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第6章 二人の話
第140話 反応
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俺のことを特集してもらった翌日の新聞には……
「有識者談:ライト様を便利に使うようで申し訳ないが、ライト様のお陰で、他国との国交が活性化しているのは事実。特に長年緊張関係にある隣国、最低限の交流しかなかったエルフの国との橋渡しとなった功績は大きく、この交流はライト様がいなくなっても続くものであるかは疑問だ。ライト様頼りの国交から抜け出すまでの時間は、ライト様の寿命では短い」
これはファイさんに寄稿してもらった。
更に翌日の新聞には……
「先月までの一年間の外貨獲得数は前年比約一四〇パーセント。このうち三〇パーセントはライト様関連となっています」
俺のお菓子を扱っているところに働きかけてもらって、国内の商工ギルドにデータを出してもらった。
更に翌日の新聞には……
「私たちは一七〇年前に眷属化をしました。それに後悔はなく、とても幸せな日々を過ごしています。しかし、眷属化と言うと印象が悪く、ペットがどれだけ幸せでも周囲の理解を得られなくて……」
これはエンラキさんからの提案で、すでに眷属化している人が俺の記事に喜んで「ぜひ寄稿させて欲しい」ということだった。
更に翌日の新聞には……
「同意のある眷属化の新呼称『専属化』推進に対する世論調査結果:
賛成八二パーセント
反対五パーセント
どちらでもない一〇パーセント
わからない三パーセント
(我が国に籍のある成人魔族男女一〇〇〇名に手紙でのアンケートを実施、無回答一六通を除く)。
主な賛成意見としては
『魔王様がライト様をとても大事にされているから』
『ライト様がかわいいから』
『ライト様のお陰でうちの店の売り上げが上がりました!』
『国際関係の発展のため』
『他国が発展的な考えをしているのに負けたくない』
『眷属化は良くないことと聞いていたけど、悪用する奴が悪いだけだったと解った』
『我が家のペットも眷属化を望んでいるので』
『人間の希望があるならその通りにすればいいだけ』など。
特に若い世代では眷属へのネガティブイメージも薄く、賛成が多くなっている。
一部『名前を変えても結局は眷属。不幸な人間が生まれない保証がない』という意見もあるが、保険庁での事前審査と定期面談の強化が検討されている」
新聞社が独自にとってくれたアンケート。
これ、もう世論が出ているよね?
正直、この記事が魔王さんには一番効いたと思う。
そして、新聞だけではなく……
「魔王様、ぜひライト様のご希望を叶えてあげてくださいと陳情書が……」
「こちらは全国ペット権利向上委員会からの名称変更賛成の署名が……」
「人間の村からも要望書が……」
「商工ギルドからのライト様需要に関する正式な事業レポートが……」
魔王さんのところには毎日続々と後押しするものが届いているみたいだった。
頑張って色々手を回した甲斐があったな。
みんな、俺の希望を叶えることを……俺がこれからもずっとずっとこの国の魔王さんの側にいることを望んでくれている。
俺……ちょっと自惚れかもしれないけど……思ったよりも沢山の人に、思った以上に……愛されているのかもしれない。
「はぁ……」
朝食後、今日届いた「『専属化』への変更及び制度推進の陳情書五〇〇通越え。近日中に法改正の見通し」という一面記事の新聞を開くと、後のページにも俺を応援する街の声が沢山載っていて……嬉しいんだけど、思わずため息をついてしまった。
「協力してとはお願いしたけど……こんなにみんなが一生懸命俺を応援してくれるとは思わなかった。利益があるから、その分は応援してくれると思ったけど、さすがに申し訳なくなってきたな」
俺のためにみんな頑張りすぎじゃない?
俺、みんなにちゃんと返せるのかな……世論が上手く流れている反面、申し訳ない気持ちも大きくなってきていると、ローズウェルさんが不思議そうな顔をした。
「ライト様はご自身に向けられる好意に敏感な方だと思っていましたが……なるほど」
「……?」
何だろう? その含みのある笑顔……?
「みんな、ライト様自身が大好きで応援したいという気持ちも大きいですが、恐らくそれ以上に……ライト様が飼い主である魔王様のことを考えて、頑張っている所を魅力的に感じているのだと思います」
「頑張るところに……?」
「えぇ。ペットが飼い主のために頑張る姿はとてもかわいくてかわいくて……かわいいですから」
ローズウェルさんがにこにこと、珍しく「はぁ~~~かわいいなぁ」とでも言いそうな笑顔になっていて……やっと少し理解できた。
初めからそうだった。
みんなそうだった。
俺が飼い主である魔王さんに甘えたり、魔王さんが大好きって態度をとったり、魔王さんを気遣ったりすると「何このペットすっごくカワイイッ!」という反応だった。
そうか。この行動も、そう見えているのか……。
でもそれってつまり……。
「有識者談:ライト様を便利に使うようで申し訳ないが、ライト様のお陰で、他国との国交が活性化しているのは事実。特に長年緊張関係にある隣国、最低限の交流しかなかったエルフの国との橋渡しとなった功績は大きく、この交流はライト様がいなくなっても続くものであるかは疑問だ。ライト様頼りの国交から抜け出すまでの時間は、ライト様の寿命では短い」
これはファイさんに寄稿してもらった。
更に翌日の新聞には……
「先月までの一年間の外貨獲得数は前年比約一四〇パーセント。このうち三〇パーセントはライト様関連となっています」
俺のお菓子を扱っているところに働きかけてもらって、国内の商工ギルドにデータを出してもらった。
更に翌日の新聞には……
「私たちは一七〇年前に眷属化をしました。それに後悔はなく、とても幸せな日々を過ごしています。しかし、眷属化と言うと印象が悪く、ペットがどれだけ幸せでも周囲の理解を得られなくて……」
これはエンラキさんからの提案で、すでに眷属化している人が俺の記事に喜んで「ぜひ寄稿させて欲しい」ということだった。
更に翌日の新聞には……
「同意のある眷属化の新呼称『専属化』推進に対する世論調査結果:
賛成八二パーセント
反対五パーセント
どちらでもない一〇パーセント
わからない三パーセント
(我が国に籍のある成人魔族男女一〇〇〇名に手紙でのアンケートを実施、無回答一六通を除く)。
主な賛成意見としては
『魔王様がライト様をとても大事にされているから』
『ライト様がかわいいから』
『ライト様のお陰でうちの店の売り上げが上がりました!』
『国際関係の発展のため』
『他国が発展的な考えをしているのに負けたくない』
『眷属化は良くないことと聞いていたけど、悪用する奴が悪いだけだったと解った』
『我が家のペットも眷属化を望んでいるので』
『人間の希望があるならその通りにすればいいだけ』など。
特に若い世代では眷属へのネガティブイメージも薄く、賛成が多くなっている。
一部『名前を変えても結局は眷属。不幸な人間が生まれない保証がない』という意見もあるが、保険庁での事前審査と定期面談の強化が検討されている」
新聞社が独自にとってくれたアンケート。
これ、もう世論が出ているよね?
正直、この記事が魔王さんには一番効いたと思う。
そして、新聞だけではなく……
「魔王様、ぜひライト様のご希望を叶えてあげてくださいと陳情書が……」
「こちらは全国ペット権利向上委員会からの名称変更賛成の署名が……」
「人間の村からも要望書が……」
「商工ギルドからのライト様需要に関する正式な事業レポートが……」
魔王さんのところには毎日続々と後押しするものが届いているみたいだった。
頑張って色々手を回した甲斐があったな。
みんな、俺の希望を叶えることを……俺がこれからもずっとずっとこの国の魔王さんの側にいることを望んでくれている。
俺……ちょっと自惚れかもしれないけど……思ったよりも沢山の人に、思った以上に……愛されているのかもしれない。
「はぁ……」
朝食後、今日届いた「『専属化』への変更及び制度推進の陳情書五〇〇通越え。近日中に法改正の見通し」という一面記事の新聞を開くと、後のページにも俺を応援する街の声が沢山載っていて……嬉しいんだけど、思わずため息をついてしまった。
「協力してとはお願いしたけど……こんなにみんなが一生懸命俺を応援してくれるとは思わなかった。利益があるから、その分は応援してくれると思ったけど、さすがに申し訳なくなってきたな」
俺のためにみんな頑張りすぎじゃない?
俺、みんなにちゃんと返せるのかな……世論が上手く流れている反面、申し訳ない気持ちも大きくなってきていると、ローズウェルさんが不思議そうな顔をした。
「ライト様はご自身に向けられる好意に敏感な方だと思っていましたが……なるほど」
「……?」
何だろう? その含みのある笑顔……?
「みんな、ライト様自身が大好きで応援したいという気持ちも大きいですが、恐らくそれ以上に……ライト様が飼い主である魔王様のことを考えて、頑張っている所を魅力的に感じているのだと思います」
「頑張るところに……?」
「えぇ。ペットが飼い主のために頑張る姿はとてもかわいくてかわいくて……かわいいですから」
ローズウェルさんがにこにこと、珍しく「はぁ~~~かわいいなぁ」とでも言いそうな笑顔になっていて……やっと少し理解できた。
初めからそうだった。
みんなそうだった。
俺が飼い主である魔王さんに甘えたり、魔王さんが大好きって態度をとったり、魔王さんを気遣ったりすると「何このペットすっごくカワイイッ!」という反応だった。
そうか。この行動も、そう見えているのか……。
でもそれってつまり……。
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