186 / 409
第7章 その後の二人 / 魔力切れと覚悟の話
22~24日
しおりを挟む
魔王さんが遠征に出かけて二二日目。
やっぱり体は元気なのに、頭の中はずっと魔王さんでいっぱいだ。
魔王さんでいっぱい。でも、魔王さんが足りなくてぽっかり穴が空いているような……おかしな気分だ。
ぼーっとする。
いつものルーティンさえやる気が起きなくて、かなり気合を入れて、なんとか一つずつこなしていく。
食事すらそう。
ローズウェルさんから料理長さんにお願いしてもらって、三食ほぼスムージーとスープ。
筋トレも、一応形にはなっているけど、きちんと力が入っていない。
ほぼ意味がない。
「魔王さん……」
一〇分に一回はため息とともに呟いてしまう。
欲しい。
魔王さん、欲しい。
エッチしたい。
ホスト時代に媚薬と言うか興奮剤を飲まされた時に似ている気もするけど、あれは「出したい」だった。
今は違う。魔王さんが欲しい。
魔王さんの体液が欲しい。
だから、エッチしたい。
すごくエッチしたい。
でも、この「エッチしたい」は、オナニーすれば治まるものではない。
俺が出しても意味がない。
欲しい。
「魔王さん……」
魔王さんの魔力切れは疲労感で、体の辛さがあったけど、今は……これ、なんだろう。
俺に注いでもらっている魔力の枯渇は……体に魔力が足りないのか、心に魔力が足りないのか、よくわからない。
どっちも?
とにかく欲しい。
魔王さんのことしか考えられない。
魔王さん。
魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん。
◆
魔王さんが遠征に出かけて二三日。
じっと耐えるしかない。
「魔王さん……魔王さん……」
時々ローズウェルさんやリリリさんが心配そうに様子を見に来てくれるけど……
「か、かわいそうなのに、かわいい……あんなに魔王様を求めて……かわいい……かわいそうなのに、すみません……かわいい、うぅ」
毎回謝られてしまって、俺の方が申し訳ない。
ただでさえ、魔王さんが欲しくてつらいのに……つらい……。
なるべく布団をかぶって引きこもった。
◆
魔王さんが遠征に出かけて二四日目。
「ライト様! 魔王様が夜までにはお戻りになるとのことです!」
朝食のスムージーをベッドに運んでくれたローズウェルさんの言葉に、脳内の何かが弾けたように飛び起きる。
「本当!?」
「うっ、かわいい……はい。昨夜で作業が終わったそうで、午前中に後処理をして、午後から城に戻るための異動魔法の用意をするとのことです」
「やっと……やっと、魔王さんに会えるんだ……」
嬉しすぎて、唇が震える。
だって、魔王さんに会えるんだよ?
魔王さんだよ?
俺が、今一番会いたい、抱きしめてもらいたい……エッチしたい、魔王さん!
「魔王様も、ライト様にとても会いたがっていると思います。どうぞ、お出迎えの準備をして、お待ちください」
「え? ……あ」
お出迎えの準備……そうか。
魔王さんが帰ってくると解ると、大きな高揚感と大きな安心感で……興奮もしたけど、少し頭が落ち着いた。
ここ数日ボロボロだったり引きこもっていたりで、全然自分に構えていない。
ローズウェルさんもリリリさんも、俺を「かわいい!」と言ってくれるけど、これは容姿のかわいさではなく「ご主人様がいなくて寂しがっているペットかわいいなぁ」というキュン的なかわいさだ。
ちゃんとしないと……
やっぱり体は元気なのに、頭の中はずっと魔王さんでいっぱいだ。
魔王さんでいっぱい。でも、魔王さんが足りなくてぽっかり穴が空いているような……おかしな気分だ。
ぼーっとする。
いつものルーティンさえやる気が起きなくて、かなり気合を入れて、なんとか一つずつこなしていく。
食事すらそう。
ローズウェルさんから料理長さんにお願いしてもらって、三食ほぼスムージーとスープ。
筋トレも、一応形にはなっているけど、きちんと力が入っていない。
ほぼ意味がない。
「魔王さん……」
一〇分に一回はため息とともに呟いてしまう。
欲しい。
魔王さん、欲しい。
エッチしたい。
ホスト時代に媚薬と言うか興奮剤を飲まされた時に似ている気もするけど、あれは「出したい」だった。
今は違う。魔王さんが欲しい。
魔王さんの体液が欲しい。
だから、エッチしたい。
すごくエッチしたい。
でも、この「エッチしたい」は、オナニーすれば治まるものではない。
俺が出しても意味がない。
欲しい。
「魔王さん……」
魔王さんの魔力切れは疲労感で、体の辛さがあったけど、今は……これ、なんだろう。
俺に注いでもらっている魔力の枯渇は……体に魔力が足りないのか、心に魔力が足りないのか、よくわからない。
どっちも?
