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第7章 その後の二人 / 魔力切れと覚悟の話
翌日(1)
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魔王さんと再会した翌朝。
「ん……?」
俺が目を覚ますと、魔王さんの腕の中だった。
……二人とも裸のままで。
「まだ寝ていてもいいんだぞ?」
あ、魔王さん起きてる。
「ん……んー……?」
全身がだるくてちょっと時間はかかったけど……自分がずっと会いたかった魔王さんの腕の中にいるんだと思うと、魔王さんはもう起きているんだと思うと、がんばって覚醒した。
「……魔王さん、おはよう」
「あぁ。おはよう……ただいま、ライト」
魔王さんが優しく、俺の後頭部を撫でながら笑顔を向けてくれる。
「あ……お帰り、魔王さん」
昨夜言ったかな? 言わずに体求めちゃった?
そんな記憶もないくらい、昨夜は必死だった。
うわ……思い返すと俺、ものすごくはしたないことしたんじゃ……?
俺が少し戸惑っていると、魔王さんはまるでセックスの途中のような蕩けそうな笑顔を向けてくれた。
「言いたいことも、謝らないといけないことも、沢山あるんだが……昨夜は、とてもかわいかった」
「……!」
俺も、言いたいことがたくさんあるし、言われるだろうことも予想がついたけど……一番言われて嬉しいこと言ってくれるんだ!
「変じゃなかった?」
「かわいかった。とても。とてもかわいかった!」
俺の言葉に間を置かず、きっぱりと言ってくれるのが嬉しい。
そうか。俺、かわいかったんだ。
「俺のことをあんなに必死に求めてくれるなんて……かわいくて、元々ライトのことは世界一大好きでライトとのセックスはこの世の何よりも幸せな行為だと思っていたが……昨夜は、すごかった」
本当に楽しそうに魔王さんがまくしたてる。
そんなに?
魔王さんからセックスの感想をこんなに聞けるの、初めてじゃない?
「ふふっ、魔王さんが楽しかったなら、俺も嬉しい」
魔王さんの体にぎゅっと抱き着いて擦り寄ると、魔王さんも俺の頭に頬をくっつけて愛おしそうに抱きしめてくれた。
はぁ……久しぶりの魔王さんの腕の中、最高……。
落ち着く。幸せ。
「んー……」
昨夜セックスしていっぱいくっついたけど、それとは違う、体の奥からじんわりと温かくなるような心地よさを堪能していると、不意に魔王さんが腕の力を緩めてしまう。
「……しかし、ライトには苦しい思いをさせた。昨夜のセックスも、俺は浮かれてしまったが、ライトは体内の俺の魔力が枯渇して必死だったのだろう? そんな状況なのに、不謹慎にもライトが求めてくれて嬉しいと、かわいいと思ってしまった。すまない」
「うーん……」
まぁ、俺が余裕ないくらい魔王さんを求めてしまった原因は、確かにそうだけど……。
「俺が魔力切れになってしまった時も苦しかっただろう? すまない。折角ライトが俺の専属になってくれたのに。辛い思いをさせて不甲斐ない」
「そうだね。しんどかったのは……うん。しんどかった」
正直に言うと、魔王さんはかなり思いつめた顔で、俺を見つめる。
「俺は、世界一大事なライトのことは自分の命に代えても守りたいと思う。しかし、魔王としての責務は放棄できない。これからも、なるべくライトに苦しい思いをさせないようにとは思うが……同じようなことが絶対に無いとは言い切れない」
「うん。魔王さんのそういう正直で責任感あるところ、大好き」
根拠もなく「絶対に大丈夫」って言われるより良いし、国民全員ほったらかしで俺だけ守られても嫌だし。
しんどかったけど、魔王さんが心配だからなるべく魔力切れにはならないで欲しいけど……まぁ、仕方ないって思ってる。
俺が笑顔で返事をしたのに、魔王さんはなぜか申し訳なさそうに顔を歪ませる。
「……辛ければ、専属化を解除しても良いんだぞ」
「は?」
解除?
何言ってるの?
……いや、頭では解っているよ?
魔王さん、俺が辛いのが嫌で、俺のことを心配して言ってくれているって。
でもさぁ……。
「最悪。なんでそんなこと言うの?」
「え? ライト?」
「ん……?」
俺が目を覚ますと、魔王さんの腕の中だった。
……二人とも裸のままで。
「まだ寝ていてもいいんだぞ?」
あ、魔王さん起きてる。
「ん……んー……?」
全身がだるくてちょっと時間はかかったけど……自分がずっと会いたかった魔王さんの腕の中にいるんだと思うと、魔王さんはもう起きているんだと思うと、がんばって覚醒した。
「……魔王さん、おはよう」
「あぁ。おはよう……ただいま、ライト」
魔王さんが優しく、俺の後頭部を撫でながら笑顔を向けてくれる。
「あ……お帰り、魔王さん」
昨夜言ったかな? 言わずに体求めちゃった?
そんな記憶もないくらい、昨夜は必死だった。
うわ……思い返すと俺、ものすごくはしたないことしたんじゃ……?
俺が少し戸惑っていると、魔王さんはまるでセックスの途中のような蕩けそうな笑顔を向けてくれた。
「言いたいことも、謝らないといけないことも、沢山あるんだが……昨夜は、とてもかわいかった」
「……!」
俺も、言いたいことがたくさんあるし、言われるだろうことも予想がついたけど……一番言われて嬉しいこと言ってくれるんだ!
「変じゃなかった?」
「かわいかった。とても。とてもかわいかった!」
俺の言葉に間を置かず、きっぱりと言ってくれるのが嬉しい。
そうか。俺、かわいかったんだ。
「俺のことをあんなに必死に求めてくれるなんて……かわいくて、元々ライトのことは世界一大好きでライトとのセックスはこの世の何よりも幸せな行為だと思っていたが……昨夜は、すごかった」
本当に楽しそうに魔王さんがまくしたてる。
そんなに?
魔王さんからセックスの感想をこんなに聞けるの、初めてじゃない?
「ふふっ、魔王さんが楽しかったなら、俺も嬉しい」
魔王さんの体にぎゅっと抱き着いて擦り寄ると、魔王さんも俺の頭に頬をくっつけて愛おしそうに抱きしめてくれた。
はぁ……久しぶりの魔王さんの腕の中、最高……。
落ち着く。幸せ。
「んー……」
昨夜セックスしていっぱいくっついたけど、それとは違う、体の奥からじんわりと温かくなるような心地よさを堪能していると、不意に魔王さんが腕の力を緩めてしまう。
「……しかし、ライトには苦しい思いをさせた。昨夜のセックスも、俺は浮かれてしまったが、ライトは体内の俺の魔力が枯渇して必死だったのだろう? そんな状況なのに、不謹慎にもライトが求めてくれて嬉しいと、かわいいと思ってしまった。すまない」
「うーん……」
まぁ、俺が余裕ないくらい魔王さんを求めてしまった原因は、確かにそうだけど……。
「俺が魔力切れになってしまった時も苦しかっただろう? すまない。折角ライトが俺の専属になってくれたのに。辛い思いをさせて不甲斐ない」
「そうだね。しんどかったのは……うん。しんどかった」
正直に言うと、魔王さんはかなり思いつめた顔で、俺を見つめる。
「俺は、世界一大事なライトのことは自分の命に代えても守りたいと思う。しかし、魔王としての責務は放棄できない。これからも、なるべくライトに苦しい思いをさせないようにとは思うが……同じようなことが絶対に無いとは言い切れない」
「うん。魔王さんのそういう正直で責任感あるところ、大好き」
根拠もなく「絶対に大丈夫」って言われるより良いし、国民全員ほったらかしで俺だけ守られても嫌だし。
しんどかったけど、魔王さんが心配だからなるべく魔力切れにはならないで欲しいけど……まぁ、仕方ないって思ってる。
俺が笑顔で返事をしたのに、魔王さんはなぜか申し訳なさそうに顔を歪ませる。
「……辛ければ、専属化を解除しても良いんだぞ」
「は?」
解除?
何言ってるの?
……いや、頭では解っているよ?
魔王さん、俺が辛いのが嫌で、俺のことを心配して言ってくれているって。
でもさぁ……。
「最悪。なんでそんなこと言うの?」
「え? ライト?」
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