間の関係においての歴史の転換点となるかもしれない。
「俺は行きたい」
「城としても、行って頂きたいです」
ライト様と、真剣な顔で頷き合った。
「ちょっと、作戦たてようか」
「はい」
◆
「じゃあ、そんな感じでまずは真摯に相談して、ダメなら三日後に届くお風呂でサービスしつつ……俺が頑張るよ」
「承知致しました」
作戦と言っても私の出る幕はあまりないし、おそらく、ライト様の手腕でどうにかできるだろう。
このたった三年で、ライト様は魔王様の心を掴みきって、理解しきっているのだから。
「後は……付き添い、二人までか。今回は長いし、イレギュラーなことも多そうだし、できればローズウェルさんには来て欲しいんだよね」
「もちろん、お供します」
ライト様の御世話やフォローだけでなく、政治的な判断も必要になるかもしれない。
普段から魔王様の補佐で各国との連絡を請け負っている立場の私が行くのは当然だ。
それに……その……魔族は誰も見たことがない、特別な式典が見られるし……。
「もう一人は……魔王さん、誰なら安心するかな?」
ライト様の言葉を聞いて、一番に思い浮かんだのはウオルタの顔だ。
行きたがっていたな、と。
公私混同はよくないが……いや、冷静に考えてもウオルタだろう。
「騎士団長に頼みましょう。この国で一番強いのは騎士団長です。魔王様の信頼も厚いので安心感があるのではないでしょうか?」
「騎士団長さんか……」
ライト様が手紙をじっと眺めつつ、少し考え込む。
……ウオルタはお嫌か……まぁ、仕方がないな。
初対面の時にライト様に対して無礼な態度をとっていたし、その後、お詫びはしてはいたが……悪い印象がぬぐい切れているとは思えない。
ウオルタはウオルタで、魔王様のことを一生懸命考えてのことだし、力が強すぎてか弱い人間に対して上手く接することができないからなのだが……。
「ローズウェルさん、大丈夫?」
「え?」
私の、心配を?
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