とにかく欲しい。
魔王さんのことしか考えられない。
魔王さん。
魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん、魔王さん。
◆
魔王さんが遠征に出かけて二三日。
じっと耐えるしかない。
「魔王さん……魔王さん……」
時々ローズウェルさんやリリリさんが心配そうに様子を見に来てくれるけど……
「か、かわいそうなのに、かわいい……あんなに魔王様を求めて……かわいい……かわいそうなのに、すみません……かわいい、うぅ」
毎回謝られてしまって、俺の方が申し訳ない。
ただでさえ、魔王さんが欲しくてつらいのに……つらい……。
なるべく布団をかぶって引きこもった。
◆
魔王さんが遠征に出かけて二四日目。
「ライト様! 魔王様が夜までにはお戻りになるとのことです!」
朝食のスムージーをベッドに運んでくれたローズウェルさんの言葉に、脳内の何かが弾けたように飛び起きる。
「本当!?」
「うっ、かわいい……はい。昨夜で作業が終わったそうで、午前中に後処理をして、午後から城に戻るための異動魔法の用意をするとのことです」
「やっと……やっと、魔王さんに会えるんだ……」
嬉しすぎて、唇が震える。
だって、魔王さんに会えるんだよ?
魔王さんだよ?
俺が、今一番会いたい、抱きしめてもらいたい……エッチしたい、魔王さん!
「魔王様も、ライト様にとても会いたがっていると思います。どうぞ、お出迎えの準備をして、お待ちください」
「え? ……あ」
お出迎えの準備……そうか。
魔王さんが帰ってくると解ると、大きな高揚感と大きな安心感で……興奮もしたけど、少し頭が落ち着いた。
ここ数日ボロボロだったり引きこもっていたりで、全然自分に構えていない。
ローズウェルさんもリリリさんも、俺を「かわいい!」と言ってくれるけど、これは容姿のかわいさではなく「ご主人様がいなくて寂しがっているペットかわいいなぁ」というキュン的なかわいさだ。
ちゃんとしないと……
174
お気に入りに追加
3,624
あなたにおすすめの小説
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
コンビニごと異世界転生したフリーター、魔法学園で今日もみんなに溺愛されます
はるはう
BL
コンビニで働く渚は、ある日バイト中に奇妙なめまいに襲われる。
睡眠不足か?そう思い仕事を続けていると、さらに奇妙なことに、品出しを終えたはずの唐揚げ弁当が増えているのである。
驚いた渚は慌ててコンビニの外へ駆け出すと、そこはなんと異世界の魔法学園だった!
そしてコンビニごと異世界へ転生してしまった渚は、知らぬ間に魔法学園のコンビニ店員として働くことになってしまい・・・
フリーター男子は今日もイケメンたちに甘やかされ、異世界でもバイト三昧の日々です!
男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・不定期
僕だけの番
五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。
その中の獣人族にだけ存在する番。
でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。
僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。
それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。
出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。
そのうえ、彼には恋人もいて……。
後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる